混色の水   作:とて 

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すみません、遅れました。
ストックはまだ少しあるんですけど、完全に忘れてました。来週からはちゃんと投稿したいと思ってます。


16話

高校バスケIH神奈川県予選前日、青葉青果高校バスケ部は体育館に集まっていた。桑田が口を開く。

 

「神奈川は東西南北4つのブロックに分かれている。我々は西部地区、王者海常は東地区だ。決勝トーナメントでそれぞれから13チーム、決勝リーグでそのベスト4の総当り、その優勝、準優勝校がIHに出れる。」

 

水木が口を開く。

 

「チーム数多いっすね。」

 

「そうだ、神奈川は全国でもバスケが盛んな地域、その分強豪も多い。一先ずは西部地区の優勝を目指す。ある程度の強豪は紀子が調べてある。頼む。」

 

川田がノートを取り出して立ち上がる。

 

「はい。先ずは西部地区昨年度王者の明和相模原高校、主将のC 野々村 樹さん、副主将のSG 笹野 裕太さんの2人を軸として、中外のバランスのとれたチームです。強みはスピード、基本パスより個人技よりのチームで、笹野さんが1番の得点源です。3Pも得意ですが、ドライブもキレがよく、笹野さんから野々村さんのところで多くの点を取っています。最高身長は野々村さんの189cmですが、スタメンの平均身長184cm、平均的に高いチームです。単純な得点力は海常よりも上ですが、守備が弱く、去年は決勝リーグでそこを突かれて負けています。」

 

沼咲が口を開く。

 

「じゃあそれを止めれば良い話ね。」

 

沼咲の言葉に銀波が驚く。

 

「攻めるのではないですか?」

 

「相手の強み潰した上で攻めるでいいでしょ。」

 

桑田が頷く。

 

「油断は良くないが、茂樹の言う通りだ。決勝リーグを除いて県予選は全て相手を受け止めた上で潰す。」

 

銀波は少し引きながら頷き、沼咲はニコニコとしながら頷いた。川田が口を開く。

 

「次に去年の決勝トーナメントベスト8、大木高校。主将のSF 加藤 蓮司さん、2年生エースのPF 飯田 勇次さんの2人を中心とし、中で攻めてくるタイプのチームです。外の上手い選手は今のところ情報がありませんが、それ以上に中が圧倒的です。去年、決勝トーナメント準々決勝で海常と当たり、78対77で負けています。地区予選より、県予選に重きを置いているようで、決勝リーグ進出条件ベスト12に入った後の試合は全て手を抜いています。」

 

海野と朝泡が組み合わせ表を見る。海野が口を開く。

 

「両校とも決勝まで当たらないな、逆山だ。」

 

「じゃ、決勝まで問題ないたァ!?」

 

桑田が朝泡の頭を竹刀で叩いた。

 

「油断はするな。だが、確認したところそれ以外は警戒する必要はない。今日は早く寝とけ、解散!」

 

 

 

 

 

神奈川県IH西部地区予選、青葉青果高校は水木、舟木、凪佐のワンタッチプレーにより、余裕の勝利を重ねていった。トーナメントは進み、決勝、青葉青果VS明和相模原の試合前。青葉青果のベンチで桑田が口を開く。

 

「相手は予想通り明和相模原、スタメンはPG 駆、SG 飛鳥、SF 武則、PF 茂樹、C 傑で行く。このメンバーがコートに揃うのは初めてだが、この前話した通り、ここからはこの5人を軸にしてうちのチームを回していく。この試合は練習だと思え。第2Qからは他のメンバーも入れていく。」

 

最後の言葉に全員が驚く。しかし、沼咲はニヤッとして口を開く。

 

「第1Qで決めに行っていいんすね?」

 

「もちろんだ。負けを意識して練習などありえん。勝つぞ!」

 

「「「はい!」」」

 

 

明和相模原のベンチ、監督の岩本が口を開く。

 

「青葉青果は1年生のみのチームだ。面白いプレーをするが、今までの試合を見る限り、基本能力はうちが上だ。油断せずに勝とう。野々村。」

 

「はい。行くぞ!」

 

「「「おう!!」」」

 

 

観客席には既に東部地区優勝した海常高校の笠松と黄瀬が来ていた。黄瀬がダルそうに口を開く。

 

「なんで西部地区の決勝見るんすか?それよりも東京の方見に行きましょうよー。」

 

「あん?!神奈川は全国屈指の実力校がウジャウジャいる、西部地区には決勝に出てる明和相模原、去年うちを苦しめた大木。少なくとも2校は障害になるえる。ただ、相手の青葉青果は聞いたことねーな。噂によると1年生のみで決勝まで上がってきたらしいが…。」

 

「1年生のみ?!凄いっすねそれ…。」

 

黄瀬が乗り出して青葉青果のメンバーを見る。すると見覚えのある4人がいた。

 

「あれって…沼咲っちに海野っち、川崎っち…銀波っちまで?!!」

 

「知り合いか?」

 

「4,5,6番は最後の全中の時に苦しめられたやつらっす!11番は帝光時代の仲間っす、体力がないから試合にはあんま出てなかったっすけど、めちゃくちゃ上手いんすよ!」

 

笠松は黄瀬の言葉に驚く。帝光中は3連覇している、特に去年の全中は帝光が圧倒的な強さで優勝している。その中で苦しめられた、という言葉は予想もしなかった言葉であった。そして、元帝光の選手、試合には出ていなかったものの、黄瀬がめちゃくちゃ上手いと言ったことに驚いた。

 

「なんでそんなやつらが無名なんだ?」

 

「いや、全中の後どこ行ったかとか一切知らなかったっす。これは楽しそうっすねー!」

 

黄瀬のキラキラした目に笠松は少し呆れていた。

 

 

 

コートに選手が集まる。青葉青果;PG 朝泡{10}, SG 銀波{11}, SF 海野{4}, PF 沼咲{5}, C 川崎{6}。明和相模原;PG 齋藤{12}, SG 笹野{5}, SF 浜崎{7}, PF 飯田{11}, C 野々村{4}。川崎と野々村がセンターサークルで向かい合う。

 

──────ピィー!

 

川崎と野々村が飛ぶ。川崎が圧倒的な高さでボールを弾く。

 

「くそっ…(身長差はしょうがないが、それでも高すぎる?!)」

 

朝泡がボールを運ぶ。齋藤が前に立ち塞がる。齋藤はパスとドライブを警戒して少し距離を空けていた。

 

「舐められたもんだなっ。」

 

「なんだと!?」

 

朝泡はクイックシュートで3Pを放った。そのボールは綺麗にリングをくぐる。呆気に取られた齋藤に野々村が喝を飛ばす。

 

「気にするな!リスタートだ!」

 

「はい!」

 

齋藤がボールを運ぶ。マークが着く前に笹野に回す。笹野の前の銀波は距離を空けていた。笹野はそれを見逃さずにシュートを放った。

 

「舐めてんのはそっちだよん!」

 

「低いですね。」

 

「なっ…?!」

 

銀波は少し飛び、そのシュートを弾いた。

 

(リーチ長っ!?)

 

ルーズボールを海野がとる。そしてそのままドリブルで攻め上がった。浜崎が追いつく。

 

「やらせるかよ1年坊主が!!」

 

「無理です。」

 

「くそっ(速すぎる!?)」

 

海野はフェイントを入れずにスピードだけで浜崎を抜き去った。そのままレイアップに入る。

 

「やらせんぞ!」

 

野々村が飛び上がる。海野は野々村の後ろを飛ぶ影に気がついた。

 

「任せた。」

 

「任された!」

 

海野は空中でボールを持ち替え、野々村の横からボールを放った。そのボールは野々村の後ろから追いつき、飛んでいた川崎がとった。野々村は後ろを見て驚く。

 

(なんだと?!)

 

「うるぁ!」

 

川崎のダンクが決まった。野々村はリスタートするためにボールを拾い、コートを見る。

 

「出してください!」

 

「…おう!」

 

齋藤がボールを運ぶ。マークが若干離れている笹野に回す。少し距離をあけたところに銀波が立っている。

 

「(普段なら3P狙うが、あのリーチじゃ打てねぇ。しかもドライブも…いや)舐めるな!」

 

笹野がシュート体勢に入る、銀波が少し飛びブロックに入った。それを確認して、銀波を抜きにかかった。しかし、銀波は抜かれずに立ち塞がった。

 

「くそっ…(リーチのせいで余計にデカく見える!?)」

 

「上手いとは思いますよ。」

 

「舐めんなって!」

 

笹野はストップ&ジャンプをしてシュートを狙った。しかし、銀波が腕を伸ばす。

 

「笹野!」

 

ゴール下で野々村が呼ぶ。笹野は銀波の上げた腕の下からパスを通して野々村に渡した。

 

「頼む!」

 

「おう!…(こいつ…身体の使い方上手いな。)」

 

野々村には川崎がついていた。野々村は身体で押し込もうとしたが川崎は動かなかった。川崎が口を開く。

 

「それだけですか?」

 

「言ってくれるなっ!」

 

野々村は一瞬川崎から身体を離し、ドリブルターンでゴールへ飛んだ。

 

「うるぁ…!?」

 

野々村がダンクしようとしたボールに川崎が手を置く。野々村はその瞬間に力の差に気づいた。川崎はそのボールを野々村ごと吹き飛ばした。ルーズボールを銀波がとり、朝泡に渡した。戻る野々村に川崎が口を開く。

 

「そんなもんですか。」

 

「…。」

 

朝泡から沼咲に渡る。沼咲の前には飯田がいた。沼咲はそれを見てため息をついた。飯田はそれに気づく。

 

「今のはなんだ?」

 

「いや…つまらないなぁ、と。」

 

「なんだ…?!」

 

沼咲はあっさりと飯田を抜き、ゴールへ飛んだ。

 

「何度もやらせるか!」

 

「調子乗んじゃねぇ!!」

 

野々村と浜崎がブロックに飛ぶ。沼咲は飛びながらコートを見渡していた。

 

「マークザルですか?」

 

沼咲は持っていたボールをサイドの外へと出した。

 

「なっ…(この狭い中であそこまで目がいくのか!?)」

 

その先には銀波がいた。

 

「ナイスパスです。」

 

笹野が急いでブロックしようとしたが、銀波は意に介さず、そのまま綺麗な3Pを決めた。高い打点のシュートに笹野は届かなかった。

 

「くそっ!(高すぎんだろ!?)」

 

齋藤がボールを運びながら見渡す。

 

「(笹野先輩も野々村先輩も完全に抑え込まれてる…なら)浜崎先輩!」

 

齋藤から浜崎にパスが渡る。浜崎の前には海野が立ち塞がる。浜崎はフェイクをひとつ入れ、急加速で海野を抜きにかかった。

 

「遅いですよ?」

 

海野は一切振られずに浜崎の目の前に立ち塞がった。浜崎は一旦下がった。

 

「上手いな…。(今ので振り切れねーのかよ。)」

 

「油断しすぎですよ。」

 

「は?!」

 

「浜崎先輩!」

 

齋藤が叫ぶ。浜崎が気づいたときには朝泡にボールを弾かれていた。ルーズボールを海野が拾う。

 

「ナイス駆。」

 

「取ろうと思ったんだけどな、流石は強豪。」

 

青葉青果が攻め上がる。明和相模原は急いで自陣に戻って行った。朝泡が沼咲にボールを繋ぐ。沼咲はあっさりと飯田を抜き、ゴールへ向かう。野々村が急いでカバーに向かった。

 

(パスか、シュート、どっちだ!?)

 

「よっ!」

 

「なん…だと?!」

 

沼咲はドリブルの勢いのまま下からゴールへボールを放った。野々村は虚をつかれ、動けなかった。

 

「ナイス、うりゃ!」

 

その先には川崎が飛んでいて、そのままダンクを決めた。

 

 

 

第1Q、青葉青果の勢いは止まらず、明和相模原に一切の得点を許さなかった。38対0、地区決勝で見たことの無い点差で第1Qが終わった。観客席の笠松と黄瀬は引いていた。笠松が口を開く。

 

「明和相模原は決して弱いチームじゃねぇ、むしろ神奈川の4強に入る神奈川1の攻撃力を誇るチームだ。それを0で抑えて、しかも40点弱の得点、こりゃヤベぇぞ。」

 

「そうッスね…、あの時はキセキの世代5人、それに黒子っちがいてなんとか勝てたっすけど。しかも今は銀波っちにあの10番がいる。正直、勝てる可能性は高くないっすね。」

 

黄瀬も改めて、3人の強さ、そして、朝泡と銀波の強さに驚いていた。

 

 

 

西部地区決勝、青葉青果VS明和相模原の試合は116対39で、青葉青果の圧勝で終わった。観客席はその強さに湧くとともに、恐怖を感じていた。




いかがだったでしょうか。
次の投稿は12月5日18:00です(今度こそは遅れないようにします)。
お楽しみに
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