混色の水   作:とて 

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こんばんは!
ただいまの時間は12月5日17:41。
ギリギリの時間に予約投稿していないことを思い出し、めちゃくちゃ焦りました。余裕持って行動しないといけないと、再確認しました。
こんな話は置いといて、

どうぞ!


17話

神奈川県高校バスケIH決勝トーナメント、西部地区1位通過の青葉青果高校は順当に勝ち、決勝リーグ進出を決めていた。そして、東部地区1位通過の海常高校も決勝リーグを決めた。そして残る2枠を決める、明和相模原VS厚木千賀、大木VS横須賀南幸台の試合が残っていた。明和相模原VS厚木千賀、昨年度神奈川4位と3位、西部地区王者と北部地区王者の試合が行われようとしていた。青葉青果と海常は観客席で見ようとしていた。桑田を先頭に青葉青果のメンバーが歩いていると武内を先頭とする海常のメンバーと会った。桑田が口を開く。

 

「お久しぶりです、武内さん。決勝リーグ進出おめでとうございます。」

 

「久しぶりだな、桑田。おめでとうはお前の方だろ、うちはいつも通りだ。1年生のみであれは凄いな。うちも1番警戒してるよ、他の高校もな。」

 

「いえ、そんなことは。」

 

黄瀬が顔を出し、手を振る。

 

「あ、沼咲っち、海野っち、川崎っちに銀波っちお久しぶりっす!」

 

沼咲と海野、川崎の3人は無視して空いている席に座り始めた。

 

「無視っすか?!酷いっす!」

 

銀波が黄瀬に近寄る。

 

「久しぶりです、黄瀬くん。」

 

「銀波っちは話してくれるんすねー。まぁ、一緒に見ようっす!」

 

黄瀬は銀波を連れて沼咲たちの横に座った。笠松がため息をつく。武内はそれを見て口を開く。

 

「ここなら両校のレギュラーは座れるな、すまんがいいか?」

 

「はい、ぜひ。」

 

桑田はニコニコとして対応した。

 

 

 

コートでは明和相模原と厚木千賀のスタメンが並んだ。明和相模原;PG 齋藤 雅文{12番}, SG 笹野 裕太{5番}, SF浜崎 修{7番}, PF 飯田 信孝{11番}, C 野々村 樹{4 番}、厚木千賀;PG 堂野 滝昌{5番}, SG 魚崎 緋月{4番}, SF 笹塚 遊{6番}, PF 三玉 祐希{7番}, C 永友 正人{8番}。野々村と魚崎が握手をした。魚崎が口を開く。

 

「まさかここで会うとは。悪いが、お前たちのIHはここで終わりだね。」

 

「去年のようにはいかんぞ。」

 

「1年のみのチームに負けるのはないっしょ。」

 

魚崎の言葉に浜崎が口を開く。

 

「てめぇ!」

 

「浜崎、やめろ。言いたいことは試合で見せろ。」

 

「あぁ、そうするよ。」

 

魚崎は手をヒラヒラとし、自分のポジションに歩いていった。

 

 

 

観客席の黄瀬が口を開く。

 

「沼咲っちたちはどっちが勝つと思うんすか?」

 

「明和相模原は試合やったから知ってるけど、厚木千賀は知らんしなぁ。紀子。」

 

川田が急いでノートを取り出し口を開く。

 

「厚木千賀高校は北部地区王者。創部は古くて、過去にはIHベスト4までいって、10年前ぐらいからずっと決勝リーグ進出しています。いわゆる伝統校ってやつです。基本的に1年生の間は基礎トレーニングをやって、2年生になって通常の練習に合流。早くても2年の後半から試合には出るのが通常らしいです。徹底した選手管理で、昔から強みは変わってなく、走ること。異常なくらいのスピードバスケです。特に主将でSGの魚崎さんは中学までは陸上もやってて、短距離で全国4位、長距離でも全国大会に出ています。」

 

黄瀬が川田の説明に驚く。

 

「まるで桃っち…帝光時代のマネージャーみたいっすね。」

 

「で、どうよ武則?」

 

川田が話しきったのを確認し、沼咲が海野に振る。

 

「明和相模原は確かに弱くはなかった…が、強くはない。メンバーを見る感じは厚木千賀かな。だろ?駆。」

 

朝泡が口を開く。

 

「そうだな。てか、明和相模原は弱いだろ。DFが壊滅的すぎる、厚木千賀は攻守バランス取れたスピード型だろ?万が一にも勝てねぇだろ。」

 

「辛口ですね。」

 

銀波が苦笑いしながら言った。川崎が口を開く。

 

「4番の野々村さんも、思ったより弱かったしねぇ。」

 

「そうなんすか?」

 

笠松は1年生6人の会話を聞きながら恐怖を感じていた。

 

(明和相模原は十分全国レベルに達している、弱いだと?!少なくとも野々村は神奈川で5本指に入るレベルだった…ほんとやべぇな今年の1年は。)

 

「なぁなぁ、明和相模原は俺らでも抑えられたけど、厚木千賀はどうなの?」

 

後ろで座っていた水木が手を挙げながら言った。笠松が水木を見る。

 

(あいつは青葉青果の7番…。)

 

朝泡が口を開く。

 

「余裕じゃね?普段俺ら相手に練習してんだから。まぁ、見てみねーとわかんねーけど。」

 

「だが、一応去年3位だからな。4位に勝てたとはいえ、あれと同じではないだろう。警戒しておくにこしたことはない。」

 

海野の言葉に笠松は関心していた。

 

(青葉青果の中でこいつは1番考えるタイプなのか?ポジション的にはマークは黄瀬になる、厄介かもな。)

 

 

 

青葉青果と海常のメンバーが見ている中、試合は始まった。前半はまるで殴り合いのような点取り合戦であった。明和相模原は主将4番(C)野々村と5番(SG)笹野、厚木千賀は全員でRUN&GUNで点を取っていた。前半が終わり、61対58、明和相模原の若干優勢となっていた。沼咲が口を開く。

 

「決まったなこの試合。」

 

その言葉に周りが驚く。黄瀬が首を傾げる。

 

「この点差じゃまだ分からなくないっすか?」

 

「いや、沼咲の言う通りだ。この試合は厚木千賀が勝つ。」

 

笠松の言葉に周りは更に驚く。沼咲は頷いていた。

 

「明和相模原の必勝パターンは第3Qまでで点差を開かせて第4Qは追いつかせない。それには前半は最低でも10点差をつけなければ無理だ。」

 

「でも、互いに走った量は同じじゃないっすか?」

 

「汗の量見てみろ。」

 

黄瀬は言われた通り、両方のベンチを見る。明和相模原は疲れた表情を隠せていなかったが、厚木千賀は余裕があった。

 

「厚木千賀は本来、相手が疲れてきた後半に点を取るチームだ。だが、今回は最初から点を取りに行った。それでも体力は持っている。厚木千賀が第4Qに失速するとしても、それより先に明和相模原の体力が持たなくなる。」

 

「失速しないっすよ。」

 

沼咲が口を挟む。

 

「厚木千賀は全速で走ってない。本来、攻守バランスの取れたチームなのに、守備を捨てすぎてる。明和相模原に止められないことを前提に前半の守備を捨ててる。理由はわかんないっすけど、前半は相手に合わして、後半は自分たちのバスケで勝負っていう作戦だと思います。それだけ走れる自信があるんじゃねーかな。」

 

「作戦か…。」

 

海野は少し睨んだようにコートを見ていた。

 

 

 

試合が再開し、その展開は沼咲と笠松の予想通りであった。厚木千賀はRUN&GUNを止めずに点を重ね、そして、明和相模原の攻撃を止めていた。第4Qには明和相模原の動きが悪くなり、厚木千賀は変わらず走り続けていた。結果は110対79。笠松が口を開く。

 

「次は大木と横須賀南幸台か。大木は去年苦しめられたけど、横須賀南幸台は去年県の2位。面白い組み合わせだな。」

 

沼咲、海野、川崎の3人は大木側のベンチを見て驚いていた。川崎が口を開く。

 

「根潮先輩…だよね、あれ。」

 

「だなぁ…マジかよ。」

 

沼咲が苦笑いしながら答えた。

 

「戻ってきてたんだな、あの人。」

 

海野は少し嬉しそうであった。凪佐が口を開く。

 

「知り合いいたの?」

 

「うん。俺と武則にバスケを教えてくれた中学の先輩。」

 

川崎も嬉しそうであった。

 

「茂樹じゃないの?」

 

「いや、俺も教えたんだけど…。」

 

「茂樹は感覚派過ぎて教えるのに向いてなかった。」

 

「「「あー。」」」

 

海野の言葉に3人は身に覚えがあり納得した。黄瀬が首を傾げる。

 

「海野っちと川崎っちは中学から始めたんすか?」

 

「あぁ。」

 

「そうだよ。」

 

笠松は2人の返事に驚く。黄瀬は中学2年から始めたが、他のキセキの世代は中学の前からやっていた。そのキセキの世代と同格の実力を持つと言われる2人が中学から始めた、それは黄瀬同様伸び代が他の天才たちよりある可能性が高いということであった。だが、その天才を育てた根潮という名前は聞いたことがなかった。笠松が口を開く。

 

「中村、根潮って聞いたことあるか?」

 

「いや、ないです。」

 

「だよな。」

 

「だと思いますよー。」

 

沼咲が伸びをしながら言った。

 

「根潮先輩は中学時代、膝に怪我して試合ほとんど出れてないです。でも、上手いですよ。」

 

黄瀬は目を輝かせていた。

 

「沼咲っちが上手いって言うんすから、俺も楽しめるってことっすね。」

 

「楽しめる…か。」

 

大木と横須賀南幸台のスタメンが並んだ。大木;PG 新城 譲{5番}、SG 根潮 秀也{7番}、SF 加藤 勇次{4番}、PF 飯田 蓮司{8番}、C 一宮 賢人{6番}。横須賀南幸台;PG 丸坂 柊、SG 田中 景義{15番}、SF 工藤 綱吉{4番}、PF 橋本 柚希{11番}、C 新藤 剛典{10番}。面々を見て笠松が口を開く。

 

「どっちの選手も高いな。」

 

「紀子、平均身長は?」

 

沼咲が川田の方を見る。

 

「えっと、大会パンフの情報からですけど、大木高校が189.4cm、横須賀南幸台高校が186.6cm。大木高校の最高身長が3年生の6番 一宮 賢人さん、197cm。横須賀南幸台高校の最高身長が2年生の10番 新藤 剛典さん、200cmです。どちらも例年は中主体のチームで、横須賀南幸台高校は神奈川No.1の守備力って言われています。」

 

「へぇ、中主体のチームに根潮先輩か…。」

 

「どっちも高ぇな…。」

 

水木が凪佐の肩を叩く。

 

「優馬の方が高いな!」

 

「たった1cmだよ。」

 

 

 

──────ピィー!

 

試合が始まり、ボールがコート中央を舞い、両Cが飛び上がる。新藤が先に触り、横須賀南幸台ボールで始まった。丸坂がボールを運ぶ。その前に新城が立ち塞がった。新城が口を開く。

 

「今年は3年が少ないな、人数不足か?」

 

「それもありますけど、ちゃんと実力で選ばれましたよっ!」

 

丸坂が抜きにかかるが、新城はしっかりついてきた。

 

「田中っ!」

 

「はい!」

 

丸坂から田中にパスが渡る。根潮がすぐにマークに着こうとした瞬間に田中がクイックシュートを放る。

 

「クイックシューターか?…いや、リバウンド!」

 

根潮はすぐに外れることを察して、声を飛ばす。しかし、それより先に新藤、橋本、工藤はゴール下に入っており、大木のメンバーはポジションを取れずにいた。新藤が飛び上がる。そして、ボールを掴む。

 

「うるぁぁ!」

 

新藤がフリーでダンクを決める。会場が盛り上がる中、大木はすぐにリスタートした。新城がボールを運んで行く。ハーフライン辺りで丸坂がマークに着く。新城がマークを振り切った加藤にパスを回す。しかし、そのボールは田中の手によってカットされた。

 

「マジか…。」

 

新城が思わず声を漏らす中、田中がドリブルで駆け上がる。すぐに根潮が立ち塞がった。

 

「寄越せ!」

 

「工藤さん!」

 

横を走り抜ける工藤にパスが回る。加藤がすぐに追いかける。しかし、工藤はスリーポイントラインで突然止まった。そのまま、シュートを放る。

 

「嘘だろ…まだリバウンドついてないだろ?」

 

工藤のシュートは綺麗な弧を描き、ゴールに吸い込まれた。

 

 

 

その後も第1Qは横須賀南幸台のパスカットからの攻撃が連発し、21対2で終わった。黙って見ていた笠松が口を開く。

 

「横須賀南幸台はもちろん高さもあるが、神奈川No.1の守備と呼ばれるのはパスカットの成功率が異常に高いことから言われている。中の高さがあまり変わらない以上、平面勝負で横須賀南幸台を崩すのは難関だぞ。」

 

沼咲が楽しそうに口を開く。

 

「平気っすよ、根潮先輩がいるんなら大木の勝ちですよ。」

 

「そんなに強いのか?」

 

「そりゃ、黄瀬も真似するの無理でしょうしね。」

 

「俺が出来ない技っすか?!どんな技術すかそれ?」

 

海野が口を開く。

 

「技って言うよりは力だな。」

 

「力?」

 

「まぁ、見てればわかるよ。」

 

沼咲は依然として楽しそうであった。




いかがだったでしょうか。
来週はもっと余裕を持って予約投稿したいです。
次回の投稿は12月12日18:00です。
どうぞお楽しみに
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