混色の水   作:とて 

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お久しぶりです。連載再開します。
今日は特別ですが、これから毎週日曜18:00に投稿していきます。
短いですが、どうぞ。


18話

横須賀南幸台高校VS大木高校の第1Qは16対2で、横須賀南幸台優勢で終わっていた。そして、第2Qが始まる。大木の主将 加藤が根潮の肩に手を置く。

 

「そろそろ行けるな、根潮。」

 

「じゃあ、中も頑張ってくださいよ?」

 

「言っとけ。」

 

両校のメンバーがコートに入った。大木のボールから始まる。新城はマークが着く前に根潮に回す。根潮はスリーポイントラインより手前かつ高い位置でボールを受け取った。田中が急いでマークにつく。

 

「ほいっ!」

 

「えっ…?!」

 

根潮は下半身を動かさず。腕の力だけでシュートを放った。ボールの位置も高いままだったので、田中は反応できなかった。ゴール下でポジションを取ろうとした新藤が驚く。

 

「全員、下がり始めた?てか、届くのかよあれで…しかも、その軌道…。」

 

新藤は長くCをやっている。ゴール下でリバウンドを取る回数も多かった。そのため、入るシュートか入らないシュートかはわかってしまう。その目でハッキリと確信した。

 

「入る…。」

 

根潮の放ったボールは綺麗にゴールリングを潜った。見ていた銀波が口を開く。

 

「ありえない…ですよ…。」

 

笠松も苦い表情になった。

 

「人間技じゃねーよありゃ…。」

 

シュートは長い距離になるほど、体全体の動きの力を上乗せして飛ばす。ゴール下等であれば腕の力だけで飛ばせるが、スリーポイントとなると、ほとんどの選手はそれ以外の力も使わなければ届きもしない。少なくとも、日本の高校生でそれをできる人間はいなかった。沼咲が笑う。

 

「やっぱやべぇなあの人。」

 

「座ってスリーポイント打ってた人だからな、あれが出来ても不思議ではない。」

 

「はぁ?!」

 

笠松が海野の言葉に驚く。横須賀南幸台のメンバーもそのシュートに呆気に取られていた。工藤が口を開く。

 

「すぐリスタートだ!」

 

「はい!」

 

新藤がボールを中に入れる。しかし、大木は全員自陣に戻っており、隙がなかった。工藤が叫ぶ。

 

「俺に回せ!」

 

「工藤さん!」

 

丸坂から工藤にボールが渡る。その目の前には加藤が立ち塞がる。

 

「ほら、来いよ。」

 

「舐めんな…よっ!」

 

工藤はシュートフェイントを入れ、加藤を抜きにかかる。しかし、加藤はしっかりついてきていた。工藤はターンをし、加藤を躱す。加藤は笑っていた。

 

「もらったー!」

 

飯田の手が工藤の持っていたボールを弾く。

 

「なっ、いつの間に…。」

 

加藤がルーズボールをすぐに取る。

 

「根潮!」

 

根潮が既に走っており、それを田中が追いかけていた。加藤から根潮にボールが渡る。根潮はハーフラインを超えたあたりでボールを受け取り、すぐにシュートを放とうとした。田中は追いついても止められないことを分かっていた。

 

「くそっ…(そっからも届くのか?!)」

 

「2度もやらせるか!」

 

橋本も追いかけており、根潮の放つボールに飛びつこうとした。

 

「よっと。」

 

根潮はターンをしながら橋本を躱し、シュートを放った。そのシュートは綺麗にリングをくぐる。田中と橋本が顔を上げると根潮は笑っていた。

 

「やっぱ試合って楽しいー…。」

 

 

 

その後の試合展開は一方的となった。根潮のスリーポイントを連発し、それを囮に他のメンバーが点を取っていった。横須賀南幸台の攻撃は止められ始め、点を取れず、点を取られることが多くなった。

 

──────ピィー!

 

試合終了の笛が鳴り響く。41対80、大木高校の勝利。根潮は1人で16本のスリーポイント、48点を決めた。笠松は結果に引いていた。1人で50点近くを決める。強豪と弱小の試合ならば十分ありえるが、強豪同士、なおかつ横須賀南幸台の守備力は県No.1。

 

「なんだあいつ、しかも体力も十分にある。黄瀬、真似できるか?」

 

「無理っす。ゴールに近ければ可能っすけど、スリーは絶対無理っす。」

 

青葉青果のメンバーが立ち上がる。沼咲はニコニコしていた。

 

「楽しみになってきた!」

 

青葉青果のメンバーが立ち上がったのを見て、桑田も立ち上がる。

 

「では、私も失礼します。決勝リーグ、王者の座を貰いに行きます。」

 

「あぁ、楽しみにしてるぞ青葉青果高校。」

 

黄瀬も立ち上がる。

 

「ぬぁぁぁ!俺も楽しみになってきたっす!沼咲っち、海野っち、川崎っち!全中のリベンジさせてもらうッスよ!」

 

帰ろうとしている3人を指さす。沼咲が笑う。

 

「こっちのセリフだよ。」

 

「あと、銀波っち〜、今度ご飯行こうっす!」

 

「ぜひ、行きましょう。」

 

しばらくして、海常のメンバーも座席を立ち始めた。黄瀬が隣で動かない笠松に首を傾げる。

 

「どうしたんすか?笠松先輩。」

 

「今年の決勝リーグ…去年以上に楽しめそうだ。」

 

笠松は笑っていた。

 

「そうッスね。」

 

 

 

観客席後方で、決勝リーグ進出を決めた厚木千賀高校のメンバーも見ていた。魚崎が笑う。

 

「強いやつがたくさんいるなぁ。これは北の王者として頑張らないとね〜。」

 

 

 

大木高校のベンチの片付けが終わっても会場出口で根潮はコートを見ていた。加藤が声をかける。

 

「根潮、帰るぞ。」

 

「…沼咲、海野、川崎。あの3人とついにやれるのか。」

 

「根潮!」

 

「あ、はい。」

 

 

 

 

 

『海常』、『青葉青果』、『厚木千賀』、『大木』、決勝リーグ進出の4校が出揃った。

 




いかがだったでしょうか。
次の話から4000字前後で1話ずつ投稿していきます。
次回の投稿は4月3日(日)18:00です。
どうぞお楽しみに。
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