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では、どうぞ。
IH神奈川県予選。神奈川の代表枠は2つ。東西南北4つの支部予選を勝ち抜き、決勝トーナメントを勝ち抜いた4校の総当りで決まる。日程は3日、1チーム1日1試合。その初日。青葉青果VS大木、海常VS厚木千賀の順で試合が行われる。
試合前、青葉青果の控え室。作戦の最終確認が行われていた。桑田が口を開く。
「スタートはPG 武則。」
「はい。」
「SG 飛鳥。」
「はい。」
「SF 茂樹。」
「はーい。」
「PF 傑。」
「はーい。」
「C 優馬。」
「はい!」
「大木高校は本来、中主体のチームだ。それだけだったら良かったが、今の大木には武則たちの先輩である7番、根潮がいる。あいつを抑えない限り、中の強さも際立ち続ける。高さ勝負ではこのメンバーなら勝てるはずだ。そして、肝心の根潮だが…ポジション的には基本、飛鳥に着いてもらうことになる。」
「はい…できるだけ頑張ります。」
銀波の返事を聞き、沼咲が笑う。
「平気だろ、飛鳥は中学ん時キセキの世代のやつら相手に練習してたんだろ?」
「まぁ、いつもダウンしてましたけどね。」
「なら大丈夫だ。」
桑田が頷きながら口を開く。
「第1Qで相手の中を確実に抑える。ポジションはSFだが、相手も中が得意なプレーヤーだ。茂樹、傑、優馬、お前らが鍵となる。確実に中を抑えろ。」
「「「はい!」」」
試合開始の時間になり、両校の選手がコートに並ぶ。青葉青果;PG 海野{4番}、SG 銀波{11番}、SF 沼咲{5番}、PF 川崎{6番}、C 凪佐{8番}。大木;PG 新城{5番}、SG 根潮{7番}、SF 加藤{4番}、PF 飯田{6番}、C 一宮{6番}。両主将の海野と加藤が握手をする。加藤が口を開く。
「1年のみで決勝リーグまで来るとはな、驚いた。」
「ありがとうございます。このまま全国取らせていただきます。」
「神奈川を舐めるなよ?」
海野は笑顔でそれを聞き流した。沼咲と根潮が向かい合う。沼咲が口を開く。
「根潮先輩治ったんすね?」
「完治とはいかなかったけどな…まぁ、君ら3人の成長を見せてもらうよ。」
「はい。」
両校の選手がそれぞれの位置につく。両Cの凪佐と一宮が向かい合う。
──────ピィー!
笛の音とともにボールが2人の間の宙を舞う。同時に飛び上がった。2人の身長差は5cm、だが、それ以上の差で凪佐が先に触る。
「高すぎ…。」
凪佐の弾いたボールを沼咲が取る。
「先手…必勝!」
沼咲は取った流れでそのままドリブルに入り、ゴールへと向かった。加藤がすぐに立ち塞がる。
「易々と先制を取れると思うな!」
「いいねぇ、加藤さんっ!」
「くっ…?!」
沼咲は突然の静止、からの左右へのフェイク、ターンで加藤を躱した。そのままゴールへと向かっていき、ゴール下で飛び上がった。
「もらったぁ!!」
「やらせるかよ!!」
沼咲が加藤を躱す間に飯田が追いつき、沼咲がダンクしようとしたボールを弾こうとしていた。
「速いっすね…でも」
沼咲はボールを下げ、上に放った。沼咲と飯田が落ち始めた中、そのボールを走ってきていた川崎が両手で取る。
「うるぁぁぁ!!」
そのまま両手ダンクを決めた。いきなりの派手なプレーに会場が盛り上がる。
「すげぇぇ!?!」
「本当に高校生かあいつら!!?」
大木はすぐにボールを入れ、リスタートした。新城がボールを運ぶ。その前に海野が立ち塞がる。新城は一定の距離を空けて止まった。新城が海野を睨む。
(こいつ…本当に1年か?隙がないどころじゃねぇ…気を抜いたら速攻で奪われそうだ。)
新城は一息吐いて、コートを見渡した。
(他のやつもやべぇな…となると、予定通り…)
新城から根潮にパスが回る。根潮は高い位置でボールを受け取った。その前には銀波が立ち塞がる。スリーポイントを警戒し、距離を詰めていた。根潮が銀波を見る。
「(こいつは元帝光中一軍…まぁ、でもキセキの世代や沼咲たち程じゃねーってことだよな?)…ほっ!」
「速い!?」
根潮が下半身を動かさずに腕だけでボールを放った。予備動作が少なく、188cmの身長の打点が銀波の反応を遅れさせた。根潮の放ったボールは綺麗な弧を描き、リングを潜った。ベンチの桑田が舌打ちを鳴らす。
「くそっ、飛鳥でも抑えきれないのか。」
沼咲が銀波の背中を叩く。
「飛鳥、やられたな!」
「そうですね。イメージよりだいぶ速いです。流石は茂樹くんたちの先輩ですね。」
「だからと言って負けてられねーよな?」
「はい。」
次の試合のため、コートの横で海常のメンバーが見ていた。笠松が口を開く。
「やっぱり、あの7番は厄介だな。相手してる11番は元帝光とはいえ、一軍補欠。流石にキツいか?」
黄瀬が笑いながら口を開く。
「いや、あの7番は間違いなく、俺たちキセキの世代と同格って言っていいと思うっすよ。それでも、勝つのは銀波っちっす。」
「キセキの世代じゃねーだろ?11番は。同中だからって買いかぶりすぎじゃね?」
「そうすっかね…。」
黄瀬は楽しそうに試合を見ていた。
海野がボールを運ぶ。海野がパスコースを探りに入ると、すぐに銀波が目に入った。
「(気合十分って感じか…)飛鳥!」
海野から銀波にボールが渡る。銀波の前には根潮が立ち塞がる。根潮が口を開く。
「やり返す気か?」
「えぇ。」
銀波がノーフェイクでシュートフォームに入る。根潮はすぐにブロックに入る。しかし、銀波は気にせずにそのままボールを放った。根潮の指先にボールが触れた。見ていた笠松がため息をつく。
「やっぱり買いかぶりすぎだ、黄瀬。」
「そんなことないっすよ。」
根潮の指先に触れたボールは不安定な軌道を描きながら、リングに当たった。ゴール下でポジションを取れたのは一宮であった。凪佐が悔しそうな顔をしていた。
「リバンっ!…?!」
数回跳ねたボールはリングを潜った。根潮はゴールを見て驚く。
「ラッキーシュートか?」
「切り替えろ!リスタート!」
加藤が声を飛ばす。新城がボールを運び、ハーフラインを越えたところで、根潮に回す。根潮の前には銀波が立ち塞がった。
「さっきのはラッキーだったな。でも、俺はラッキーじゃないんでねっ!」
根潮がシュートフォームに入る。銀波は先程より早く反応した。それを見て根潮が銀波を抜きにかかる。
「おっと!」
「なっ?!」
フェイントに釣られたように見えた銀波は根潮の目の前にいた。根潮はそれに驚きながらもすぐにボールを上げ、放った。
「くっ!?」
銀波はすぐに手を伸ばすが、根潮の放ったボールに届かず、そのボールはリングを潜った。悔しそうにする銀波を根潮が少し首を傾げて見ていた。
「リスタート!」
沼咲の言葉に凪佐がすぐにボールを入れ、海野が受け取り、カウンターをしかける。しかし、ハーフラインを越える前に新城が立ち塞がる。
「あなたには無理ですよっ!」
海野はフェイクを入れ、新城を抜き去った。
「やらせねぇよ!」
しかし、すぐに飯田が立ち塞がる。海野の動きが止まり、その瞬間に大木のメンバーが守備についた。それを見た黄瀬が驚く。
「速いっすね、大木の守備。」
「そりゃそうだろ。神奈川No.1の守備は横須賀南幸台だ、だが、No.2を決めるとしたら間違いなくウチか大木。その守備力があったからこそ、横須賀南幸台に勝ったんだ。」
「へぇ。」
「さっきみたいなラッキーシュートはそうそう決まらねぇ。あれを崩さない限りは青葉青果は勝てねーぞ。」
「ラッキーじゃないっすよ?」
海野から銀波にボールが渡る。銀波の前には再び、根潮が立ち塞がった。根潮が口を開く。
「さっきみたいなラッキーを狙う気か?また止めてやるよ。」
「それは間違いですよ?」
銀波はまたノーフェイクでシュートフォームに入った。
「またかよっ!」
根潮が飛び上がり、また指先が銀波の放ったボールに触れた。根潮はそれに違和感を持った。
(また指先?!…まさか…)
ボールは不安定な軌道でリングを跳ねた。数回跳ね、ボールはリングに吸い込まれた。根潮が銀波を見る。
「まさかお前…狙ったのか?」
「えぇ、正解です。」
驚く笠松の横で黄瀬が口を開く。
「銀波っちは元々身体が弱くて体力がつきにくい体質で、昔からフルで試合に出れないんすよ。それでも帝光中に入学したころから一軍の補欠にいたっす。」
「中1だと?」
今の高1が中1の年、それは帝光中三連覇の1年目。キセキの世代の名前が全国に知れ渡った年である。黄瀬以外のキセキの世代の4人も1年生から一軍入りを果たしている。それは、銀波はキセキの世代と同格であるという証明であった。黄瀬が続ける。
「本来ならキセキの世代に選ばれてもおかしくなかった。銀波っちのシュートは触れても止められない。俺もキセキの世代の誰も真似出来ない、銀波っち唯一の技。」
観客席が盛り上がる。
「すげぇぇ!!」
「なんだあのシュート?!まぐれじゃねぇのか?!」
「ブロックに当ててスリーって可能なのか?!?」
青葉青果のベンチも盛り上がる。桑田が立ち上がりガッツポーズをした。
「よしっ!」
沼咲が銀波に駆け寄る。
「ナイスだ!飛鳥!」
根潮が戻る銀波を見る。
「銀波 飛鳥…か…。新城さん。」
突然呼ばれて新城が驚く。
「いきなりですけど、全部俺に回して下さい。」
「(こいつ…久々に相手に対して楽しそうにしてんな…)わかった、頼むぞ。」
「はい。」
いかがだったでしょうか。
次回の投稿は4月10日(日)18:00です。
どうぞお楽しみに。