混色の水   作:とて 

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こんばんは!
今回は少し文量多めです。
どうぞ。


20話

IH予選神奈川県予選決勝リーグ1日目、青葉青果高校VS大木高校の第1QはSG対決となっていた。大木のPG新城{5番}からSG根潮{7番}にボールが渡る。すぐに銀波がマークにつく。根潮は一瞬ドライブの姿勢になり、銀波の重心が下がった。が、それを確認した根潮がシュートを放つ。銀波はすぐに手を伸ばしたが間に合わずに綺麗な3Pが決まった。銀波が根潮を見る。

 

「(普通のシューターなら足の反動を使い、そのタメの時間があるから身長で負けている場合は追いつかれやすい。だが、この人はそれがないからシュートを放つまでの動作が少ない…。)やっぱり強いですね。」

 

青葉青果はすぐにボールを入れ、海野が運ぶ。海野はマークが着く前に銀波にボールを繋いだ。銀波の前に根潮が立ち塞がる。根潮が口を開く。

 

「ネタはわかった…上でもうやらせねーよ。(こいつは相手にボールが触れることを前提としてる…触れなきゃ触れないで綺麗に入れる可能性がある。ってことは、シンプルに落としにかかればいい話だ。)」

 

根潮が3Pを警戒して銀波との距離を詰めようとした瞬間に銀波がバックステップからのシュートの態勢になった。

 

「なっ…?!くそっ!!」

 

根潮がすぐに飛びつく、が、不意をつかれたため、指先がボールに触れただけで、ボールはゴールに向かって飛んだ。根潮が目でボールを追う。

 

「くっ…(これじゃさっきと同じ…。)」

 

放たれたボールはリングを跳ね、潜った。すぐに大木はリスタートし、根潮にボールが回る。その前に銀波が立ち塞がる。根潮がノーフェイクでシュートフォームに入る。銀波はすぐにブロックに入った。しかし、根潮はすぐにボールを下げ、ドライブで抜きにかかった。

 

「そう来るだろうな。」

 

ブロックに飛んだはずの銀波が立ち塞がった。根潮は急に静止し、飛び上がり、シュートを放った。

 

「やらせませんよ!」

 

銀波の手がボールを弾く。

 

「くそっ!」

 

観客席で見ていた笠松が口を開く。

 

「やべぇな2人とも…。大木の7番のシュートフェイントからのドライブは全国でも止められるやつはそういねぇ…。そこからのストップ&シュートは俺も止められる自信がねぇが、それを止めるお前の元チームメイトもやべぇな。」

 

隣の黄瀬を見る。黄瀬は楽しそうな表情をしていた。

 

「銀波っちはすごいっすよ。俺が一軍に入ってから色々教えてもらったのも黒子っちと銀波っちっすもん。」

 

青葉青果がカウンターをしかける。海野がボールを運ぶ。

 

「ください!」

 

銀波が真っ先に3Pライン手前まで走っていた。海野がゴール下を見る。

 

「(優馬と傑はまだゴール下についてない…、茂樹はもうすぐ。あちらさんは4番と6番が戻れている。となると、不利だが…、あいつが外すわけねーな。)飛鳥!」

 

海野から銀波にボールが渡る。銀波は受け取ってすぐにシュートフォームに入る。

 

「やらせるかぁ!」

 

根潮が後ろから追いつき、ブロックに飛ぶ。銀波は後ろに飛んだ。

 

「は?!」

 

銀波がフェイダウェイでシュートを放った。笠松が驚く。

 

「なんだありゃ?!」

 

「相変わらず凄いっすね、銀波っち。」

 

放たれたボールはリングを跳ね、ゴールに吸い込まれた。観客が盛り上がる。

 

「おぉぉ!?すげぇ!!」

 

「フェイダウェイで3Pとか人間業じゃねぇ!」

 

根潮が銀波を見る。

 

「そんな技まで持ってんのかよ。」

 

「僕の技じゃないですよ。」

 

沼咲が駆け寄る。

 

「すげぇな、飛鳥!」

 

「ありがとうございます、茂樹くん。」

 

新城がボールを運び、新城から根潮にボールが渡る。根潮の前には銀波がついていた。根潮が左右に振ってからドライブで抜きにかかった。が、銀波は振られずに立ち塞がった。根潮はストップ&シュートを放とうとした。

 

「やらせません。」

 

銀波の腕が覆い被さる。根潮はそれを確認して、中にパスを入れた。笠松が驚く。

 

「パス?!」

 

飯田が受け取り、ジャンプシュートを放った。川崎は隙をつかれ、ブロックが遅れ、川崎の指先がボールに触れる。ボールはリングを跳ねた。一宮と凪佐がせめぎ合う。

 

「うおぉぉ!!」

 

「くっ!?」

 

一宮がポジションを取り、飛び上がった。一宮の手がボールに触れた。

 

「やらせるかよっ!」

 

突如伸びてきた手にボールが弾かれる。その手は沼咲のものであった。弾かれたボールを凪佐が高い位置で取った。

 

「優馬くん!」

 

銀波が叫ぶ。銀波は既に相手コートに走っていた。

 

「ふんっ!!」

 

そのまま腕を振り下ろし、ボールが銀波に向かって一直線に飛んだ。銀波は3Pライン手前で受け取り、すぐにシュートフォームに入った。

 

「やらせねぇよ!」

 

根潮が後ろから飛びつく。が、銀波はボールを1回ついて、後ろに下がった。

 

「なっ…嘘だろ。」

 

銀波が綺麗なフォームでボールを放つ。誰もいない大木コートのリングをボールが潜る。銀波がニコリと口を開く。

 

「僕の勝ちですね。」

 

「くっ…。」

 

銀波が自陣へと戻っていく。加藤{4番}が根潮の背中を叩く。

 

「切り替えろ、次決めるぞ!」

 

「…っ、はい!」

 

新城がボールを運ぶ。新城はマークが着く前に根潮に回した。根潮の前に銀波が立ち塞がる。根潮はドリブルで抜きに掛かろうとしたが、銀波はしっかりついてきた。根潮は急に静止し、腕だけでボールを放とうとした。

 

「やらせませんよっ!」

 

「くっ…。」

 

根潮はボールを止めて、マークが緩んでいた加藤にパスをした。加藤がボールを受け取りながら驚く。

 

「加藤!」

 

新城が叫ぶ。その声ですぐに我に返った。加藤には沼咲がついていたが、沼咲も予想外の根潮のパスに反応が遅れた。加藤がシュートフォームに入る。

 

「やべっ、やらせないよっ…あー。」

 

沼咲が飛びついた瞬間に加藤はドリブルに切り替え、沼咲を抜いてすぐにシュートを放った。

 

「よしっ!ナイスパス根潮!」

 

「…はい。」

 

加藤が根潮の肩を叩きながら自陣に戻る。根潮は悔しそうに戻って行った。その様子を見ていた笠松が口を開く。

 

「勝負ついたな…。」

 

「そうッスね。」

 

根潮のパスは判断としては決して間違ってはいない…が、先程までSG同士の3Pの撃ち合い、実質的な外のタイマン。その勝負から逃げたのは明白であった。海野が沼咲に駆け寄る。

 

「今のはしょうがない…が、思ったより早かったな。」

 

「そうだな…。」

 

沼咲は悲しそうな目をして根潮を見ていた。その後、第1Qは一方的な展開となった。凪佐、川崎、沼咲、海野はそれぞれのマークを外さず、銀波が根潮を圧倒。第1Qは19:10、青葉青果リードで終わった。

 

 

 

青葉青果ベンチでは、銀波が息を荒らげながら座り込んでいた。桑田が口を開く。

 

「よし、第1Qは上出来だ。飛鳥、よくやった。第4Qまで休んでろ。」

 

「はい…、すみません。」

 

「第2Qは7番に武則をつける。抑えられるな?」

 

「まぁ、自信はないですけど。」

 

海野が正直に答えた。沼咲が海野の背中を叩く。

 

「根潮先輩に直接成長見せられんじゃん!」

 

「PGは駆、優馬を下げて傑をC、茂樹をPF、SFに奏が入れ。」

 

「はい」

 

凪佐は悔しそうな表情を浮かべていた。凪佐は第1Q中、大木のC一宮に完璧に抑えられていた。それを見て桑田が口を開く。

 

「相手のCは3年生、単純に経験値が違う。4月から始めた優馬が敵わないのはしょうがない。傑のプレーを見て抑え方を学べ。第3Qは戻すぞ!」

 

「…はい!」

 

凪佐が返事をしたところで笛が鳴った。5人がコートへ出る。青葉青果のメンバーを見た笠松が口を開く。

 

「なんで11番を下げたんだ?」

 

「あー、銀波っちの体力の問題じゃないっすかね。体力がない上に第1Qは大木の7番を抑えた。実力差は明白っすけど、あの7番も充分強いっすからね。」

 

「そりゃ実力あってもキセキの世代に選ばれねーわけだ。代わりに4番がつくのか…。第1Qは目立った動きはしてなかったが、お前と同格なんだろ?」

 

「そうスっね。海野っちなら問題なく抑えるんじゃないすか?」

 

第2Qはゆったりとした立ち上がりとなっていた。朝泡がボールを運ぶ。その前に新城が立ち塞がる。

 

「じゃあ、そろそろ行きますかね。」

 

朝泡が誰もいないところにボールを出した。その行動に大木の全員が呆気に取られる。誰もいないはずのところに急に舟木が現れ、そのボールを曲げ、ゴールへと飛ばした。

 

「ナイス!」

 

川崎が飛び上がり、それを取る。一宮は反応が遅れ、飛べなかった。

 

「ふんっ!」

 

川崎がダンクを決める。会場が湧き上がる。

 

「おぉ!すげぇ!!」

 

「急にパスが曲がった!」

 

笠松はそのパスに見覚えがあり、驚く。隣の黄瀬も驚いていた。

 

「今のは…誠凛の…?!」

 

「黒子っちのパスっすよ…。なんすかあれ。」

 

新城がボールを運ぶ。

 

(なんだ今のは…。噂には聞いていたが、あれが青葉青果のマジックパスか…。)

 

「気散らしすぎ!」

 

朝泡が新城の持っていたボールを弾く。

 

「あっ?!」

 

朝泡がそのままボールを拾い、大木コートへと攻め上がって行った。

 

「行かせるかよっ!」

 

加藤がすぐに反応し、立ち塞がった。朝泡はスピードを緩めず、突っ込む。そして、ロールで加藤を躱した。

 

「くそっ…(こいつもやべーのかよ。)」

 

朝泡がレイアップのフォームに入る。

 

「やらせねーよ!!」

 

飯田がギリギリで追いつき、ボールを弾こうと飛びつく。しかし、朝泡は飛ぶ直前に体を回転させ、左サイドへとボールを流した。

 

「なんだと…?!」

 

そこには海野がいた。海野がボールを受け取りシュートを放つ。

 

「ナイスパス駆。」

 

海野の3Pが決まる。笠松が朝泡を見て口を開く。

 

「何もんだあの10番…。しかも4番もリバウンドがいない状況でよく3Pやったな。」

 

「10番はわかんないっすけど、海野っちは凄いっすからね。でも確かに10番も相当上手いっすね。」

 

笠松は初見のプレーで褒める黄瀬に驚いていた。新城が慎重にボールを運ぶ。朝泡はドライブを警戒しつつディフェンスをしていた。新城が1番マークの薄い加藤にボールを回す。加藤の前には舟木が立ち塞がる。加藤は左右にフェイントを入れ、抜きにかかった。舟木はフェイントに釣られながらもなんとか止めた。

 

「あめぇよ、1年!」

 

「あっ。」

 

加藤はロールを入れ、舟木を躱す。沼咲が急いでヘルプに行こうとしたが、それより前に加藤がジャンプシュートを放つ。ボールはリングをくぐった。

 

「よしっ!」

 

沼咲が舟木に駆け寄る。

 

「すまん、ヘルプ間に合わなかった。」

 

「いや、ごめん。俺にあの人抑えるの無理。」

 

舟木の正直な言葉に沼咲が笑う。

 

「ははっ、しょうがねーよ。次も頼むぞ。」

 

「わかってる。」

 

朝泡がボールを運ぶ。センターラインを越えたところで新城が立ち塞がる。新城はドライブを警戒して距離をとってマークをしていた。朝泡が笑う。

 

「舐めすぎだろっ!」

 

「くっ!?」

 

朝泡が3Pを放つ。新城は距離をとっていたため、追いつかなかった。綺麗な弧を描き、リングに入った。

 

「くそっ。(近づいたらドライブ離れたら3P、海常の笠松と同じスタイルかよ。)」

 

「チョロいっすね先輩。」

 

朝泡が見下したように新城を見る。

 

「あ?!」

 

「やめろ新城!」

 

加藤が新城の肩を掴んで止める。朝泡はヘラヘラしながら戻って行った。自陣へ戻る沼咲が朝泡の隣を通る。朝泡が口を開く。

 

「あれでいいのかよ?」

 

「あぁ、十分だ。次は新城さんが攻めてくる。」

 

「わかってる。」

 

新城がイラつきながらボールを運ぶ。朝泡が立ち塞がる。新城が大きく息を吐く。

 

「ふぅ。そんな挑発にのるはずねぇだろっ!」

 

新城が加藤にパスを出す。しかし、そのボールは沼咲の手によって弾かれた。

 

「予想通り!」

 

沼咲がボールを拾う。その瞬間、朝泡が走り出した。

 

「行け!」

 

沼咲が前を走る朝泡にボールを出す。朝泡がドリブルでゴールへ向かおうとしたところに、新城が立ち塞がる。

 

「行かせねぇよ!」

 

「よっと。」

 

「なっ?!」

 

朝泡がロールで新城を躱し、レイアップを決めた。新城が悔しそうに朝泡を見る。

 

「そんなもんっすか?先輩。」

 

「くっ…。」

 

新城がボールを運ぶ。新城がコートを見渡す。

 

(さっきのは驚いたが…、そう易々とパスカットはさせねぇよ!)

 

新城が沼咲と逆サイドの加藤にパスを出した。

 

「予想通りっ!」

 

「なっ?!」

 

朝泡がそのボールを弾く。舟木がそのボールを取った瞬間に沼咲が走り出した。舟木がすぐに沼咲にパスを渡す。沼咲を飯田が追いかけていた。沼咲が3Pライン付近でボールを取ったところで飯田が前に立ち塞がる。

 

「やらせるかよっ!」

 

「やる気満々っすね。」

 

沼咲が股下から後ろにボールを出した。

 

「は?!」

 

驚く飯田を他所に沼咲がゴールに走る。沼咲の出したボールを朝泡が受け取る。その前に新城が立ち塞がろうとした瞬間、朝泡が誰もいない横にボールを出す。

 

「ナイス…っ!」

 

そこには舟木が現れ、掌底でボールをゴールに送った。不意をつかれ静止した飯田を置き去りにし、沼咲がゴール下に走り飛び上がる。

 

「よっ…しゃい!!」

 

沼咲がアリウープダンクを決めた。新城が悔しがる。

 

「くそっ!(なぜパスカットされる…いや、今のは分かりやすかったか…いやでも、他のコースは防がれる可能性が高かった…)」

 

「どんまい、新城。(にしてもなんだあのパスは…?!パスカットもどうにかしなきゃいけねぇし。)」

 

加藤が新城の肩に手を置く。新城はそれでハッとし、落ち着きを取り戻そうとした。朝泡と沼咲は笑っていた。

 

 

 

そこから新城のパスは朝泡と沼咲にカットされることが多くなり、そこからのカウンターで青葉青果はリードを広げて始めた。大木高校は堪らずにタイムアウトを取った。青葉青果のベンチは楽しそうに話しており、それとは逆に大木高校のベンチは沈み始めていた。根潮が口を開く。

 

「俺にパスください…。」

 

その言葉に驚く。根潮は第1Qで銀波に叩きのめされ、心が折れかけていた。加藤もそれを察して銀波へのパスは控えていた。新城が根潮を見る。

 

「…行けるか?」

 

「はい。俺のせいでパスの幅が狭まってるのはわかってますし、俺の実力は11番(銀波)に劣っていました。でも今のマークは4番です。あいつの本来のポジションはPGかSG。負ける訳には行きません。」

 

根潮の目は死んでいなかった。その目を見て、新城が頷く。

 

「よし。でも、お前に頼りっぱなしにはしない。加藤、分かってるよな?」

 

「あぁ。分かってる。」

 

タイムアウトが明け、10人がコートに戻る。青葉青果ボールで再開し、朝泡がボールを運ぶ。朝泡の前には新城が立ち塞がっていた。朝泡は新城を含め、大木高校の5人の顔つきが戻っていることに気づいていた。朝泡はニヤリとしながら口を開く。

 

「なんか変わったようですけど、意味ないっすよ!」

 

朝泡が左右に振って新城を抜く。

 

「くそっ…!」

 

「行かせねぇ!!」

 

朝泡が新城を抜いた瞬間に飯田が朝泡のボールを弾こうと腕を伸ばし現れた。朝泡はすぐにボールをタップし、フリーになった沼咲に渡した。

 

「くそっ!(なんつー反射神経だよこいつ。)」

 

沼咲はボールをキャッチした瞬間にすぐにジャンプシュートを放った。しかし、沼咲の視界に突然腕が伸びてくる。

 

「やらせん!」

 

加藤がブロックして、ボールを弾いた。

 

「マジかー。」

 

そのボールを一宮が拾い、すぐに前を走る新城にボールを投げる。朝泡は不意をつかれ新城に一瞬置いてかれていた。新城が受け取り、そのままハーフラインを越えた。新城がゴールへドリブルで向かおうとした瞬間に持っていたボールが弾かれた。ボールがコートの外へと出る。弾いた腕は舟木のものだった。新城が舟木を見る。

 

「くそっ(なんなんだこいつは…気配の消し方が異常すぎる。)」

 

沼咲が戻りながら舟木とハイタッチをする。

 

「サンキュー、助かったー。」

 

「いつも運んでもらってるからへーき。」

 

「そりゃそーか。」

 

加藤がボールを入れ、新城がボールを持つ。加藤と新城の予測通り、根潮のみがカットされにくいマークをされていた。海野が少し内側に入り、それを利用して朝泡が新城のパスコースを制限するようなディフェンス、その穴を沼咲がいつでも飛び出せるような形。そして、舟木の位置は目立たないようなところ。一度タイムアウトを取ったことで新城の思考はクリアになっていた。

 

「根潮!」

 

新城が根潮にパスを回す。海野がすぐに間合いを詰める。根潮が海野を見る。

 

「さっきの11番には完璧に抑えられたが…、本職じゃねぇお前に抑えられる俺じゃねーよ!」

 

根潮がバックステップから3Pを放つ。根潮と海野の身長差は4cm、それに加え根潮の人並み外れた腕の長さと脚の力を連動させないシュートフォーム。海野が急いで飛びついたが、それも虚しく、綺麗な弧を描きボールはリングを潜った。

 

「くそっ!」

 

「悪いけど、お前じゃ俺を止められねーよ。」

 

海野は悔しそうに、そして嬉しそうに根潮を見ていた。

 

(マジで復活してんじゃん…、てか、飛鳥はよくこれを完璧に止めてたな。でも、楽しくなってきた!)

 

朝泡がボールを運ぶ。朝泡が見渡すと海野の視線を感じた。

 

「(やり返す気か…まぁ、あいつなら平気だろ。)ほらよっ!」

 

朝泡から海野にボールが渡る。海野の前には根潮が立ち塞がっていた。3Pライン手前で受け取ったため、根潮は3Pも警戒していた。海野がいきなりシュートフォームに入る。根潮はすぐに反応して手を伸ばし、ブロックに入った。海野は根潮の膝が伸び始めたのを確認して、ボールを下げ、根潮の右からドライブを仕掛けた。

 

「行かせねぇよ!…?!」

 

根潮がすぐに体勢を戻し、海野の前に立ち塞がったが、ボールをすぐに後ろに戻し、左側からのドライブに切り替えた。根潮がなんとか追いつく。

 

「だから行かせねぇっ、くっ?!」

 

海野は冷静にストップをかけ、後ろに下がった。根潮の足がもつれ、転ぶ。海野はそのまま3Pを放った。綺麗な弧を描き、リングを潜る。根潮が嬉しそうに海野を見る。

 

「上手くなったな。」

 

「誰に3P教わったと思ってるんですか?」

 

「そうだったな。」

 

そこから海野と根潮の3P勝負が始まった。第2Q残り8秒。根潮が海野を躱して3Pを決めた。根潮がガッツポーズをする。沼咲が声を荒らげる。

 

「すぐに出せ!」

 

「わかってるっ!!」

 

川崎がすぐにボールを拾い、朝泡にパスした。加藤が自陣に戻り

 

「守りきるぞ!」

 

「「「おう!!」」」

 

朝泡が海野にボールを渡す。海野は1人で上がって行った。戻りきれていない大木のメンバーを抜いていく。3Pラインに近づいたところで根潮が立ち塞がる。

 

「やらせねぇ…は?!」

 

海野は横にボールを出した。そこには舟木が走ってきており、ゴール下に沼咲が走っていた。加藤が舌打ちをしながら沼咲を追った。

 

(このタイミングでアリウープ狙いかよ!?)

 

根潮の足がゴールへと向く。舟木はそれを確認して、ボールをタップし海野に戻した。海野がボールを受け取り、3Pを放った。根潮は虚をつかれ、フリーで打たしてしまった。笛がなる。海野の放ったボールは綺麗にリングを潜った。

 

「ブザービートだ!!」

 

「すげぇぇ!!?」

 

会場が盛り上がる。海野は安心したような顔をして口を開いた。

 

「これで決めた数は同じですね。」




いかがだったでしょうか。
次回の投稿は4月17日(日)18:00です。
どうぞお楽しみに
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