混色の水   作:とて 

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こんばんは!
どうぞ!


21話

青葉青果VS大木の前半は47:24で終わった。10分間のハーフタイムに入り、それぞれ控え室へと戻って行った。青葉青果の控え室では選手達が楽しそうに話していた。桑田が口を開く。

 

「では、後半の話をするぞ。」

 

全員が黙って桑田の方を見る。

 

「後半、相手は4番が動いてくるはずだ。この試合では7番が目立ちがちだが、大木のエースは主将の加藤だ。今までの試合を見ても後半から動いてくる傾向にある。」

 

沼咲が口を開く。

 

「俺っすね。」

 

「あぁ。そして、武則と奏を下げて蒼と優馬を入れる。8番には傑を当て、優馬には6番をマークしてもらう。傑は8番のマークをしつつ優馬をフォローしてくれ。蒼には7番を当てるが、第3Qはあまり動いてこないだろう。いざというときは茂樹を当てるか、武則を戻す。第3Qで終わらせるぞ。」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

時間になり、両選手がコートに戻ってきた。海野が根潮を見る。

 

「(やっぱり10分じゃ回復しないか…)大丈夫ですか、根潮先輩。」

 

「うるせっ。」

 

ジャンプボール、凪佐と一宮が向かい合っていた。一宮が口を開く。

 

「6番には完璧に抑えられたが、お前には抑えられないよ。」

 

「そうですね。でも…」

 

──────ピッ!

 

審判の笛とともにボールが宙に浮いた。凪佐と一宮が同時に飛ぶ。凪佐が圧倒的な高さでボールを弾いた。

 

「高さでは絶対負けないですよ。」

 

「くそっ…(身長だけじゃねぇ、ジャンプ力も…。)」

 

ボールが朝泡に回る。青葉青果のメンバーが沼咲を残して右サイドに寄り始めた。朝泡から沼咲にボールを繋げる。沼咲の前には加藤が立ち塞がる。

 

「(アイソレーションか…、こいつ、俺との1on1に持ち込む気か。)舐めるなよ1年。」

 

「舐めないっすよ。どちらにせよ、次来るのあんたでしょ?」

 

沼咲は笑いながらも目は真剣であった。沼咲の重心が少し右にずれた。次の瞬間、左側から加藤を抜きにかかった。加藤は一瞬つられたが、すぐに沼咲の前に立ち塞がった。

 

「よっ!」

 

沼咲はすぐにロールをいれて加藤を抜いた。が、すぐにボールを後ろに戻す。沼咲が行こうとしたところに加藤の腕が伸びてきていた。加藤がすぐに沼咲の前に立ち塞がる。沼咲は楽しそうにしていた。見ていた黄瀬が驚きながら口を開く。

 

「あの4番すごいっすねー、沼咲っちの動きについていけるのはすごいっすよ。」

 

「あたりめーだろ。加藤は去年、うちを苦しめてくれたやつだ。お前らほどの才能じゃないしろ、実力は俺らの学年じゃトップクラスだ。俺もあいつを1on1で止めるのは正直無理だ。」

 

黄瀬は悔しそうにしている笠松を少し驚きながら見ていた。

 

「まぁでも、あの4番に沼咲っちを抑えるのは無理っすよ。」

 

沼咲は楽しそうにその場で高速の変則ドリブルをし始めた。加藤の目はその動きについていけていなかった。

 

「なんだコイツ…?!」

 

突然、沼咲の手からボールが消える。加藤が気を取られた瞬間に沼咲が加藤を抜く。加藤が振り返ると、沼咲はドリブルをしていた。

 

「くそっ(どこからボール出しやがった?!)」

 

ゴール下で沼咲が飛び上がる。

 

「やらせるか!」

 

一宮がブロックに入る。沼咲はダンクの姿勢に入っていた。沼咲の持つボールに一宮の手が重なる。しかし、一宮の腕が押され始めた。

 

「くっ(なんだこのパワー…。)」

 

「うりゃっ!」

 

沼咲のダンクが決まる。一宮は衝撃で吹き飛ばされた。転がる一宮に沼咲が手を伸ばす。一宮はその手を借りて立ち上がった。

 

「すみません、こんなに軽いとは思わなかったんで。」

 

「このやろう…。」

 

新城がボールを運ぶ。大木もアイソレーションをとって、加藤にボールを回した。加藤の前には沼咲が立ち塞がる。

 

「やり返させてもらうぞ。」

 

「どうぞー。」

 

沼咲は楽しそうに構えていた。加藤がシュートフォームに入る。沼咲は急いで手を伸ばした。それを確認した加藤がボールを下げて沼咲の左側から抜きにかかる。

 

「行かせないっすよ。」

 

沼咲は振られずに立ち塞がった。

 

「こっちだよっ!」

 

加藤がボールを右手から左手にスライドさせ、沼咲の右側から抜いた。

 

「わかってますよっ!」

 

「なっ?!」

 

沼咲の手によって後ろからボールが弾かれた。ボールが転がり、それを凪佐が取る。沼咲が大木コートへ走り出した。

 

「ふんっ!」

 

凪佐から沼咲にボールが渡る。新城が声を荒らげる。

 

「カウンターだ、戻れ!」

 

沼咲はフリーのままドライブで上がって行った。

 

「行かせるか!」

 

加藤が走って追いつき、沼咲の前に立ち塞がった。沼咲は一瞬立ちどまり、その場で連続レッグスルーから前後へのフェイントをいれた。緩急によって加藤の足元が崩れる。

 

「くっ…そ…!」

 

加藤が転ぶ。その横を沼咲が抜いて行った。ゴール下で飛び上がる。

 

「よっ!」

 

空中で股下からボールを持ち替えてダンクを決めた。沼咲の魅せるプレーに会場が盛り上がる。

 

「すげぇ!なんだ今のダンク!!?」

 

「本当に1年生かあいつは?!」

 

会場の空気が青葉青果の空気になってきていた。すぐにリスタートし、新城がボールを運ぶ。新城が加藤にボールを繋げた。加藤の前には沼咲が立ち塞がる。加藤は迷っていた。

 

「(くそっ、悔しいが俺ではこいつを抜けない…だからと言って逃げるのも…パスと見せかけて抜きに行くか…。いや、こいつには通用しない…)あっ?!」

 

「気散らしすぎですよ?」

 

加藤の持つボールを沼咲が弾く。そのボールを朝泡が拾う。

 

「よしっ、速攻!」

 

朝泡がドリブルで駆け上がる。新城がすぐに反応して、立ち塞がる。

 

「行かせねぇ…は?」

 

朝泡が突然クイックシュートを放つ。綺麗な弧を描きゴールへ向かった。新城がその軌道を見て驚く。

 

「これは…(外れる?!)」

 

「ナイスっ!」

 

そのボールをリング横で沼咲が受け取りダンクを決めた。

 

「アリウープだぁ!!」

 

「青葉青果止まらねぇ!!」

 

自陣へ戻る沼咲と加藤がすれ違う。加藤が沼咲を見る。

 

「(こいつ…前半までスピード抑えてたのか?あのPGも後ろから走るヤツにアリウープ合わせるのかよ?!)…くそっ。」

 

沼咲は朝泡とハイタッチをしていた。

 

「いぇーい、ナイス駆!」

「急に合図出すなよ。てか、お前相変わらずおかしいスピードしてんな。」

 

「いやぁ、それほどでも。」

 

青葉青果のメンバーは楽しそうであった。諦めムードの漂う大木のベンチを見て加藤が声を荒らげる。

 

「まだ後半が始まったばかりだ!全員気合い入れろ!」

 

「「「はい!!」」」

 

諦めていない加藤に大木のメンバーは顔を上げた。新城がボールを運ぶ。その前に朝泡がついた。

 

「(俺にこいつは倒せない。)加藤!」

 

「おう!」

 

新城から加藤にボールが渡る。加藤は目の前の沼咲を見た。沼咲はヘラヘラしていた。

 

「やる気満々っすね、先輩。そういうの結構好きっすよ?」

 

「沼咲だったか…。俺は大木の…」

 

加藤がドライブの体勢に入る。沼咲は警戒して少し下がった。

 

「エースだ!」

 

抜きにかかる加藤に沼咲が追いつく。が、加藤は逆に振り、沼咲は加藤のフェイントにつられ、反応しきれなかった。

 

「すげぇなこの人…でも…」

 

「なっ?!」

 

抜いた瞬間に加藤の持っていたボールが弾かれる。弾いた手は水木であった。

 

「いぇい!茂樹!」

 

水木はすぐにルーズボールを拾ってぶん投げた。沼咲は水木がボールを取るのを確信していたかのように前を走っていた。加藤は突然出てきた水木に驚いていた。

 

(どこから現れやがったんだこいつ…。こいつも青葉青果のマジックパス使いなのか?)

 

大木ゴールへドリブルする沼咲に新城がなんとか追いつく。

 

「行かせるかよ!」

 

「もう進む必要ないですよっ!」

 

「は?!」

 

3Pラインより手前で沼咲は突然シュートを放った。

 

「(嘘だろ?…リバウンドもいないのに…でも)入るのか…!?」

 

沼咲の放ったボールは綺麗にリングを潜った。試合がリスタートし、新城がボールを運ぶ。

 

「(加藤のところには5番に加えてさっきの突然現れる7番…てかマジでこいつらどんなことしたらここまで消えるんだよ…。)くっ。」

 

新城の前には朝泡がいた。朝泡のディフェンスに対して新城はパス以外の選択肢を与えられていなかった。一宮がゴール下でパスを要求していた。

 

「(根潮は体力が回復しきってない上にマークは7番…飯田の相手はさっき一宮を抑えた6番…どちらにしてもそこしかないか…)頼む。」

 

新城から一宮にパスが繋がる。一宮には凪佐がついていた。身長では凪佐が上であったが、一宮の方がバスケ経験値が上であるため、凪佐は簡単にポジションを奪われていた。

 

「うるぁ!!」

 

「ぐっ?!」

 

一宮が凪佐を吹き飛ばしながら両手ダンクを決めた。一宮が転がっている凪佐に手を出し、凪佐を立たせる。

 

「悪いが、バスケ初心者に負けるような俺じゃない。」

 

「強いですね…。」

 

一宮が自陣へ戻って行った。沼咲が凪佐に駆け寄る。

 

「言われてるじゃん、優馬。まぁしょうがないよ今のは。それにもう点を取らせない。蒼、タイミング測れたよな?」

 

「おう、もうヘーキよ!」

 

「ごめん。」

 

凪佐が申し訳なさそうに頭を下げる。朝泡が口を開く。

 

「もともとお前ら3人は初心者なんだし、得意なことをやらせるのが俺たちの仕事だよ。バスケ始めて数ヶ月であの人倒しちゃったら俺たちの立場もないしな。」

 

「俺も飛鳥と武則が削ってくれなきゃあれのマークできてないしね。」

 

朝泡の言葉に水木が頷く。川崎が凪佐の肩を叩く。

 

「お前の真骨頂は圧倒的な高さにワンタッチプレーだろ?守備はこれからも教えるから。」

 

4人の言葉に凪佐が顔を上げる。

 

「うん!」

 

青葉青果のボールで試合はリスタートした。朝泡がボールを運ぶ。新城が朝泡の前に立ち塞がった。朝泡がニヤリとして口を開く。

 

「さっきのパスは見事でしたよ?先輩。」

 

「チッ、どこまでも舐めやがって…。」

 

「でも…。」

 

朝泡は誰もいないはずとところにボールを出した。新城はボールの方に意識がそれた。その瞬間、ボールが急に曲がり、朝泡に戻った。新城はなにが起きたか分からずに固まった。その瞬間に朝泡が新城を抜いた。

 

「なっ?!…(マジックパスかよ…。)」

 

加藤の足が朝泡に向いた瞬間に朝泡から沼咲にボールが渡った。沼咲がゴールの手前でジャンプシュートの体勢に入る。加藤は不意をつかれて反応できなかった。

 

「やらせるかよ!」

 

一宮が急いでブロックに入る。

 

「ほらよっと!やり返せ…」

 

一宮の腕が現れた瞬間に沼咲はボールを下げ、一宮の横から下投げでゴールへとボールを放った。ボールはリングの上に舞った。沼咲と一宮が落ち始める中、一宮の後ろから凪佐が飛び上がった。

 

「なっ…(狙いはこれか!?)」

 

「優馬!」

 

「うらぁぁぁ!!」

 

高く上がったボールを優馬がリングに叩き込んだ。沼咲と凪佐がハイタッチをする。

 

「ナイスタイミング優馬!」

 

「視線で狙いはわかったからね。」

 

一宮が沼咲を睨む。

 

「くっ…(こいつ視野も広いのか…加藤でも止められないやつを誰が止められるんだ?しかもあのPG…、加藤の意識がボールにいった瞬間を狙いやがった…。)」

 

加藤が一宮に駆け寄る。

 

「すまん、完全にやられた。」

 

「いや、今のはPGが上手かった…が、どうする?」

 

「とりあえずはお前中心の攻めにはなるとは思うが、守備はゾーンの方が良さそうだな。」

 

「だな。」

 

試合が再開し、新城がボールを運ぶ。朝泡が目の前を塞いだ。

 

(現状、一宮のところ以外は攻めても取られる可能性が高い…)

 

新城は加藤と根潮を一瞬見た。

 

(5番は加藤について、加藤は一宮から距離を離してる…、あの7番は身長はさほど高くない、だとすると)

 

新城は高めのパスを一宮に通そうとした。

 

「ほいっ!」

 

「な?!」

 

突然水木が現れ、ジャンプしてパスをカットした。

 

「出せ!」

 

朝泡が走り出す。水木は着地してすぐにボールを朝泡に投げた。新城が朝泡を追いかける。

 

「行かせるかよ!」

 

新城が朝泡の前に出る。その瞬間に、朝泡は横にボールを流した。

 

「ナイス!」

 

そこには沼咲がいてボールを受け取り、ゴールに向かってドリブルした。加藤が追いかける。

 

「くそっ…(こいつ体力バケモンかよ。)」

 

突然、沼咲がドリブルを止めた。加藤は不思議に思いながらも沼咲の前に立ち塞がった。加藤が口を開く。

 

「何を考えてるんだお前は…。」

 

「いえ…、何もっ!」

 

沼咲は下がって3Pを放った。加藤は反応出来ずにそのボールを見送るしかなかった。

 

(くそっ…こいつの3P忘れてた…。)

 

綺麗な弧を描き、ボールはリングを潜った。沼咲がニッコリと口を開く。

 

「詰みですね。」

 

 

その後、第3Q中、大木の攻撃の殆どはパスカットされた。第4Qは大木の根潮が奮闘したが、復活した銀波により抑えられ、83:41と青葉青果の圧勝で試合は終わった。




いかがだったでしょうか。
ストックが無くなり、だいぶ焦っています。
次回の投稿は4月24日(日)18:00です。
どうぞお楽しみに。















(投稿できなかったら本当にすみません。)
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