混色の水   作:とて 

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こんにちは。
先週はすみませんでした。
今週からちゃんと毎週投稿します!
(無理でしたすみません。後書きをお読みください。)
では、どうぞ。


23話

IH予選神奈川県予選決勝リーグ2日目。1日目の勝者は青葉青果と海常。2日目の組み合わせは、青葉青果VS厚木千賀、海常VS大木である。第一試合の青葉青果と厚木千賀の試合に注目が集まっていた。

青葉青果のベンチでは川田のみが緊張で固まっていた。美和が川田の肩に手を置く。

 

「何緊張してんの?紀子。」

 

「え、だって美和ちゃん…お客さんの数が昨日より…。」

 

「まぁ、昨日の試合でIHの枠が絞られたからね。この後のキセキの世代の試合を抜いたとしても、うちの試合に対する興味が大きいんでしょ?」

 

神奈川県高校バスケのIHへの枠は2校。その1つはここ数年、王者海常が取り続けていた。つまりは、基本的に決勝リーグの残りの3校は残り1つの枠を争うことになる。大木高校は昨日青葉青果に負けた。今日の試合で青葉青果が勝てば、青葉青果は2勝。1年生のみでIH出場、その期待に多くの観客は集まっていた。

川田は観客席を見ながら震えていた。川田は全く緊張している様子のなさそうな美和に驚いていた。

 

「なんで、美和ちゃん緊張してないの?」

 

「私たちが緊張してもしょうがないでしょ?それに、あいつら見てみ。」

 

美和がベンチでそれぞれの準備をしているメンバーを指さす。

監督の桑田と、PGを務めることの多い海野と朝泡は、ゲームメイクの確認をしていた。

舟木は寝ており、その横で、川崎と凪佐と銀波は今日の夕飯はどこにするか話していた。

川田はいつも通り過ぎるメンバーに呆気に取られていた。

美和がベンチの後ろを指さす。川田がその方向を見ると、沼咲と水木はまた大道芸のような動きをしていた。美和が微笑みながら口を開く。

 

「うちのチームは他とは違う。1年生のみの新設校で決勝リーグまで来たら注目されるのは当然。でも、種目は違えど、みんな全国経験者。選手が緊張してないのに、私たちが緊張する理由はないでしょ?」

 

強ばっていた川田の表情が軽くなった。

 

「ありがとう、美和ちゃん。」

 

「うん。」

 

2人が話している様子を横目で見ていた桑田が、川田の緊張が解けたのを見て口を開く。

 

「よし、集合!」

 

桑田の声に反応して、メンバーが集まる。

 

「さっき控え室で話した通り、スタートは茂樹、蒼、武則、傑、優馬。今日の試合は最終確認よ!」

 

「「「はい!!!」」」

 

桑田が大きな声で「最終確認」と言った瞬間に、厚木千賀のメンバーの目が鋭くなった。

桑田は横目でそれを見てニヤける。

 

「明日に疲れは残すなよ?」

 

「「「はい!」」」

 

──────ピーッ

 

笛が鳴り、両選手がコート中央に並ぶ。

青葉青果高校{PG:沼咲茂樹(5)、SG:水木蒼(7)、SF:海野武則(4)、PF:川崎傑(6)、C:凪佐優馬(8)}

厚木千賀高校{PG:堂野滝昌(5)、SG:魚崎緋月(4)、SF:笹塚遊(6)、PF:三玉祐希(7)、C:永友正人(8)}

海野と魚崎が握手をした。魚崎が口を開く。

 

「最終確認とは舐められたものだな。」

 

「いえ、舐めてはいませんよ。よろしくお願いします。」

 

海野はお辞儀をして、自分のポジションについた。魚崎が永友の肩に手を置く。

 

「おい、相手のジャンプ力はすごいが、負けるなよ?」

 

「わかってる。」

 

センターサークルで凪佐と永友が向かい合った。永友は凪佐を睨んでいた。

 

「随分舐められたものだな、うちとの試合が最終確認とは…。」

 

「すみません…。」

 

──────ピッ

 

笛の音とともにボールが空中を舞った。凪佐と永友は同時に飛び上がり、手を伸ばす。永友の手が僅かに上にあった。

 

「よっしゃぁ!!!」

 

永友がボールを叩き、魚崎がとり、堂野にパスをした。

 

「もーらいっ!」

 

「な?!」

 

堂野がボールをキャッチしようとした瞬間に、沼咲がそのボールをカットした。堂野はすぐに追いかけようとしたが、沼咲はすぐに横にボールを放った。

 

「ほいさっ!」

 

沼咲の影から突然水木が出てきて、オーバーハンドでボールをゴールに放った。堂野はあまりの速さに呆気に取られた。魚崎が口を開く。

 

「外れるぞ!リバ…?!」

 

ゴールの近くには既に凪佐が走り込んでいた。ゴール下で凪佐が飛び上がる。

 

「ふんっ!」

 

──────ドガッ!!

 

凪佐はボールをリングに叩き込んだ。厚木千賀のメンバーはほぼ全員コートの中央に取り残されていた。凪佐は自陣に戻る時に、永友とすれ違った。凪佐は横目で永友を見ながら口を開いた。

 

「ジャンプボール取れて良かったですね。」

 

「なっ…てめぇ…?!」

 

魚崎が永友の肩を掴む。

 

「やめろお前。油断したのは事実だ。うちが先手を取られるのは久しぶりだが、やることは変わらない。」

 

「…わかってる。」

 

「取り返すぞ!」

 

三玉がコートにボールを入れ、堂野がボールを運び始めた。ハーフラインを越えたあたりで沼咲がその前に立ち塞がる。

 

「やる気満々っすねぇ。」

 

「舐めるなよ、1年!」

 

堂野は左にボールを振って、次の瞬間に右から沼咲を抜きにかかった。

 

「よしっ!」

 

堂野は思わず抜いたのを確信して声を漏らした。

 

「…かかった。」

 

「な?!」

 

沼咲の後ろから水木が現れ、堂野の持つボールを弾いた。

 

「イェイ!」

 

「ナイス…武則行け!」

 

零れたボールを沼咲が右手で拾い、左足を軸に回転しながらボールを前に投げた。海野は既に前に走っていた。笹塚は反応が遅れ、追いかけていた。海野は3Pラインでボールを取り、立ち止まった。その隙に笹塚が海野の前に立ち塞がる。笹塚が海野を睨む。

 

「何のつもりだ?…はぁ?!」

 

海野は突然ボールを放った。ボールは綺麗な弧を描き、リングを潜った。海野が口を開く。

 

「こういうつもりです。」

 

「くそっ。」

 

魚崎が笹塚の肩を叩く。

 

「気にするな。」

 

「あぁ、わかってるよ。だが、このままだと…。」

 

「わかってるよ。だいぶ早いが、この試合を落とす訳にはいかないしな。堂野!」

 

魚崎が堂野に声をかける。堂野は魚崎と目を合わして頷いた。笹塚がボールを入れ、堂野が運ぶ。ハーフラインを越える前に堂野が口を開く。

 

「行くぞ!」

 

「「「おう!! 」」」

 

厚木千賀の選手たちが一斉に走り出した。堂野が笹塚にボールを回す。笹塚の前に海野が着く直前に、笹塚は堂野にボールを返す。沼咲が急いで堂野に着こうとした瞬間に魚崎にボールが回された。厚木千賀の選手はハーフコート内で超速パスワークを見せた。水木と凪佐はそのスピードに困惑していた。堂野が魚崎にパスをする。水木は何とか着いていこうとしたが、その瞬間に三玉のスクリーンにかかり、魚崎は3Pライン付近でフリーでボールを受け取った。魚崎がシュートフォームに入る。

 

「やらせるか!…あ。」

 

川崎がボールを弾こうと飛びついた瞬間に、魚崎がボールを中に入れる。そのボールは三玉に渡り、三玉はジャンプシュートを決めた。

 

「よしっ!」

 

「ナイス!」

 

厚木千賀の5人は急いで自陣へ戻って行った。

沼咲がボールを運ぶ。沼咲の前に堂野が立ち塞がった。沼咲は厚木千賀のディフェンスの形に違和感を持っていた。

 

「(ゾーン?いや、若干違うような…。とりあえず…)よいっ。」

 

沼咲はボールを横に放った。誰もいなかったはずの場所に水木が現れ、川崎にボールが回る。川崎がボールをキャッチした瞬間に、魚崎と三玉が前に立ち塞がっていた。

 

「ダブルチーム?!」

 

沼咲はそれを見て、違和感の正体に気づいた。

 

「回せ!」

 

沼咲が声を荒らげる。川崎が急いでパスコースを探そうとした瞬間、川崎の持っていたボールが弾かれた。

 

「うそっ?!」

 

そのボールを弾いたの堂野であった。魚崎がそのボールを拾い、攻守が交代する。魚崎がドリブルで青葉青果のコートに侵入した。沼咲がその前に立ち塞がる。

 

「行かせないっすよ…あー、こりゃつらいな。」

 

魚崎はすぐにボールを横に流した。魚崎の影から堂野が出てきて、沼咲を抜きにかかる。沼咲は急いでそのコースを塞いだ。

 

「甘いよ、1年!」

 

堂野はすぐに魚崎に戻し、魚崎が沼咲を抜いて行った。

 

「行かせない!」

 

水木が急いで魚崎の前に行くが、魚崎はターンをして、軽く躱した。

 

「うそんっ!?」

 

「行かせるか…やばっ?!」

 

海野が追いついて魚崎の前に立ち塞がったが、魚崎はその瞬間にボールをゴールへ放った。その先には三玉が飛んでいた。

 

「うしっ!」

 

──────ガシャッ!

 

三玉のダンクが決まる。魚崎は戻りながら沼咲の横を通った。

 

「神奈川県を舐めるなよ?1年。」

 

「…。」

 

沼咲は黙ってそれを見送った。海野と川崎が沼咲に駆け寄る。海野が口を開く。

 

「知ってはいたが、やはり実物はやばいな。」

 

沼咲は少し楽しそうに口を開いた。

 

「流石は神奈川NO.1のスピード型チームだ。面白くなってきたな。」

 

「決勝リーグは面白いね。」

 

川崎も楽しそうにしていた。海野が2人の様子を見て笑う。

 

「そうだな。」

 

まだ試合は始まったばかりである。




いかがだったでしょうか。
ストックが10話分ぐらいできたら少し投稿頻度増やそうと思ってます。
次回の更新は5月15日(日曜日)18時(午後6時)です。
どうぞお楽しみに。
【追記】
すみません、無理でした。来週、5月29(日曜日)18時(午後6時)に2話投稿します。本当すみません。出来たら3話投稿します。
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