諸事情により、今週から毎週日曜20時投稿に変更します。
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IH予選神奈川県予選決勝リーグ2日目、青葉青果と厚木千賀の第1Qは殴り合いのような点の取り合いとなっていた。
沼咲がボールを運ぶ。その前には堂野が立ち塞がっていた。
「どうすっかなー。」
「やらせねぇよ。」
「やり気満々っすね…。(マジどうしよう、この状態じゃ明和相模原と同じ状態だもんなー。殴り合いじゃなくて、一方的に殴りたいんだよなー。攻撃はこのままでも良いとしても、もうちょい点差つけたいよなぁ。やっぱあの手しかないかー。)」
一方で堂野は焦りを感じていた。
「(殴り合いに見えるが、差はついてる。とりあけずの突破口を見つけて対等な殴り合いに持っていかないと…)気散らしすぎだよっ…なっ?!」
堂野は考えごとをしている沼咲のボールを取りにかかったが、沼咲はターンをしてそれを躱した。魚崎が急いでカバーに入る。
「よっ!」
「くそっ!」
沼咲は魚崎が着く前にシュートを放った。沼咲の放ったボールは綺麗な弧を描き、リングを潜った。沼咲は戻りながら海野に駆け寄る。海野が口を開く。
「どうするか決まったか?」
「うん、やっぱあれでいこう。蒼!」
呼ばれて水木が沼咲を見る。
「ディフェンス頑張って。」
「了解ー。」
沼咲は川崎に視線を移した。
「傑!」
川崎が沼咲を見る。川崎は自陣のゴールを指さした。川崎が頷く。沼咲が口を開く。
「さて、差つけようか!」
堂野がボールを運ぶ。沼咲が前についた。堂野は魚崎にボールを回した。しかし、そのボールは魚崎がキャッチする直前にカットされた。
「は?!」
「もーらいっ!武則!」
水木はボールをタップし、海野に渡した。海野がボールを貰った瞬間にドリブルで上がって行った。笹塚がすぐに反応し、海野の前に立ち塞がる。
「行かせねぇよ!」
「…。」
海野は一瞬止まり、そこから急加速して笹塚を抜き去った。
「なっ?!(緩急だけで…!?)」
魚崎がその隙に追いつき、立ち塞がる。笹塚も急いで追い、海野は挟み撃ちとなった。海野が口を開く。
「あなたたちじゃ、止められないですよ?」
海野はボールを左右に振り2人を抜き去った。そのまま飛び上がり、ダンクを決め、海野は自陣へと戻って行った。その姿を見た魚崎が驚く。
「他のやつが上がってない…だと?」
海野以外の青葉青果メンバーは自陣で海野を迎えていた。つまり、海野が単独で点を取ることを前提として、守備の形を崩さずに次の厚木千賀の攻撃を待ち構えていた。
堂野がボールを運ぶ。沼咲が前に立ち塞がる。
「1人ずつ特攻するつもりか?」
堂野の言葉に沼咲は首を傾げた。
「何言ってんすか?そんな無謀なことしないでしょ普通。」
「何言って…?!」
堂野はコートを見渡して驚いた。
「これは…(ゾーンか。確かにこれなら誰が特攻するとしてもディフェンスからオフェンスに移行しやすい…だが)舐めるなっ!」
堂野はフェイントを入れ、永友に回した。沼咲が口を開く。
「走れ優馬!」
凪佐は永友に着かずに厚木千賀コートに走り始めた。永友が笑う。
「ついにディフェンス捨てた…な?!」
「よいっ!」
永友とボールの間に突然水木が現れ、ボールをタップした。ボールは横に走り込んでいた川崎に渡る。
「頼んだっ!」
川崎はボールをすぐに前に投げた。そのボールを沼咲がとる。
「よっしゃ!行くぞ優馬!」
既に凪佐はゴール下の近くに走り込んでいた。
「やらせるか…?!」
堂野が沼咲の前に立ち塞がったが、沼咲の手にボールは無かった。
「後ろだ!」
魚崎が叫ぶ。堂野が後ろを振り返るとともに沼咲も堂野の後ろに移動し、下投げでボールをゴールに放っていた。
「よっしゃ決めたれ!」
「うん!」
──────ガシャッ
凪佐がダンクを決めた。堂野は何が起きたかわからずに混乱していた。魚崎が駆け寄る。
「今のはしょうがねぇ、というか人間業じゃねぇよ今の。」
「何が起きたんだ?」
「お前があの5番の前に移動した瞬間にボールを前に流した。お前の足のリズムに合わせてバウンドさせて、回転をかけることによって浮く時間を長くする。原理はわかってもできるやつはあいつ以外いねーだろうな。」
堂野は理解はできたが納得できなかった。
「なんなんだよ、あいつら…。」
魚崎が堂野の背中を叩く。
「しっかりしろ!とりあえず離されないようにゲームを組み立て直すぞ。」
「あぁ。」
第1Q残り数分、厚木千賀の攻撃は上手く決まらないことが増え、逆に青葉青果は海野、沼咲、凪佐の3人が点を決め続けた。
────ピーッ
第1Qは21:12で青葉青果の優勢で終わった。
青葉青果のベンチでは桑田が第2Qについて話していた。
「第1Qは上々だ。第2Qは傑と蒼と優馬を下げて、駆と奏と飛鳥を入れる。武則と茂樹は連続になるが行けるな?」
「はい。」
「余裕でーす。」
沼咲は汗を拭いていたタオルを振って返事をした。桑田が竹刀で沼咲を叩く。
「痛いっ!?」
「気を抜くな!茂樹をPFに、PGに駆、武則をSGに、SFに奏、Cには飛鳥が入れ。」
桑田が銀波を見る。
「行けるな?」
「はい。」
「ゲームメイクは基本的に武則と駆に任せる。茂樹、何か追加事項あるか?」
「そうすっねー。5番(堂野)と4番(魚崎)の連携が少し厄介っすね。流石は神奈川No.1のスピード型の軸というか。」
沼咲の言葉に海野が笑う。
「それは俺たちに対する挑発か?」
朝泡が頷く。
「そうだな。スピードだったら俺たちの得意分野だろ。」
銀波は目を瞑り、集中力を高めていた。沼咲が銀波の肩に手を置く。
「相手のはパワー型じゃない、お前の得意分野だろ?」
「はい、そうですね。」
────ピーッ
インターバル終了の笛が鳴り、銀波が目を開けて立ち上がる。銀波は嬉しそうに口を開いた。
「やれるだけやってみますよ。」
次回の投稿は6月5日(日曜)20時(午後8時)です。
どうぞお楽しみに