どうぞ。
IH予選神奈川県予選決勝リーグ2日目、第1試合の青葉青果と厚木千賀の前半は58:20となった。10分間のハーフタイムを終え、両チームのメンバーがコートに戻った。
青葉青果高校{PG:朝泡駆(10)、SG:水木蒼(7)、SF:海野武則(4)、PF:川崎傑(6)、C:凪佐優馬(8)}
厚木千賀高校{PG:堂野滝昌(5)、SG:魚崎緋月(4)、SF:笹塚遊(6)、PF:三玉祐希(7)、C:永友正人(8)}
両Cがセンターサークルで対峙する。永友が口を開く。
「第1Qは驚いたが、今度は簡単にやらせねぇぞ。」
「今回は普通にやりますよ。」
──────ピッ!
笛が鳴ると同時にボールが宙を舞う。両Cが飛び上がる。永友は凪佐の高さに驚いた。
「くそっ…(マジで高いなこいつ…。)」
「よしっ!」
凪佐がボールを叩き、海野が受け取り、すぐに朝泡に回した。堂野がすぐに朝泡の前につく。
「流石早いですね。」
「ありがとよ…(どう来る?また速攻か?)」
「では、行きましょっ!」
朝泡は右から堂野を抜きにかかった。堂野はすぐにその前を塞いだ。
「行かせるか…な?!」
「残念でしたっ!」
朝泡はボールを下げ、横にボールを放った。朝泡の影から急に水木が現れ、ボールを叩いた。
「ナイス!」
「くそっ。」
水木の叩いたボールは堂野の背中を通り、朝泡に渡った。朝泡がゴールへドリブルをしていく。
「行かせねぇ!」
魚崎がすぐに前に立ち塞がった。
「早いですね。」
「もらった!」
堂野が朝泡の後ろからボールに手を伸ばす。
「忘れるの早くないですか?」
「は?!」
朝泡は緩く高いパスを後ろに放った。ボールは堂野の頭上を通った。
「よいしょっ!」
そのボールに合わせ、水木が飛んでいた。水木がオーバーハンドでボールをゴールに放つ。魚崎がそれを見て思考を巡らす。
「(これは…3Pじゃない、このパターンは)リバウンド!!」
永友と三玉が急いでゴール下のポジションを取った。三玉は川崎からあっさりとポジションを取れて驚いていた。
「(なんでだ?こいつは4番や5番と同格のはず、少なくとも第1Qはこんなにあっさりとポジションを取れなかった…てことは)入るのか…?!」
水木の放ったボールは綺麗にリングを潜った。川崎と凪佐はすぐに自陣へと戻って行った。三玉が永友に駆け寄った。
「おい、気づいたか?」
「あぁ。あいつら入るの確信してやがった。てか、ワンタップで3Pってどんな精度してるんだ?」
「こりゃ魚崎たちに頑張ってもらわねーと。」
永友がボールを入れる。堂野が受け取りボールを運びながら口を開く。
「攻めるぞ!」
「「「おう!」」」
ハーフラインを超えたところでそれぞれがマークに着いた。堂野が見渡す。
「(単純な実力差で攻めるなら、魚崎か永友だな)魚崎!」
堂野は魚崎にパスを出したと同時に中に走った。魚崎が受け取り、堂野にボールをリターンする姿勢を取る。
「取った!」
水木がパスコースを塞ぐ。
「甘いなっ!」
「え?!」
魚崎はボールを下げ、ドリブルで水木を抜いた。川崎がすぐにカバーに入ろうとした。
「遅いっ!」
魚崎はすぐにシュートの体勢に入った。が、その瞬間、魚崎の持っていたボールは弾かれた。弾いた手は川崎のものだった。
「どっちがですか?」
「くっ…(こいつこんなに速かったか?!)」
川崎はすぐにボールを拾い、朝泡に投げた。朝泡は受け取ってすぐに相手コートを見て笑った。
「(ほんと、この3人はすげぇな。)行け!」
朝泡はすぐにボールを前に投げた。前には既に海野が走っていた。そのあとを笹塚が追う。
「行かせるかよっ!」
「根性ありますね。茂樹もいないし少しだけ上げますね。」
「はぁ?!」
海野はボールを捕ると流れでそのままドリブルに入った。笹塚はその一瞬の間に海野の前に入ろうとした。前に入ろうとする笹塚を見て海野が笑う。
「では、さようなら。」
「なっ…待て…(嘘だろ?!)」
海野はスピードを落とさずにドリブルに入り、そこから更に加速して、笹塚を離した。
海野は一人でペイントエリアに入り、飛び上がってダンクを決めた。
ベンチで見ていた桑田は驚いていた。その様子を見て沼咲が口を開く。
「今更っすけど、あの二人強いっすよ?」
「いや、それは知っていたが…ここまでとは。」
銀波が口を開く。
「あの二人、普段は試合の時より練習の時の方が調子良いですよね?」
「調子じゃないよ、あいつらは俺を目立たせるクセがついちゃってるんだよ。」
「クセ?ですか。」
「そう。俺は1年の時から試合出てましたけどあいつらは俺の代になってからなんだ。自然と俺にやらせれば勝てるっていう固定観念?的なものがついちゃってるんだよ。あの二人だって十分強いのに。」
桑田は納得して頷いた。
「茂樹を試合から外したことによってそのタガが外れた、ということか。お前を抜いて追いつかれると思ったが、これは…。」
「たぶんですけど、この試合はこの調子で終わりますよ?相手には悪いっすけど、そもそも俺抜きでも勝てますよ、あの二人がいれば。それに駆がゲームメイクしてますし。」
沼咲の言葉に銀波が頷く。
「そうですね。駆くんはパスセンスが目立ちがちですけど、ゲームコントロール上手いですし。」
「そうそう。あいつ意外と感情的にならずにゲームメイクするんだよなぁ。選手を無理に動かさないというか…。」
「そうですね。茂樹くんはその逆、武則くんは中間ぐらいのイメージです。」
「だって人動かすんだったらそいつの能力の限界引き出した方が面白いじゃん?限界は越えさせないけど。」
「そんなことやられたら僕倒れますよ?」
「そりゃそうだ。」
沼咲と銀波は笑って話していた。それを見て桑田が口を開く。
「まだ試合は終わってないぞ。最終Qは」
「最終Qは俺も入ります。」
沼咲は桑田の言葉を遮った。それは桑田の考えと同じだった。
「飛鳥、いけるか?」
「まあ残り10分なら。」
桑田が頷く。
「ならば茂樹は武則と、飛鳥は蒼と交代だ。」
「「はい。」」
第3Q残り時間、海野と川崎の猛攻により更に点差を広げ、第4Qも沼咲と銀波が入り更に勢いが増した。
最終結果113:34。決勝リーグ2日目にして、予選の、強豪と弱小校のようなトリプルスコアで終わった。
コートの外で見ていた海常高校の笠松は驚いた目で見ていた。その隣で楽しそうに見ていた黄瀬の表情は少し曇っていた。
ベンチの片付けをしている青葉青果の面々を見ながら黄瀬が口を開く。
「強いっすね、青葉青果…。」
「そうだな…。うちは厚木千賀に対してダブルスコアにギリ届かなかったが、青葉青果はトリプルスコアか…。とりあえずはこの試合だ!行くぞ!」
「はいっす!」
海常高校はベンチへと入っていった。
コートを後にした青葉青果のメンバーは、次の海常高校対大木高校の試合を見るために観客席に移動して座っていた。二列に別れて座っており、上の段に左から桑田,川田,美和,沼咲,銀波,川崎、下の段に同じく左から海野,朝泡,水木,舟木,凪佐の順に座っている。
水木が楽しそうに口を開く。
「どっちが勝つかな?!」
朝泡が口を開く。
「海常だろ。まあ、大木みたいな点差にはならねーだろうけど。」
「そうなの?根潮先輩だっけ?あの人のシュートって黄瀬くんじゃマネできないんでしょ?茂樹たちの話じゃ黄瀬くんモノマネ上手い以外に特徴ないって。それに4番の人も強かったし。」
「そうだとしても、だよ。」
朝泡はつまらなそうにそう言った。海野が口を開く。
「そうだな。根潮先輩には黄瀬がつくことは間違いない。4番の加藤さんには4番か5番がつけばそこそこは処理できる。仮にそこが負けたとしても、他3人は間違いなく海常の方が上。良い試合をするとしても、海常の勝利は間違いない。代表はうちと海常、明日はただの決勝戦になる。」
「へぇ。じゃあ見なくても良いんだ!」
「良い訳あるか!」
「あだっ!?」
桑田が水木の頭を叩いた。
「海常の勝ちが間違いなくとも明日は勝ちに行く試合だ。この試合はうちにとって最終確認の試合にもなる。しっかり試合を見て海常の選手こ動きを頭に叩き込んどけ。」
「「「はい!」」」
海常高校と大木高校の試合は、大木の加藤と根潮の奮闘により、黄瀬を中心に攻める海常と鬩(セメ)ぎ合っていた。第3Qが終わり、56:53、どちらが勝ってもおかしくない状況となっていた。
いかがだったでしょうか。
活動報告ではお知らせしましたが、無事11月中にあげられてよかったです。
みなさん体調はいかがでしょうか?私は最近週一で崩してるのであまり良いとは言えないです。
次の更新は早ければ来週、遅くとも再来週にはあげたいです。
では、また(o・・o)/~