今回から高校編に入っていきます。
高校時代、部活にろくに行ってなく、遊び三昧でした。部活を真面目にやる青春も良かったなぁと思う今日この頃です。
青葉青果高校、今年からの新設の高校である。沼咲は入学式後のHRで運動神経の良さそうな人を探していた。HRが終わり、クラス内は遊びに行こうとか、どこの中学出身かで盛り上がっていた。後ろの席で寝ていた生徒に話しかける。
「舟木くんだっけ?HR終わったよ?」
「ん…まじか。ありがと。」
ぐーっと伸びをする。長い髪に隠れて見ずらいが、どこかのモデルに負けず劣らずの美形であった。その腕は身長に似合わないぐらい長かった。沼咲はそこに目をつけた。
「もしかして、なにか運動やってた?」
「ん、俺?バレーボールやってたよ。」
「高校もバレー部?」
「いやぁ、もう飽きたから悩んでるー。」
「じゃあバスケ部どう?」
「バスケ?体育でしかやった事ないけど。」
「へーきへーき、優秀な監督とコーチいるから。今日このあと空いてる?」
「あー、うん。でも同じ中学の友達に会ってからでへーき?ちょっと話すだけだから一緒に行こうよ。」
「おっけー。」
2人は仲良さそうに廊下に出ていく。廊下に出て、隣のクラスを覗くと、舟木の視線の先には海野と海野より少し背の低い生徒が話していた。そのもう1人が舟木に気づく。
「おっ、舟木ー!このあとバスケ部行かね?」
「俺も誘われたとこなんだけど。」
「マジかー!」
テンションが高く、高校生男子にしては声が高かった。沼咲が海野に近寄り、話す。
「もしかして、お前も捕まえたの?」
「あぁ。彼は水木 蒼。バレー部だったらしい。」
「あれ?舟木もバレー部だったんじゃね?」
丁度そのタイミングで廊下から周りの生徒より明らかにデカい2人が入ってきた。1人は川崎。もう1人は川崎よりも大きかった。川崎が口を開く。
「あれ?人数揃ってるな。俺も捕まえてきたよー、聞いて驚け!2m越え!」
「凪佐 優馬です。よろしく。」
水木が凪佐に近づく。
「凪佐ー、お前もかー!」
6人は揃って、体育館へと向かう。舟木、水木、凪佐は同じ中学、同じ部活出身であった。
体育館に着くと、桑田と美和、もう1人、背が小さめの女子がいた。桑田が口を開く。
「おっ、お前らも誘ってきたか!マネージャーも1人増えたぞ、川田 紀子ちゃんだ!全員運動着とシューズはあるな?4人は今日は体育館履でいい。荷物置いて更衣室で着替えてこい。」
その言葉通り、8人が着替えて桑田の元に集まった。
「今日はバスケに少し慣れてもらうだけでいいよ。一応、自己紹介しようか。私は桑田 咲、担当科目は情報。担任はもってない!これでも一応元全日本選手だ!」
桑田の勢いに圧倒される8人。桑田は美和に目をやりながら
「じゃあ、まずはうちのマネージャー陣からか。美和!」
「はい。1年4組 沼咲 美和、青葉中出身、女バスにいたのでその経験からみんなにアドバイスぐらいは出来ると思います。このチームでは一応マネージャー兼コーチです。」
「この娘は全中経験者だからわからないことあったら積極的に聞いてくれ。次は紀子!」
「はい!!川田 紀子です。えっと、美和ちゃんと同じ1年4組です。鎌先中学出身で、中学時代は写真部でした。運動自体初心者ですがよろしくお願いします!」
川田は急に振られて驚きながらもハキハキと答える。桑田は次に海野を見ながら
「じゃあ、次は武則!」
「はい。1年3組 海野 武則。青葉中出身。ポジションはPGでしたが、高校ではSFをやります。一応、この部の主将です。」
「うん次、茂樹!」
「1年2組 沼咲 茂樹。青葉中出身、ポジションはPFだったけど、PGやります。」
「態度がウザイ!」
桑田はどこから取り出したかわからない竹刀で沼咲を殴る。
「よしっ、次。傑!」
「はい、1年1組 川崎 傑。青葉中出身、ポジションはCでしたが、PFやります。」
「この3人は全中でベスト8まで行ってる。経験値だけは豊富だからこいつらに任しときゃ最悪はどうにかなるから。じゃあ、次は…君!」
名前がわからず、竹刀で凪佐を指す。
「はい!!1年1組 凪佐 優馬です。福川中学出身です。中学時代はバレー部でした。」
「優馬か、よろしく!次は君!」
水木を竹刀で指す。
「はい!1年3組 水木 蒼です!凪佐や隣にいる舟木と一緒で福川中学出身で、同じバレー部でした!」
「元気がよろしい!ラスト!」
「1年2組 舟木 奏。以下同文。」
舟木のみあっさりと自己紹介を終わらせた。それに桑田が突っ込む。
「短いっ!というか…福川中学のバレー部って、全国レベルじゃなかったか?前に雑誌で見た気がするんだけど。」
その言葉に3人以外のメンバーも驚く。水木が口を開く。
「いやぁ、一応そうですけど。全中初戦負けしたんで、あんまり言いたくないです。」
2人は黙って頷く。沼咲がそこで単純な質問を投げる。
「なんでバレーボール続けないんだ?補欠だったん?」
「俺は2人の判断に任しただけ。」
舟木が2人に答えを委ねた。凪佐が答える。
「いや、一応3人ともレギュラーとして出してもらってましたけど。俺たちは全員中学からバレーボール始めて…、1つのスポーツを極めるつもりはなかったんです。だから元々、中学でバレーボールをやめるつもりでやってました。」
凪佐の答えに全員が驚く。水木が続ける。
「3人で一緒になんかやりたいって気持ちは共通であったんで、新設校なら面白いこと待ってるかな?って思って入学したって感じです。」
桑田が口を開く。
「その選択が間違いじゃないって証明させてあげるよ、夏に。」
桑田の言葉に全員が驚く。桑田の言おうとしていることは望んでも難しいことだと、海野、沼咲、川崎でも分かっているからだ。
「それにはまずはバスケを知ってもらうのが1番だから、今日は基礎練メインでやろう。元々全員運動部だから…紀子は違うのか、でも平気!」
突然の名指しに川田が驚く。
「私はマネージャーでは…!?」
「マネージャーもプレイ出来た方が楽しいだろ?平気、無理はさせないから。」
「は…はい!」
「よし。体力面は明日から始めるから怪我しないためにも明日までにシューズとか買い揃えて貰えると嬉しい。ってことで、始めるよ!主将、号令!」
「はい。始めるぞ!!」
「「「おう!!!」」」
海野の言葉に全員が返事をし、桑田の指導の元、練習が始まる。ドリブルの仕方、パスの仕方をマンツーマンで教えていく。マネージャーも含めて。
練習が終わり、川田が座り込む。
「疲れましたー。運動部ってこんなに激しいんですね。」
美和が駆け寄る。
「紀子ちゃん、お疲れー!普通に動けてたよ、すごい!」
「美和ちゃんはまだまだ元気そうだね、私も頑張らなくちゃ。」
男子6人はある程度余裕そうであったが、慣れない動きをした水木、舟木、凪佐は座り込んでいた。桑田が見渡して声をかける。
「練習は終わりだが、経験者4人はもう少し動いてもらうよ。私も含めて3対2をやろう!」
海野が口を開く。
「3対2ってどういう分け方ですか?」
「武則と茂樹が2、他が3。私と美和は体格的に劣るからな、傑はこっちで動いてもらう。負けた方はこのあとダッシュ10本!」
未経験者組は恐ろしいというよな顔をしているが、経験者組は笑っていた。沼咲が口を開く。
「もちろん、咲さんもっすよね。」
「もちろんだ!流してたらこの竹刀で片っ端から叩いていい、連帯責任だからな。」
美和が口を挟む。
「私も叩かれるんですか!?」
「そりゃ、贔屓するつもりないし。」
「えぇー。」
川崎が口を開く。
「負けなきゃいいんですよね?悪いけど、武則と茂樹には走ってもらうよ。」
「「言ってろ!」」
5人がコートの中央に集まる。凪佐が審判をやり、他は得点板のところに集まっていた。凪佐が驚く。
「フルコートですか!?」
「もちろん!その方が疲れるだろ。」
「鬼ですか?」
「何か言った??」
桑田が凪佐を睨む。凪佐はすぐに引っ込む。
「じゃあ、20点先取、インターバルなし、リミットなし!ボールは武則と茂樹から。やるよ!!」
凪佐が海野にボールを渡し、試合が始まる。海野が前方へ放物線軌道のボールを放った。意図に気づき、沼咲は一瞬でゴール下に走り込み、飛び上がる。桑田が怒号を飛ばす。
「傑、反応が遅いぞ!!図体だけじゃこの先戦えないぞ!」
川崎は反応が少し遅れたものの、急いでブロックのために飛び上がった。沼咲が空中でボールを掴み、そのままゴールへ叩き込もうとした。
「させるか!」
川崎の腕が伸びてくる。沼咲はボールを下げ、川崎を通り過ぎ、ゴールに対して背を向けた状態で、後方へボールを放った。そのボールの先には海野の手があり、そのままゴールへ叩き込まれる。海野と沼咲はハイタッチをしながら戻っていく。沼咲が桑田を指さす。
「咲さんこそ、遅いんじゃね?」
「このやろう。」
美和が川崎に駆け寄る。
「ごめん、気づいてたけど反応できなかった!」
「いや、俺も釣られたごめん。」
桑田は川崎にボールを投げつける。川崎は咄嗟にキャッチして桑田を見る。
「こっちも点取ればチャラだろ、過ぎたことをとやかく言うな!」
「「はい!」」
桑田がドリブルをして進んでいく。海野と沼咲はゾーンディフェンスで、前 海野、後 沼咲で待ち構える。桑田がスリーポイントより手前でシュートを打つ。海野は予想外過ぎて反応できなかった。ボールはゴールに吸い込まれる。
「私はスリー打てるぞ?」
「くそっ…、そういや元全日本だこの人。」
海野が悔しがる。しかし、直ぐに切りかえて、今度は沼咲がボールを運ぶ。桑田とその後ろに美和がその道を塞ぐ。
「流石に女子2人に止められる訳には…行かないのよ!」
沼咲が左右に振って2人を惑わす。桑田はその動きに驚く。変則的で、リズムのないドリブル、2人にアンクルブレイクを決めながら抜いていく。ゴール手前で川崎が立ち塞がる。川崎は隣にいた海野に目をやる…が海野はスリーポイントラインまで下がっていた。沼咲は海野にパスを送る。
「お返しです!」
海野の放ったボールは綺麗な弧を描き、ゴールへと吸い込まれた。桑田が起き上がりながら沼咲に目をやる。
「今のは帝光中の…」
「そう、大輝…エースの青峰の技ですよ。」
すぐさま桑田がドリブルで進める。海野は今度は距離を詰めた。
「シュートだけでは全日本になってないぞ。」
桑田がドリブルで海野を抜きにかかる、突然急ブレーキをかけ、また加速する。だが、海野は全てについてきた。桑田はバックハンドパスで美和に回す。美和がシュートの姿勢に入る。沼咲が急いで止めに入る。
「やらせるかよっ…てめぇ!!」
沼咲が飛んだ瞬間に美和がドリブルで抜く。すぐさま海野が立ち塞がる。
「早いわねっ。」
前に立った海野の股を通してパスを送る。その先には川崎がいた。川崎はそのまま飛び上がる。フリーで決まったと思った瞬間に沼咲が川崎の目の前を飛んでいた。だが、川崎はそのままダンクをする。
「パワーでは負けない!」
川崎は沼咲をぶっ飛ばしながらダンクを決めた。沼咲がコートに転がる。
「やるじゃねぇかよ。」
「伊達にCやってない。」
「いいじゃん!」
その後両チームが10点に達するまでは互角の勝負をくりひろげた。だが、超えたあたりから人数の少ない中、動きでカバーしていた海野と沼咲の体力が尽き始め、最終スコア20:13で3人チームが勝った。
「よし、じゃあ2人はダッシュ10本!早く立て、やるぞ!」
「「はい!」」
2人がコートを桑田の合図で走り始めた。見ていた4人は驚きの表情を隠せなかった。川崎と美和が4人のところに寄っていく。水木が2人に話しかける。
「バスケ部ってすごいね!俺らもあんなプレイ出来るようになるの?」
美和が答える。
「私と茂樹以外の2人も中学から始めただけだからね、このチームの監督は咲さんだし、早く上手くなれると思うよ。」
川崎が続ける。
「上手くなってもらわなきゃ困るし、そのために俺達も全力で教える。」
「マジかー、楽しみ!」
他の3人も頷いていた。この日から青葉青果高校男子バスケットボール部の練習が始まった。
どうでしたでしょうか?
次回からプレイを書くことが多くなります。
お楽しみに。
思ったよりストックが溜まってるので、GW過ぎるまでは週3投稿にします。曜日は日曜、水曜、金曜で、時間は18:00です。
次回の投稿は4/28(水)18:00の予定です。よろしくお願いします。