混色の水   作:とて 

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こんにちは…こんばんわ?
ストックがある程度溜まっているのでしばらくはこの調子で週1投稿していきます。
ではどうぞ!


6話

青葉青果高校VS陽泉高校の練習試合、第1Qの序盤、青葉青果が先制点から5点得点し、陽泉側は少し焦っていた。岡村が福井に言う。

 

「福井、ワシに回せ、点入れる。」

 

「おう、任した!」

 

福井はドリブルで敵コートに攻めていく。沼咲が立ち塞がるが、福井はすぐに鈴木→岡村に回した。川崎が岡村につく。

 

「デカいのう、名前は?」

 

「川崎 傑です。」

 

「ワシは岡村 健一じゃ、よろしゅう!!」

 

岡村はパワードリブルでポジションを取ろうとするが、川崎は動かなかった。

 

「ゴリラさんは元Cですか?」

 

「そうじゃが…お前さんもじゃろ?」

 

一瞬止まったが、岡村は身体を徐々に入れていきポジションを取る。

 

「ワシは今でもCをやっとるんじゃい!」

 

そのまま飛び上がり、ダンクを決める。川崎はポジションを取られ、吹き飛ばされる。

 

「C少しかじってる程度じゃ通用せんぞ。」

 

そう言い残し自陣に戻っていく。凪佐が川崎に駆け寄る。

 

「傑、大丈夫か?」

 

「平気、ちょっと油断してたけど。流石は全国レベルの主将だ。」

 

川崎は少し笑っていた。沼咲が口を開く。

 

「傑、行くぞ!」

 

「!?…わかった!」

 

沼咲がボールを運んでいく。福井が立ち塞がる。

 

「今度こそやらせねーよ(俺にこいつを止めるのは無理だ、だが試合は別だ!)。」

 

水木には鈴木、川崎には岡村がガッチリマークについていた。沼咲は尚笑っていた。

 

「うちの選択肢って幅広いんだよねっ!」

 

福井の頭の上をボールが通る。丁度、フリースローライン上に、そこに凪佐が飛び上がっていた。その飛び方はバレーボールのスパイクの姿勢であった。紫原が止めに入る。

 

「そんなに何本もやらせるわけない…え!?」

 

紫原のブロックの手より上の位置にボールが来ていた。

 

「うるぁっ!!」

 

凪佐がボールを思いっきり叩く、そのボールはとんでもないスピードでバックボードに叩きつけられ、ゴールへと吸い込まれた。

 

「くっ…。」

 

紫原が悔しがる。凪佐は着地したあとに口を開く。

 

「意外と低いんだね、キセキの世代のCって。」

 

「あ!?」

 

一言残し、自陣コートへ戻っていく。岡村が紫原に寄る。

 

「今のはしょうがない。暴れたいのもわかるんじゃが、取り敢えずは我慢してくれ。第1Qは様子見じゃ。」

 

「わかってるしー。」

 

紫原は軽く返す。その様子に陽泉の面々はホッとしていた。その後、第1Qは水木、凪佐が暴れ回り、21対12、青葉青果のリードで終わった。両校のメンバーがそれぞれのベンチに集まる。陽泉のメンバーは少し焦っていたものの落ち着きを払っていた。荒木が口を開く。

 

「予定外ではあるが、大きく離されてはいない。第1Qは7番、8番を中心に攻めてきたが、相手の主力はあくまでも4番、5番、6番だ。福井、5番を相手にしてみてどうだ?」

 

福井が少し悔しそうに口を開く。

 

「あんま言いたくないっすけど、俺に5番を防ぐのは無理っす。正直、紫原と同じようなバケモノに見えます。ハンドリングはもちろんなんすけど、まだ何か隠してる感じがします。」

 

陽泉の面々は驚く。福井は特別な能力はないものの、PGとしての完成度は全国でも有数。その福井が完全に負けを認めていた。紫原が口を開く。

 

「あいつは中学の時、青ちん相手に遊んでたからねー。」

 

その言葉にさらに驚く。紫原が覚えていたことにももちろんだが、青ちん=キセキの世代のエース青峰相手に遊んでいたと表現したことに。荒木は岡村に目を向ける。

 

「6番は?」

 

「あいつは元Cだけあって、ゴール下の身体の使い方は上手いです。あと、スピードもある。じゃが、今のところ抑えられないほどではないです。」

 

紫原がその言葉に違和感を感じる。少なくとも中学時代は紫原相手に対等以上に戦っていた選手であった。その彼が高校の全国区の選手相手とは言え、何故大人しいのか。しかし、めんどくさいので言うのはやめた。

 

「なるほど。劉、4番は?」

 

「今のところ何も動きがないアル。ゴール下の動きは慣れていない感じがするアル。」

 

「わかった。6番は引き続き岡村が抑えてくれ。4番、5番は第2Q以降で動いてくる可能性が高い、気をつけろ。とりあえずは中を中心に点を取り、鈴木、スリーの準備もしておけ。」

 

「「「はい!」」」

 

「俺攻めていーのー?」

 

紫原が力の抜けた言葉を発した。荒木は首を振る。

 

「少なくとも前半は体力も考えて攻めないでいてくれ、後半、遅くとも第4Qからは攻めてもらう。」

 

「わかったー。」

 

「わかりましただろっ!」

 

一方で青葉青果側は余裕そうな表情であった。桑田が口を開く。

 

「思ったより点数開かなかったな、流石は全国区の守備型チームだ。次のQは傑に代わり、奏を入れる。武則をPGに、茂樹をPFに変えてくれ。バレーボールをふんだんに使ってくれ。」

 

「「「はい!」」」

 

沼咲と水木がギャラリーのカメラの位置の近くに寄っていく。カメラを操作している川田が2人にアングルを寄せる。2人は突然組体操を始めた。陽泉高校の二軍以下のメンバーはそれに驚く。だが、青葉青果のメンバーは無視して水分補給をしていた。

 

 

 

しばらくして、審判の笛がなる。両校のメンバーはコートへと戻って行った。陽泉のメンバーは変わったメンバーに驚く。岡村のマークに沼咲、福井のマークに海野、劉のマークに舟木がつく。岡村が沼咲に話しかける。

 

「ポジションチェンジか?」

 

「うん、このQはもっと楽しくなるっすよ!」

 

「それは楽しみじゃ。」

 

福井に海野が話しかける。

 

「よろしくお願いします。」

 

「お前、PGも出来るのか?」

 

「中学のときはこっちが本職だったので。でも、茂樹ほど面白味はないと思うので安心してください。」

 

「おっ、おう。」

 

劉は舟木の存在に違和感を感じていた。今まで出ていた青葉青果のメンバーは何かしらありそうな感じは元々していた。しかし、舟木からは何かどころかやる気もあまり感じなかった。

 

陽泉ボールから始まる。福井がボールを運ぶ、その前に海野が立ち塞がる。福井は劉にパスを送る。劉のマークには舟木がついている。

 

「何のつもりかは知らないアルが、その高さで抑えるのは無理アル!」

 

劉がドリブルでゴール下へと移動していき、そのままジャンプシュートを決める。あまりにもあっさりと決められた。その様子に福井も違和感を持つ。

 

(どういうことだ?客観的に見て、4番の方がまだ劉の相手になる。何を考えてる。)

 

海野がボールを運んでいく。劉は舟木を意識してマークしていた。しかし、突然消える。

 

「えっ…!?」

 

海野が誰もいないはずのところにパスをする。福井は驚いたが、そこには舟木がいた。舟木がそのボールをトスの容量でゴールの横へと送った。その先には凪佐が飛んでいる。スパイクのフォームで。

 

「うらぁ!!」

 

紫原は反応が遅れ、凪佐の打ったボールはリングに跳ねつつもゴールへと吸い込まれて行った。陽泉のメンバーは面食らっていた、突然ボールが最深部まで行った。その中でも紫原は特に驚いていた。

 

(今の…黒ちんのパス!??)

 

福井がまたボールを運ぶ。海野がつく。

 

「なんだ今のは?見た事ねーぞあんなプレイ。」

 

「はい、だと思います。」

 

「でも、弱点は変わらねーだろっ。」

 

福井は劉にパスを送る。劉は高い位置で受け取ろうとするが、その手前でボールが突然曲がった。曲がった先にいる沼咲にボールが渡る。

 

「よっしゃ!ナイス奏!」

 

沼咲は突然加速していき、岡村を振り切り、陽泉コートへ攻めていく。陽泉のコートには紫原が門番のように立っていた。

 

「やらせないよ!」

 

「それが意味ないんだなー。」

 

スリーポイントより内側に入った瞬間に逆サイドにボールを投げる。その先には水木がいた。

 

「ほいっ!」

 

スリーポイントラインより手前からオーバーハンドパスでゴールへボールを放る。

 

「くっ…!?」

 

紫原は沼咲の方に足が向いていたので間に合わない。そのボールはゴールへ吸い込まれた。

 

「ナイス、蒼!」

 

「いぇーい!」

 

2人は駆け寄り両手でハイタッチをした。そこで紫原は違和感の正体に気づく。

 

「黒ちんが何人もいるみたい…!?」

 

水木、凪佐、舟木は初心者である。だからこそ、桑田は時間の無い中、守備とハンドリングを中心に教えた。3人ともバレーボールで全国レベルの強豪にいたので、ボールを一瞬で操る能力としてはバスケ部のそれ以上である。ボールにさえ慣れてしまえばバレーボールの様に正確に扱える能力を3人は持っていた。

 

福井は舟木の存在に恐怖を感じていた。どこから出てくるかわからないが、少なくとも劉のマークに着いている。とりあえず鈴木に回す。水木が立ち塞がる。

 

「来いっ!」

 

「俺も一応陽泉レギュラーなのでね!」

 

鈴木はクイックリリースでシュートを放とうとする、水木はすぐに反応して飛んでブロックをしようとする。だが、鈴木は飛んでいなく、ドリブルで横移動し、水木とズレた位置でシュートを放つ。そのシュートは綺麗にゴールネットを揺らした。

 

「くっそー!」

 

(反応早いな、油断出来ない。)

 

海野がボールを運んでいく。そしてまた誰もいないはずのところにボールを送り、舟木がそれをトスして水木に回す。

 

「ほいっ!」

 

水木のオーバーハンドによるスリーが決まる。2人とも極端にボールに触る時間が短いので、傍から見るとボールが勝手に曲がり、ゴールへ吸い込まれたように見えた。

 

「なんなんじゃこりゃ!?」

 

岡村がつい言葉を漏らす。岡村がそう言うのは当然であった。バスケットボールの試合でバレーボールをしている。しかも、触る時間が短すぎて1回反応が遅れると、ブロックに飛ぶことすら容易でないからである。しかも、ジャンプからのオーバーハンドでスリーが届いてしまう。長くバスケをしている人間程、意味がわからなかった。福井が喝を飛ばす。

 

「おちつけ!点は取れてる、このまま行くぞ!」

 

「「「おう!」」」

 

第2Q、第1Qより速くボールが回り、陽泉はそれに翻弄されながらも、点をとっていた。結果は63対46で青葉青果リード。先程より差が開く形で前半が終わった。




如何だったでしょうか?
ただいま新キャラ出そうか、どういう流れにしようかなど、色々考えているところです。
次の投稿も来週、5月2日(日)18:00です。
どうぞお楽しみに。
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