混色の水   作:とて 

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こんにちは!
今年のGWもコロナの影響で家で過ごす日々になりそうですね。私の住んでいる地域では違うところの車ナンバーが増えているような気がしてます。
では、どうぞ!


7話

青葉青果高校VS陽泉高校、前半は63対46で青葉青果リードで折り返した。ハーフタイム10分で、陽泉高校は荒木が考えている対策とスタメンが考えた対策の擦り合わせを行っていた。荒木が口を開く。

 

「すまんっ!第2Qは4,5,6番が中心で来ると思ってた。」

 

その言葉を聞いて福井が口を開く。

 

「しょうがないっすよ、あんな伏兵が居たって思わなかったっすから。自分から前半のイメージ言わせてもらうと、5番は異常なくらいのバケモノって考えた方が良いっす。4番のPGとしての能力は高いけど、5番に比べたら標準型のPGって感じです。ただ5番に比べたらって話なんで俺がギリギリ抑えられるか抑えられないぐらいの実力です。」

 

「ふむ、それは私も見ていて感じた。岡村、5番のPFとしての能力は?」

 

岡村が口を開く。

 

「正直、わからんって言う感じですわ。スピードとかパスの能力は第1Qで見た感じと同じで、第2Qは自分から決めに行かなかったので、わからんです。ただ、中の動きとしては力の使い方とかボールの運び方とかを含めて6番以上です。」

 

「そうか…まだ隠してるわけか。鈴木、7番は?」

 

鈴木が口を開く。

 

「正直、目離してるつもりはないんですけど、いつの間にか消えて点取られるって感じです。ドリブルの能力はまだ分からないですけど、守備力は全国レベルではないです。あと、尋常じゃないくらい身軽です。」

 

福井が口を開く。

 

「確かに。俺もいつの間にかパスコースにいるって言う感じだったわ。」

 

「多少のカラクリはわかったが、確定ではないから終わりに話す。劉、4番と9番は?」

 

劉が口を開く。

 

「4番の中はそれほど能力高くないって感じアル。9番は7番と同様、いつの間にか消える感じで、いつの間にかパスの中継やってたりパスカットされたりって感じアル。正直、訳分からなかったアル。」

 

「うむ…。紫原、8番は?」

 

紫原が口を開く。

 

「んー?到達点は俺より高いんじゃない?あとあの体格で身軽だねー、うちのアゴと違って。」

 

「なんじゃと!?」

 

岡村が立ち上がるが荒木が制す。

 

「紫原、お前が中学の時に戦ったのはどいつだ?」

 

「4,5,6番。中学ん時は4番がPG、5番がPF、6番がCだったはずー。」

 

福井が口を挟む。

 

「試合前から思ってたけど、お前が覚えてるの珍しいよな?点数とか覚えてんのか?」

 

「101対82。」

 

紫原が真面目な顔で言った。その点数に驚く。帝光中と戦ったところは片っ端からダブルスコアを食らっていたからである。紫原が続ける。

 

「青ちんとか黄瀬ちんは覚えてないだろうけど、他の人は覚えてるんじゃない?みんな細かくじゃなくても、大体の点差は覚えてるんじゃない?中3になってからあんなに苦戦したのは初めてだったから。」

 

「マジかよ…。」

 

福井が思わず声を漏らす。荒木が岡村に目を向ける。

 

「岡村、5番と知り合いだったよな?いつの知り合いだ?」

 

「ミニバスの時ですね、あいつは小学生の時は秋田にいたんで。その時はPGやってて、2学年上、ワシたちの学年に混じってレギュラーでしたわ。その時も自由なプレイスタイルじゃったなー。」

 

岡村が懐かしそうに言った。荒木が口を開く。

 

「そうか。後半は間違いなく4,5,6番が動いてくる。紫原オフェンス参加していいぞ。」

 

「ん、絶対ひねり潰す。」

 

「さて、対策を考えて行こう。」

 

 

 

青葉青果の面々は余裕そうな表情で話していた。桑田が口を開く。

 

「予定通り、後半は武則、茂樹、傑。自由にやっていいぞ。第3QはPG武則、SG奏、SF蒼、PF茂樹、C傑で行く。美和、気づいたことあるか?」

 

「はい。たぶんですけど、9番(紫原)が攻撃に参加してきます。基本は傑が相手するだろうけど、目測で中学のときより身長高くなって、体格も少し良くなっているので、気をつけるように。陽泉は中が強いイメージではありますが、6番(鈴木)は見た感じではクイックシューター気味のスラッシャーだと思います。奏や蒼では抑えきれないこともあるとは思いますが、外の成功率は良いとは言いきれないので、中に入れないように意識して。」

 

美和が口を閉じる。それを確認して桑田は川田を見る。

 

「紀子上から見てて何か気づいたか?」

 

「いえ…特には…。」

 

「なんでも良いぞ。」

 

川田が少しオドオドしながら口を開く。

 

「えっと…上手く言えないんですけど、陽泉の選手は全員、中に固まってるなーって。」

 

沼咲が感心しながら口を開く。

 

「俺も思った。紀子の言う通り、中に寄ってる。だから補欠を含めて、外の成功率が高い選手がいないんだと思う。スリーポイントラインより外はドライブ警戒しちゃっていいと思う。」

 

桑田が口を開く。

 

「そうか、わかった。基本は3人に任せる。奏と蒼もすぐシュート打てるように準備しておけ。優馬も状況次第では直ぐに出す、いつでも出れるよう体を冷やさないように。」

 

「「「はい!!」」」

 

「では、インターバル終わるまでは水分補給するなり自由にしてろ。体を冷やすなよ!」

 

桑田がそう言うと青葉青果のメンバーはそれぞれ自由にし始めた。沼咲と水木は突然逆立ちをし始める。

 

「あはあはは!!!」

 

「あひゃひゃひゃ!!!」

 

2人とも笑いながら、逆立ちの状態から飛んだり、走ったりし始める。逆立ちだけでも異様な光景だが、そこから激しく動き始めるのはもはや大道芸の様だった。

 

 

 

審判の笛がなり、両校の選手がコートに戻る。川崎と紫原がセンターサークルで対面する。紫原が口を開く。

 

「またポジションチェンジ?コロコロ変わるねぇ。」

 

「まだ出来たてのチームだからね。さっ、中学のリベンジさせてもらうよ。」

 

「はぁ!?」

 

川崎は本音から言っていた。1VS1の勝負では紫原が負けていた、その事実を覚えている紫原としては挑発のように受け取った。

 

──────ピーッ

 

笛の音とともにボールが宙を舞う。川崎と紫原の腕がボールに向かって伸びていく。手1枚分の差で川崎が取る。すぐさまに海野にボールが回る。海野がボールを運び始めるとすぐに福井が前に立つ。

 

「来いっ!(どっち(舟木と水木)が出てくる。)」

 

鈴木と劉はそれぞれのマークを離さないように気をつけていた。海野が笑う。

 

「じゃあ、遠慮なく。」

 

そう言い残し、一瞬で福井を抜く。

 

「なっ…!?」

 

劉がすぐにカバーに回る。

 

「行かせないアル!」

 

「いや、通る!」

 

スピードを緩めずにターンして劉を躱す。劉は反応ができずあっさりと抜かれた。海野がそのままゴールに向かって飛ぶ。

 

「やらせないよ!」

 

紫原がジャンプして腕を伸ばす。

 

「速いね…流石だよ。」

 

ボールを持ち替えて、紫原の横からボールを放る。そのボールはバックボードに当たり、ゴールに入った。

 

「くそがっ…!」

 

陽泉のメンバーは急に動きが変わった海野に驚く。前半大人しくしていたのは分かっていたが、上限を見誤っていた。海野は戻りながら沼咲とハイタッチする。

 

「流石武則!」

 

「お前には勝てないよ。」

 

陽泉は一瞬の動揺のあと、すぐ切り替えた。福井がボールを運ぶ。紫原も上がってくる。紫原はパワーでポジションを取ろうとする。しかし、動かなかった。川崎が完全に押さえていた。川崎が口を開く。

 

「俺も相撲上手くなったよ、紫原。」

 

「それだけ?」

 

紫原は力を抜きながらターンをして川崎を躱す。川崎が離れた一瞬をついて福井が紫原にパスをする。沼咲がカバーに入る。

 

「速くなったな、紫原。」

 

「上から目線ウザイんだけど!」

 

紫原は沼咲に背中を当てながらゴール下へとドリブルしていく。

 

「マジで相変わらずの重戦車だな。」

 

ゴールの手前で紫原がターンをしながら飛び上がる。沼咲は押されながらだったので少ししか飛べなかった。川崎が追いついて手を伸ばす。

 

「ふんっ!」

 

紫原の『破壊の鉄槌』が決まる。沼咲と川崎は回転の勢いが上乗せされたパワーに吹き飛ばされる。紫原が着地して、座り込んでいる2人を見下ろしながら口を開く。

 

「そんなもん?つまんなーい。」

 

「このやろっ…。」

 

青葉青果はすぐにリスタートし、海野が再び運び始める。ハーフラインを超えたあたりで福井が立ち塞がる。

 

「速いのはわかったが、2度はやらせねぇ。」

 

「無理じゃないですか?」

 

福井はまたも一瞬で抜かれる。また劉がカバーに入る。海野は急に立ち止まる。そして誰もいないはずのところにパスを出す。

 

「流石に連続同じパターンは芸がないので。」

 

「あっ…!?」

 

水木がボールをトスしてゴールへと送る。その軌道は直線的であった。そのボールは飛び上がっていた川崎の手に収まる。

 

「捻り潰すよ!」

 

ダンクしようとした川崎の持っているボールに紫原が手を当てる。

 

「ふぬっ!」

 

「ぐっ…!??」

 

紫原は押し返されて川崎のダンクが決まる。

 

「紫原がパワー負けした?!」

 

(いや、元から前に飛んでいたからそのパワーが上乗せしたんだ…だが、それだけで紫原が負けただと…!?)

 

福井は冷静に考えようとするが、紫原が負けたことに冷静になりきれなかった。そして、2度もフェイクなしのドリブルに抜かれたことが彼の心を折りかけていた。

 

「福井、俺に回せ。」

 

鈴木が福井に声をかける。リスタートし、ハーフラインまで運んだところで福井はすぐにスリーポイントラインの外にいる鈴木に回す。舟木が立ち塞がる。

 

「てめぇらに負けるような俺たちじゃねぇ!!」

 

鈴木はフェイクを入れ、舟木を抜きにかかる。抜いたと思った瞬間に、鈴木の手からボールが抜ける。

 

「な…嘘だろ!?」

 

舟木は下半身は半身、上半身は後ろにいる鈴木に向けた状態で、鈴木のドリブルしていたボールを突いたのであった。それを沼咲が拾う。そしてそのままドリブルで駆け上がっていく。

 

「ナイス奏ぇ!」

 

全員が虚をつかれ動けない中、紫原だけが沼咲に追いつき、前に立ち塞がる。

 

「本当に速くなったねぇ、紫原。」

 

沼咲は不規則なリズムのドリブルをし、紫原相手にアンクルブレイクを決め、悠々とダンクをした。

 

「くっ…!!」

 

陽泉のメンバー、ベンチを含め全員が驚いていた。紫原が珍しく悔しがる様子、それよりも、紫原が圧倒されていること、しかも3人に。岡村が紫原に手を貸す。紫原はそれを叩いて立ち上がる。

 

「まだ負けてねーし!」

 

「…!?…そうじゃな!」

 

陽泉のメンバーは紫原が折れていないことに安心した。しかし、止める手立てがないのも事実であった。第3Q、青葉青果の勢いは止まらず、海野,沼咲,川崎3人の圧倒的な個人技、舟木,水木のどこから現れるかわからないパスの中継、シュート。5人全員に翻弄された。結果は101対64、陽泉は近年見たことの無いレベルで圧倒されていた。最終Qに突入する…。




いかかでしょうか?
試合を書くとなると少し長めになりやすいんですが、語彙力が乏しいので、文量のわりに薄い内容になってしまうのはご容赦ください。
次回の投稿は5月5日(水)18:00です。GW最後の投稿になります。
お楽しみに。
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