みなさんはGWどうお過ごしでしたか?
私は仕事関係で少しバタバタしておりました。新しい上司と上手くやっていけるか不安です。。。
コロナはいつまで続くんでしょうね?
私の予想は最低でも1年、最大は予想つかないです。
では、どうぞ!
第3Qが終わり、101対64で青葉青果がリードしていた。2分のインターバル中、青葉青果は変わらずに余裕の表情でいた。しかし、全員に疲れが見え始めていた。その中で、沼咲のみ、余裕綽々としていた。桑田が口を開く。
「良くやった。蒼を下げて優馬を入れる。ポジションは第1Qと同じ、蒼がいたSGに奏が入れ。」
「「「はい…。」」」
全員返事はするものの、疲れからか、声はあまり出ていなかった。沼咲が口を開く。
「俺、本気でやっていいすか?」
その言葉に全員が驚く。しかし、海野と川崎は笑っていた。桑田が問う。
「本気?」
「いやまぁ、体力のためにも抑えてたんすけど、最後の10分ぐらいなら持つかな?って。その間にみんな回復しといてよ、最後の1,2分は皆でやろう。あっ、でも優馬は20分休んでるからそこそこ動けるだろうけど、休んでていいよ。バレーのときは半ローテで奏と代わってたんだし、体力的にまだキツいでしょ。」
「…!?助かる…?」
沼咲の虚勢を張っているわけでも、嘘をついているわけでもなさそうな表情に驚く。
「わかった、頼む。」
「お願いね。」
海野と川崎はそう言い休憩し始めた。桑田が何かを決めたように口を開く。
「任していいんだな?」
「うん、身体は充分温まってるし、キセキの世代全員が相手じゃなきゃ10分ぐらいはどうにかなるよ。基本的に俺以外は上がらなくて良いよ。ゆっくり動いてなるべく体力回復して。全部俺がやる。」
短い話し合いが終わり、残りのインターバルの時間を休憩に使った。美和が沼咲に寄る。
「茂樹、無茶はしないでね。」
「わかってるよ。」
「久しぶりの本気、期待してる。」
「おう!」
陽泉ベンチでは最後の対策を練ろうとしていた。しかし、紫原がベンチに座るとともに周りを驚嘆させた。
「もーやーめた!誰か代わってよ、どうせ練習試合じゃん。」
「おい、竹刀とれ。」
荒木がキレそうになるのを岡村が制して、紫原の目の前に立つ。紫原が岡村をチラ見する。紫原が口を開く。
「なに?」
──────バシンっ!
岡村が紫原の頬を平手打ちした。元々背が高く体格の良い岡村の平手打ちには紫原もよろける。しかし、すぐに睨み返す。
「痛いんだけど、何なの?」
「練習試合であろうと負けは許されんじゃろが。そして、例え負けたとしても全力で試合をしてくれた相手に失礼じゃ!」
「なにその武士道精神?みたいなやつ。そもそも負ける試合に全力でやるのが意味わかんない。」
「お前が唯一対抗できるんじゃ!悔しいがワシたちでは抑えることすら難しいんじゃ!紫原、お前はワシたちの高校、陽泉高校を勝たせるために入部したんじゃろ!?頼む、力を貸してくれ!!」
岡村が涙を流しながら土下座をする。その姿に青葉青果も含め、体育館にいる全ての人が衝撃を受けた。陽泉高校は秋田県王者、IH,WC両方とも全国優勝の経験を持つ、日本の高校の中でも超強豪校。その主将が4月に入ったばかりの2つ年下の新入部員に頭を下げている。福井は周りの目に気が付き、岡村を立たせる。岡村の目にはまだ涙が溢れていた。
「…ワカッタヨ。分かったやるよ!」
「紫原ぁぁぁぁ!!」
岡村が感動で抱きつこうとする。紫原はそれを防ぐ。
「暑苦しいなぁもう…やられたまま負けるのもやだし、そもそも負けるのもつまんないし、出るよ。」
荒木は岡村の覚悟と、紫原の心の入れ替わりに驚いていた。紫原が荒木の方を向く。
「雅子ちん」
「監督と呼べ!」
「ヘアゴム貸して。」
荒木は自分の予備のヘアゴムを紫原に渡す。紫原は長い髪を後ろにまとめた。全員が荒木の元に集まる。荒木が口を開く。
「第4Q、紫原中心で行く。紫原はなるべくオフェンスに専念してくれて構わない。見た感じ、向こうのメンバーは限界が近い。全員1年生、そして選手は6人。どう頑張ってもあと1,2分程度で全員動けなくなるだろう。そしたら、後は高さで攻めろ。鈴木は隙があったら3Pを打ちまくれ。リバウンドは3人が必ず取れる。」
荒木がそこまで言ったところで審判が笛を鳴らす。
「勝つぞ!!!」
「「「おう!!!!!」」」
陽泉の5人は気合いの入った表情でコートへと戻っていく。それとは逆に、青葉青果の沼咲以外の4人はやる気のない表情でコートへと戻って行った。沼咲は1人、楽しそうにしていた。沼咲が紫原に話しかける。
「あれ?投げ出したのかと思ったけど?」
「うん、そうしようと思ったけどやめた。面倒くさくなりそうだけど、負けるのはもっと嫌なの。」
「やる気満々だね(やべぇな、やる気無くしといてくれよw)。」
陽泉からのボールで始まる。福井がボールをスリーポイントライン手前まで運んだ瞬間に海野が福井のボールを奪い取る。
「なっ…まじかよ。(体力限界じゃねーのかよ。)」
「体力はもう限界ですよ?だからこれだけです。」
すぐに沼咲にパスを送る。陽泉のメンバー急いで自陣に戻る。そこで見たことない光景を見る。岡村が思わず口を漏らす。
「茂樹以外、自陣から動かないじゃと…!?」
沼咲がゆっくり陽泉コートにボールを運ぶ。当然、福井と鈴木が沼咲1人の前に立ふさがる。福井が口を開く。
「舐めてんのかてめぇ…!」
「うん。」
沼咲はニコニコしながら返す。福井と鈴木は沼咲の放つオーラに恐怖を感じた。
(やべぇなこの雰囲気…まさかこいつ…本気で俺ら5人から1人で点を取るつもりか…!?)
沼咲が突然高速のドリブルを始め、福井と鈴木は釣られて前後左右に振られ始めた。
「うん、この感じ。」
急に静止し、福井と鈴木が止まりきれずに脚を崩す。一瞬の静止の直後、急加速で福井と鈴木を置き去りにした。3Pラインの内側には2m×3人が待ち構えている。
「ほらほらぁ!!!」
劉を躱し、両手でボールを持って、シュートの体勢に入る。岡村と紫原が飛んでブロックしようとする。
「えー…と、こうだっけ?」
「なんじゃそりゃ!?」
「これは…!?」
沼咲は飛び上がる瞬間にコートを斜めに蹴り、横っ飛びをした。飛びながらシュートを打つ。そのボールはリングで跳ねながらもゴールに入った。
「あぶねぇー、外したと思ったw」
「沼咲…(今のは青ちんのシュート…と言うかドリブルも青ちんのやつ。でも青ちんよりも突発的でリズムがまるで無さすぎる。)」
「やるのぉ、茂樹。」
「ゴリラと重戦車程度には負けないよっ!」
そう言い残し自陣に戻っていく。紫原と岡村2人揃って怒りを我慢した表情になっていた。紫原が口を開く。
「アゴと一緒にすんなし。」
「アゴ!?ゴリラどこ行った!?てかゴリラもおかしいじゃろがい!」
「うるさいアゴリラ。」
福井が岡村の頭を叩く。陽泉はすぐにリスタートする。青葉青果のメンバーは中に固まっており、福井がボールを3Pライン手前で、海野が福井の前に出る。福井は周りを見渡す。
「(中は密集しすぎてパスカットよくて外に出される。なら…)鈴木!」
福井はサイドの3Pラインでフリーになっていた鈴木にパスを回す。
「おうっ!舐めんなよっ…!?」
パスを貰い、クイックリリースで3Pを狙う。が、ボールを放った瞬間に突然腕が伸びてきてそれを防がれた。その腕を伸ばしたのは沼咲だった。沼咲はそのままボールを拾い、攻め上がっていく。福井は自分の行動を悔いる。
「(くそっ…、あいつあんなに速かったか?中に人数集中させて、外は沼咲の超スピードで追いつくってことかよ!)待ちやがれ!」
1番近い福井が直ぐに追いかける。しかし、沼咲はスピードを突然0にして、止まる。
「なっ…ぐっ!」
福井は全速力からギリギリ止まった。しかし、沼咲は再び加速して福井を置き去りにした。
「なん…だと!?」
福井はそのスピードに足下が崩れ、コートに転がる。その横をとんでもないスピードで走り去る影がもう1つ。紫原であった。沼咲もそれに気づく。紫原は3Pライン手前で沼咲に追いつき、沼咲の動きを止めた。
「ははっ、流石だねっ。」
沼咲は止まった瞬間に、ドリブルの流れからそのまま下投げでボールをゴールに放った。
「くそっ!?」
そのボールは綺麗なスピンをしてゴールへと吸い込まれた。紫原が沼咲に声をかける。
「やっぱり、青ちんのシュートだよね?もしかして、お前は黄瀬ちんと同じ、いや、それ以上の…。」
「いや、違うよ。俺と大輝のスタイルが似てるだけ。ただ違うのは、俺は型にハマった動きの練習を習ったこともしたこともないだけ。」
「なっ…!?」
「もちろん、型にハマったのもできるけど、ちゃんと習ったことはないから全部モノマネよ。第3Qまではそれをやってただけ。」
そう言い残し、自陣のコートへ戻っていく。紫原は驚くとともに、嬉しそうな表情をしていた。キセキの世代の5人は全員が個々のスタイルを持っている、そして全員が自分の才能を主軸にして成長していた。それでも、帝光中では基礎練は一軍でも必ず行っていた。その要因もあって3連覇という記録を樹立させた。自分より才能がある、本気の力でバスケが出来るかもしれない、そのことが紫原を喜ばせた。
福井が再びボールを運ぶ。紫原はゴールより少し離れた場所でパスを要求していた。福井は紫原の何かが吹っ切れた様子に気づき、パスを送る。沼咲が紫原とゴールの間に立ふさがる。沼咲は紫原の雰囲気が変わったことに気づく。
(この感じ…?)
紫原は今までとはレベルの違うドリブルを見せ、ゴール下へと入った。沼咲が叫ぶ。
「全員どけ!」
沼咲は振り切られないようについて行く。しかし、紫原を止めることは出来なかった。紫原がゴール手前で飛び上がる。それに合わせて沼咲も飛ぶ。
「うらぁ!」
紫原は片手ダンクを決め、沼咲を吹き飛ばす。沼咲はコート外に転がった。そして紫原を見上げる。
「(やっぱり…ゾーン!!!)…いいじゃん紫原!」
「絶対負けない!」
他のメンバーも紫原の変わりように気づく。そして全員が確信する、ゾーンに入った、と。凪佐が沼咲に駆け寄る。
「茂樹、俺はほぼ回復してるから手伝おうか?」
そう声をかけた直後に沼咲の様子が変わったことに気づく。沼咲がニヤケながら口を開く。
「いらないよ、残り2分まで休んでて。やっと80%が出せるかもしれないやつが現れた…流石キセキの世代だ。」
ベンチの美和はコート外から真っ先に沼咲の様子に気づいていた。
「咲さん、絶対タイムアウト取らないでください。」
「元々そのつもりだが、どうしてだ?」
「茂樹が…本気になります。」
「!?」
いかかだったでしょうか。
次回で陽泉編は終わりです。
GW終わるので投稿頻度は元に戻して毎週日曜18:00からです。
次回の投稿は5月9日(日)18:00です、
お楽しみに