薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
朝日が差し込む中 囲炉裏の火が尽きようとしていた。辺りに差し込む暗い景色がゆっくりと朝日に代わり部屋の中を照らし出してきた。
「グルル…」
巨大な狼らしきモンスター『ガルク』は目を覚ますと身体を震わせ、自身の目の前に眠る小さい背中を口で揺さぶる。
「……ん?もう朝か…?」
揺さぶられた影はゆっくりと身を起こす。細身ながらもその身には分厚い筋肉が積まれていた。だが、それに対して朝日の光に照らし出された顔は女性と見間違う程の中性的であった。背中まで長く伸びたボサボサな髪を後ろに掻き上げながら少年は目を覚ます。
「ふわぁ…おはよう『ハチ』」
「ワン!」
ハチと呼ばれたガルクは嬉しそうに返事をすると、撫でてもらいたいが為に起き上がった少年に顔をおしつける。
「やめろ…後でたっぷり遊んでやるから」
すると、ガルクと同じベッドで寝ていた猫らしき獣人も目を覚ます。
「よく寝たニャ〜」
猫に似ているが、当たり前のように二足歩行をする獣人の名は『アイルー』人間と最も距離が近いモンスターと言ってよい。
「あ!ゲンジもう起きてるのかニャ!?」
「当たり前だろ。今さっきに起きたぞ『ミケ』」
ミケと呼ばれたアイルーは悔しそうに唸る。一方で起きた少年は自我を目覚めさせるかの様に両頬を2、3回叩く。
「さてと、顔でも洗うか」
少年…ではない。青年ハンター『ゲンジ』は立ち上がると、その場を後にする。
ーーーーーーー
「ふぅ…」
家の後ろにある川にて、次々と髪を洗い身を清める。そして、身体を洗い終えると、タオルを取り出して体についた水滴を拭う。
「……こんな感じか」
身体はまだしも、まだ水滴が残っている髪をそのままにしながらもその少年はタオルをその場に放り投げる。こんな生活を毎日続けていれば髪も天然パーマをかけたようにボサボサになるだろう。だが、何故か彼の髪はクセが少ない。なぜだろうか、
すると
「は〜い。ちゃんと拭きましょうね〜♪」
「!?」
突然 視界が暗くなると、背後から何者かにタオルを頭に被らされ、次々とわしゃわしゃと掻かれる。
「はいお終い♪」
「ぷは!?いつもいつもいきなり現れるのはやめろよ…
______ヒノエ姉さん
そこに立っていたのは片方の髪に髪飾りを付け、巫女服の様な彩りと形状の装備を纏っている美しい女性だった。
「だってゲンジったらこうでもしなくちゃ髪にクセがついてしまうでしょ?可愛い顔なんだから髪もちゃんと手入れしなくちゃ」
そう言いヒノエと呼ばれた女性は微笑みながらゲンジの頭を撫でる。彼女はゲンジよりも背が高い為に他者から見れば完全に姉弟にみえるだろう。
「よ〜しよ〜し♪」
ヒノエは頬を紅潮させるとゲンジを抱き締め、頭を撫で始める。それに対してゲンジはだんだんと男としてのプライドが傷つけられると共に羞恥心を感じたのか引き剥がそうとするも、上手く引き剥がす事ができなかった。
「は・な・れ・ろ!!」
「ヒノエ姉様。ゲンジをからかうのはそこまでに」
すると、ヒノエの背後にもう1人の女性が現れる。ヒノエと瓜二つの容姿に加えて来ている巫女服も同じであった。
「ミ…ミノト姉さん…まで」
「おはようございますゲンジ。今朝も姉様と相思相愛のようですね…?」
「違う!」
現れたのはヒノエの双子の妹であるミノトであった。太陽のように明るいヒノエに対してミノトは月の如く静かだった。
「そんなことより、里長がお呼びです」
「フゲンさんが?」
ーーーーーーーー
ヒノエとミノトに連れられながら着いた場所は大きな屋敷であった。
そこで待っていたのは大柄な体格を持つ筋骨隆々の白髭を生やす男だった。
「待っていたぞゲンジ」
「よぅフゲンさん」
この男はこの『カムラの里』を纏める長『フゲン』である。人生の折り返しの歳であるにも関わらず、その肉体は全盛期を保ち続けていた。
ゲンジは軽く挨拶すると呼び出した詳細について尋ねた。
「で?要件はなんだ」
「うむ。たった今、文が届いてな。『百竜夜行』が近々に起こる事が確認された」
「…いよいよか」
百竜夜行。それは多種多様なる凶暴なモンスターが束になり村へと押し寄せてくる大災害の名だ。事が起きたのは50年前だ。里に大量の大型モンスターが次々と襲いかかり里を壊滅状態へと陥らせたらしい。
その上、中には通常の大きさを遥かに凌駕した『大物』と呼ばれるモンスターや『ヌシ』と呼ばれる希少種や古龍種に継ぐ超特殊個体といった得体の知れないモンスターも混じっている故に並大抵のハンターでは対処する事が不可能なのだ。
だが、ゲンジはそんな事など気には止めない。腕の骨を鳴らし始めており、全身から闘気が溢れ出ていた。
「随分と張り切っておるな」
「…別に。警戒はしてる。モンスターが束になって攻めてくる事態は初めてだからな。コイツで対処はしてみせるが」
そう言いゲンジは背負っている双剣『破岩双刃アルコバレノ』を取り出す。この双剣は【砕竜ブラキディオス】と呼ばれる爆発する粘菌を操るモンスターの中でも全盛期の実力を持った強力な個体の素材から作り出された双剣である。G級ハンターの中でも上位の実力が無ければ討伐する事が難しいとされており、この素材から作られた武器を持っているハンターは世界に数十人程度しかいない。
すなわち、ゲンジも数少ないG級ハンターの一人なのだ。
「でも安心しろ。命を助けてもらったから義理は通すつもりだ。モンスターの相手は全部俺に任せろ」
「相変わらず頼もしい限りだ…。近々砦に遠征する事になるだろう。そのときは頼んだぞ」
「あぁ」
その後、ゲンジフゲン達と別れ宿に戻ると、武器の手入れをする。
ブラキディオスの武器は粘菌が付着している為に爆発させないように丁寧に手入れをする事が必要だ。
「ふぅ…」
一段落つき、汗を流したゲンジは汗を拭き取る為にタオルを頭に被る。そんな中、ふと部屋を見渡すと今でも愛用しているシルバーソルの装備が目に入る。
「…」
改めてゲンジは思い出した。自身がなぜこの里へと辿り着いたのかを。
ーーーーーーーーーーー
ゲンジがG級ハンターになってから僅か4年。彼が21歳の時であった。
「ふぅ…ようやく完成した…」
身に纏うは銀色に基調されたフォルム。所々に突出したシルエットに背中には翼。外見からはかの空の王者リオレウスを彷彿とさせるが、この装備は通常種の素材ではない。亜種よりも更に目撃例が少ない上に下手をすれば古龍よりも珍しいとされる『希少種』の素材から作り出された装備なのだ。
「私も…お揃いだね」
そしてもう一人。顔の作りがゲンジと瓜二つで、髪型をボブカットにしている青髪の少女。彼女の名は『シャーラ』ゲンジの双子の姉である。彼女もまたゲンジと同じシルバーソル装備を身に纏っていた。
「おめでとう!!ゲンジ!シャーラ!」
すると、手をパチパチと鳴らしながら二人を祝福する女性がいた。その女性は喜び満面の笑みを浮かべながら2人を抱き締める。
「お姉ちゃんは嬉しいぞ!!」
彼女の名は『エスラ』ゲンジとシャーラの2つ年上の姉であり、金火竜『リオレイア希少種』の装備を身に纏う女性ハンターだ。
だが、彼女は全てを揃えられている訳ではない。腕を見るとまだ胴体の装備を着用する際のレザーがはみ出している。
即ち、彼女はまだ腕の装備を作れていないのだ。
「私も早く揃えないとな!」
「その時は俺達も手伝うよ」
「私も。姉さんの装備も早く揃えたい…」
「弟に妹よ!!愛してるぞぉ!!!」
2人の妹と弟の言葉にエスラは歓喜するとまたもや2人を抱き締める。
カムラの里に来る前、ゲンジはこの2人の姉と共に腕が立つG級ハンター『金銀姉弟』と呼ばれていた。それだけではない。
『暁のエスラ』『宵闇のシャーラ』さらに『薄明のゲンジ』といった異名も付けられていた。
このように彼女達の仲は円満であり、喧嘩も度々起きるもののそれでもすぐに仲直りしてしまう。
だが、ある日に事件は起きた。
ゲンジ【薄明】
年齢:21歳
身長:155 cm
好きなもの うさ団子 こんがり肉 ヒノエの唄
装備:シルバーソル一式
武器:破岩双刃アルコバレノ(後に変更)
G級(マスターランク)へと到達しているハンターであり、双剣を多彩に使い回す。中性的な顔で身体も細身ながらも筋肉は発達している。
見た目が災いとしてヒノエとミノトからは子供扱いされている。あと怪力
ヒノエ
身長 165
カムラの里の双子の受付嬢であり、姉に当たる。ハンターではないものの、百竜夜行の際に武器は弓を扱う。里の者は皆家族と決めており、誰にでも笑顔を絶やさない。
ゲンジ以上の大食いであり、一日必ず50本もウサ団子を食べるらしい。
弟分としてゲンジを可愛がっている。
ミノト
身長165
ヒノエの双子の妹であり、ヒノエと対して沈黙した雰囲気を漂わせている。武器はランスを扱う為、かなりの怪力。ヒノエと同じく里の皆を家族と思っており、ゲンジの事も弟のように思っている。
エスラ
身長168
ゲンジの姉であり、金火龍『リオレイア希少種』の防具を纏っている。妹のシャーラと共に金銀姉妹という異名で通っており、数少ないG級ハンターの一人である。妹と弟を溺愛しており、一日一回は両者にキスする事を習慣漬けにしている。ゲンジに嫌われると大泣きするらしい。
シャーラ
身長155(成長中)
ゲンジの双子の姉であり、銀火龍『リオレウス希少種』の装備を纏っている。姉と同様にゲンジの事を溺愛している。