薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
水没林にて無事に調査隊を発見し、捜索隊と合流したゲンジ達は里へと帰還した。
「やぁやぁ3人とも!ご苦労であったでゲコ。無事に調査隊が見つかった様で何よりじゃ!」
夕方だというのに陽気に出迎えてくれたゴコクにゲンジは頷く。ミノトも無事であった事に安心しながらクエストの達成手続きを行う。そんな中、ゴコクは何かを思い出したのか、懐から一枚の手紙を出した。
「そうじゃエスラよ。お主に手紙が届いておるぞ。“古龍観測所”から」
「ほぅ?ようやく返事が来たか」
エスラはその手紙を待っていたかの様な笑みを浮かべると受け取る。封筒を剥いで中身の手紙を取り出すと、エスラはじっくりと読み込む。
その様子を邪魔しない様にミノトはシャーラとゲンジに小声で話しかけた。
「古龍観測所に知り合いがいたんですよね?」
「あぁ。『ヒューム』っていうハンターだ。エスラ姉さんの親友らしい」
「あんまり話したことないけど」
その一方で エスラは黙々と届けられた文面を読んでいく。そんな中、読み終えた瞬間 エスラの顔が手紙から離れる。
「…!」
その顔からは珍しく汗が流れていた。
「成る程な…」
「何と書いてあった?」
「ヒューム殿は砂原でこの古龍を見掛けたらしい。口から何かを吐き出した瞬間に暴風が吹き荒れ、その場に居合わせたモンスターが恐れる様に大移動を開始した様だ。しかもそれは以前の百竜夜行の数日前だ」
「なんと…!!!」
読み上げられた文面にゴコクは驚愕する。そしてそれを聞いていたゲンジ、シャーラ、ミノトも驚いた。
「つ…つまり百竜夜行というのは…!」
恐る恐る尋ねたミノトにエスラは頷く様に答えた。
「あぁ。『人里を狙いモンスターが押し寄せる災害』ではない。『一体の古龍に恐れたモンスター達の大移動』だ…!!ようやく謎が解けたよ」
この数百年間解かれることの無かった大災害『百竜夜行』の謎が遂に判明したのだ。そして、古龍観測所にて得たこの情報も本部に報告されているだろう。その内このギルドにも届く筈だ。
「照会もしてねぇ情報をよくアッサリと部外者に漏らしたな…」
「ハハッ。まぁ私達を信用してくれている証拠だろ。彼らしいよ。少なくともこれはフゲン殿には話しておこう」
そう言いエスラは詳細を伝えるべくフゲンの元へと歩いて行った。
「アマツマガツチやクシャルダオラ以外にも風を操る古龍がいるとは驚いたな…」
「まさしく新種となるでゲコ。謎が解けるのは嬉しい事じゃが、あの古龍が原因となると複雑でゲコな…」
古龍は正に自然そのものを体現した存在。謎が解けたという事はあの古龍を打ち払わねばならない。奴らが相手となればそれは激しい闘いとなるだろう。だが、里を守るためには闘いは避けられぬ諚である。
皆は皺を寄せる。
「俺達はそろそろ戻るよ」
「ふむ。また詳細が来たら伝えるでゲコ」
ミノトとゴコクは歩いていく2人を見送った。
◇◇◇◇◇◇
ゲンジは集会所を出る。エスラはまだフゲンと話している最中であるだろう。
「お腹空いたしウサ団子でも食べよっか」
「そうだな」
ヨモギの茶屋は夕方は静かであった。けれども、里の何人かはおやつの為なのか、ウサ団子を購入していた。
「あ!お〜い。ゲンジさんシャーラさんお疲れ様〜!」
いつも相変わらずヨモギは2人を見つけると天真爛漫に手を振りながら出迎える。その雰囲気に癒されながら2人は手をあげて軽く会釈すると、ウサ団子を注文する。
「ヨモギちゃん。ウサ団子を…えぇと…」
「ミノト姉さんとシャーラ姉さんとエスラ姉さんと俺の分で12本、ヒノエ姉さんの分で20本だから32本頼む」
「そっか」
涼しい顔で注文しているが、1人だけ明らかに本数がおかしい。もはやヒノエの大量注文は里の全員が熟知してしまったのか、驚かなくなってしまった。
「は〜い!後で届けるから待っててね!」
「分かった。じゃあ広場で待つか」
「うん」
団子が届くまで暇な為にゲンジとシャーラは広場へと向かっていった。