薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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共鳴

___対は何処…対は何処…

 

 

頭の中に流れるはあの古龍の悲しみと焦燥に駆られる声。それはまるで早く巡り会いたいと願う乙女の様であった。

それと共に流れてくるのは恐れる声。

 

___我ら共に…かの恐ろしき龍を討ち祓わん。

 

次々と叫ぶように鳴り響いてくる声。その声に胸が締め付けられそうになる。

 

その時だ。

 

 

__さん!!__姉さん!!ヒノエ姉さん!

 

聞き覚えのある声が聞こえてきた。1人だけじゃない。

 

_ヒノエさん!

 

2人の声が自身を呼んでいた。その声を聞くたびに自身を締め付けていた“何か”がほつれ、そして打ち消されるかの様に古龍の声と共に消えていった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

気付いた時には目の前にゲンジとシャーラの顔があり、水晶の様に突き通る青い目でヒノエを見つめていた。

 

「ゲンジ…シャーラ…」

 

朦朧とする中ようやく思い出した。自身は“共鳴”したのだ。あの古龍と。

 

「私は…」

 

「あぁ。共鳴していた。俺達が着いた時にはもう目があの時のようになってたぞ。何度呼びかけても答えない程にな。身体に異常はないか?」

 

ゲンジに現在の体調について問われるとヒノエは自身の手を何度も握る。共鳴したとしても特に異常はなかった。あるとすれば空腹感であろうか。

 

「特に…ありませんね。いつも通りです」

 

「そうか…よかった」

ヒノエが無事である事を確認するとゲンジは大きく息をついた。その動作からヒノエは自身の事を本当に心配してくれた事を読み取った。

 

「すいません…。ご心配をおかけしてしまって」

 

「いいよ。ヒノエさんが無事ならよかった。ね?」

 

「あぁ。だが…これは報告しなきゃな…」

 

◇◇◇◇◇◇

それからゲンジとシャーラはヒノエの左右に腰を掛けると、共鳴の際に聞こえた声について尋ねた。

 

それについて、ヒノエは聞こえた事を全て話す。対を探し求める声。そして…ゲンジの中にいる恐暴竜に怯える声。それを“対”へと打ち払おうと呼び掛ける声を。

 

「つまり…アイツらは俺に敵意を抱いてるって事か」

 

「そうなります。あ、だからといって出て行こうとしたら怒りますよ?」

そう言いヒノエはすぐさま自身を逃さないかの如く腕を掴んでくる。

 

「そこまで考えてねぇよ…」

ゲンジは気圧され即座に否定する。だが、その考えが決して浮かばなかったという訳ではない。自身が遠くへといけば、あの古龍と“対”は自身を目指してくるのでカムラの里から離れる事となる。けれども、それをする程の勇気はない。

 

「共鳴についてはわかった…。それと、あの古龍をみたヒノエ姉さんには話しておく」

 

ゲンジはヒュームから得た情報をヒノエへと話した。百竜夜行の原因があの古龍の巻き起こす暴風である事を。それを聞いたヒノエもミノト達と同じく複雑な表情を浮かべる。

 

「百竜夜行の原因があの古龍…そうだったのですね」

 

「あぁ。ヒノエ姉さんが共鳴したとなると奴も近くにいるだろ。そうなれば討伐依頼もすぐに出される」

 

謎は解けた事は良い。だが、問題なのは相手が古龍である事だ。もしも対峙するとなるとゲンジの理性が持つかどうか分からない。

ヒノエは表情を曇らせながらゲンジに問いかける。

 

「ゲンジは…依頼が出されれば討伐に向かうのですか?」

 

「…あぁ」

それに対してゲンジ何の迷いもない表情で頷いた。そうなれば、確実にゲンジの中に眠る恐暴竜が表面へと現れてしまうだろう。

 

「というか…どのみち行かなきゃならねぇ。奴らが俺を狙っているなら、いつ、里に襲ってくるか分からねぇ」

 

そう言いながらゲンジは首を鳴らす。ヒノエの共鳴にてあの古龍が自身を狙っているならば自身が出向かなかればならない。万が一、出向かなければ、下手をすれば今度は百竜夜行を里に直接ぶつけてくる可能性もあるのだ。

 

そうなればもう成す術がない。故にゲンジは自身の体内にいるイビルジョー が目覚める事に加えて古龍と対峙する覚悟を決めていた。

 

 

すると

 

「お〜い!ゲンジさんシャーラさん!ご注文のお団子32本お待たせ〜!」

 

茶屋からリヤカーに乗せられたウサ団子を運んでくるヨモギの姿が見えた。

 

「あ、ありがとうヨモギちゃん」

 

「お気になりなさんなって!ではごゆっくり!」

 

ヨモギがシャーラに手を振りながら茶屋に戻っていくと、ゲンジはヒノエの分である20本のウサ団子を前に置いた。ヒノエは自身の前に置かれた大量のウサ団子を見ると再びゲンジへと目を向けた。

 

「必ず帰ってきて…また一緒にウサ団子を食べてくれますよね?」

 

「あぁ」

 

先程と同じく何の迷いもない目を向けられた事でヒノエの中にある不安が少しだけだが和らいだ。

 

「なら安心できます」

 

それと共に曇っていた表情が晴れ、再び太陽のような笑みが戻りいつものヒノエへと戻った。ヒノエはゲンジの頭を抱き寄せると頬に口付けをする。

 

「約束ですよ?」

 

「…う…うん…」

 

その場面を横から見ていたシャーラはやれやれと首を振りながらウサ団子を口にした。

それに続くようにヒノエとゲンジもウサ団子を頬張る。

 

「ウサ団子、ご馳走様です。私が食べ終わるまで側にいてくださいね?」

 

「い…いいぞ」

 

「シャーラも」

 

「うぇ!?私も!?」

 

その後 3人は沈み行く夕陽を眺めながらウサ団子を口にした。

 

 

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