薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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百竜夜行の正体そして駆けつける者達

その後 ゲンジはヒノエをシャーラに任せるとフゲンとゴコクのいる集会所へと向かいヒノエが共鳴した事を報告する。

 

「なに!?ヒノエが!?」

 

「あぁ。すぐに収まったがな」

 

報告を受けたフゲンとゴコクは驚き、ミノトは手に持っていた書類を床に落としてしまった。

 

「姉様は無事なんですか!?」

ミノトは本を落としながらもカウンターから飛び出して、ゲンジの両肩を掴み問い詰める。それに対してゲンジは頷く。

 

「体調や食事に関しては問題なく取れてるが、一応 ゼンチさんを呼んで今は見てもらってる」

 

「そ…そうですか…。無事で何よりです」

 

それを聞いたミノトは少し安心したのか、再び仕事へと戻った。

 

「しかしヒノエが共鳴したとなると…奴も近くにいると言う事でゲコね」

 

「そうなりますな…。ゲンジよ。俺としてはお前を出撃させたくないと考えているが、どうなんだ?」

 

フゲンはゲンジへと問う。フゲンもゲンジの秘密を知っているのだ。前のような苦しみを味合わせたくない。そう思いながらフゲンはゲンジに出撃を勧めなかった。

 

それに対してゲンジは応えた。

 

「いや俺も出る」

 

「何故だ?わざわざ傷を抉る事になるんだぞ?」

 

フゲンの言葉にゴコクもミノトも頷く。だが、どうしてもゲンジには出撃しなければならない理由があった。それは共鳴した際にヒノエが聞いた言葉であった。

 

「あの古龍は共鳴した際にこうも言っていたらしい『恐ろしき龍を討ち払わん』…と。そうなると奴らは俺を狙っているという事になる。このまま俺がここに残れば奴らは俺を目指して里に来るだろう」

 

里に来るとするならばゲンジも出撃させた方が賢明だろう。だがその反面ゲンジの精神に負担が掛かってしまう。フゲンは苦渋の末に出撃を頼んだ。

 

「そうか…なら、今回もお主に頼らせてもらう…。すまないな」

 

「あまり思い詰めなくていい。これは俺が決めた事だ」

 

それからゲンジは仕事を終えたミノトと共に自宅へと戻った。ミノトはやはり共鳴を起こしたヒノエを心配していたのか、帰って早々泣きついたようだ。

 

◇◇◇◇

 

数日後 遂にギルドから古龍と百竜夜行についての書状が送られてきた。

 

集められたゲンジ達にフゲンは詳細を伝える。

 

「やはりエスラの友人の内容通りだ。あの龍が暴風を発生させた事で周囲のモンスター達が恐れるように大移動を開始した。

追い立てるモンスターをギルドは『風神龍 イブシマキヒコ』と名付けた」

 

「イブシマキヒコ…」

頭に刻み込む様にゆっくりと名前を繰り返しながら呟くと同時にゲンジの額から毛細血管が湧き立つ。

 

「…覚えたぞ…」

 

それと共に拳を握り締める。

次々と溢れ出てくるのは果てしない『怒り』

自身を迎え入れてくれた里を数百年間苦しめていた災害の原因である上に嫁であるヒノエを苦しめた存在の名前が判明された事で沸き上がったのだ。

 

「報告によると、数日前 大社跡の上空を飛行している姿を調査隊が発見したようだ。だが、すぐに乱雲の中に姿を消してしまったらしい」

 

「ッ……場所が分からなきゃどうする事もできねぇか」

 

ゲンジは拳を自身の掌に叩きつける。

正に迅速であった。現れては消え現れては消え、何度も暴風を起こしイブシマキヒコはモンスターを追い立てている。

そうなれば討伐の仕様がない。このまま百竜夜行を退け続けたとしても、イブシマキヒコの命を絶たなければイタチごっことなるだろう。

 

だが、フゲンはそれを否定する。

 

「いや、それに関しては問題ない。実と言うと生態が判明と共にこの数ヶ月以内に百竜夜行が起こる事が予測された」

 

「「「!?」」」

 

その知らせに一同は驚く。今度は何と1ヶ月も経たない内に予言されたのだ。

 

「この混乱に紛れ、奴も姿を現す。そこが叩くチャンスとなるだろう」

 

「なるほどな…」

 

百竜夜行に生じて現れるとなると砦での戦闘は不可避となるだろう。そうなれば里の皆 総出で迎撃に向かわなければならない。

 

「だが、イブシマキヒコが直々に出向くとなると、百竜夜行の規模も一線を画すのではないか?」

 

エスラの問いにフゲンは頷く。

 

「あぁ。リスクは前回とは比べ物にならないだろう。だからお主ら以外のハンターにも協力を頼むつもりだ。そのハンター達がモンスターを食い止めている間に3人にイブシマキヒコを討伐してもらいたい」

 

フゲンの判断は賢明と言える。G級ハンターであったとしても、3人に加えてフゲンやヒノエ達だけでは大量のモンスターは手に余る。

 

「けど、今の里にそこまでハンターはいないだろ」

 

そうだ。前回の百竜夜行が終わってから参加した全てのハンターの内、80%は次の拠点へと向かっていってしまった。残っているのはフゲンと共に太刀を扱ったハンターと大剣を振るったハンターだけである。

 

ゲンジの意見に対して、フゲンは「心配するな」と落ち着かせる。

 

「今回は他の村に協力を頼んだ。…そろそろ来る頃だな」

 

「え?」

 

他の村。それを聞いたゲンジはある人物を頭に思い浮かびあがらせる。

 

「まさか…」

 

その時だった。

 

「すいません。遅くなりました」

 

入り口から一人のハンターの声と共に複数のハンター達の足音が聞こえてきた。その声を聞いたフゲン、ゴコク、ハモン、ウツシ以外の皆は入り口の方へと顔を向ける。

 

「「…!!」」

振り向いたゲンジ、エスラ、シャーラの3人は驚きの表情を浮かべた。

歩いてきたのはインゴットSシリーズを身に纏いスラッシュアックス『王牙剣斧【裂雷】』を背負うやや長身の青年ハンターだった。

 

「トゥーク!?」

 

「よぅ。久しぶりだな3人とも」

 

先頭を歩きながらゲンジ達に軽く会釈したハンターは何と負傷し療養をとっていたトゥークだった。

 

「私もいますよ〜!」

 

「ご無沙汰してますゲンジさん」

それと共にヒョコッとトゥークの背中からユクモSシリーズを纏いガンランスを背負うティカルとチャナガSシリーズを身に纏い太刀を背負うジリスが現れた。

 

「里長…この方達は?」

 

見た事もないハンター達と挨拶を交わすゲンジ達を見てミノトはフゲンに尋ねる。

 

「ユクモ村のハンター達だ。トゥークというハンターに助力を頼み来てもらったのだ」

 

「えっと…一緒にいる方達は?」

 

「恐らく『弟子』だろう。何人もの弟子を抱える敏腕ハンターだと聞いている」

 

「な…なるほど」

 

この人数で訪れるのはフゲンでも予想外であったらしい。すると、エスラ達と挨拶を交わしていたトゥークがこちらへ向けて歩いてくると、頭を下げた。

 

「初めまして。ユクモ村専属ハンターの『トゥーク』です」

 

「里長の『フゲン』だ。嵐龍の件…協力できずに済まなかったな」

 

フゲンはゲンジが来たと同時期にユクモ村を襲ったアマツマガツチの対応に助力出来なかった事を謝罪する。

 

「いえ。気にしないでください。百竜夜行の方でそちらも大変だったでしょう。俺達ユクモ村のハンター一同 カムラの里を守るために全力で協力します」

 

「うむ。よろしく頼む」

フゲンとトゥークは互いに手を交わした。

 

 

 

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