薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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カムラとユクモの交流

辺りが垂直の壁に囲まれ、その中心部には試し斬りのような形で用意されているヨツミワドウを模したカラクリ。

本物の狩場を想定した造りにトゥーク達は目を奪われる。

その後、送れる様にゲンジ達も到着した。

涼しい風が吹き荒れる中、改めてユクモ組とカムラ組は向かい合う。そして皆をまとめるかの様にウツシが切り出した。

 

「では訓練と行きたいところだが、俺はもちろん、君達の中には互いに初対面の者もいるだろう。まずは自己紹介をして互いを知るべきだ。ではまずはゲンジ君から!」

 

「久々の出番だからって張り切りやがって…えぇと」

 

最初となったゲンジは皆へと目を向ける。向けられる目線に照れる中、自身の名前を名乗った。

 

「…初対面の奴は初めまして。俺はゲンジだ。双剣を使う。よろしく…」

 

「ふむふむ。最初にしては出が悪いですね」

 

「うるさい」

ヒノエからの冷静な分析にゲンジは苛立ちながらも返すと、次々とカムラ組はエスラ、シャーラといった順番で自己紹介をしていく。

 

「私はエスラだ。希少種の事なら何でも聞いてくれ。ライトボウガンを使う」

 

「シャーラ。ゲンとは双子の姉弟で同じ双剣を使う…よろしく」

 

「カムラの里の受付嬢を務めさせていただいているヒノエと申します。ミノトとは双子で私が姉にあたり弓を使います。以後お見知り置きを」

 

「ミノトです。ご紹介の通りヒノエ姉様の双子の妹でランスを使います。集会所の受付も務めさせていただいておりますので以後お見知り置きを」

 

髪飾りでしか判別出来ないほど似通っている双子の姉妹はブレる事のない綺麗なお辞儀を同時にする。受付嬢も武器を取り出撃する前代未聞の事実にユクモ組の皆は驚くのは言うまでもないだろう。

 

カムラ組の紹介が終わると今度はユクモ組からだ。先頭のトゥークから自己紹介を始める。

 

「俺はトゥークだ。スラッシュアックスを使う。できるだけ百竜夜行までには翔蟲をマスターしたいと考えている。よろしく頼むよ」

 

「トゥーク師匠の一番弟子『ティカル』と申します!ガンランスを扱います!百竜夜行ではお役に立てる様に頑張りますのでよろしくお願いします!」

 

「同じく弟子のリオです。太刀を使います。よろしくお願いします」

 

「同じく弟子のジリスと申します。リオは私の兄であります。兄妹共々、里のために力を尽くします」

 

「僕もトゥーク師匠の弟子のセルエだ!ランスを使う!よろしくな!」

 

互いに自己紹介を終えると、ウツシが手を叩きながら皆の目線を集める。

 

「はいそれでは!自己紹介も終わった事なので今から翔蟲の訓練を始めよう!」

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

翔蟲を二体ずつ渡されたユクモ組。まずはウツシが翔蟲について説明する。

 

「さてさて翔蟲についてだが、言うなれば新しいパートナーと言ってもいい!この子達が出す粘着性の糸『鉄蟲糸』を使い空を飛ぶ事ができる。生き物だからお世話も忘れずにね!」

 

渡された甲虫『翔蟲』が掌に収まる中、空を飛べるという単語にティカル、セルエは目を輝かせた。

 

「へぇ〜!翔蟲ってカッコいい名前だし空も飛べるなんて凄いですね〜!」

 

「これなら高いところもスイスイ行けちまうな〜!!」

 

「おいティカル。教官の話は最後まで聞け」

 

「セルエもです!興奮するのは分かりますが重要な事を聞き漏らしてしまったらどうするのですか!?」

 

興奮する2人を沈めるかの様にトゥークはティカルをジリスはセルエを注意する。注意を受けた2人は借りて来た猫の様に大人しくなった。その様子にミノトはデジャブを感じていた。

 

「んん…。では、まずは実践訓練を始めていこう!」

 

◇◇◇◇◇◇

 

それからウツシによる実践訓練が行われた。その傍らでは万が一何か起こった時の為に対処できる様にゲンジ達も待機していた。

 

「まずは基本的な動きだ。翔蟲の鉄蟲糸を掴みながら手を前に突き出して翔蟲を飛ばす!そうすると翔蟲は糸を出しながら前へ、または投げ方によっては斜め上へと飛ぶよ。その後は粘着性の糸の伸縮によって君たちの身体は自動的に前へ、又は斜め上へと押し出される。以上だよ」

 

そう言いウツシは基本動作を直に見せる。字の通りまさしく空を翔る様子にユクモ組は圧倒された。

 

「因みに翔蟲は連続して使える訳じゃねぇ。一体使うと一定のインターバルが必要になる」

 

「成る程…だから2体なのか。だとしたら空中にいる時間はかなり制限されるんじゃないか?」

 

ゲンジの補足にトゥークは納得するも、質問した。それに対してゲンジは答えた。

 

「それを補うのが、空中でのぶら下がりだ。一体の翔蟲の糸だけでしばらくその場にぶら下がる事ができる。その間に使い終わった翔蟲がまた使えるまで待機する事も可能だ」

 

「なるほど」

 

トゥークが再び納得すると、ウツシは手を叩き皆を注目させる。

 

「さぁさぁやってみようか!」

 

◇◇◇◇◇◇

 

その後 皆の翔蟲を用いた訓練が行われて行った。トゥークは勿論のこと、それに続くかの様にユクモ組全員がクリアしていった。

その様子を見ていたウツシは頷くと次のステップへと進む事に決める。

 

「さて次は難しくなるよ。『鉄蟲糸技』だ!複数の翔蟲を使って特殊な動きでモンスターを攻撃する。取り敢えずゲンジ君達に見本を見せてもらおう!それ以外の武器は俺が見せるから安心しててくれ!」

 

そう言われたゲンジ達は翔蟲を取り出すと、ヨツミワドウのカラクリをモンスターに見立てる。

 

「俺はあまり鉄蟲糸技は使わんが、まぁやっておくか。双剣の場合は二つある。一つは朧掛けだ」

 

そう言いゲンジは手に鉄蟲糸をカラクリに投げつけ付着させるとその弾性力を利用して一瞬で近づき双剣を振るう。

 

「見ての通り朧掛けは至って普通の接近だが、この際の姿勢からモンスターの攻撃に対してカウンターを叩き込める。次は鉄蟲斬糸だ。コイツは爆破するクナイをいくつも鉄蟲糸に巻きつけてモンスターに付着させ、斬りつけた際に爆破させる技だ」

 

そう言いゲンジはクナイを取り出すとカラクリへと突き刺し、次々と乱舞を放って行った。すると、付着させられたクナイが連動するかの様に破裂していく。

 

それでもカラクリには僅かな傷しかできていない。

 

その後はシャーラは抜きとし、エスラ、ヒノエ、ミノト達も次々とお手本として鉄蟲糸技を披露していく。エスラとシャーラは分かるが、ヒノエとミノトの受付嬢には見えない程の逞しく柔軟かつ華麗な動きに皆は魅了されてしまった。

 

「うんうん。では、残りのトゥーク君とティカル君、そして太刀使いの兄妹君達の武器については俺が見せよう!!」

 

ウツシは練習用の武具を扱い、次々と残った武器種の鉄蟲糸技を見せていく。ティカルが扱うガンランスとトゥークが扱うスラッシュアックス。2人はそれを凝視しイメージとある程度の感覚を掴み取る。

 

以上の武器の鉄蟲糸技の疲労が終わるとウツシは再び手を叩く。

 

「ではやってみようか!危ないから周りから距離を取るんだよ!分からなかったら迷わず聞いて!」

 

◇◇◇◇◇◇

 

それからユクモ組の鉄蟲糸技の練習が始まった。

 

「ふぅ…意外と難しいな…」

 

その中でトゥークは慣れない動きに汗を流しながら苦戦していた。スラッシュアックスは重量があるので中々 空中では扱いづらい。一方で、リオやジリスは即座にコツを掴み出しており、ウツシが見せた技を全てこなしていた。

師匠と呼ばれるからには自身もこんな情けない姿を見せる訳にはいかない。

 

「もう一度…!」

 

トゥークはスラッシュアックスを握り締めると、再び鉄蟲糸技を繰り出す。

 

因みに苦戦しているのはトゥークだけではなく、セルエ、ティカルも同じだ。

 

そんな中、ゲンジ達の動向が気になり、ふとその場所へと目を向ける。

 

「アイツは何をやってる……んだ!?」

その景色を見たトゥークは腰を抜かしてしまう程まで驚いていた。

見えたのはなんと、空を舞うゲンジの姿だった。翔蟲を扱い更に空高く飛び上がるとそこから空中にて周囲360度方向に何十回も双剣を振り回しており、その速さは残像が見えてしまうほどであった。そして更に驚いたのは、カラクリに双剣を突き刺し、そのカラクリの機体の線に沿うかのように回転しながら刃を振り回していった。

 

「す…すげぇ…」

元々、G級ハンターなので筋力などは人一倍以上に発達している事は分かっていたが、まさかここまで激しい動きができるとは思っていなかった。

 

「随分と引き込まれている様だね」

 

「ウツシ教官!?」

 

自身がそれに魅了されているのをウツシは見抜いていたのか、気づけば隣に立ち、同じくその姿を見つめていた。

それと共にウツシは解説し始めた。

 

「あれは空中回転乱舞 天と言ってね。俺でも習得するのに時間が掛かったんだ。彼は凄いよ。あれをたった数日でマスターした上に新しい動きも見つけてしまうんだからね」

 

「へ…へぇ…」

トゥークは改めてゲンジの強さと新しい環境への適応度を認識し、驚くどころか引いてしまう。

 

そんな中 ウツシはある事を尋ねる。

 

「そうだトゥーク君。気になっていたんだが、手紙の内容では後もう2人程来ると聞いていたんだけど」

 

それはフゲンへと届けられた文の内容の一部であり、ティカル達に加えてもう2人程、ハンターが来る予定だったのだ。それについてトゥークは申し訳なさそうに話す。

 

「その“2人”は少し遅れるらしいです。すいません…一斉に訓練出来ずに」

 

「いやいや!気にしないでくれ。それよりも訓練に躓いている様だね。分からない事があれば聞いてくれて構わないのだよ!」

 

今まで見てきた教官の中でウツシは一番フランクだ。若いからなのか?それとも元がこんな性格だからなのか?それは分からないが、親しみやすく質問もしやすい良い教官だろう。

故にトゥークは次々と質問して行った。それに対してウツシも隙間がない程の回答を送り、トゥークのサポートをしていく。

 

◇◇◇◇◇◇

 

場面は変わり、ティカルとセルエ。2人はガンランスとランスを扱う為に鉄蟲糸技でも攻防一体なのは変わらない。

 

それを見守っていたのが同じくランスを扱うミノトだった。多少はガンランスの知識もあるためにティカルの質問にも答えていた。

 

「ミノトさん。この動きなんですが」

 

「ここはそうですね。こう言った風に」

 

「ミノト…さん!ここはこうか?」

 

「はい。そうなれば完璧です」

 

ガンランスとランスは他の武器に対して鉄蟲糸技は複雑な動きが無いためにコツを掴みやく、2人も徐々に慣れて行った。

 

途中にウツシも介入した事で、2人はこの日の内に鉄蟲糸技を完璧にマスターする事ができた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

気づけば、既に辺りは日が沈んでおり、山を見ると太陽がゆっくりと隠れるように下へ下へと下降していた。

ゆっくりと暗闇が訪れる修練場にて、

 

「「「はぁ…疲れた…」」」

 

トゥーク、ティカル、セルエの3人はその場で大の字になりながら横になっていた。

 

「まさかこんなに大変だとは…」

 

「思ってもいませんでした…」

 

その一方で、ジリスとリオは教官のサポート無しですぐさまコツを掴み出し短時間でマスターした事でウツシから称賛されていた。

 

「はい!今日の訓練はおしまい!明日は壁走りをするからちゃんと休んでおくんだよ!」

 

「「「「ありがとうございました…!」」」」

 

ウツシの終了の合図にユクモ組の皆は頭を下げる。すると、ウツシはその場から軽快な動きで去って行った。

 

「では!ウサ団子でも食べにいきましょうか!」

 

「「「「え?」」」」

 

ヒノエの提案にユクモ組のトゥーク以外の皆は首を傾けた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

修練場から戻ったユクモ組はカムラ組のヒノエの案内の元、ヨモギの茶屋へと向かった。

 

「ウサ団子…聞いたことはありますが食べた事はありませんでしたね…」

 

「僕は一度 取り寄せて食べた事があるけど本当に美味しいよ」

 

「へぇ〜!そうなんですね!」

リオの言葉にティカルは目を輝かせる。

 

ヨモギの茶屋へと到着すると、そこには2体のアイルーがセッセと餅を炊いていた。

そしてその前には1人の和服を纏った少女『ヨモギ』の姿があった。

 

「あ!お〜い!ユクモ村の皆さんいらっしゃ〜い!」

 

ヨモギはユクモ村の皆を見ると陽気に手を振りながら出迎えた。

 

「ここの団子はデカイから3本1セットで腹が膨れるんだ」

 

「そうなのか。お前が持ってきてくれた奴もメチャクチャデカかったもんな…」

 

ゲンジの言葉にトゥークはあの日、差し入れとして持ってきてくれたウサ団子を思い出す。完食にまさかの十分も掛かってしまった。

すると、ヨモギは皆の前へと降りてくると中腰となり片手を前に差し出しながら自己紹介をし始めた。

 

「はじめまして!茶屋の主人『ヨモギ』でございます!以後お見知り置きを!」

 

「お…おぅ」

 

その初めて見る挨拶の仕方にティカルとジリスとセルエ以外の皆は驚きながらも名を名乗った。

皆の名前を聞いたヨモギは改めてよろしくと頭を下げると筆と紙を取り出した。

 

「ではではユクモ村の皆さん方!にゲンジさん達!どうぞご注文を!」

 

「じゃあヒノエ姉さん以外の人はウサ団子1セット。ヒノエ姉さんは5セット」

 

「「「!?」」」

 

皆を代表して注文を行ったゲンジ。だが、ユクモ村の皆はその数に驚きを隠さなかった。

皆は1セット。即ち3本。これは分かる。だが、1人だけ5セット即ち15本という何とも不自然な数を頼んでいた。『3本で腹一杯になる』なのに1人だけその5倍の量を食そうとしていたのだ。

 

「承りました〜!」

 

それを何とも思わず引き受けたヨモギは、ウサ団子の準備に取り掛かる。

 

「えぇと、ゲンジ。ヒノエさんが5本セット?」

 

「あれ?足りなかったか?」

 

「いやいやいやいや!!!」

トゥークは何かなんだか分からず、改めてゲンジへと尋ねた。するとようやく理解したゲンジは皆に説明した。

 

「ヒノエ姉さんは大食いでな。毎日50本は食うんだよ」

 

「50本!?」

 

先程の15本でも驚いていたのにその倍以上の数にティカルは腰を抜かしていた。一方でヒノエも自覚があるのか、ゲンジの横で微笑んでいた。

トゥークは改めてカムラの里は技術もしかり、受付嬢もしかり凄い場所であると再認識した。

 

その後、ヨモギから出されたお団子を皆は談笑しながら食した。

 

 




トゥーク 25歳
装備:インゴットSシリーズ 武器: 王牙剣斧【裂雷】

ティカル 23か22歳
装備:ユクモノSシリーズ 武器:クリムゾンルーク

リオ27歳
装備:バギィSシリーズ 武器:凍刃【氷華】

ジリス16歳
装備:チャナガSシリーズ 武器:ヒドゥンサーベル改

セルエ17歳
装備:ルドロスSシリーズ 武器:スパイラルボア
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