薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
トゥーク達が来た日から緊迫した雰囲気に包まれた里も明るさを取り戻し、ヨモギ達も里の皆も着々と準備に打ち込んでいった。そんな日が数日続いた時であった。
ある日の昼、フゲンから緊急の招集がかかる。呼ばれたゲンジ達はすぐさま集会所へと向かい、集まった。そこには里の皆皆もいた。すると、奥からフゲンが一枚の文を持ちながら現れ前に立つ。
「呼び出したのは他でもない。たった今、文が届き近々百竜夜行が起こる事が予測された」
『…!』
その知らせに皆は息を呑み込む。遂に再び訪れた大災害。
「更にその群れの背後にイブシマキヒコの姿も確認された。恐らく此度の百竜夜行は先よりも過酷となるだろう」
それは正に凶報と言える。前回は第二波にてタマミツネやジンオウガといった強力なモンスターが現れたというのに今回はそれ以上かつ元凶であるイブシマキヒコも続いているのだ。
「「「…」」」
辺りには緊迫した空気が流れる。それもそうだ。今回は自然そのものとされる古龍が相手だ。今までとは格が違う。下手をすれば死人がでるだろう。
「古龍が相手か。上等じゃねぇか…!!」
皆が冷や汗を流す中、その空気を断ち切るような豪快な声が響き渡る。
「俺達だけじゃなく師匠もいるんだ。楽勝だよ。な?セルエ」
「おぅ!」
突然としてその場に響き渡る頼もしく猛々しい叫び声。それは拳を合わせるフルガと首の骨を鳴らすセルエの声だった。それに続きククルナも腕と腕を合わせながら骨を鳴らし声を上げる。
「久々に腕がなりますわね…!!師匠もそうでしょう?」
「ま…まぁな…」
すると、ユクモ村のハンター達の声に刺激されたのか、先程まで絶望に染まっていた里の皆も次々と声を上げる。
「そ…そうだ…!!!」
「俺達ならやれるぞ!」
「俺達にはゲンさん達がついてる!!」
皆の顔からはもう災厄に恐れる不安は感じられない。普段ならば絶望に染まるところだが、今の皆には恐れという感情が微塵も存在しなかった。
たとえ前回よりも強力なモンスターが現れようと、里にはゲンジ達に加えて多くのハンター達がいる。更にフルガとセルエの雄叫び。それが皆を活気立てていたのだ。
その様子を見ていたフゲンやゴコク達は頷く。もう何も心配はいらない。
フゲンは安心しながら皆へと呼びかけた。
「明日の明朝に砦へと向かう。準備を怠るなッ!!」
『『『『おおおおおお!!!』』』』
「…」
その後、解散となり皆は生き生きとしながら自宅へと戻って行き準備に取り掛かる。その様子を見ていたフゲン達は里の皆に関しては不安はないと確信した。だが、一つの消しきれない不安要項があった。
◇◇◇◇◇◇
「本当に良いのだな…?ゲンジよ…」
皆が出て行った後にフゲンは残ったゲンジに再び問う。それに対してゲンジは頷いた。
「あぁ。覚悟はできてる」
体内にある恐暴竜の思念の暴走。古龍の標的。二つの運命に板挟みに合っていたゲンジの決断にフゲンは頷いた。
「そうか…」
「気を落とすな。これは俺が決めた事だ。それに、最初の恩義をようやく返せるからな」
今となっては虚空に消えたが、この里に滞在する目的『百竜夜行を終わらせる』というヒノエへの恩義を果たすべくゲンジは決断したのだ。
「だけど一つだけ聞くぞ」
そんな中、ゲンジは眉間に皺を寄せながらフゲンにある事を尋ねた。
「ヒノエ姉さんもつれていくのか…?」
その問いに対してフゲンは黙り込む。ヒノエを連れて行けば間違いなくイブシマキヒコと共鳴を起こしてしまうだろう。そうなればヒノエは更に体調を深く崩し最悪の場合 命に関わる。
「俺としては行かせたくはない。だが…イブシマキヒコの接近はヒノエしか感じ取る事ができん。ヒノエに聞いてみたが、本人は共に行きたいと言っていたな…」
「くぅ…」
フゲンの答えにゲンジは歯を食い縛る。ヒノエを傷つけたくない。だが、彼女がいなければイブシマキヒコの気配を感知できない。視界に古龍が入らなければ自身の恐暴竜も目覚めない。そうなれば必然的に彼女の協力が必要となるだろう。
それに彼女自身が共に行きたいと言っているのだ。自身が口出しして良い訳ではない。
「……分かった」
ゲンジはフゲンの答えに頷くと入り口で待っていたヒノエやエスラ達と共に一時 帰宅した。