薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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変わる日常 そしてミノトの心情

ヒノエに自身の過去を打ち明け、少しだけ胸が軽くなったゲンジは、その日以来から、必ずヒノエと共に団子屋に立ち寄るようになった。

一方で、ヒノエはゲンジから姉として見られるようになったのが満更どころか、相当気に入ったらしく、以前まで敬語であったが、今はタメ口で家族同然のように話すようになった。

 

そんな中で、ゲンジはヒノエに大型モンスターの依頼について聞く。ヒノエはまだ届いていないと言うと、ゲンジは落胆してしまう。そんな様子を見て、ヒノエはある提案をする。

 

「大型モンスターの依頼なら集会所にたくさん来ている筈ですよ。一度 行ってみてはいかがでしょうか?」

 

「そうだな」

ゲンジは最初 ヒノエに案内された集会所へと向かう。

集会所というより、里自体にハンターがゲンジ1人しかいない為に集会所はガラガラであった。

ギルドマネージャーであるゴコクは入ってきたゲンジを見た瞬間 嗜めていた筆の手を止めると、驚きの声を上げながら迎える。

 

「ほほぉ〜?久方ぶりよのぉ。主がここへ来るのは」

 

「ギルドマネージャー殿か。早速だが、クエストをここで受けたい。許可をもらいにきた。ギルドカードは一応持っている」

 

「ゴコクでよい。ふむふむ…」

ゲンジから差し出されたハンターカードを見た瞬間 ゴコクは目の色を変える。ギルドカードに記されているのは直近の狩りの記録の他に、どのモンスターを何頭討伐したかも記録されている。

ゴコクが目にしたのはそのモンスターの一覧だ。

リオレウス希少種を6頭。リオレイア希少種を3頭という強運を匂わせる程の希少種の狩猟実績に加えて、『イビルジョー』や『ブラキディオス』そして『ジンオウガ亜種』といった超強力なモンスターも狩猟していた。

 

「いやはや…さすがじゃな。既にG級に上り詰めておる。HRも問題はないな。主なら今届いておるどの依頼を受けても問題ないでゲコな」

 

ゴコクはゲンジに許可を出す。ゲンジはギルドカードをしまうと、ミノトというヒノエの双子の妹が請け負うカウンターへと向かった。

 

「依頼あるか?」

 

「…」

ゲンジがそう聞くとミノトは何も言わず、ただクエストの一覧表の本を差し出した。

 

「どうぞご自由に」

 

「あぁ」

少し冷たい対応だった。こちらに目を向けず、ただ依頼書を差し出す動作に、ゲンジは不思議に思うも、これが普通と認識し意に介さなかった。受け取った依頼書を次々とめくる。

やはり集会所は依頼の受付が周辺の地域となっている為に、多くの大型モンスターの依頼が届けられていた。なるべくだが見た事がないモンスターに会いたいと思ったゲンジは一枚の依頼書を見つける。

 

「…コイツはいいな」

目をつけたのは見た事がないモンスター『アケノシルム』だった。

ゲンジはミノトに受ける依頼を指さす。

 

「これを受ける」

 

「…」

ミノトは目を向けずに依頼書を取り出す。ゲンジは契約金を取り出すと、ミノトに渡した。

受け取ったミノトは慣れた手つきで書類を作成すると、印鑑をつく。

 

それきりだった。何も自身に目を向けずに。ゲンジはそれを意に介さず、出発口へと向かった。

 

ーーーーーーーーーー

 

私は彼が嫌いだ。

 

初めて会ったのは姉様が彼を運んできた時だった。眠る顔は美しく、声を聞くまではずっと女性だと勘違いしていたほどだ。

だが、ハンターである以上 私は快くは思えなかった。

里に一時期訪れていたハンター達によって、私たちはハンターへの信用を無くしてしまった。もちろん全てのハンターがそのような者ではない事は分かっていた。けれどももう信じる事ができなくなってしまった。

 

その直後に運ばれたのが彼だった。装備は間違いなく上級。里でもツワモノの部類に属するだろう。

2度目に会った時は、彼は澄んだ蒼い瞳を向けていた。美しいと思い、私はその目をじっと見つめていたが、何故か睨まれてしまった。

 

里長から百竜夜行について真剣に聞く姿はこれまで会ったハンターの中では見ない姿勢だった。

けれども、どうしても、私は彼が協力するとは思えなかった。

 

彼がカムラの里に住むと決まった時、私は里長に尋ねた。

 

「何故、彼を…ここへ?」

 

「ミノト。お主がハンターを信用できない理由もわかる。だが、俺は感じたのだ。先のハンターと違い、ゲンジからは覇気を感じる。そして、百竜夜行という名を聞いた時、奴の目は昔の俺のような狩人の目をしていた。それに奴は希少種を狩るほどの腕前を持ち合わせておる」

 

「…だから信じるのでしょうか…?」

 

「そうだ。里の存亡が賭けられている今、天秤にかけたとしたら重いだろう。それでも俺は信じてみようと考えておる。もしそれで賭けが失敗したら俺を憎め…俺もその覚悟だ」

 

「…」

 

もし、彼の言葉が偽りだとしたら、里は今度こそ滅びてしまう。今里には戦える者が限られていた。けれども、本当なら百竜夜行を退ける事ができるかもしれない。

里が守られるのか滅ぶのか。絶望的な2択を前にして私は何も分からなくなってしまった。

彼はギルドから派遣された訳でもない。そうなれば、もう後者は信じる事ができない。

 

更に、聞けば私のヒノエ姉様と共に優雅にお茶を飲む姿を見ると聞いている。それだけで腹立たしかった。里に住まうだけでなく、姉様を誘い茶を楽しむなんておこがましいにも程がある。

 

そんな彼が今日集会所を訪れた。

 

私は目をできるだけ合わせずに対応した。

出発口に向かっていく彼の後ろ姿を私はただじっと見ていた。

 

 

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