薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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迫り来る百竜夜行

準備を整えた里守達は次々と持ち場へとつく。その中でも攻撃の要である剣士タイプの者達は最も危険な場所である中央の道へと立つ。

 

リュウノツガイの片方を肩に乗せながらゲンジはこの場にいないヒノエとミノトについて問う。

 

「フゲンさん。ヒノエ姉さん達は?」

 

「ミノトの警護付きで砦の最奥に待機してもらっている」

 

フゲンの判断にゲンジは頷く。それは良い選択と言っていいだろう。最奥に比べて前線は段差が少ない。仮に途中で共鳴に苦しみ行動が不能となったところを狙われれば命に関わるだろう。

 

すると、モンスターの動きの監視に向かっていたウツシが戻ってきた。

 

「どうだ?状況は」

 

フゲンは戻ってきたウツシに現在の状況を問う。ウツシは頷きながら答えた。

 

「最前列にリオレウス、ベリオロス、アンジャナフ、ナルガクルガ。現在も進行中の模様…更に後方からはディアブロスの姿も確認…!」

 

「ッ…!!」

ウツシの報告に皆は驚くと同時に難しい表情を浮かべた。現れたモンスターは前回の第二波と同等の危険度を誇るモンスターばかりであった。中でもベリオロスはナルガクルガに次ぐ速さとジンオウガに近い体力を持つ厄介な相手である。

 

更に後方から続くディアブロスというモンスターは別名『角竜』と呼ばれており、この4体のモンスターの中でも1番の巨体かつ素早さを誇る危険極まりないモンスターである。後方と聞いて皆は安心はしたものの、その前座である4体も十分に強力なモンスターである事は忘れなかった。

 

「ナルガクルガなら俺たちに任せろ!ついこの間に渓流で亜種を狩ったばかりだからな!」

 

暗い雰囲気をぶち壊すかのように火竜砕フラカンを背負ったフルガが胸を叩く。その後ろにはリオ、ティカルが続いていた。

 

それに対して頷いたゲンジはフゲンに代わり指示を出し始めた。

 

「なら、お前らに任せる。ここらのナルガクルガは他の地方とは異なった動きはない筈だからいけるだろう。俺とシャーラ姉さんはベリオロス、リオレウスはトゥーク、ジリス、セルエ。フゲンさんとアンタら2人にはアンジャナフを頼む。後のガンナーは援護だ。危なくなったらすぐに高台に上がれ」

 

ゲンジの指示に皆は頷く。エスラ、ククルナは既に高台にて待機していた。

 

 

フゲンの後ろには前回の百竜夜行でも活躍したディアブロS装備とレウスS装備を纏った大剣と太刀使いのハンターが立っていた。

 

「お主ら、今回もよろしく頼むぞ」

 

「「おぅ!」」

フゲンに対して2人のハンターは腕を上げて答える。この2人は前回でも獅子奮闘の大活躍をした為に安心して期待を寄せられる。

 

その時だ。目の前にある巨大な針を模した柵を登り、前線へと侵入してくるモンスターの影が見え始めた。

 

そしてその影はやがて鮮明になっていき、発達した体躯を誇る4体のモンスターへと変わる。

 

「ゲンジ…大丈夫か…?」

 

フゲンは戦う前にゲンジの現在の体調について問う。すると、ゲンジは武器を構えながら答える。

 

「不思議と清々しい気分だ。何故だか分からんがな。これなら奴を見る前にコイツらを片付けれそうだ」

 

「ソイツはよかった…!!」

 

フゲンも同じく百竜刀を抜き出すと、歴戦のオーラを放ちながら構える。そしてフゲンに続くかのように皆も武器を構え出していった。

 

「ゆくぞッ!!!!」

 

武器を構えた皆はモンスターに向けて駆け出した。

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

砦の最奥のエリア。そこには数人の里守とヒノエとミノトが待機していた。整備としては前線よりも手薄といってもいい。モンスターの足止めであるバリスタや大砲が仕込まれた段差が道中には存在せず、辺りにだけしか設置されていない。そのかわり、砦は3つの関門の中でも突出して巨大かつ頑丈に作られており、リオレウスのブレスを何十発も受けても傷一つ付けられないと言われている。

 

そんな中 拠点へと続く道にて待機していたヒノエとミノトは皆がいる前線のエリアの方向へと顔を向けていた。

 

「ヒノエ姉様。お体の方は?」

 

「今のところは大丈夫ですよ。ただ…ゲンジや皆が心配です…」

 

「…」

それに対してミノトも頷く。此度の百竜夜行は過去数百年の中で最も過酷といっても過言ではない。後方から元凶である古龍が押し寄せているのだ。

皆は無事に生き残れるのだろうか、そしてゲンジは精神を乗っ取られてしまうのではないか。

 

それだけがただ心配であった。

 

その時だ。

 

 

“対は何処…対は何処…”

 

「…!!」

 

頭の中に声が響いてくる。それと同時に突然の目眩がヒノエを襲った。

 

「く…」

 

「姉様!?」

 

その場に崩れ落ちそうになったヒノエをミノトは支える。見ると額から汗が流れ出ており、琥珀色の目が少しずつ蒼色へと変色していった。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「え…えぇ…。大丈夫…です…」

 

ミノトやその場にいた里守達が駆けつけるが、ヒノエは肩を借りず、膝に手を掛けるとゆっくりと立ち上がる。

 

「私…だけが…これしきの事で倒れる訳にはいきません…!!」

 

そしてヒノエは咄嗟に意識を鮮明に覚醒させ、頭の中にゲンジの姿を思い浮かべた。彼は自身よりも辛く過酷な状況下へと立たされていながらも武器を振るっている。それに加えて里の皆もだ。

 

「前線で戦う彼や皆がいるのですから…!!」

 

その瞳の色はヒノエの意思と同調するかのように琥珀色へと戻っていた。

 

 

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