薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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雪原を舞う竜 ベリオロス

ベリオロス それは別名『氷牙竜』と呼ばれ主に寒冷地帯に生息するモンスターである。その強さの秘訣は素早さにあり、アイスピックのような独特の形状である爪を利用し、滑るように移動する。

 

だが、それは摩擦の無い氷雪地帯にて始めて真価を発揮する。対してこの場所は摩擦が存在する。

 

即ち___

 

 

_____今のベリオロスは本来の力を発揮できない。

 

それを予測していたゲンジとシャーラは目を輝かせると、双剣を構えて地面を蹴り駆け出した。

 

「サッサと終わらせて他の援護に回るぞ」

 

「うん」

 

2人は火属性の双剣リュウノツガイの持ち手を逆手へと変える。

火はベリオロスの最大の弱点属性である。『本来のポテンシャルが引き出せない場所』かつ『最悪の弱点属性』

この二つが合わさればたとえ上位であっても確実に素早く仕留められる。

 

更に二人にはある狙いがあった。それは『弱点特攻』シルバーソルの代表的なスキルの一つであり、モンスターに必ず存在する一番柔らかい『部位』への攻撃力を増大させるというテクニックが必要ながらも強力なモノである。

ベリオロスの弱点は頭と翼膜である。今のベリオロスは転倒しやすくなっているだろう。

 

『弱点属性』に加えて『弱点特攻』正に鬼に金棒。下手をすれば5分掛からず瞬殺できてしまうだろう。

 

 

「「…!!」」

 

目が同時に輝き出すと二人の速度は更に加速し蒼い眼光はナルガクルガの如く光る軌跡を残しながらベリオロスへと接近していった。

 

だが、アッサリとは倒されてはくれない。

 

「グロォオオオオオオオ!!!」

 

向かって来る二人に対してベリオロスは咆哮をあげると、尻尾をしならせ、薙ぎ払うかの様に振り回した。

振り回された尻尾は範囲も大きいために初見のハンター達はよく餌食となる。

二人はそれをあらかじめ予測していた。

 

「やぁ!!」

 

シャーラは空高く翔蟲を投げ上げる。それは通常の翔蟲が駆け上がる高度よりも高い。

その名は『櫓越え』双剣の鉄蟲糸技の一つであり、通常よりも高く上がるだけという何とも地味な技である。だが、この技の恐ろしい点は高く飛び上がりその場から即座に双剣を構えて急降下し強襲する事が可能なのだ。

 

高く飛び上がったシャーラ。そして、ゲンジは朧掛けの体勢を尻尾が振われる直前に構えていた為に、尻尾の薙ぎ払いをイナし、目の前にあるベリオロスの顔面へ向けてカウンターとして双剣を振り回した。

 

「オラァ!!!」

 

その振り回しは見事にベリオロスの頬に抉りこむと太刀筋から紅蓮の炎を発生させベリオロスの顔を焼いた。

 

顔を焼かれた事でベリオロスはその場で怯む。そして、その僅かな時間で生まれた隙を空中に飛んでいたシャーラは見逃す事がなかった。

 

「ヤァッ!!!」

 

双剣を構え空中に浮かんでいた身体を斜め下へと急降下させると、身体を回転させベリオロスの顔から背中 そして尻尾の先端部分を沿うかのように削る。削った拍子に火属性の炎が回転するシャーラの周りに現れ始めた。

 

その一方で怯んだ隙をゲンジも見逃さなかった。シャーラが顔から尻尾部分を狙っている事を察知し、その場から左へとステップ。アイススピック状に形成されている爪とその翼へ向けて縦横無尽に双剣を振り回した。

 

「ソラソラソラソラソラァァ!!!」

 

次々と放たれていく斬撃。それはベリオロスの特徴的な翼をいとも容易く傷をつけていく。

 

「ゼヤァァァァァ!!!!」

 

そして着地したシャーラもその場から駆け出すとゲンジと同じくリュウノツガイを翼に向けて振り回した。両サイドからの爪への斬撃。それは僅か数十秒。

 

 

「グロォアアア!!!」

そして あっという間にベリオロスの特徴的な翼爪が破壊された。両サイドからの痛みにベリオロスは苦痛の声を漏らし状態を大きく晒しながら後ろに倒れた。

 

「一気にたたみかけるぞッ!!!」

 

「うん!!」

 

ゲンジとシャーラはベリオロスの身体へ向けて駆け出すと左右に分かれて周囲を駆け出す。そして巨大な体躯の周囲360度方向全域から身体を回転させると、次々とベリオロスの身体を斬り刻んだ。

 

「グルル!?」

 

次々と襲い来る斬撃の嵐にベリオロスは苦しみ始める。二人の回転する刃は遂に炎を纏い始め、火の車輪と化した。

二つの火車は回転しながらベリオロスの身体を焼きそして削っていった。

 

「まだまだぁ…!!」

 

ゲンジの声と同時に回転する刃が再びベリオロスの身体付近へと着地する。

 

「行くよゲン!!」

 

「あぁ!!」

 

着地したゲンジとシャーラは怯むベリオロスの身体に向けて炎を纏う双剣を縦横無尽に振り回した。

 

「ヴァアァアアアアッ!!!!」

 

「ゼヤァァァァァアっ!!!!」

 

反撃する隙さえも与えない。まるで炎を纏った拳を振るうかのように2人の剣舞は遂に目で捉える事すら不可能な程の速さへと達する。全身の甲殻が次々と傷をつけられ、破壊された甲殻に付着した肉と共に鮮血が飛び散る。

一瞬という僅かな合間に全力を叩きつける。それこそがゲンジとシャーラの戦法である。

 

その時だ。牙が折れ、身体中が火傷と傷だらけとなったベリオロスは糸が切れそうな声を上げる。

 

「もういいみたい」

 

「そのようだな」

 

その声に二人は見切りをつけると、双剣を振るう手を止めて後退する。

 

そしてベリオロスへと目を向けると傷だらけとなった身体を引きずりながら元来た道へと引き返していった。

 

「さて、早く終わったから辺りの応援に回るか」

 

あっという間にベリオロスを瞬殺した2人は辺りの状況を見る。リオレウスと対峙しているトゥーク達は優勢。今も空中から状態を崩し落ちてきたリオレウスを袋叩きにしている。ナルガクルガとアンジャナフもだ。特にアンジャナフの方は前回のリベンジなのか、フゲンが興奮しながら縦横無尽に太刀を振り回しアンジャナフを防戦一方へと追い詰めていた。

 

このまま見物していてもすぐに終わるだろう。前回のように第一関門は突破はされていない。

 

だが、2人はその選択を取らなかった。

 

終わらせるなら早く終わらせる。

 

「いけるか?姉さん」

 

「もちろん」

 

即座に近くでアンジャナフと交戦しているフゲンの援護へと回る。

 

 

 

その時だ。

 

「ゲンジ!シャーラ!危ない!!!」

 

エスラの声が響く。

 

 

「「え?」」

 

その声が耳に入った瞬間 2人はその場を見る。自身のいる場所が巨大な影に覆われていたのだ。

それと同時に一つの小さな影が映り込んでくる。

 

 

___コトン

 

その音とともに2人の横に小さな岩が落ちてきた。それはなんとも歪な形をした黒い塊であり、山菜であるタケノコに似ていた。

 

 

「「____!!!!!」」

 

その物体を直視した直後、2人は即座に駆け出す。長年の積み上げてきた経験によって鍛え上げられた身体が直感したのだ。

 

“あれはヤバい”

 

その直後 辺りへと次々とそのタケノコのような得体の知れない物体が落ちて来る。

 

「逃げるぞ!姉さん!」

 

「うん!」

ゲンジとシャーラは即座に武器をしまうとその場から離れる。できるだけ交戦中の皆へと近づかないように。

すると、そのタケノコのような物体から煮えたぎる音が聞こえてくる。

 

ゲンジとシャーラはふと数メートル付近にあるその物体へと目を向ける。

 

刹那

 

 

その物体は巨大な爆炎を放ちながら破裂した。

 

やはり2人の勘が当たっていた。あれ程の爆発となればブラキディオス の粘菌に匹敵するだろう。

 

「シャーラ姉さん気をつけろ!!どんどんくるぞ!!」

 

「うん!!」

2人は全力疾走で駆け出す。爆炎を挙げて破裂した物体がなんと、2人を追うかのように次々と落とされてきたのだ。

落とされた物体は地面に転がると湯気を放ち始める。

 

すると、逃げ惑う2人を今度は巨大な影が覆った。

 

「!姉さん回避!!」

 

「うん!」

その影を見た直後 ゲンジは叫びシャーラと共に二手に分かれて身を投げ出し緊急回避をする。

 

その直後 2人がいた場所へと巨大な影が砂埃を上げながら飛来した。

緊急回避をして状態を立て直したゲンジはゆっくりと立ち上がりながら自身らを押しつぶそうとしたその存在へと目を向ける。

 

 

「こ…コイツは…!?」

 

砂埃が晴れ、自身らを押しつぶそうとした存在の姿が鮮明となるとゲンジは目を震わせる。

目の前に飛来したのはリオレウスさえも超える巨体に加えて丸みを帯び同じ形をした頭部と尻尾。

その頭部の顎、そして同様の形をしている尻尾の下には夥しいほどのタケノコのような物体がビッシリと木の実のごとく実っていた。

 

「まさか…こんなところで会えるとはな…」

ゲンジは唾を呑みながらもゴコクから見せてもらったモンスターの一覧を思い出しその名を口にした。

 

空から爆発の礫を降り注ぐ完全なる生物兵器。

 

____「……バゼルギウス…!!!」

 

 

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