薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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炎の舞 

「…ッ…雷属性を装備してくるべきだったな…」

 

ゲンジは自身を睨むバゼルギウスに対して舌打ちをする。

飛竜に加えて炎を出すとするならばリオレウスと同じ雷が最大の弱点であるだろう。だとするならば、今の武器の属性は最悪だ。だが、後悔している暇などない。

 

「…!!」

 

目を鋭くし、バゼルギウスただ一体のみを敵として捉えたゲンジは全神経を集中させ自身とバゼルギウスだけの世界を作る。

 

その一方で、バゼルギウスは怒り状態へと移行していながらも冷静に自身を警戒しながらこちらを睨んでいた。赤熱した爆鱗はその間も途切れる事なく次々と零れ落ち爆発していく。

 

「(属性相性は二の次…必要なのは“技術”ッ!!!)」

自身の理念を心の中で唱えたゲンジはゆっくりと両手の双剣の持ち手を逆さに変え構えた。

 

「グァァォオオッ!!!」

 

その構えから殺気を感じ取ったバゼルギウスは目を鋭くさせると発達した脚を踏み込み、首を持ち上げ自身に向けて大きく口を開く。すると、口内の奥底から炎が揺らめくと共に巨大な火球が吐き出された。

 

1発だけではない。下手な鉄砲数撃ちゃ当たるの如くバゼルギウスは軽く5発の火球を吐き出したのだ。

 

吐き出された火球は炎の軌跡を残しながらゲンジへと迫っていく。

 

「フッ…!」

 

首を持ち上げる時点からその行動を読み取っていたゲンジは即座に双剣を横に振る形で回避した。

迫ってくる火球はゲンジの横を通り過ぎると背後にて塵になる。

 

そしてゲンジは目を離す事なく向かってくる5発の火球を次々と最小限の動きで華麗に躱していく。

 

更にバゼルギウスは火球を吐き出した直後に身体を回転させ爆鱗を投げ飛ばしてきた。

今の状態の爆鱗は確実に地面に着地した瞬間に爆発する。

 

故にゲンジは即座に前に駆け出しバゼルギウスの目前へと迫っていく。遠心力によって放たれた爆鱗は流石に間近には落下しない。故に安全圏内はバゼルギウスの周囲2メートル程だろう。

 

「今だな…!!」

爆鱗は危険かつ無限といえども再生に時間を要する。先程までポロポロと溢れ落ち続けていた事で振り回しの動作により、今のバゼルギウスには爆鱗が存在しなかった。

 

即ち ___絶好のチャンス到来である。

 

即座にゲンジは櫓越えを行い、空高く飛び上がると双剣を構えて無防備であるバゼルギウスに向けて身体を回転させ、再び火炎車と化す。

 

「オラァ!!!」

 

「ギャォォォォォ!!!」

 

鬼人空舞によって、双剣がバゼルギウスの頭から尻尾にかけて次々と切り裂き、纏う炎が耐熱性の高いバゼルギウスの背中を焼く。

 

“動け…!!もっと速く…!!”

 

身体に何度も命令しながら鬼人空舞を終えたゲンジは再び空中に飛び立つと身体を回転させ、怯むバゼルギウスに向けて再び鬼人空舞を放つ。爆鱗が生成されていくが、背中を狙えば当たらない。

 

故にゲンジは櫓越え→鬼人空舞→櫓越えというルーティーンを繰り返していった。

 

 

その時だ。

 

「グラァァオオオオオ…!」

 

何度も何度も身を焼き尽くす連撃にバゼルギウスは悲痛を訴える叫び声をあげた。

 

「(よし…!!)」

 

ゲンジは怯みとその苦痛な声を原動力に更にゴリ押しと言わんばかりの激しい斬撃の嵐をぶつけていく。

 

そして、遂にその時は来た。

 

「グロォォオオ…」

バゼルギウスが弱々しい声を上げる。

 

「お…?」

それを聞いたゲンジは櫓越えで飛び上がっていた身体を地面に下ろした。

バゼルギウスへと目を向けると、翼を広げ、爆鱗を落としながら元来た道へと飛び去っていった。

 

「ふぅ…ようやく終わったか…。少し疲れたな…」

正に強敵であった。それもそうだ。イビルジョー に匹敵するタフネスに加えてあの強力な爆鱗。恐らく生態系ピラミッドの中で古龍種に並ぶだろう。

それにあのモンスターはまだ余力が残っていた。もしかすると、体力を減らしたのではなく、次々と来る攻撃に嫌気が差して撤退したのかもしれない。

 

「く…まだまだ未熟だな…」

 

すると バゼルギウスに続き、自身の横を全身に傷を負ったアンジャナフ、ナルガクルガ、リオレウスが通過していき、バゼルギウスに続くように元来た道へと去っていった。

 

「あいつらも終わったようだな…。ふぅ…」

 

再び深呼吸をしたゲンジは、その場に膝をつく。

 

もうモンスターが来る気配はない。

 

第一波 撃退成功。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「驚いたな…まさかバゼルギウスを単身で撃退するとは」

 

「まぁ…な…」

 

あれから第一波を退けた皆は一時的な休憩と共に次に来る第二波のための準備に取り掛かっていた。武器組の皆は武器を研磨し、ポーチも整える。

 

フゲンの褒め言葉にゲンジは皮肉を感じながらも武器を研磨する。そんな中、ゲンジはヒノエの状態について問う。

 

「ヒノエ姉さんの容態は?」

 

「ウツシによると今のところ異常は無いようだ」

 

「なら…安心だ」

 

武器を研ぎ直したゲンジは肩に手を置き、首を左右に曲げる。

 

「お主の方は大丈夫か?」

 

「問題ねぇ。今のところな」

 

フゲンは自身の容態について確認してくる。それに対してゲンジは頷いた。現在は今のところ、イビルジョー の声は聞こえる事はなかった。故に頭の中はスッキリとしている。

 

その時だ。見張りの高台の里守が叫ぶ。

 

「来たぞッ!!!!第二波だッ!!!」

 

第二の脅威が即座に迫ってきた。

 

 

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