薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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黄金の暴風雨

来たれり 焦熱が島 純黒の獅子が牙を剥く

「いざ退治せん」散る火花 憤然 黄金の猛風

金獅子奮迅____!!!

 

◇◇◇◇◇◇

 

黄金の暴風雨 それがラージャンの異名だった。注目すべきは発達した剛腕が繰り出す圧倒的な“暴力”

 

幾度もなく強者と戦い続けてきた事で異常発達したその腕の力は正に“古代兵器”。巨大な岩塊もボールの如く投げ飛ばす。

 

その身体能力は正に“災害”。禁忌のモンスター程ではないが、それ以下の一介の古龍達を大きく上回る事がギルド本部から公表されていた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「グロォオオオオオオオ!!!」

 

巨大な咆哮と共に身体を支える剛腕を前へ前へと突き出し、地面を抉りながら金獅子が迫ってきた。

 

フィールドの奥地すなわち、砦の付近にて待機していたゲンジとシャーラはその突進から目を離さない。

 

あの速度では朧掛けは間に合わないだろう。故にゲンジとシャーラは咄嗟に横に避ける。

 

元いた場所の地面を抉り飛ばし濃密な砂埃を上げながら金獅子は突っ切っていった。

そして、ようやくその動きを止めると、赤く血の色に染まった眼をこちらに向けてくる。

 

「ゲン…大丈夫?」

 

「あぁ…。けど、コイツはイビルジョーの時と同じぐらいの覚悟で挑まねぇとな…」

 

ゲンジとシャーラは双剣を構え、こちらに向けてドラミングをするラージャンを睨む。

その視線に気づいたラージャンはドラミングを止めると、再びこちらへと目を向ける。

 

すると、ラージャンは唸り声を上げながら剛腕を地面へ向けて振り下ろした。

 

 

その行動を見た二人は即座に警戒する。一方で、地面へと突き刺されたラージャンの腕は次第にゆっくりと引き抜かれていく。

 

“巨大な地面の塊と共に”…!!!

 

剛腕が掘り出したのは何と巨大な土の塊で合った。

 

そしてラージャンはその腕を振り回し巨大な土塊をゲンジとシャーラ目掛けて投げ出したのだ。

 

「回避!!」

 

咄嗟にゲンジはシャーラに呼びかけながら再び左右にそれぞれ身を投げ出す。

 

そして投げられた土塊はゲンジ達がいた場所へと正確に落下し、地面に叩きつけられると爆散する。

もしもこんな攻撃をモロに喰らってしまえばタダでは済まないだろう。

 

更にラージャンは避けた際にゲンジに狙いを定め、再び先程の様に突進してくる。

 

「…!!」

 

咄嗟にゲンジはシャーラに向けて指示を出した。

 

「俺が惹きつける!その内にシビレ罠を頼む!!」

 

「分かった!」

 

ゲンジに指示を受けたシャーラはラージャンの視界から外れるべく、ゲンジから水平に距離を取り、近くにシビレ罠を設置する。その一方で、ラージャンは更に接近してきていた。

 

罠を素早く設置した事でゲンジは即座に横に駆け出し、シビレ罠の向かい側へと佇んだ。

 

一般的にラージャンは腕力だけでなく、知能も高い。冷静な状態を保つ通常の状態では落とし穴を見切り破壊してしまう事がある。だが、そんなラージャンでもシビレ罠は防ぐことは不可能だ。

 

迫り来るラージャンの身体の内、剛腕な右腕がシビレ罠に触れた。

 

その瞬間 ラージャンの進撃が止まり、全身に金色の電撃が走り出す。

 

 

[シビレ罠発動]

 

「ギャァァァァォォ…」

 

見事に罠へとハマったラージャン。全身が痺れ始め、動きを止めた。即座にゲンジは辺りにてバリスタと大砲を構える里守の皆へと叫び始める。

 

「今だぁぁぁ!!!打ちこめぇぇぇッ!!!」

 

『『『『おおおおおおお!!!』』』』

 

ラージャンから離れたゲンジの合図によって四方八方から里守達の一斉射撃が行われた。

ここは門の近く。突破されるリスクは高いが、その分 多くのバリスタや大砲が辺りに設置されていた。

この作戦のためにゲンジとシャーラはわざとラージャンをここまで誘き寄せていたのだ。

 

辺りから次々とバリスタの発射音と大砲の砲撃音が鳴り響き身動きが取れなくなったラージャンを矢と砲撃の雨が襲う。耐熱性の高いラージャンの皮膚へとバリスタが突き刺さり、それに加え砲弾が爆裂し身を焦がしていく。

 

合計にしておよそ10台の大砲とバリスタの総攻撃の威力は一般のハンターが扱う武器さえも容易く凌いでいった。

 

そしてその隙にゲンジはラージャン付近にて落とし穴を設置する。設置された落とし穴は構築された形を展開し、地面へと設置される。

 

「シャーラ姉さん。一気に叩くぞ」

 

「うん…!!」

 

そして二人は罠の近くにてとどまると、再び武器を構えた。その一方で、里守達からの総攻撃を受けるラージャンは遂にシビレ罠を破る。

 

「攻撃やめッ!!!!」

 

咄嗟にゲンジは里守の皆へと砲撃の手を止めるべく叫んだ。すると、里守達は砲撃の手を止める。

 

そして二人は駆け出すと、身体を揺さぶるラージャンに向けてリュウノツガイを振り回した。

 

 

「「ハァァァァッ!!!!」」

 

振り回されたリュウノツガイはラージャンの身体へと入り込むと、炎を沸き上がらせ、耐熱性の高い黒毛を焼いていく。

 

そしてその攻撃によってラージャンの標的意識が砲撃を放っていた里守達から二人へと向けられる事となった。

 

「ゴルル…!!!」

 

その瞬間 ラージャンの頭に血が上り、怒りと共に興奮させる。全身の毛が逆立つと同時に先程まで漆黒に染まっていた毛が一瞬にして全てを照らす金色へと輝き出す。

 

これこそラージャンが金獅子と呼ばれる由縁である。怒りが頂点に達した時 全身の毛並みへと闘気が伝わりそれを具現化するかの様に背中と腕の毛が金色へと染まるのだ。

 

そして 金色へと染まったラージャンは即座に近くにいたゲンジ達から距離を取るべく、後ろへとジャンプする形で後退した。

 

その瞬間 ラージャンの着地した足元が突然と崩れる。

 

「!?」

 

怒りで我を忘れていたラージャンはその不可解な感覚にようやく気づいた。だが、気づいた時にはもう遅い。ラージャンの下半身が深い地面へと埋まってしまった。

 

「…!!」

その光景を見ていたゲンジとシャーラは目を青く輝かせると同時に両手を交差し鬼人と化す。

 

「一気に行くぞッ!!!」

 

「うんッ!!!」

 

全身へとオーラを纏った二人は蒼く輝く瞳の軌跡が残る程の速度で一気に駆け出し、もがく金獅子の一番柔らかい頭へと向けて全身に力を込めると解放するかの如く双剣を振り回した。

 

「ヴォォオオオオオオオオッ!!!!!」

 

「ゼィヤァァアアアアアアッ!!!!!」

 

振り回された双剣が次々と金獅子の身体を切り裂いていく。牙、顔の周りを覆う金色の毛、そして角、全てを微塵にするかの如く二人の乱舞は次々と勢いを増していった。

 

 

“殺す気でいけッ!!!”

 

そう心に叫びながら二人は次々と双剣を振り回していく。そして遂にその速度は常人の域を超えていき、手先が見えなくなってしまう様になった。

そして リュウノツガイの属性である炎も二人の乱撃によって激しさを増していき、耐熱性の高い金獅子の毛や皮膚を焼き尽くしていく。

 

その時だ。

 

「グロォォォ!!」

 落とし穴に埋もれていたラージャンが唸り声をあげ、乱舞を放つ二人に目掛けて剛腕をプロペラの如く回転させた。

 

「「!」」

 

乱舞を放っていた二人は防御体制を取る事ができず、その剛腕の振り回しによって左右に吹き飛ばされる。

 

だが、ラージャンの力が弱まっていたのか、威力はそこまでではない。吹き飛ばされた二人は吹き飛ばされたとしても即座に体制を立て直し、着地する。

 

けれども、乱舞が中断されてしまった事で落とし穴に埋まっていたラージャンの脱出を許してしまった。

 

「ゴルル…!!」

 

ゆっくりと這い上がったラージャンは怒りが収まっていないのか、その金色の毛並みが今もなお輝いていた。

 

ゲンジとシャーラは即座に武器を構える。だが、ラージャンも里守からの総攻撃に加えてゲンジとシャーラの乱舞をモロに喰らった故に無事ではないだろう。見れば自慢の角の片方が砕けていた。更には規則正しく揃っていた毛の1箇所だけが無造作に焼けている。

 

ゲンジ達の作戦は無駄ではなかった。確実にダメージを与えていた。

 

すると、突進ラージャンはゲンジ達から目を離すと、元来た方向へと向けて駆け出していった。脚を引きずっていないが、それでも苦痛を感じたのか、何とか撃退ができたようだ。

 

「や…やった…やったよゲン!」

 

「そうだな…ふぅ…」

シャーラの言葉に頷きながらゲンジも息をつく。ラージャンは今いるモンスターの中で確実に一番強い。それを撃退できただけでも安心感が増えた。

 

 

だが、二人は気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

____ここからが地獄の始まりだと。

 

 

 

 

 

 

 

「ゲンジ!シャーラ!避けろッ!!!!!」

 

「「!?」」

 

咄嗟に聞こえたエスラの叫びに ゲンジとシャーラは無意識にその場から左右に身を投げ出し緊急回避する。

 

その直後 二人のいた場所を何かが通り、背後にあった砦へと叩きつけられた。

砦に叩きつけられた物体はそのままゆっくりと地面に音を立てながら落ちる。

 

それは何とラージャンと共に進撃してきた『トビカガチ』だった。よく見ると、トビカガチの脇腹に何かが食い込んだかのような傷口が見え、そこから血液が流れ出ていた。

 

「これって…まさか…!!」

 

「おいおい…コイツは驚いたな…」

 

それを見た二人は即座に理解した。なぜ、飛んできたのか、そして何故こんな傷ができているのか。

 

二人はトビカガチが飛んできた方向へと目を向ける。そこに広がっていた光景を直視したゲンジとシャーラは冷や汗を流した。

 

「金獅子の奴…

 

 

___モンスターを投げて寄こしやがった…」

 

 

そこには先程撤退したかの様に見せていた金獅子が剛腕を振りかぶりながら立っていた。

 

激昂した金獅子の猛攻が始まる。

 




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