薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
「はぁ…はぁ…はぁ…ゲン…大丈夫…?」
「なんとか…な…」
皆が交戦している中 砦の関門付近にて土によって汚れ所々から輝きを失ったシルバーソル装備を纏っていたゲンジとシャーラは荒い呼吸を吐いていた。
ゴシャハギとトビカガチを即座に片付けるべく、過酷な無呼吸運動を連続に行った反動なのだろう。イブシマキヒコの戦闘の為に強走薬を使用していない為にその反動は大きかった。
二人はラージャンに続き撤退したゴシャハギとトビカガチを見つめる。
「だが流石に疲れた。…少し休みてぇな…」
「私も…」
二人の体力はかなり減っており、短時間ながらも休息を欲していた。中でもゲンジはラージャンの前にバゼルギウスとも交戦していたのだ。体力が減っていてもおかしくない。
だが、目の前にはまだ皆が他のモンスターと交戦していた。
ジンオウガ 、ディアブロス 、タマミツネ、ティガレックス。どのモンスターも高い危険度を誇る。
「けど…早く撃退…しねぇと…な…」
「うん…!」
二人は大きく深呼吸をつくと、武器を構え、皆へと加勢するべく駆け出そうとした。
その時だ。
「お二人とも。少し休んでいてください」
「「!?」」
高台から聞き慣れた声が聞こえてきた。二人はその方向へと目を向けると驚く。そこにはエスラやククルナと共に4体のモンスター達へ向けて援護射撃を行うヒノエとミノトの姿があった。
「な…アンタら何でここに!?」
「旦那様方が心配で来てしまいました♪」
ゲンジの質問に矢を射るヒノエはウインクをしながら答えた。そして彼女達はモンスターへと鋭い目を向ける。
「それに…皆が血と汗を流しながら頑張っているというのに自分だけ砦の奥で待機というのは気が引けますからね」
その目からは死と恐怖を覚悟している意思が伝わってくる。正に自身らと同じ狩人の目であった。今この時、ヒノエとミノトは受付嬢の自身らを捨てて、ハンターを目指していた頃へと戻っていたのだ。
「愛する旦那様を護るため」
「大切な里の皆を護るため」
「「我ら姉妹 加勢いたします…!!」」
狩人と化したヒノエとミノトはエスラ達と共に次々と麻痺ビンを放っていく。
エスラのライトボウガンの銃撃音にヒノエとククルナの矢を射る音が次々と響き渡り、放たれた麻酔弾や麻酔矢がフゲン達と交戦しているタマミツネ、ディアブロス、ジンオウガ へと当たっていく。その弾や矢は1発も外れる事なく、全て4体のモンスターの胴体へと当たっていった。
それだけではない。ヒノエ達の射撃に続きミノトのランスの突きによる竜巻が抵抗するモンスター達の体力を次々と奪っていった。
そして数十秒後。その短時間に3体のモンスターが麻痺状態となった。
更に
「操竜成功ッ!!」
ウツシが怯むティガレックスを鉄蟲糸で拘束し、自由を奪い取り、身体の主導権を握った。
ヒノエ達による援護射撃、さらにウツシによる操竜によって完全に戦況がこちら側に回ったことで皆の士気は爆発的に上昇した。
「おぉ!よくぞやってくれた!行くぞ皆の者ッ!!総攻撃だぁ!!!」
『『『『『おおおおおおお!!!!』』』』』
武器組に加えて兵器を操る里守達による集中砲火が開始された。
ウツシは操竜によって、ティガレックスの身体を操り、痺れるモンスター達へと向けて巨大な前脚を振り下ろしていった。
それに続くかのようにフゲン達の武器が次々とジンオウガ達の身体へと傷を刻み込んでいき、更に里守達の兵器が更に傷を深くさせ、大砲によって焼き尽くしていった。
◇◇◇◇◇
「本当に心強いお嫁さんだね」
「…そうだな」
その様子を見ていたゲンジとシャーラは安堵の息を吐き殺伐とした雰囲気が目の前にありながらも休息を取る。
「ねえ…ゲン」
「ん?」
そんな中 シャーラはシルバーソルヘルムから顔を覗かせると気難しい表情を浮かべた。
「どうした?」
その表情を不思議に思ったゲンジはシャーラに顔を向け尋ねる。すると、彼女は口元を震わせながらも答えた。
「あの…落ち着いて聞いて…。ようやく分かったの。お父さんがゲンジをその姿にした本当の_
_____!?」
シャーラが言葉を紡ごうとした瞬間 何の前触れもなく風の強さが変わり、強風が吹き荒れ始めた。
「この風は…!?」
「とうとう来やがったか…」
その風が頬を掠ると共にゲンジの体内に眠る血が少しずつ騒ぎ始める。
「…!!」
次々と額から汗が流れ始め、胴体と顔の装備の間から地面へと滴り落ちていった。
「大丈夫!?」
「あ…あぁ…けど…ヒノエ姉さんが危ねぇ…!!」
イブシマキヒコが現れるとなると、ヒノエが危険だ。早く砦の奥へと避難させなければならない。
その時だ。
「投石だ!!全員 退避!!」
フゲンの叫び声が聞こえた。見ると上空から痺れるモンスターに向けて巨大な瓦礫が落下してきたのだ。
フゲンの指示にモンスターに攻撃を加えていた武器組の全員はその場から離れる。ティガレックスを操竜していたウツシも即座に中断し、ティガレックスの背中から離れた。
落ちてきた瓦礫は痺れるモンスターの身体へ向けて落下すると、砕け散っていった。
「グロォオオオオオオオ!!」
「ギェェエアアアアア!!」
瓦礫が痺れる身体へと落下し衝撃を与えた事でモンスターの身体を硬直させる痺れを解いてしまった。痺れを解かれたモンスター達は咆哮をあげると、鋭い目線を関門へと向けてくる。
「おい二人とも!すぐにこっちに登ってこい!危ないぞ!」
その光景を見たエスラの指示にシャーラは頷くと、咄嗟に避難するべくシャーラはゲンジへと呼びかける
「ここから離れるよ!」
「あぁ…!!」
それに対してゲンジも頷き、すぐさま駆け出すと高台へと登る。
高台へと登ったゲンジは辺りを見回す中 不意に上空から何かぎ迫ってくる気配を感じ取った。
「…!!」
その直後 上空から 先程よりも倍の大きさはある巨大な岩塊がミサイルのように落下してきた。
しかもただの岩ではない。まるでリオレウスの火球のように青い火花のようなモノに包まれながら落下しており、その青い炎のような物質が軌跡を残していった。
その岩は自身らを全く狙っていなず、即座に高い頭上を通過していった。
「まさか…!!」
ゲンジは咄嗟に後ろを振り返る。
それと同時にその場に巨大な破壊音が響き渡った。
「そんな…!!」
「門…が…」
シャーラとゲンジはその景色を見た瞬間 驚きのあまり、口を漏らす。
モンスターの侵攻を防ぐ3つの巨大な門。その内の一つが
______木っ端微塵に破壊されてしまったのだ。
その直後 皆に援護に回っていたウツシの声が響きわたる。
「上空にイブシマキヒコを確認ッ!!!」
皆は一斉に上空へと目を向ける。
上空へと目を向けた瞬間 ゲンジの目は大きく見開く。青い皮膚に空を泳ぐ為に進化したヒレのような後ろ足、そして前と後ろ足、そして背中にある羽衣のような羽。
「グロォオオオオオオオ!!!」
その巨大な咆哮と共に風が吹き荒れ、降臨した風神龍の金色に輝く不気味な目玉が自身を睨んだ。