薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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訪問 ギルドマスター

「うわぁぁぁん!!!よがっだぁぁ!!ゲンジぃぃ!!!」

 

朝の自宅に戻ってきたゲンジは起床したエスラに涙を流されながら抱きつかれていた。ゲンジが無事に目覚めて安心したのか、見た目を意に介す事なくエスラはその小さな頭を胸に抱き締める。

 

「お姉ぢゃんは本当に心配しでだんだぞぉ〜!!」

 

「ね…姉さん…悪かったから…苦しい…」

そう言い離れようとするも、エスラの腕がガッチリとホールドしており、離すことができなかった。

その横でもシャーラが涙を流していた。

 

「ゲン…お帰り…!」

 

「ぷはぁ…ただいま」

 

シャーラの言葉にエスラの胸から顔を出したゲンジは苦しそうにしながらも返した。

こんな身体でもエスラとシャーラは暖かく迎え、いつもと変わらず接してきてくれる。ゲンジにとってそれはとても嬉しかった。

 

それだけではない。エスラは悲しい気持ちを押し殺しながらも自身をずっと探してくれていたのだ。

 

「その…エスラ姉さん…」

 

「…ん?どうした?」

 

「俺を見つけてくれて本当にありがとうな…」

 

涙を流すエスラへ顔を向けてゲンジは笑みを浮かべ心からお礼を言った。

 

 

「〜!!!」

 

その後、興奮したエスラに十数分に渡りディープキスをされた。因みにエスラとシャーラにはまだヒノエとミノトと共に初夜を迎えた事は話していない。

 

話したら“とんでもないこと”になるからだ。

◇◇◇◇◇

 

それからゲンジはフゲン達への顔合わせのためにヒノエ、ミノトと共に外へ出ると集会所へ向かった。エスラとシャーラはトゥーク達へ報告する為に宿屋へと行ったようだ。

外へ出ると、相変わらず鍛冶屋の鉄を打つ音が鳴り響き、里の皆がせっせと働いていた。自宅へと戻ってきたのは皆がまだ目を覚ましていない明け方な為に久しぶりに皆の顔を見ると言っても良い。

 

里の皆は最初は自身の姿に驚いていたが、その後は自身の身を案じるかのように心配してくれた。

 

「大丈夫か?」「腹減ってるか?」「酒でも飲もうぜ!」

 

こんな姿になってしまった自身に気さくに接して来てくれる声が安らぎを与えてくれる。その誘いにゲンジは笑みを浮かべながら返した。

 

「また今度な。心配かけて悪かった」

 

そう言い手を振ると、彼らも手を振りかえしてくれた。

 

「ふふ。良かったですね」

 

「や…やめろ…」

隣に立っていたヒノエはいつも変わらずの笑みを浮かべながら茶化すようにゲンジの両頬へ人差し指をツンツンとつつく。

 

◇◇◇◇◇◇

 

集会所へと着くと、そこにはいつものようにゴコク、フゲン、そしてもう一人。高齢の竜人族の男性が立ち、話していた。

 

すると、歩いてくる音に気がついたのか、フゲンが大きく手を振りながら名前を呼んだ。

 

「おぉ!ゲンジよ。目を覚ましたか!……うぉ!?なんだその身体は!?それに目も!!」

 

「まぁ…驚くのは無理もない」

やはりフゲンやゴコクもその身体の見た目には驚いてしまう。それに対してゲンジは説明した。

二人は最初は驚いていたものの、話しているとそれを理解しているのか段々と納得していっているようだった。

 

「…と言う訳だ。まぁ今はアイツは眠っているがな…」

 

「成る程な…」

話の内容を聞いたフゲンはエスラからゲンジの父親に関しての事も教えてもらっていた為に彼の心情を察して背中に手を回すと叩いた。

 

「その身体になってしまったのは辛かろう。だが、重く受け止めるな。お主には罪はない」

 

その力強い声と言葉にまた一つ不安が消し去っていき、心を穏やかにさせた。

 

「ありがとな…フゲンさん」

 

「気にするな」

 

そんな中だ。ヒノエはずっとゴコクの隣に立っている小柄な初老の男性について尋ねた。

 

「里長、そちらの方は?」

 

「あぁ紹介が遅れたな。ロックラックのハンターズギルドのギルドマスター殿だ」

 

紹介されたギルドマスターは前に出ると穏やかな笑みを浮かべながら手をあげる。

 

「ホホホ。よろしゅうね3人とも」

 

「「「!?」」」

 

独特な口調で挨拶をしてくる男性に3人は驚く。ロックラックのギルドマスターといえば、タンジアの港に並ぶ程の大拠点であり、カムラの里、ユクモ村、モガの村、その他多数の地域のハンターズギルドをまとめる統括役である。

なぜそれ程の大物が里に来たのか。

 

「…なる程な」

ヒノエとミノトが驚く中、ゲンジはある程度だが、訪問してきた理由に納得しており額からは微量な汗を流していた。

それでもゲンジは恐れず丁寧な口調へと変えて話す。

 

「ギルドマスター殿の用件は分かりました。思い出す限りお話しいたします」

 

「ほほ。君は察しがいい。儂が来たのは他でもない。君の中にいるイビルジョーについて話が聞きたい」

 

髭をなでながら落ち着いた目を向けてくるギルドマスターに対して頷いたゲンジは後ろにいるヒノエとミノトに顔を向けた。

 

「二人はもう受付場に行っててくれ」

 

「で…ですが…!」

 

「大丈夫だよミノト姉さん。安心しろ」

ギルドマスターとの直々の対談にミノトは心配してしまう。それをゲンジは頭を撫でる形で落ち着かせた。

 

それからヒノエは里の受付場へ。ミノトは集会所の受付場に向かっていった。

その姿を確認したゲンジは集会所の茶の席に座るとギルドマスターに細かく自身のこれまでの経緯度を話した。

意識を乗っ取られた時の状態。意識がまだある時の状態。そしてモンスターに変化した時の状態。

 

そして古龍が現れた時以外は大概は眠っている事を。

 

全てを思い出す限りゲンジはギルドマスターへ向けて説明した。その後ろではフゲンとゴコクが見守っていた。

 

一方でミノトは前のマルバの一件の判断を下したギルドマスターを鋭い目で見据えていた。

 

 

「ふむふむ…」

 

ゲンジの話が終えるとギルドマスターは髭を撫でながらヒノエ達よりも色素の濃い琥珀色の瞳を向けると納得したのか頷いた。

 

「成る程ね。随分と前に廃止された実験が今になって成功とは…酷いものだ。辛い話をさせてすまなかったね。それに儂らギルドも管理不足だったらようだ。反省するよ…」

 

「いえ。貴方に非はありません。それにモンスターに変化できる奴を野放しにしておく方が不自然かと。いずれギルドからの訪問または実験材料としての拉致は覚悟はしていました」

 

「いやいや!そんな事はしないさ。取り敢えず君の話を聞いて一先ずは安心したよ。それじゃあそろそろ本題に入ろうか」

 

「は…!?」

 

それからギルドマスターは何故かヒノエとミノトとの話題に移り、仲の良さや子供はできたのか?という関係のない質問を次々としてきた。

 

「ほれほれどうした?話してくれよ」

 

「話す訳ねぇだろッ!!!」

 

それに対してゲンジは顔を真っ赤に染めるといくつもノーコメントで返した。

 

◇◇◇◇◇

 

その後、話し終えたギルドマスターは満足しながら腰を上げ、帰路についた。特にお咎めや幽閉といった処置はないようだ。

それからゲンジはギルドマスターを見送るべく、里の入り口前までゴコク達と共に同行する。

 

「ではゲンジよ。引き続きエスラ達と共に里の専属ハンターとして頑張ってくれ」

 

「分かっています。派遣するハンターがいないんじゃ仕方がないですからねぇ」

 

「うぅ…」

ギルドマスターの言葉に対してゲンジはこれまで里にハンターを派遣しなかった事を皮肉るかの様な言葉を返した。それに対してギルドマスターも思う節があるのか額に手を当てる。

 

「それについては申し訳なかった。なにぶん辺りに古龍の出現が多発して…いや、言い訳は言わん。それについては後で明らかにする」

 

すると、アイルーの荷車が到着した。ギルドマスターはその荷台に乗ると大きく手を振りながら去っていった。

 

その姿が見えなくなると、フゲンは手を振る事をやめてゲンジへと目を向けた。

 

「さてと…厄払いも済んだ事だ。後でヨモギとイオリにも顔を出してやれよ。お主がいなくなってからずっと落ち込んでいたのだからな」

 

「…あぁ」

フゲンの言葉にゲンジは頷くと、鳥居を潜り抜けて茶屋へと向かった。

 

 




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