薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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百竜ノ淵源編
恐怖の足跡


それから数週間が経過した。その間に事態は急変を迎えた。

 

なんとヒノエ、ミノトが再び共鳴してしまったのだ。即ち雷神龍と風神龍が舞い戻ってきたと言う事だ。

 

その事態を聞き入れたゲンジは即座に二人のいる集会所へとエスラ達と共に向かう。

 

「ヒノエ姉さん達は!?」

 

「慌てるな。今のところ治療室で安静にしておる」

 

集会所へ飛び込んできたゲンジをゴコクは宥める。ヒノエとミノトはゼンチの管理の元、静かに眠っているようだ。その後、騒ぎを聞きつけたトゥーク達も集会所へと向かってきた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

集会所にてゲンジ、エスラ、シャーラに加えてトゥーク達ユクモ村のハンターが集まると、ゴコクは話し出した。

 

「先程ヒノエとミノトが再び共鳴を起こした。じゃが驚く事にそれが何とほぼ同時じゃったのでゲコ」

 

「同時…って事は2体はもう会ってる可能性があるってことか…?」

 

「いや、恐らく今も互いを探し合っているでゲコ。じゃが、距離が近いのは間違いない」

 

ゲンジの見解にゴコクは答える。2体が出会ったしまえば交配しまた新たな雷神龍と風神龍が現れてしまうだろう。そうなってしまえば再び百竜夜行の災厄の輪廻が続いてしまう。

 

「調査隊によると地上にはまだ姿を見せておらん。そうなればどうしようも無い」

 

「ッ…!」

 

手の打ち用が無いことにゲンジは青筋を浮かべて床を殴る。

 

「もし現れたのならばすぐに依頼が出されよう。チャンスはその時でゲコ。お主の気持ちも分かる。じゃから落ち着け」

 

「あぁ…」

 

ゲンジが気にしているのは彼女達だ。共鳴が更に強く発動すれば死に至る。自身を励まし立ち直らせてくれた大切な妻を失うのは我慢ならない。故に冷静ではいられなかった。

 

「2体が出会ったとなれば百竜夜行が起こることも警戒しなければならないな」

エスラの見解に皆も頷く。

話によれば既に各地で暴風や落雷が発生し凶暴化したモンスター達が大移動を開始しているらしい。

再び『百竜夜行』が起こる可能性もある。そうなれば規模は今までの比ではないだろう。

 

「取り敢えず…奴らの行方も今のところまだ調査中でゲコ。入り次第また伝えよう」

 

その後、トゥーク達は修練場へ。ゲンジ、エスラ、シャーラはヒノエ、ミノトのお見舞いに行くべく別れて解散となった。

 

皆がいなくなった中、ゴコクはギルドからの情報と現在の里の付近の情報を見比べながら首を傾げる。

 

「でも妙じゃな。その報告が寄せられてもまだ周辺にモンスターの姿が確認されておらん…」

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

カムラの里を守る古き砦『翡葉の砦』の入り口。各地から風神龍の暴風によって追い立てられたモンスター達は必ずここを通りカムラの里へと向かって来る。

 

既に数体のモンスターがここへたどり着いていた。

 

『トビカガチ』『ナルガクルガ』『ヨツミワドウ』

 

この3体はイブシマキヒコによって追い立てられたのではなく、偶然この場に迷い込んでしまったモンスターだ。

迷い込んでしまったのならば、下手をするとこの先に興味を示して砦へと向かってしまうだろう。

 

だが、その三体は脚を止めていた……いや、虚空に向けて威嚇をしていた。

 

トビカガチは毛を逆立て、ナルガクルガは喉を鳴らしながら尻尾をしならせ、ヨツミワドウは腹を膨らませていた。

 

生物にとっての防衛本能が働き、相手を追い払う為に威嚇の体勢をとっているのだろう。

 

だが___そこには何もいなかった。

 

けれども3体のモンスター達は共通する一点を見つめたまま威嚇を止めない。いや、見れば止めるどころかその体勢のままゆっくりと後退りしていた。

 

見れば3体が見つめる先には複数の『足跡』があった。それは今まで踏み入れてきたモンスター達の足跡である。

 

獣龍種に牙獣種。多種多様な足跡が残る中 一つだけ異様な程の存在感を放つ足跡が存在していた。

辺りにある足跡を踏み潰すかの如く入り口の中央にある地面を深く陥没させて出来た巨大な足跡。見ればスタンダードな三叉の足跡であった。

 

3体のモンスターの目線はこの足跡に集中していたのだ。

 

その時だ。

 

 

『…!!』

 

 

その場にモンスター達に向けて強風が吹いた。

 

その風を身に当てられた3体のモンスター達の背筋が凍りつくと共に身体を震え上がらせる程の恐怖感に襲われ、即座に威嚇を止めた。

 

何故だかはわからない。だが、このままこの場に…またはその先に行こうとすれば

 

 

 

____喰われる。

 

3体のモンスター達の頭の中に【逃走】の二文字だけが浮かび上がり、それに従うかのように凄まじい速度で逃げていった。

 

数週間前にできたゲンジ……いや、イビルジョー の足跡。それが今もなお変わらず強大な威圧感と意思を放ち続けていたのだ。

 

しかもそこだけではなかった。各地で大移動をしていたモンスター達は限られた場所でもその足跡を発見し、威圧されるかのようにすぐに引き返していった。

 

 

 

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