薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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前回の話でイビルジョー の足跡のくだりの所…誰か『トリコの八王かよw』って誰か知ってたらつっこんでくれよぉ…OTZ


見舞い

共鳴が起きた途端 凄まじい頭痛に襲われ、その痛みによって意識を朦朧とさせてしまった。そして、一時的に眠るようにして意識を手放してしまった。

 

「…んん…」

自身の背中に感じる柔らかい感触にヒノエは目を覚ました。

気付けば先程まで集会所にいた自身は柔らかい布団にミノトと共に横になっており、その傍には聴診器を持ったゼンチと椅子に座るエスラの姿があった。

 

「おぅ!目が覚めたようだニャ!」

 

「全く…心配したぞ」

 

「義姉さん…ゼンチさん…」

 

頭を押さえながら起き上がると辺りを見回せば自身が寝ていたのは前にゲンジが運ばれた治療所であった。

自身に遅れるかのように隣で寝ていたミノトもゆっくりと目を開けた。

 

「…ここは…」

 

「治療所だぞ。ミノト」

 

「…!?お…お手数を…」

 

「気にする事はない。誰だって他の人の手を借りなければならない時はあるさ」

 

「いや…運んだの里の皆ニャんだが…」

 

そんな話をしているとエスラは自身とミノトに目を向けながら現在の体調について尋ねて来る。

 

「頭痛の方は大丈夫かい?」

 

「はい…。今のところは治りました。ですが…」

 

「あぁ分かっている。奴らが再び現れる。だから私達も準備に取り掛からなければならない」

 

「「!?」」

それならばすぐに自身達も手伝おう。そう思いミノトと共に声を上げる。

 

「では…!私達もお手伝い__いた!?」

 

「何かでき__いた!?」

 

自身も里の為に何かをサポートしなければ。そう言いかけた時に頭に小さな痛みが走る。

 

「おっと失礼。軽く叩いたつもりだったんだ。まぁ、それさえも痛く感じているならばしばらくは休んだほうがいい」

 

エスラの言葉は完全に的を射ていた。全身からは疲労のようなものが感じられる。自身にとっては然程の問題ではないのだが、

エスラの注意を素直に受け入れるしかなかった。里の為に皆のために力になりたい。そう思っていたとしても次にいつ共鳴が起きるか分からない。疲労が溜まり、その際に共鳴が起きてしまい力尽きれば皆を悲しませてしまう。

 

「本当に君らはゲンジに似ているな。アイツと同じ他人の為となるとすぐに身を顧みない…」

 

「「いやぁ…それ程でもありません」」

 

「いや褒めてないから」

 

それから自身らの心音を確認するために、服を脱ぎ、ゼンチに聴診器を当ててもらった。聴診器を胸に当てながらゼンチはその呼吸音を聞き取っていく。

 

「…ふむふむ。心音に異常はないニャ。呼吸も安定…。まぁでもエスラの言う通りしばらくは休むニャ」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

自身の診療が終わると、ミノトの番となり、終わった自身は上半身の着物へ手を伸ばし着用していく。

そんな中、自身が眠っていた間に皆は何をしていたのかを尋ねた。

 

「私達が眠っている間…何かありましたか?」

 

「あぁ。まぁ軽めの集会が行われたな。今はまだ2体は地上に姿を見せないから姿を見せた時に本格的な作戦会議が行われるだろう。その後のゲンジは本当に凄かったな…」

 

「…え?」

ふと話の中に出てきたゲンジに不思議に思ってしまう。その後のゲンジは凄かったというのはどう言う意味なのだろう。まさか再び恐暴竜の思念に苦しめられてしまったのではないのか。

 

そう思いヒノエは疑問をぶつける。

 

「まさか…暴走を…!?」

 

「いやいや。そう言うことではないぞミノト。取り敢えず落ち着け」

 

ミノトを落ち着かせるとエスラは話し始めた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

それは集会の終わったその後。解散となりゲンジがエスラ、シャーラと共に眠るヒノエとミノトの治療室に訪れた時であった。

 

「ゼンチさん…2人は大丈夫なのか…?」

 

「命に別状はニャいから安心して欲しいニャ」

 

そう言いゼンチは眠るヒノエ達の顔を見つめる。だが、ゼンチは深刻な表情を浮かべながら顎に手を当てる。

 

「だけどマズイニャ…。ヒノエが強く共鳴した時の体温が軽く重病の域にまで達していたニャ。今はそれ程まででもないけど…もしまた興奮したイブシマキヒコを目の当たりにしてしまえば更に状態は悪化してしまうニャ…それはミノトも同じ…」

 

「……それって…どう言う事…?」

 

声を震わせながら尋ねるシャーラにゼンチはハッキリと答えた。

 

「2人は…死ぬ…!」

 

「「…!」」

 

その衝撃的な事実にエスラとシャーラは驚くと同時に言葉を失ってしまう。

 

その時だった。

 

 

「「!?」」

 

この場を巨大な威圧感が覆った。その威圧感にエスラとシャーラは警戒体制を取ると共に身を震わせた。

 

「な…なんだこの感じ…!?」

 

「…!」

 

まるで巨大なモンスターがそこにいるかのような感覚。そしてそれは自身の横にいるゲンジから感じられた。

 

「お…おいゲンジ…!?」

 

エスラ、そして同じく振り向いたシャーラは絶句してしまった。見るとそこには漆黒に染まり上がった目を血走らせながら筋が隆起する程まで腕を握り締めるゲンジの姿があったのだ。

 

全身からは鬼人化時に現れるオーラが滲み出ており、身体中に広がる痣によってその不気味さと威圧感が高められていった。

 

 

即ち、この場を覆う威圧感の正体はゲンジだったのだ。

 

「ゲン…!!落ち着いて!ゼンチさんが耐えられないから!それにヒノエさん達も寝てるんだよ!?」

 

「…!?」

 

シャーラに肩を揺さぶられた事で怒り心頭に達していたゲンジは正気を取り戻したのか、即座に怒りを収めた。

 

すると、辺りを覆っていた威圧感が一気に消え失せて、いつもの空気へと戻る。

 

「こ…怖かったニャ…」

 

「すまん…気が立っていた」

 

緊張感が解けた事で震えていたゼンチはその場に座り込む。正気に戻ったゲンジは即座にゼンチに謝罪した。

 

ゲンジの殺意はモンスターに近い程まで鋭く、対人で発すれば訓練もしていない一般人を最悪気絶させてしまう事もできてしまうのだ。

今まで幾度かそんなことがあった。だが、今回のゲンジのこの威圧感は今までとは比にならなかった。

 

その威圧は下手をすれば鳥竜種の大型モンスター程度ならば怯ませてしまうだろう。

これは恐暴竜の力を借りた殺気ではない。純粋なる人間の身体から発せられるゲンジの怒りの込められた殺意なのだ。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「まるで本物のモンスターに見られているかのようだった。あれ程まで怒ったのは恐らくマルバの件以来だろうな」

 

エスラからの話を聞くと彼には相当な心配を掛けてしまっていたらしい。それに彼だけではない。他の皆にもだ。

 

「そうだったのですね…」

 

「うむ。まぁ…それほど君達の死が許せないのだろう。それに君たちが倒れた時に一番慌てていたのもゲンジだからね。ま、それも当然か。取り敢えず____」

 

すると、目の前にエスラの顔が近づけられると共に自身とミノトの頬を合わせられる。

 

「何度も言うようだが君達は風神龍と雷神龍が討伐されるまで決して無理をするな。君達にもしもの事があれば一番悲しむのはゲンジなのだからな」

 

「…」

向けられるエスラの瞳も若干ながら震えていた。彼女も自身らを凄く心配していたのだろう。そして彼女の言う通りかもしれない。マルバの時も今回の百竜夜行の時も。ゲンジは自身らが傷つけば身を犠牲にしてまで助け出そうとする。

そして先程の話からすると、自身らがもしも倒れれば彼も相当なショックを負ってしまうかもしれない。

 

そうなれば彼自身の精神にもダメージが入ってしまう恐れがあるだろう。

故にヒノエとミノトは頷く事しかできなかった。

 

だが、今の話を聞いてもう一つの懸念される事があった。

 

それはゲンジの中にいる恐暴竜の暴走または『モンスター化』である。再びあの二体が現れればゲンジは向かわなければならない。

そうなれば自我を失いながらモンスター化を果たし、更に身体の紋様が悪化してしまうかもしれない。

 

「ゲンジは…再び暴走してしまうのでしょうか…」

 

静かに尋ねるとエスラは腕を組み難しい表情を浮かべながら答えた。

 

「いや…どうだろうな。それはゲンジの意思次第だ。だが、無理やり意識を食い破られればどうしようもない。そうなれば我々が止めるしかないだろう」

 

暴走し、意識を解放された時の苦しみと後悔に駆られる彼の姿を想像すると胸が痛くなってくる。前に話した酷い夢を見せられて精神的に追い詰められるという事もあり得るだろう。そうなれば彼は更に精神を侵食され、災厄 発狂してしまう可能性がある。

 

__いや、それを止める為に自身らがいるのだ。

 

『心は皆同じ』

 

自身がゲンジに放った言葉を思い出す。彼が悲しみに襲われている時にこそ、自身らが寄り添い彼を支えなければならないのだ。

 

ミノトも自身と同じくそう思っているだろう。

 

「どうした?」

 

「…いえ」

 

首を振ると、先程のエスラの休憩を促す指示に頷く。

 

「では…今回ばかりはお言葉に甘えますね。ご心配をお掛けてしまい申し訳ありませんでした…」

 

「謝らなくて良い。あぁそれとだヒノエ、あとミノト。体調に支障がないなら修練場に行ってゲンジに顔を見せてやれ。何度も言うがずっと心配していたんだぞ?」

 

「えぇ!では、ミノト。行きましょうか」

 

「はい。姉様」

 

その後、ヒノエはミノトの手を取り立ち上がらせると、エスラと共に修練場へと向かった。

 

◇◇◇◇◇

 

その同時刻。煮えたぎる溶岩と美しい湖の洞窟が存在する神秘と混沌が交わる狩場『溶岩洞』

生物の時を止める極寒の大地『寒冷群島』

古の軌跡や遺物の残る古き狩場『大社跡』

 

それぞれの狩場に向けて巨大な古龍が接近していた。

 

それだけではない。各地にて分かれて吹き荒れていた強風と落雷が遂に同時に起こるようになってしまった。

 

 

『災厄の再来』

 

 

 

 

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