薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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奇しき赫耀の乱撃

深夜を通り過ぎてもなお、暗い夜に包まれるカムラの里では皆は眠りにつかず、ゲンジ達の勝利を祈っていた。

そんな中、集会所に待機していたゴコクの元に2羽のフクズクが降り立った。

 

「…ん?新しい情報のようでゲコな」

 

その2匹は溶岩洞と寒冷群島に行くチームに託したフクズクであった。見ればその脚には情報が記された紙が縛り付けられていた。

 

ゴコクはそれを取り出し黙読する。内容はテオテスカトル、クシャルダオラの撃退に見事に成功したという何とも喜ばしい情報であった。

 

 

「ふむふむ…。まずはひと段落でゲコな」

 

だが、次の盤面を読んだ瞬間 その安心感は一瞬にして消え去った。

 

「…!!」

双方の報告書の最後に書き記されていたのは全く同じ内容であり、それを読んだゴコクの細い目が限界まで開かれた。

 

「こりゃ大変でゲコ…!!」

 

即座にゴコクは返信の文面を書き記し、2羽のフクズクの脚に巻きつけた。

 

「頼むでゲコ…!!」

 

飛び立った2羽の内、一羽は寒冷群島のチームの元へ。もう一羽のフクズクは猛スピードで龍宮砦の調査員の元へと向かっていった。

 

ゴコクに届けられた文面にはこう記されていた。

 

『天彗龍 ノ姿ヲ確認 龍宮砦ニ向カッテイル模様。双方ハ合流シ龍宮砦ヘ向カウ』

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

「あ…ああ…!!!」

 

目の前に広がる光景にエスラは絶句してしまう。突如として目の前に広がった赫い爆発は突然とその場に発生するとともに即座にその色を虚空へと消し去る。

 

そこには倒れるナルハタタヒメとその傍らには仰向けに倒れているゲンジの姿があった。

 

そして その付近には全身に濃い龍属性を纏う“謎のモンスター”が立っていた。

 

「こ…コイツは…!」

現れたモンスターは全身が銀色の甲殻に覆われており、姿勢から見ると身体の構造が最近になって発見されたマガラ骨格。『古龍』であると断定できる。

発達した四肢はもちろんだが、最も注目すべきは他のモンスターとは全く異なる形状の翼だ。

翼膜が一切存在せず、まるで3本の爪のような翼であり、その先端部分からは龍属性エネルギーが放出されていた。

 

エスラは思い出した。それは自身らが調査隊救出の為に水没林へと向かう直前の時、ゴコクから別件として教えられた話である。

 

『砂原にて赫い彗星が観測された』

 

先程の彗星のような飛行。まさしく正体はこのモンスターだった。そして、エスラは頭の中からカムラの里にて黙読したモンスター図鑑の内容からこのモンスターの名前と特徴を思い出した。

 

「まさか…コイツが『天彗龍 バルファルク』…!」

 

一方でバルファルクはこちらへと一切興味を示さず、ナルハタタヒメ付近にて倒れるゲンジへと目を向けた。

 

「まずい…!!」

 

なぜ乱入したのかは考える暇などない。エスラは咄嗟にゲンジから注意を逸らすべく貫通火炎弾を装填し、銃口を向けた。

 

回復薬は底を尽きかけており、秘薬もあと一つ。絶望的な状況下であるが、ゲンジを見殺しにするなどできない。

 

次々と射撃音が響き貫通火炎弾がバルファルクの身体を貫いていく。

 

「ゴルル…!!」

 

すると、その射撃音と身体を貫く痛みにバルファルクはエスラに気づくと鋭い目を血走らせながらゲンジに向けていた身体をこちらへ向けてくる。

 

「…」

 

エスラはとっさに射撃の手を止める。たとえ幾多もの死線を潜り抜けてきたとしても初めて見るモンスターの動きなど到底予測はできない。故に最初は下手に攻撃せず、相手の出方を伺う。

 

 

「ゴルル…!」

バルファルクは喉を鳴らすと、発達した四肢を用いてこちらに向けて走り出してきた。

 

だが、バルファルクの前にはイブシマキヒコによって開けられた巨大な空洞がある。飛ぶにしろ、あの走り方では咄嗟に空を飛ぶ事など不可能だ。

それでもバルファルクはこちらに向けて一直線に向かってくる。

 

「…まさか…!!」

エスラは咄嗟に身体を避け、バルファルクの突進の軌道上から離れる。

 

 

その瞬間

 

 

 

 

キィィンッ…!!!

 

空気が振動する音と共にバルファルクの身体が一瞬にして自身が立っていた場所へと到達した。

 

「嘘だろ…!?」

 

その速度にエスラは汗を流し、苦虫を噛み潰したかの様な表情を浮かべる。

回避する最中 エスラはその姿を見ていたのだ。

突進してきたバルファルクの身体は穴に差し掛かる寸前に翼が身体を覆うかの様に畳まれ、その翼の先端部分から赫いエネルギーが放出し、一瞬にしてその穴の上を通過した。

 

「先程の飛行の正体はこれだったのか…!?」

 

ようやくバルファルクの異名を理解し頭を整理していると、バルファルクはエスラに目を向けながらその翼を広げ、何と噴気孔をこちらへと向けてきたのだ。

 

「!?」

 

またもや初めて見る行動にエスラは身体を硬直させる。向けられたその翼はまるで3又の鉤爪のようであり巨大な殺気を感じさせた。

 

「ぐ…!!」

 

巨大な穴が中央に空いている為に行動できる範囲に制限がある。だが、ここでコイツを撃退しなければ自身らは助からない。

 

「ゴルル…!!」

距離を取ったエスラは銃口をバルファルクへと向けた。バルファルクもエスラを敵と認識したのか、鋭い目を向けながら喉を再び唸らせる。

 

 

すると 突然 バルファルクの噴気孔が赫く輝き出した。

 

「…!?」

 

その瞬間 無数の龍属性エネルギーが噴気孔からまるで大砲かの様に放たれ、エスラに向けて降り注いだ。

着弾した龍属性エネルギーは爆発を起こし、その爆炎にエスラを飲み込んだ。

 

「がぁ…!?」

 

予想も出来なかったその攻撃にエスラは疲れもあってか回避が間に合わず、全身に龍属性エネルギーの直撃を受けてしまう。

しかも不幸なことにエスラの装備はガンナータイプであり、遠距離攻撃が可能となるが、その分剣士に比べて格段に防御力が落ちるという難点があった。

故にエスラは絶大なダメージをその身に負ってしまった。

 

「ぐぅ…!?」

 

全身に走る龍属性の稲妻。そして、力が抜け落ちていくかの様な感覚が広がりエスラはその場に膝をついてしまう。

 

それだけでは終わらなかった。

 

「ギャァオオオ!!」

バルファルクは追撃をかけるかの様に膝をつくエスラに向けて駆け寄ると、発達した前脚を振り回した。

振り回された巨大な前脚は脆い音を響かせながらエスラの身体を吹き飛ばす。

 

「ガハァ…!!」

 

吹き飛ばされたエスラは肺から空気を吐き出しながら壁へと叩きつけられ、ゆっくりと地面に落ち、うつ伏せに倒れてしまった。

 

 

「く…まさか…こんな…」

 

一瞬にして追い込まれてしまった。すると、倒れたエスラに興味を失ったバルファルクはその場から再びゲンジの元へ身体を向ける。 

 

「…!!!」

先程の続きを行うつもりだ。そう感じたエスラは咄嗟にゲンジの方へと目を向けた。

 

「ゲンジ!早くにげ……」

 

穴を挟んで向こう側にいるゲンジへと目を向けたエスラは絶句してしまう。

 

「グロォォ…!!」

なんとバルファルクの直撃を受けて壁に叩きつけられ気を失っていたナルハタタヒメが起き上がり、空へと飛び立とうとしていたのだ。

 

「そんな…!!!」

 

 

“絶望的な状況”であった。

 

 

だが、そんなナルハタタヒメに目を向けることなくバルファルクはゲンジの元に向かって飛び立つ。

 

「ま…まて…何をする気だ…!」

 

エスラは咄嗟に死に物狂いで身体を動かし、腕を抑えながらもゆっくりと立ち上がる。だがその動作をしている合間にバルファルクの身体はゲンジの元へと到達していた。

 

「グルル…!!」

バルファルクは鋭い目を向けるとゲンジに向けて翼の先端部分を向けた。バルファルク自身も気づいていたのだ。ゲンジの内に秘められた恐暴竜の存在に。自身が脅かされない内にその危険性を断つべく、気配が感じるゲンジを殺そうとしていたのだ。

 

 

「やめろ…!おい!ゲンジ!逃げろ!!」

 

立ち上がり叫ぶもゲンジは目を覚まさなかった。

 

 

 

そして

 

倒れるゲンジの身体に向けてバルファルクの鋭い翼がゆっくりと振り下ろされた。

 

 

 

「やめろぉおおおおおおお!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時

 

 

天を覆う黒雲に稲妻が迸ると轟音と共に巨大な雷がゲンジに向けて降り注ぎ辺りを閃光に包み込んだ。

 

 

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