薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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前回も書き加えましたが、向かう場所はロックラックではなくドンドルマに変更しました…。なにぶん ユクモ村 近辺からめちゃくちゃ遠いので…。


ヒノエの子守唄

『ドンドルマ』

 

それはカムラの里から約数十キロ離れた場所に位置する巨大な都市である。

カムラの里、ユクモ村などといったこの地方の全ハンターズギルドを統括しているロックラックと同じく知らない者はいないとされており、ハンターズギルドの本部が置かれている。

また、商業の発展地としても有名であり、カムラの里で採掘された上質な鉄鉱石もここで高い額で取引されている。

 

その一方で他の地方よりも古龍の発見報告が比べ物にならない程多く、それを防ぐための砦が設置されており集められたハンターによって撃退作戦が行われる事があるらしい。

 

◇◇◇◇◇

 

「わぁ〜!初めて来ましたが凄い場所ですねミノト!」

 

「はい!姉様!」

里を発ちおよそ数時間。到着し、停車したアイルー荷車から降りたヒノエとミノトは久方ぶりに見る発展した都市を見て興奮し胸を高鳴らせていた。見渡せば辺りは建物ばかりであり、武器やら食材やら多くの物資が並んでいた。

その様子を見ていたゲンジは荷物を背負うと、はしゃいでいる2人に呼びかける。

 

「遊びに来た訳じゃねぇぞ。早いとこココット村に向かわねぇと」

 

「分かってますよ〜。あ、店主さん。このリンゴとビスケット全部ください」

 

「余計な荷物増やすな!!」

 

「あ、あとそちらの屋台の肉まんというモノとモスポークを…」

 

「おぃぃ!!!」

有り金を使い出店に並ぶリンゴやその他の食材を全て買い占めようとしたヒノエをゲンジは羽交い締めするようにして防ぐ。

 

すると突然 顔を赤くし興奮したミノトが駆け寄ってきた。

 

「姉様!ゲンジ!あちらに『ダラ・アマデュラ』という巨大なモンスターの絵が!見に行きましょう!!」

 

「だから遊びに来た訳じゃねぇ!!」

 

結局見に行った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

それから3人はココット村行きの荷車に乗り込む。時期が時期なのか、自身ら以外に乗る者はいないらしく、ガラガラで好都合であった。

 

「この後はどうしますか?」

荷車に揺られる中、結局購入したリンゴを齧るヒノエに尋ねられたゲンジは今後の予定を話す。

 

「取り敢えず今日は途中にある村で宿を取ってそれから朝一にゲルド村に向かう。このペースなら到着は夜中。それを5日間繰り返していく」

 

そう言いゲンジは荷車から空を見る。空は夕日に輝いており、山々の間に太陽が沈み込もうとしていた。

 

荷車の台に座る中、ゲンジの顔は少しずつ暗くなっていた。

 

「……」

 

「やはり落ち着きませんか?」

 

「あぁ…」

 

これから向かう場所は自身にトラウマを植え付けた因縁のある村だ。もう大人になったというのにそれが頭の中に根付き恐怖心を煽っていた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

それから更に数時間が経過した。太陽は完全に沈み込み辺りは闇に包まれていた。

視界が鮮明ではない夜中に平原や山道を渡る事は夜行性のモンスターに襲われる危険性があるためにゲンジ達を乗せたアイルー荷車は途中にある村にて停車した。

 

アイルー荷車から降りるとゲンジは到着した村を見る。停車した村はよくこのような場合になった時の為の場所として有名であり、結構と言っていいほど発展していた。

その証拠に辺りには装備を纏った男女のハンター達やら商人が何人も歩いており話し声が聞こえてくる。

 

村というより少しばかり街に近いだろう。見れば村の中心部には集会所らしき場所があり、その周りにも宿などが多く設立されていた。

 

ゲンジはその中でも高そうな宿を指さす。

 

「今晩はあそこに泊まるぞ」

 

「「分かりました」」

 

ゲンジはヒノエ達と共にその宿へと向かった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「一泊頼む。部屋は空いてるか?」

 

「少々お待ちください」

 

受付に着くと褐色の肌の女性の係が出迎えた。係員は受け答えをスラスラとこなすと名簿をめくる。

 

「すいません…。一部屋しか空いていないのですがそれでもよろしいでしょうか?」

 

「一部屋にベッドはいくつだ?」

 

「1つです。大きめなので最大でも3人が一緒に横になれます」

 

受付係の言葉を聞いた瞬間 ヒノエとミノトの目がキラリンと輝き出す。

 

「じゃあ別の__むぐ!?」

 

「「それでお願いします!!」」

 

「か…かしこまりました…」

3部屋取れないと分かり、断ろうとしたゲンジの口をヒノエとミノトは塞ぐと顔を前に出し承諾する。その圧に係員は冷や汗を流しながらも承ると名簿に名前を書き記す。

 

◇◇◇◇◇◇

 

それから部屋へと入った3人はそれぞれ荷物を置くと長旅で疲れた身体をほぐすかのように捻る。

 

「なんでオッケーしたんだよ。3人別々のベッドの方がいいだろ…?」

 

すると

 

「何を仰っているのですか?」

 

「ひぐ!?」

突然 背後からインナー姿となったミノトの手が巻きつき自身の身体が抱き上げられると共にベッドに引き込まれた。

それに続くようにヒノエも受付嬢のコーデを脱いでいった。

 

「私達は夫婦なんですから一緒のベッドで寝て当たり前じゃないですか♪」

 

そう言いながらインナー姿となったヒノエも同じベッドへと倒れ込んでくる。彼女達の着用するインナーは女性が扱う者と同じであり凹凸のある魅力的な身体が強調されていた。

 

「それと…」

 

するとヒノエの顔が少し暗くなり、ゲンジの両頬を両手で挟み込む。

 

「先程からお顔が暗いですよ?あくまで目的はモンスターの狩猟。気をしっかり持って頂かないと命に関わる事ですから」

 

本気で心配しているのかヒノエは悲しそうな表情を浮かべながらゲンジの身体に更に身を寄せた。確かにゲンジは少しながら気分が落ち着かない上に今朝方ナルハタタヒメの討伐から帰還しており夜通し起きていたのだ。ここでしっかりと休まなければ悪影響が出てしまい依頼に支障が起きてしまうだろう。

 

「それと一緒のベッドで寝るのに何の関係が…」

 

「ゲンジの恐怖心と疲れをほぐしてあげようと思いまして♪」

 

その言葉と共にヒノエの手がゲンジの身体を抱き締めミノトと共に包み込んだ。

 

「……」

 

「何もしませんから。安心してちゃんと休んでください」

 

「…分かった…」

ミノトの言葉に頷くとゲンジの溜まり切っていた疲労が現れ始めゆっくりと目を閉じていく。

 

閉じていく中 ヒノエの子守唄が聞こえてきた。

 

____ね〜んね〜ん ころ〜り〜よ〜

 

その透き通るような優しい声が奏でる歌が聞こえてくると共に身体を優しくトントンと叩かれ、心の中に渦巻いていた恐怖心を打ち消していった。そしてヒノエの子守唄によってゲンジだけでなくミノトも段々と目を閉じていく。

 

「ぼうやは良い子〜」

 

「ガキ…扱い…す…る…」

 

すると 最後まで言い終える事なくゲンジの目はゆっくりと閉じられ子守唄と共に夢の世界へと誘われていった。

 

それに続くかのようにミノトも目を瞑るとヒノエは子守唄を止めて眠りについた。

 

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