薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
川瀬 夜降ち 妖し水音 うかつに往くこと まかりならん
瀑布の先には 濡れすがた 黄襟まとう 非情の牙なり___。
ハチに跨ったゲンジは次の獲物を決める。
「次はコイツだな」
ゲンジが決めたのはロアルドロスだった。タンジアの港にいた頃もよく狩猟したモンスターであり、狂走エキスのためだけとはいえ、これまで行く先々で1000頭以上は狩りつくしていた。
「コイツを先に片付けるか」
ゲンジはハチにロアルドロスが潜んでいるであろう最初にヨツミワドウと遭遇した場所に向かう。
「ミケ。ルドロスを頼むぞ。一通りいなくなったら援護を頼む」
「はいニャ!」
ハチは駆け出し、再び先程のエリアへと向かう。みると、ヨツミワドウの死体に群がるルドロスの姿があった。
「近いな」
ルドロスがいるならば、ロアルドロスも必ず近くにいる。ルドロスとは、水生獣と呼ばれており、全員が雌である。では、雄はいないのか?否、その雄こそがロアルドロスであり、複数のルドロスを従えるハーレムを形成しているのだ。
ゲンジは刃を研ぎ、準備をする。
そして、エリア6へと着いた時、目の前に大量のルドロスが辺りで水浴びをしていた。その数は10はくだらない。その真ん中には巨大なスポンジを持つルドロスの姿があった。
そのモンスターこそ
『水獣 ロアルドロス』である。
鬣のように見える黄色い物体はスポンジであり、通常ルドロスは水を主成分とするために、陸上での長期活動はできないが、ロアルドロスはこのスポンジに水を溜め込む事で長時間の活動を可能としているのだ。
「見つけたな。ミケ、予想以上に数が多すぎる。まずはルドロスから片付けるぞ」
「ニャ!」
ゲンジはハチから飛び降りる。ハチを遠くへと避難させると、ゲンジは双剣を取り出す。
すると、その水を弾く音に気付き,ロアルドロスと辺りにいるルドロスが一斉に首を向けてくる。
「ギャォォォォォ」
ロアルドロスの響きがないものの不気味な咆哮があげられる。すると、それを合図と受け取ったルドロス達が一斉に向かってくる。
「いくぞ」
ゲンジは鬼人化すると、走り出し、目の前にいた3匹のルドロスをまとめて武器で切り飛ばす。
「ギィェェ…!!」
肉を削ぎ飛ばされ、命を刈り取られたルドロス3体はゆっくりと天に顔を向けながら倒れる。
「ニャア!!」
対するミケもアイアンネコソードを振り回し、2体のルドロスを片付ける。
そして、二人の狩人は目の前に立ちはだかる大量のルドロスに向けて走り出した。
「オラァ!!!」
鬼人回転斬り。身体を回転させながら放つ斬撃は一気に4頭を巻き込み、すぐさま片付けた。
「ニャァオッ!!!」
ミケも負けていない。次々と喉という急所にアイアンネコソードを突き刺し、ルドロス達を仕留めていった。
ゲンジとミケは辺りを見回す。残るは約 10頭。
「ミケ、4頭くらい頼めるか?」
「お任せニャ」
ゲンジは頷くと、双剣を一気に構えて、体勢を比較すると、一気に駆け出し、目の前にいるロアルドロスに向けて走り出す。その道中に立ち塞がるルドロス達を次々と斬り捨てていく。
「ギィォオオオ!!」
自身の側室を殺されたことに怒りを見せたロアルドロスは吠えると、前足の発達した爪を振りかぶる。
その引っ掻きは既に見切っており、ゲンジは高く飛び上がると、ヨツミワドウの時と同様に次々とロアルドロスの身体に刃を突き刺しながら上昇する。
「オォラッ!!!」
そして、空中で身体を曲げると双剣をそのまま振りかぶり、ロアルドロスの顔面に向けて放つ。
「ギャオ!」
見事にトサカにあたり、三つのトサカが爆破によってボロボロに破壊される。
それだけでは終わらせない。
「ハァッ!!」
そのままゲンジは身体を回転させると、ミサイルのようにロアルドロスの鬣を模したスポンジを斜め下へと急降下しながら斬り刻む。
「ギィヤァオオ!!」
斬り刻まれた瞬間に辺りにはスポンジの欠片が飛び散る。ロアルドロスの鬣が螺旋状の刻を残していた。
「まだまだ終わらねぇぞ」
ゲンジは着地したその体勢からロアルドロスの胴体目掛けて乱舞を放つ。
「ヴォオオオオオラァッ!!!!」
残像が残る程の乱舞をまるで雨を降らすかのように浴びせる。肉が次々と裂け、辺りに血を纏わせながら飛び散る。
すると、脚元が爆破属性によって爆破され、ロアルドロスの身体が横転する。
これはチャンスだ。
「ミケ!」
「はいニャ!」
ルドロスを片付けたミケも参戦して、ゲンジと共に横転したロアルドロスの身体に目掛けて次々と武器を振るう。
ミケはアイアンネコソードを縦横無尽に振り回し、ロアルドロスの尻尾を斬りつけていく。
ゲンジも双剣を振り回し、ロアルドロスの水分を含んだ分厚い皮を削いでいく。辺りに次々と飛び散る鮮血。すると、次第にロアルドロスの悲鳴も弱々しくなっていった。
「終わりにするぞ」
そして、ゲンジは双剣を擦り合わせる。金属音が鳴り響くと同時に剣と剣が擦れる事で火花が飛び散る。
ゆっくりと双剣を振り上げ、ゲンジは腕に力を集中させた。
「オラァッ!!!」
「…!」
その一撃がロアルドロスの命を刈り取った。
ーーーーーーーーー
ゲンジは横たわるロアルドロスの遺体に身体を預けるように座る。
「はぁ…はぁ…ようやく引きやがったか…」
ドスフロギィに加えてビシュテンゴによって、毒ガスを食らわされ、気分が悪くなっていたが、ロアルドロスが倒れると同時に毒気が引いた。
気分は少しずつ回復していく。気持ち悪さもなくなり、体調も調子を取り戻してきた。
「よし…!!!」
ロアルドロスの素材を剥ぎ取ると、ゲンジは肩を鳴らす。
「ミケ。怪我はねぇか?」
「完体だニャ!」
ミケも体力には余裕があると分かるとゲンジは次なる獲物を決める。残り2体だ。終わりの時は近い。
「『クルルヤック』…ってやつにするか」
またもや未知なるモンスター。ゲンジは期待を抱きながらハチの背に跨った。