薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
百竜夜行が去ると共に里を救ったハンター『ゲンジ』と受付嬢『ヒノエ』『ミノト』が無事に結婚して1ヶ月が経過した。
無事に結ばれた3人は幸せな結婚生活を歩み出した。
だが、その生活は新郎であるゲンジにとってはとてもとても災難なものであった。
◇◇◇◇◇◇
季節は冬。カムラの里にも雪が降り始める時期となり、里を白く染めんとするべく、空から降る雪が燦々と降り積もっていく。そんな寒い日の早朝。
囲炉裏にくめられた薪が燃え尽き灰と煙だけがほんのりと空気へと溶けていく家の中で。その囲炉裏の傍にある段差のある畳の上には4つの布団が敷かれていた。壁側にある布団にはエスラとシャーラ。そしてもう一方の布団にはヒノエとミノトが一つの布団で密着し合いながら眠っていた。
「すぅ…すぅ…」
「…」
仲良く寄り添いながら眠るその姉妹の姿は美しく見えると共に幼く可愛げのある様にも見える。
そんな幸せそうに眠る姉妹を包み込む毛布の真ん中あたりが、何故かモゾモゾと動き出した。
すると
そのモゾモゾは一瞬だけ収まると、ヒノエとミノトの顔の間から勢いよく顔を出した。
「ぷはぁ…!!」
息継ぎをしながら現れたのはゲンジであった。姿が見えなかったゲンジはまるで息継ぎをするかの様に毛布から顔を出した。その顔はやや赤く染まっており、着物の隙間から見える身体は汗だくの上に、着物も若干ながら寝汗でシミまでもできていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…熱かった…」
顔を出したゲンジは何度も荒い息を立てながら外の空気を吸い込む。
彼がなぜ、こんなに顔を真っ赤にそめているのか、それは簡単だ。ヒノエとミノトが毎日、彼を左右から抱き付きながら眠っているからだ。
これは結婚してから毎日である。たまにエスラとシャーラが交代する事があり、2人の場合はこの様な事にはならないが、ヒノエとミノトの場合は隙間が無くなるまで密着してくるのだ。
しかも左右から挟まれる上に布団も掛けられるので、前も後ろも体温や布団によって暑苦しくなってしまう。
たとえ寝る前に顔を布団の外に出していても翌朝になれば2人の胸に挟まれると共に布団に覆われており、もうどうする事もできないのだ。
「ようやく朝か…ふぅ…涼しい…」
目を覚ましたゲンジは窓の外から見える空を見ると、安心するかの様にホッと胸を撫で下ろし熱く蒸れた身体に当たる心地いい冷たい空気に身を任せた。
だが、そんな癒しも束の間だった。
「わ!?」
突然 身体が引き寄せられ、柔らかな敷布団の上に落とされると共に_
___もみゅ
顔全体に団子のような柔らかな感触が広がった。
すると
「おはようございます。旦那様♡」
「!?」
自身の顔全体に張り付く物体の向こう側から聞き慣れた声が聞こえてきた。
その声を聞いたゲンジは冷や汗を流すと共にゆっくりとそれを掻き分けながら声のする方向へと目を向ける。
そこには琥珀色の瞳を輝かせながら笑みを浮かべるヒノエの姿があった。
「ひ…ヒノエ…ねえさん…」
「はい。貴方の事が大好きなヒノエです♪」
朝の目覚めは大抵、ヒノエまたはミノトの抱擁から始まる。日替わりであるものの、時には連続でヒノエ、また時には連続してミノトと、いった感じでランダムである。酷い時には二人同時も…。
「今朝は随分と冷え込んでいますね」
「あ……あぁ…」
こちらを見つめながら尋ねてくるヒノエにゲンジは驚きながら答える。夫婦であってもやはり至近距離で見つめられる事に慣れないのか、ゲンジは目を途端に逸らしてしまう。
その様子を見たヒノエは目を一瞬だけ輝かせると共にゲンジの顔を見ながらゆっくりと両手を頬に当てるかの様に押さえつけると微笑んだ。
「なので…もう少し温まっていましょう♪」
「な…なん__んぐ!?」
ヒノエの微笑みと共にゲンジはそのまま着物の隙間から溢れそうな汗ばむ胸の谷間へと顔を押し付けられた。次々と顔に張り付く巨大な乳房が顔面を押し潰し圧迫するかのように押し付けられ、女性特有の甘い香りと汗の匂いが混ざった独特な匂いが鼻を刺激し、理性と意識を奪っていく。
「んぐ…ヒノ…ねぇざ…ん…ぐる…じ…!」
「苦しくてもこうでもしないと寒いじゃないですか。ほぉら…身体を冷やさない様にもっと身を寄せて…」
「むぐぅ!?」
その言葉と共にヒノエの胸の谷間へ更に顔が沈み、身体も取り込まれるかの様にヒノエの身体に密着していった。
「ひ…ヒノ…姉さ…やめ…」
「あらあら。何を遠慮なさっているのですか?」
すると ヒノエの手がもがくゲンジの後頭部に伸びると、まるで赤子をあやすかのように撫でた。
「もう私達は夫婦なんですよ?もう何も気にせず存分に甘えてください」
その言葉を掛けられた瞬間にゲンジの頭の中から何もかも消え去り真っ白になった。
「……」
すると先ほどまで嫌がるかの様にもがいていた手脚を落ち着かせるとまるで母親に甘えるかの様にヒノエの身体に手を回しそのまま身を寄せた。
「ヒノエ…姉さん…」
「二人だけの時は『お姉ちゃん』でしたよね?」
「ヒノエ…お姉ちゃん…」
「よく言えました♪」
子供の様に抱きつき甘えてくるゲンジにヒノエは微笑むとその頭を撫でながら髪を掻き上げて額に口付けをする。
「よしよし。ではもう少し一緒に寝ていましょうね。私とミノトの可愛い旦那様♪」
その後、ヒノエの抱擁によって再び眠りに落ち、目を覚ました直後にまたヒノエの過剰なスキンシップを受けると共に里での1日が始まる。
◇◇◇◇◇◇
灰色の雲が空を覆っている冬のある日。
カムラの里に雪が降り始めた。空から降ってくる雪は地面に燦々と降り積り地面や屋根を白く染めていく。
そんな雪の降る日の夕方。
「……」
「……」
ヨモギの茶屋にてお団子を食べていたゲンジは、団子を持ったまま食べる手を止めていた。それはヒノエも同じであった。
それは先程から隣から不可解な音が聞こえていたからだ。
「……グス…グス…」
そこには腰を下ろしてちるミノトが団子を手に取りながらも何度も鼻をすすっていた。
「グス…グス…」
ミノトの鼻は赤くなっており、いつも姿勢がしっかりと固まっている身体もフラフラと揺れており、明らかに普通の状態ではなかった。
「これ…確実に風邪じゃねぇのか…?」
「その様ですね…」
その様子を横で見ていたゲンジはヒノエに尋ねる。ヒノエも頷くと、鼻をすすり続けるミノトの隣に座り、背中に手を置く。
「ミノト、風邪を引きましたね?」
「……」
ミノトは無言で首を横に振る。
「引きましたよね?」
「…いいえ…」
ヒノエが顔を近づけてもミノトは首を振りながら目を合わせない様に顔を逸らすばかり。
それを見かねたヒノエは顔の影を更に強くしながら顔を近づける。
「ひ・き・ま・し・た・よ・ね・?」
「……いいえ…これは…違いましゅ…」
いくら尋ねても首を振る上に噛んでも変わらないミノトの頑固一徹な態度にヒノエはため息をつくと、顔を近づけ、ミノトの前髪を上げると額を当てた。
「ひょえ…!?」
「ん〜…やっぱり熱があるみたいですね」
ミノトの額に自身の額を当てたヒノエはいつもよりも高い温度を感じる。
その一方で、額にヒノエの額が突然と当てられた為にミノトの顔が一瞬にして真っ赤に染め上がっていた。
「ゲンジも当ててみてください」
「…そんなにか?」
「だ…旦那様…まで!?」
ゲンジはヒノエに言われた通りに顔を赤くさせているミノトに顔を近づけると、右手をミノトの額に当て、それと比べるかの様に左手を自身の額に付けた。
「…確かにひどい…。結構熱いな」
「そうですよね。ミノト、なぜ今まで我慢して…あら?」
ヒノエがミノトに理由を尋ねるべく目を向けた時には、ミノトは目を回しながら湯気を発し気絶していた。
「はにゃ…はにゃ…はにゃ…ね…姉様…旦那様…」
「お…おい!これマズイだろ!?早く家に運ぶぞ!」
「ではゲンジはミノトを家に!私はゼンチさんを呼んできます!」
ミノトをゲンジに任せたヒノエはそのままゼンチの元へと走っていった。
ーーーーーー
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ーー
その後、家にてヒノエが連れてきたゼンチから診察を受け、風邪薬を飲ませると静かに横にさせた。
「前々から思ってたんだが…集会所の仕事っていつもそんなに多いのか?」
「そうですね。近辺の村からの依頼が来ますからその量は多いですよ。私でも一苦労です。そんな大仕事をこの子は毎日、頑張ってやっているので本当に凄いですよ」
ヒノエは日々のミノトの仕事ぶりを思い出しながら彼女の頭を撫でると、その手を離し、なんとキュッとミノトの頬をつまんだ。
「ですが風邪であることを話さなかったのは別ですけどね〜」
「いや…俺にその顔むけられても…」
ゲンジはニコニコと笑いながらも青筋を浮かべるヒノエに引いていた。それからヒノエは立ち上がると、草履を履き、家の扉を開けた。
「では、私はミノトの仕事を片付けてきます。あとはよろしくお願いしますね?くれぐれも、ミノトから目を離さない様に」
「わ…分かった」
「あ、もし出ていきそうになったら羽交い締めしてでも止めてください。あと、私が凄く怒っていたも伝えておいてくださいね♪」
「羽交い締め!?」
ヒノエはサムズアップしながら集会所へと歩いていった。そのサムズアップの意味が分からないけれども、ゲンジは了承した。
◇◇◇◇◇
それからゲンジはミノトの看病に徹した。桶の中に水を入れてタオルを絞り、ミノトの額に置いた。
「…」
焚き火の火がパチパチと音を響かせる中、ゲンジは眠るミノトの顔を見つめていた。眠る時は必ず2人の胸に抱き寄せられる為に寝顔を見る事は無くなっていた。それ故に久々に見る自身の妻の寝顔に少し見惚れていた。
「…綺麗……って…何を考えてるんだ俺は!?」
一人だけだと言うのに意味もなく顔を真っ赤に染め上げながら頭をワシャワシャと掻きむしる。
そんな時だった。
____ガラガラガラ
「お邪魔するよ!」
玄関から足音と共に扉を開く音が聞こえ、陽気に手を挙げながらウツシが入ってきた。
「!?ウツシか…。どうした?」
「ミノトさんが風邪を引いたとヒノエさんから聞いてね。お見舞いをと思ってね。はいこれ」
そう言いウツシは木で巧妙に作られたカゴを差し出した。中には立派に育った5つの真っ赤なリンゴが詰められていた。
「リンゴか。確か『リンゴは医者入らず』って言われてたな」
そう言いゲンジはウツシからリンゴを受け取ろうとすると、ウツシはヒョイっと下げる。
「いや、リンゴは俺が切ろう」
「え?いやいいよ。俺が切る。それぐらいできる」
「まぁ待って待って」
ゲンジは再びリンゴを受け取ろうとするも、ウツシは再び下げ、人差し指を突き出しながら『チッチッチ』と言わんばかりに左右に振る。
「一度やってみたかったんだ…。病人の側で座りながらリンゴを剥くというのをね…」
「は……?」
それだけ言うとウツシは膝をつき、割烹着を着用するとナイフでリンゴの皮を切り落としていった。
「最近はどう?夫婦仲は円満かい?いやぁ…このご時世ね。浮気が結構問題に___」
「近所のオバハンか!?」
◇◇◇◇◇◇
突然と愛する姉と夫の顔が至近距離まで寄せられた時から視界が真っ暗に染まっていた。
沈み込んだミノトの意識は暗い世界を彷徨っていた。
そんな時だった。
『綺麗…』
「ん!?」
その言葉が聞こえたと同時に意識が覚醒し、今まで暗闇に染まっていた景色に光が差していき、段々と鮮明になっていった。
「……んん…」
ゆっくりと目を覚ますと目の前に入ってきたのはいつも寝ている家の天井であった。
そんな時だった。
「おぅ。起きたか」
シャキシャキシャキ
ゲンジの声と共に果物を飾る咀嚼音が聞こえてきた。一体何なのだろうと起き上がったミノトはその方向へと目を向ける。
「このリンゴ本当にうまいな」
「コミツちゃんが選んでくれたからね。いやぁりんご飴もいいけど素材のままというのもいいねぇ!あ、こらこら。ちゃんとよく噛んで。種は出すんだよ」
そこにはウサギに象られたリンゴを齧るゲンジと割烹着を着用し、リンゴを手に取りながらナイフでリンゴを切っているウツシの姿があった。
「えぇと…これは…」
「やぁやぁミノトさん。目覚めてなにより。さぁさぁこれを食べて!」
「え!?あ、どうも…って何で割烹着を!?」
「一度でもいいからこのようなシュチュエーションを体験してみたくてね…。ほら、ちゃんとよく噛んで。種は出すんだよ」
「え!?お母さんですか!?」
いつもはテンションが高くフランクなウツシであるが、いつも以上にテンションが高かった。
差し出されたリンゴをミノトは受け取ると齧る。齧ると甘酸っぱい蜜の味とシャキシャキとした食感が口の中に広がり、目覚めた直後の気だるさが吹き飛んでいった。
その後、
食べ終えたミノトはなぜ、自身が布団で寝ているのか尋ねた。
「えぇと…私は一体……」
「風邪で倒れたんだよ。覚えてないのか?」
「…風邪……__はっ!」
言われた途端にミノトは倒れる前の事を即座に思い出した。自身が茶屋で休憩しているときに突然と意識を失った事を。
そして、それを知られたくないためにヒノエから問い詰められても否定していた事を。
「ね…姉様は!?気づいていませんよね!?怒っていませんよね!?」
「既に気付いてるし怒ってたぞ」
「ひょえ…」
ヒノエが怒っている事を知ったミノトは血の気が引いていくかの様に全身が真っ白になる。
その一方で、ミノトが目覚めた姿を見届け、帰ろうとするウツシを見送っていたゲンジはすぐさまミノトの方へと顔を向けると、胡座をかき、頬杖をつきながら尋ねた。
「なんで言わなかったんだ?」
「それは……」
尋ねられたミノトは言葉を詰まらせ、抵抗していたが、すぐに降参して答えた。
「その…心配を掛けたくなかったのでつい…強がってしまいました…」
「はぁ…」
申し訳なさそうに細々とした声でミノトは理由を話した。彼女の自身の身を顧みずに率先して行う自己犠牲の性格を理解していたゲンジはため息をつくと、ミノトの頭に手をおいた。
「頼むから風邪とかだったら無理せず言え。それでぶっ倒れたら皆が心配するだろ…」
そう言い頭に置いた手を動かしミノトの頭を撫でた。
ゲンジにとって、ヒノエとミノトは恩人と共に掛け替えの無い大切な妻だ。倒れてしまった時は、まさか病気に掛かってしまったのかと思い、自身でも驚く程まで慌てていたのだ。
「も…申し訳ありません…善処します…」
鍵を指す様に声色を少し低くし、強く言うと、ミノトは俯きながらも頷いた。
その様子を見たゲンジは反省したと見たのか、緊張を解きその場から立ち上がる。
「さて、飯でも食うか。確か米が余ってたから粥でも作ってやるよ」
「でしたら私が!あう…!?」
またもや強がり立ち上がろうとしたミノトの額に向けてゲンジはデコピンを放つ。
「さっきの言ったこと忘れたのか?今日はもう休んでろ。ヒノエ姉さんがもっと怒るぞ?」
「それは嫌です!」
ミノトにとって、怒った時のヒノエは苦手らしく、すぐさま引き下がり応じた。
「確かに私が調理しては移してしまうかもしれませんよね!?でしたらここは仕方ないのでお言葉に甘えさせていただきます!」
「因みに何度も言うけど、凄い怒ってたぞ」
「うぅ〜…」
◇◇◇◇◇◇
その後、家の真ん中にある囲炉裏に釜を起くと、米と水を入れる。因みに、見舞いに来てくれた際に多くの見舞い物を差し入れてくれており、作っているお粥には米だけでなく、消化の良いほうれん草などの緑黄色野菜に脂肪の少ないヘルシーな鶏肉も混ぜていた。
ゲンジはエスラよりも多少の料理の心得はあるために、作る際に不手際などは起こす事はなかった。
「えぇと…確かこんな感じだったな」
料理本に載っていたレシピを思い出しながら必要なモノを投入すると、蓋をする。
「いい匂いですね…」
「あぁ。俺の知り合いのハンターが出版してる本を参考にしたからな」
しばらくして釜の蓋が吹き出した泡によってコトコトと音を立てると、ゲンジは完成と見計らい、ゆっくりと蓋を取る。
「あっつ…」
できた粥に塩を少し振り掛けると、木製の匙で茶碗に盛り付け、布団で寝ているミノトに渡した。
「ほら」
「あ…ありがとうございます…」
◇◇◇◇◇
それから食事を終えたミノトを再び布団に寝かせた。
「外はどうなっていますか…?」
「雪がまだ降ってる。今夜には積もるかもな。カムラの里って雪も降るんだな」
「はい。この季節は寒冷群島の方から風が吹くので…。雪もそれなりに積もりますよ」
「そうか。雪なんて久々だな。焼き芋ができそうだ」
「それ秋だと思いますが…」
そう談笑していると、
「…くっしゅん!」
突然とミノトは鼻を押さえると共に小さなくしゃみをする。それを見ていたゲンジはミノトの側によると肩に手を置く。
「またぶり返してきたか。食ったらもう寝ろ」
「はい…」
肩に手を置いたゲンジはそのままミノトを布団に寝かせた。
そんな時だった。
「……旦那様も…」
ミノトは起き上がり、隣の布団のスペースをパンパンと叩いた。それに対してゲンジは首を傾げる。
「なぜ俺まで…病人はお前だろ?」
「せっかく二人きりになれたので。それに…たまには私にも抱擁を…」
「うぅ…///」
そう言いミノトは瞳を震わせながらまるで子供の様に頼み込んでくる。それに対してゲンジは顔を真っ赤にさせながらも了承した。
「わ…分かったよ!変なことするなよ!?」
「はい!」
ゲンジが了承すると、ミノトはパァと笑顔を輝かせた。
それから布団に入ったゲンジはミノトと向かい合う様にして横になった。目の前には顔を赤くさせながらも笑みを浮かべるミノトの顔があった。
「うぅ…」
ゲンジは恥ずかしがりながらもミノトの身体に手を回し身を寄せた。すると、ミノトも手を回し、身を寄せてくる。
「旦那様」
「な…なんだよ…」
「おやすみなさいませ」
「お……おやすみ…」
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
___ガラガラガラ。
「ただいま戻りましたよ」
「ミノト〜大丈夫か?」
「一応、栄養ドリンク買って来たよ」
扉が開くとヒノエに続いてエスラとシャーラも帰宅してきた。
「2人とも、義姉さん達も帰って来たのでご飯にしま…まぁ…!」
「ヒノエが怒っているらしいが気にするな。次から気をつけれ………なぬ!?」
その光景を目にしたヒノエは微笑み、一緒に帰宅したエスラとシャーラのうち、エスラは言葉を詰まらせたと同時に驚く。
そこには布団の中で仲良く眠るミノトとゲンジの姿があった。まるでぬいぐるみを抱くかの様にゲンジを胸元に抱き締めながら眠るミノトの寝顔は風邪を引いていたとは思えない程、幸せそうであった。
その表情を見たヒノエは説教しようとしていた事を忘れてしまう。
「うふふ♪」
「ぐぬぬ…羨ましい奴め…!!私だってゲンジを…!!」
「はいはい。邪魔しないでヒノエさんと一緒にご飯の支度しようね」
その様子をしばらく見ていたヒノエは邪魔をしないように嫉妬し始めるエスラを引っ張るシャーラと共に料理の支度を始めた。
次の日
ゲンジは風邪が移った。