薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
悠々緩々御用心 抜き足差し足泥棒鳥竜 卵掻き寄せ勇み足
賊許すまじ捉とらまえろ とんずら剽疾捉まえろ___。
「クルルヤック…聞いた事がねぇ…」
ゲンジは依頼書を思い出す。クルペッコのような鳥の頭にドスジャギィのような身体。これまでは見た事がない。情報によると飛竜種や草食竜の卵を盗む事から、卵泥棒と呼ばれているらしい。
「コイツ…見た事ねぇから探すのに手間がかかりそうだな」
ヨツミワドウや、ロアルドロスは生態を知っていた故にすぐに見つけることができ、ドスフロギィとビシュテンゴは偶然居合わせたから探す手間が省けていたが、今現在、生態も知らぬ上に接触もないクルルヤックを見つけるのは困難だろう。
もうすぐ夕刻になる。早く仕留めなければ狩猟も困難になるだろう。
卵泥棒となるならば、必ず飛竜の巣に脚を運ぶ。そうなれば、リオレイアも姿を見せるだろう。
即ち、クルルヤックを見つけたとならばリオレイアもその場に居合わせており同時狩猟となる可能性がある。
「まぁいいか」
ゲンジはハチを飛竜の巣があるであろう高い場所に行くように支持する。
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大社跡の中でも辺りが山で囲まれ、陽光が短時間しか差す事がないエリア11。そこには、丹精込めて作られた飛竜の巣が見繕われていた。
その近くにある岩陰でゲンジはミケ、ハチと共に身を潜めていた。
「今はリオレイアが留守にしてる。絶好の機会だろ。これをクルルヤックが見過ごす筈がないと思う」
「成る程にゃ…」
ゲンジの考えにミケは納得する。すると、巣の向こう側にある岩陰が動き出し、小さな影が現れる。
「…!」
現れたのは頭にトサカと嘴を持ち、前足には若干ながらも羽がついている何とも奇妙な鳥竜種のモンスターだった。
後脚と同等程までに前脚が発達しており、子供一人抱き抱える事ができる大きさであった。
そのモンスターは辺りを見回すと、誰もいない事を確認していた。
「アイツか…!」
ゲンジは双剣を持ち、戦闘態勢を取る。
「リオレイアが来る前に片付けるぞミケ」
「はいニャ!」
そして、二人はクルルヤックに向けて駆け出した。
「クァ?」
その音に卵を漁っていたクルルヤックも気づくと、卵から向かってくるハンターに意識を向けた。
「クェエッ!!!」
体勢を低くすると、威嚇するかの如くゲンジとミケに吠える。
だが、その威嚇行動自体がゲンジ達にとっては、隙そのものだった。
「オラァ!!!」
「ニャァァッ!!」
ゲンジの双剣とミケのアイアンネコソードの振り回しが同時に炸裂し、クルルヤックの嘴のある頭頂部を吹き飛ばした。
「クェエ!?」
クルルヤックは何をされたか分からない。気づいた時には既に自身の身体が地面に接触していたのだ。
そして、その隙をゲンジ達は決して逃しはしなかった。
「ヴォオオオオオラァアアッ!!!!」
「…!」
猛々しい雄叫びと共にゲンジの腕が残像を残す程の速さで振り回され、クルルヤックの全身の肉を削いでいった。
元々、悪知恵と脚の速さだけが取り柄のクルルヤックは体力がそこまで高くはなかった。
高い攻撃力を持つG級武器に加えて、ゲンジの常人を上回る乱舞によって、クルルヤックの体力はすぐに底をつく。
そして
「ハァッ!!!」
呆気ない最後。ゲンジの隙を突いた超連撃に加えて最後の双剣の大きな一振りによって クルルヤックの身体は大きく吹き飛ばされ、壁に打ち付けられると弱々しく鳴き声をあげながらその生涯を終えた。
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「ふぅ…」
ゲンジは倒れ臥すクルルヤックを見据えると、近くの岩場にまた腰を下ろした。
「これで…ようやく5体目か」
ゲンジは安心するように息を吐く。体力は限界に近づいていた。いくら回復薬で回復させようとしても、回復するのはあくまで傷の痛みである。朝から夕刻までずっと動きっぱなしであったゲンジの目から誰でも疲れているのが感じられる程だった。
「大丈夫だ…あと一体…」
そうゲンジは心に言い聞かせる。だが、やはり眠い。立ち上がろうとすれば脚がふらつく程だ。
「ゲンジ!」
ミケが駆け寄ってくる。その姿を見つめていると
「ギャァオオオ!!!!」
『!?』
その場に巨大な咆哮が響き渡った。ゲンジにとって、その咆哮は今まで聴き慣れていた故に驚かず、ただ聞こえた方向であろう空を見上げた。
「まさかこんなタイミングで来るとはな…!!」
ゲンジは双剣を再び構える。すると、その場を巨大な黒い影が覆い尽くし、目の前に急降下し飛来する。
その存在はゲンジの目の前に立った瞬間 卵を守るかのように大きく翼を広げながら巨大な咆哮を響き渡らせた。
「ギャァオオオォオオオオオオオオ!!!」
“雌火竜リオレイア”