薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
それからゲンジはウツシから話を聞いた。話によるとそのモンスターはトビカガチのような発達した四肢が特徴的な牙竜種らしく、全身には氷を纏っていたらしい。
氷属性となると寒冷群島に生息しているモンスターだと推測できるが、そのモンスターが大社跡に来るなどまずありえない。
「百竜夜行に似た災害が起ころうとしてるとでも言うのか?」
「分からない。ただ、良い予感はしないね。取り敢えず今晩、調査に向かおうと思う。付いてきてくれるかい?」
「あぁ」
それから二人はタッグを組み今夜中にも探索へと向かうこととなった。
◇◇◇◇◇
そしてその夜。ウツシと共に大社跡へと到着したゲンジはそのモンスターが発見された場所へとウツシの案内の元、向かった。
着いた場所は巨大な岩石やススキが揺れる月に照らされたエリアであった。この場所ではよくジンオウガが休んでいるが、百竜夜行が収束し始めてからは発見の報告はない。
「この場所なんだよな?」
「うん。間違いない」
二人は辺りを見回した。だが、それらしき気配が全く感じられなかった。辺りには緊迫した空気が流れていたが、それも段々と薄れ始めていく。
「ふむ…ゲンジくん。他の場所を探し___「待て」」
ウツシが緊張を解き他の地点への移動を提案しようとした時、ゲンジは即座に彼を制止させた。
気づいていたのだ。得体の知れない“何か”が近づいてきている事に。
その時だった。
「グロォオオオオオオオ!!!!!」
どこからともなく巨大な咆哮が響き渡った。その咆哮を聞いたゲンジとウツシは即座に聞こえた方向へと目を向けた。
「「…!!」」
目を向けた先には一体の巨大な四足歩行のモンスターがこちらに向けて突進してきていた。
その姿を見たウツシは即座に突進してくる軌道から外れる様に飛び退く。
その一方で、ゲンジは背中からゆっくりと双剣『禍ツ刃ノ幽鬼イステヤ』を抜き構えると天に向けて交差しながら掲げた。
すると ゲンジの身体からオーラが発して全身を包み込み鬼人化状態へと移行する。
「ふぅ…!」
鬼人化したゲンジは息を吸い酸素を肺に取り込むと目を極限まで開き突進してくるモンスターに目掛けて駆け出す。
そして
「はぁ…ッ!!!」
長年の狩りから得た技術とカムラの里における訓練で得た体術を活用し、そのまま跳躍すると迫り来るモンスターに向けて右手の剣の持ち手を変えると身体を回転させながら刃を振るった。
「……ッ!!!」
振われた刃は切先から紫色の炎を纏った軌跡を描きながらすれ違う際にモンスターの身体に纏われた蒼い鱗を斬りつけ、その直後に斬りつけた箇所から紫色の爆炎を発生させる。
「グルル…ッ!!」
突然の斬撃と爆発によって身体を刺激されたモンスターは怯みながら突進を止めるも、突然と唸り声を上げると前脚を振り上げ、一番近くにいたウツシ目掛けて振り下ろそうとした。
「まずい…!ウツシ!」
ゲンジは即座に救出に向かおうとするが、ウツシから距離が離れている為に間に合わなかった。
突然の奇襲にウツシも対処が間に合わない。
「ぐ…っ!」
ウツシが万事休すかと思い目を瞑った時だった。
「うぉ!?」
突然と誰かが飛び出しウツシを抱き抱えながらその場から回避した。
それによってモンスターの前脚は狙いであるウツシを外し、そのままその地点へと振り下ろされた。
突然の闖入者に驚いたゲンジは、自身の近くへとウツシと共に飛び込んできたその人物へと目を向ける。
「怪我はないか?」
ウツシに手を貸しながらゆっくりと立ち上がらせるその人物は所々に跳ね上がった髪に加えて所々に装甲を纏った女性であった。
その女性はゲンジ達の前へ出ると、背中から金属音を鳴らせながら盾と片手剣を取り出し構えた。
「ここは任せてもらおう。お前は仲間を」
その言葉と共に女性ハンターはモンスターに向けて駆け出していった。