薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
その後、突如として現れた女性ハンターが加わり3人となった事で形勢が逆転。見事に謎のモンスターの撃退に成功した。
全身に傷を負った謎のモンスターはその後、身に受けた傷に悶えながら脚を引き摺り大社跡の山の向こうへと走り去っていった。その強さとタフネスに流石のゲンジ達も消耗してしまったのか、深追いはせずにそのモンスターを見逃す事となった。
未知なるモンスターを取り逃してしまった事は痛いものの、逃げる直前にゲンジは尻尾を切断していた為にそれが重要な材料として回収される事となり収穫なしにはいかなかった事が何よりである。
突如として現れたモンスターを撃退したゲンジは自身らの救援に来た謎の女性へと目を向けた。
「お前…誰だ?さっきのモンスターについて何か知ってるのか?」
目を向けられた女性は武器を仕舞うとゲンジ達へと目を向けた。
「私の名は『フィオレーネ』ここより少し離れた王国に仕える騎士だ。そして先程のモンスターは『氷狼竜 ルナガロン』詳しい話は里に戻ってから話そう」
◇◇◇◇◇◇◇
里へと帰還したゲンジ達は集会所へと向かう。住居の明かりが消える中、集会所だけ灯りが灯されており、そこにはフゲンとゴコクだけでなく二人の女性ハンターの姿もあった。
「おぉ!よくぞ戻ってきた!」
出迎えたフゲンとゴコクにゲンジは手を上げながら答え、ウツシはいつものように頭を下げて軽く会釈する。
そんな中でゲンジは二人の女性ハンターを見ると首を傾げた。
「なんだ。シャーラ姉さん達もいたのか」
「うん。フゲンさんとゴコクさんに呼ばれたの」
「なるほどな」
二人の女性の内、ゲンジと瓜二つの容姿と装備を纏う女性『シャーラ』が答えるとゲンジは頷く。
◇◇◇◇◇◇
それから一同は集会所にある茶屋の席に座ると、現れた女性『フィオレーネ』へと目を向けた。
「取り敢えず話してもらおうか。なぜ、王国に仕える程の君がここへ来たのか」
「あぁ。全て話そう。私がここへ来た目的を」
金色の装備を纏う女性ハンターがフィオレーネへと尋ねるとフィオレーネは自身が遥々海を超えて里へと来た理由を話した。
彼女達は元々、ここより離れた場所にある狩場にて古城の跡地の調査を行っていたらしい。だが、調査中の狩場にて古龍が現れ調査は中断を余儀なくされてしまった。
古龍に何度も挑んだものの敗北の一途を辿るばかりであり、それどころか近辺のモンスター達が不可解な行動を取り始める様になった。本来中断されるべき事態は難航を極めていく事になり、王国の騎士だけでは対応しきれない状況となってしまった。
そんな時に王国から離れた場所にある集落『カムラの里』にて百竜夜行を撃退したハンター達の噂を耳にし、調査の協力を依頼するべく船に乗ってきたのだ。
「君達の事は以前から聞いていた。会えて光栄だ」
そう言いフィオレーネはゲンジとシャーラそして長い髪を後ろで束ねている金色の装備を纏う女性『エスラ』へ再び目を向けると頭を下げた。
ゲンジは里に来る前はエスラ、シャーラの3人で『金銀姉弟』というチーム名で活動していたのだ。その内容は全て希少種の狩猟である。希少種とは古龍種よりも更に目撃談が少ないモンスターの種類の事を指しており、相当な実力は勿論、運も持ち合わせていなければ出会う事ができない珍しいモンスターである。
ゲンジとエスラ、シャーラはその希少種を専門として依頼をこなしていたのだ。その実力は全世界にも知られており、フィオレーネも耳にしていた。
「君達の実力を見込んでだ…。3人の内、一人でもいい。どうか私達に力を貸して欲しい…!」
その言葉と共にフィオレーネは3人に向けて深々と頭を下げた。
それに対してゲンジは複雑な表情を浮かべていた。
「…古龍…か…」
ゲンジは“とある理由”から古龍を避けていた。故にフィオレーネの依頼に対して複雑な思いを抱いていたのだ。
その他にもエスラやシャーラも何か事情があるのか、難しい表情を浮かべていた。
「…一週間 返事を待つ…。もしも無理ならば遠慮せずに言って欲しい。そうなれば私は諦めて別のハンターを当たる事にしよう」
それだけ言い残すとフィオレーネは席を立ちゲンジ達に向けて頭を下げると集会所を出ていった。
「うむ…ゲンジよ。お主の中の“アイツ”は今、どうしておる?」
フィオレーネがいなくなり、6人だけとなるとフゲンはゲンジへと尋ねた。尋ねられたゲンジは自身の胸に手を当てる。
「…今のところは眠っている。けど、古龍が相手となると目覚めるかもな…」
「そうか…取り敢えず、今日は一旦解散といこう。明日、また招集をかける。その時に決めるぞ」
フゲンの指示にゲンジ、エスラ、シャーラの3人は頷くと集会所を出て行った。
◇◇◇◇◇◇
「ねぇ。さっきの話はどう思う?」
集会所を出て虫の声が鳴り響く夜道を歩く中、シャーラは素朴な疑問をぶつける。それに対してゲンジとエスラは腕を組みながら首を傾げる。
「私は会っても間もない者との共同の狩りが苦手でな。ゲンジかシャーラ。二人のうち、どちらかが来てくれれば私はオーケーなのだが…」
「俺は古龍じゃなくてそこらの辺りにいる大型モンスターの掃討ならいいんだけどな…」
そんな複雑な思いを抱えていると、家の前に着いた。集会所と同じく中には灯りが灯されており、夕食の香りと煙が窓から漏れていた。
「取り敢えず、ヒノエ達にも話しておかないとな」
「あぁ」
エスラの見解にゲンジは頷くと玄関の扉をガラガラと開けた。
すると
「旦那様ぁ!!!」
「むぐぅ!?」
突然の叫び声と共に扉から誰かが飛び出しゲンジを抱き締めた。それによってゲンジの顔が柔らかな物体に包み込まれていく。
「凄く心配したんですよ!行く時はミノトだけでなくヒノエにも伝えると言ったじゃないですかぁ!」
その影は受付嬢のコーデではなく、私生活で用いる赤い和服を着こなしたヒノエであった。ゲンジの事を心配していたのか、力一杯抱き締めながら頭を撫でていく。
「ヒノ…姉さ…__」
「怪我はありませんか!?大丈夫ですか!?」
ヒノエは安否を確認しながら抱き締める腕の力を更に強めていき、それによってゲンジの顔は更に胸の中に埋れていった。
すると、後ろから見ていたミノトがヒノエの肩を叩く。
「あの…姉様…そろそろ離さないと旦那様が…」
「え?」
肩を叩かれたヒノエは抱き締めていた手の力を解く。見るとヒノエの胸元から離れたゲンジは目を回しながら気絶していた。
「あ」