薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
因みにサンブレイク買った皆さん…もうエンディングまで行かれました?
ガレアスからガランゴルムの狩猟を依頼された3人はクエスト受注の為、早速チッチェの元へと向かった。
「あ!皆さんどうも!」
先程と同じく天真爛漫な振る舞いをする彼女に対してゲンジはお辞儀をするとクエストについて尋ねた。
「チッチェ姫……ガランゴルムのクエストはありますか…?もしあるのでしたら受注させていただきたく…」
「あ…あの本当に無理しなくてもいいですよ…ここでは受付嬢なので…」
「じゃあガランゴルムのクエストはあるか?」
「はい!」
ゲンジがいつもの口調に戻るとチッチェも気を取り直し天真爛漫な笑みを浮かべ書類をパラパラとめくり始めた。
そんな中、エスラはある疑問をぶつけた。それは彼の兄君であるクレトのことだ。
「チッチェ殿。一つお聞きしたい。姫君である貴方と兄君の二人は女王陛下がご退位された後はどうなるのだ?」
「…」
それについて尋ねるとチッチェは書類をめくる手を止め、先程とは表情を一変させ暗くなった。
「母上はご退位後…私が王位を継ぎ兄上様が軍の総司令官になる事を望んでいます…」
そう言いチッチェは物陰に隠れながら此方を除いているクレトに目を向けた。目を向けられたクレトは目があった瞬間に慌てると即座に逃げ去っていく。
「兄上様は何度も私を守ってくださいました。幾度となく…。この受付嬢の職に付けたのも兄上様の応援があってからこそです。なので私は王位を継ぐならば兄上様が相応しいと思っております……」
その言葉に3人は先程の彼の言動に何故か疑問を抱いてしまう。
『王だから』
あの言葉が今も頭の中から離れなかったのだ。
「まぁいい。取り敢えずガランゴルムのクエストに行かせてもらうぞ」
「はい!お気をつけて」
それからクエストを受注した3人は小船で狩場となる『城塞高地』へと向かった。
◇◇◇◇◇◇
城塞高地。それはエルガドの付近にある調査対象の狩場である。そこは不思議な場所であり、いかなる時であろうとも2つの季節が存在しているのだ。たとえば北へ向かえば氷のある氷雪地帯。南へ行けば木々が生い茂る湖畔。更に古の時代に人類が築き上げてきた文明の一つでもある古城が存在していた。
「チッチェ殿の話によればガランゴルムはこの辺りにいるようだ」
「じゃあそのエリアに向かうとするか」
それから3人は城塞高地を探索し、ガランゴルムのナワバリであるエリアへと足を踏み入れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「…!」
辺りに草木が生い茂り草原のような長閑な大地にそのモンスターはいた。
全身が巨大な岩のような甲殻に覆われ、肉ではなく石をすり潰す為に出来ているかのような人間と同じ形状の歯。全てが初めて見る形状のモンスターに3人は驚いていた。
「コイツがガランゴルムか…」
「早く済むと思っていたが…見る限り体力が高そうだね。しかもマスターランクの個体だ。骨が折れそうだ」
その時だった。
「ゴルル…」
地中から鳴り響く地鳴りの様な唸り声と共に横たわっていたガランゴルムはゆっくりと目を覚ました。
目覚めたガランゴルムはその巨体を剛腕を扱いながらゆっくりと起き上がらせた。
その姿を見たゲンジ達は武器を構える。
「来るぞ…!!」
「あぁ!」「うん!」
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
その後。初めて見るモンスターでありながらも何とか討伐に成功した。見たことも無い上に素早くトリッキーな動きをしていたが、その様な動作はナルガクルガやベリオロスで慣れていた為にゲンジとシャーラの翻弄する双剣捌きとエスラの遠距離からの的確なサポートによって被害は最小限に抑えられ無事に討伐することができたのだ。
「無事討伐できたな」
「あぁ」
ガランゴルムは動きは鈍いものであったが、体力が凄まじく何度も攻撃しても瀕死へと移行しなかったのだ。いつもの相手よりも長期戦を強いられた事により3人は少し息をついていた。
「マスターランクの相手はしばらくしていないから随分と鈍っていたな…」
「里にはあまり出ないからな」
エスラのふと漏らした言葉にゲンジは答える。その後、ガランゴルムの死体は派遣された調査隊によって引き取られると共にゲンジ達は城塞高地を後にした。
ーーーーーーー
「久し振りにいい仕事をした気がするよ♪二人とも今夜はお姉ちゃんがご馳走してやろう!」
「後から色々要求されそうだからやめとく」
「酔わされて色々されそうだからやめとく」
「そんなぁ!」
エルガドへと帰還し船から降りていく。そんな時であった。何故か広場から騒ぎ声が聞こえてきた。
「…ん?なんかうるさいな」
その声の後を辿る様に広場へと向かうとそこには人だかりが出来ていた。
「僕の妹を狙うなんて随分と舐めた真似をしてくれたね」
「うるせぇ!何度言ったって認めねぇからなぁ!あの小娘が次期王だなんてよぉ!」
そこにはチッチェを守る様にして前に出ているクレトとガレアスの姿があった。捉えられているのは一般的なインナー衣装にモンスターの皮を模した装備を身に纏い腰に片手剣を納めているハンターらしき男であった。
「僕の妹になんて事を…!!」
「王子!おやめください!」
頭に血が上り男を蹴り上げようとしたクレトを咄嗟にガレアスの傍に立っていた騎士 ルーチカが止める。
「……何やってんだ?あれ…」
「うむ…話の内容から姫君に手を出そうとした輩が現れその者を拘束したのだろう。今は尋問している…ということか」
「エスラの言う通りだ」
ゲンジが首を傾げるとエスラは自慢の観察眼と話し声から内容を読み取る。すると、それを同意するかのようにフィオレーネが姿を現した。
「3人ともガランゴルムの討伐 見事だった」
「あぁ。一応聞くが、この騒ぎはなんだ?」
ゲンジが事情を尋ねるとフィオレーネはガレアス達に守られる様に後ろへと下げられているチッチェへと目を向けた。
「姫様を攫おうとした反乱分子が見つかってな。皆で捕らえた所なのさ」
「反乱分子?」
「あぁ」
ゲンジが首を傾げるとフィオレーネは頷き詳細を話した。
「姫様が王位を継ぐ事を良しとしない輩がいてな。ここ1ヶ月間、ごく稀に姫様の命を狙ってくるのだ。これで3回目だよ…」
「3回目…ソイツらは?」
「今、クレト殿下が全員を捕縛し連れて行った所さ」
「そうか…」
フィオレーネの説明にゲンジは頷くとエスラとシャーラの方へと目を向ける。それに対して二人もゲンジと同じ疑問を抱え始めたのか頷いた。
ゲンジは向き直るとフィオレーネへあることを尋ねた。
「一つ聞きたい。3回目とも誰がチッチェ姫を助けたんだ?」
「全てクレト殿下だ。あのお方は大の妹思いでな。今までは偶に顔を見に来る程度だったのだが、前々回の騒動以来、心配なのか去ったと思いきや物陰に隠れながら見守っているらしいのだ」
「ほぅ?それはそれは…。まぁ私のゲンジとシャーラへ注ぐ愛と比べればまだまだだな。私は二人を家族だけでなく異性同性として…」
「「黙れ変態姉」」
納得する間際に自身の愛情アピールをするエスラを辛辣に一蹴したゲンジはシャーラと共にフィオレーネへと目を向けた。
「そうだ。俺達の宿はどこにある?来て早々、狩場に向かったから分からん」
「おぉ!そうだったな。貴殿らには大きめの部屋を用意してある。こっちだ!」
◇◇◇◇◇◇
案内されたのは一つの停泊船。中は居住地として改装されており大きめの部屋の中に三つのアイテムボックスが均等に置かれていた。更に里と違い馴染みのあるベッドが三つ置かれていた。
「自分の家だと思ってくつろいでくれ。ベッドも三つ用意させてもらった」
「助かる」
それからフィオレーネはガレアスの元へ向かって行った。
ーーーーーーー
ーーーー
ー
その後 3人はそれぞれのベッドの上で寝転がり窓から見える夜空を見上げていた。その夜空はカムラの里にいた時と同じであり、まるで里にいるかのような感じである。
そんな中だった。
夜空を見上げていたエスラはふとゲンジとシャーラへ尋ねる。
「二人とも。昼間の“アレ”はどう思う?」
尋ねられた二人は“アレ”について既に理解しているのか、悩む様な唸り声を上げる。
「別に特に違和感はねぇが、どうにも引っかかる」
「私もゲンと同じ…」
「だろうな。他人の王国事情に興味はないが、同じ拠点にいるから我々も目を付けられるだろう。しばらくはあまり目立つ様な行動は控える様にしようか」
「「あぁ(うん)」」
その後 3人は昼間の騒動の事が頭から離れる事なく就寝した。その晩、エスラがゲンジのベッドに潜り込み抱きついたのは言うまでもないだろう。
そしてその翌日。エルガドの調査はゲンジ達の活躍により更に加速していく事となった。