薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
ゲンジ達がガランゴルムを狩猟してから事態は進み始める。調査隊も城塞高地の奥へ奥へと進んでいき次々と事態の痕跡が見つかり始めて行った。なんとガランゴルムを討伐した際に空に赤い飛行物体の群が出現したらしい。エルガドはこの生物を既に知っており生態も熟知していた。
名を『キュリア』各地に空いた大穴から大群で現れ狩場にて散らばりモンスターに吸い付き、精気を吸い取るらしい。そのモンスターはどうやら目標であるメル・ゼナと共生関係にあるらしく吸い取られた精気をメル・ゼナが受け取り成長したメル・ゼナの命をキュリアが栄養分として貰うようだ。
「んで、ソイツが現れればその近くにメル・ゼナがいると」
「あぁ」
ガランゴルムを討伐して数日。エルガドのガレアスのいる場所にてフィオレーネから話を聞いたゲンジ達は頷くと席を立ち上がる。
「じゃあソイツを討伐すればいいって事なのか?」
「そうだ。だが、奴は一筋縄ではいかない。現れた際は私も同行するよ。私だけでなくルーチカやジェイもな」
「ジェイ?」
ルーチカは分かるがもう一人の聞いたこともない名前を出されたゲンジとエスラとシャーラは首を傾げる。
するとフィオレーネは背後に立っている二人の騎士へと目を向ける。目を向けられた二人のうち、ルーチカはお辞儀をし、ツーブロックの活発な青年は拳を上げて挨拶をしてきた。
「ジェイ。挨拶を」
「おぅ!よろしくな3人とも!」
そう言い彼は手を差し出してくる。差し出された手をゲンジとシャーラは渋々握り、一方でエスラはうむうむと頷きながら手を握った。
「それよりも…俺達とお前らを加えたら6人だぞ?いいのか?」
彼の手を握る中、ゲンジは狩場にて脚を踏み入れる人数についての疑問を口にする。メゼポルタは例外として通常、狩場は特例がない限り4人以上の参加は認められないのだ。
それについてもフィオレーネは既に解決済みなのか頷いた。
「あぁ。ここら一帯の調査は我々エルガドに一任されている。その点については心配無用だ」
狩場の説明をフィオレーネがし終えた事でその後、集会は終了となり各自、解散となった。
そんな中だ。帰り際にフィオレーネがゲンジ達を呼び止めた。
「今後の調査だが、私も共に行こう」
「「「え?」」」
ーーーーー
ーーー
ー
それから数日後。ガレアスの指示のもと、城塞高地にて現れたリオレウスとリオレイアの狩猟を言い渡されたゲンジ、エスラ、シャーラは狩場へと到着し、キャンプにて荷物の整理をしていた。その3人の中にはもう一人、フィオレーネの姿があった。
「君とクエストなど初めてだな」
「あぁ。里の時はただ見ていただけであったからな」
エスラの言葉に頷きながらフィオレーネはボックスの中からアイテムを取り出しポーチへと詰めていく。
「それとゲンジ…」
そんな中、フィオレーネは突然と表情を暗くさせるとゲンジに顔を向けて頭を下げた。
「此度の調査の件…本当にすまなかった」
「…?」
突然のフィオレーネの謝罪にゲンジは首を傾げると理由を尋ねた。
「なんだいきなり?」
「……ロンディーネから全て聞いた…」
「…!」
ゲンジは驚くと共に頬から一筋の汗を流す。彼の身体は異母姉弟のエスラは勿論だが、血の繋がっているシャーラとも異なる。それは簡単だ。彼が竜人族の血を体内に注入され身体が特徴を残しながら変化したからだ。
だが、ゲンジが衝撃を受けた理由はもう一つあった。それは体内に流れる“ドス黒い血”である。
数十年前、付近の王国やカムラの里、そしてユクモ村やタンジアの港が含まれる現大陸を恐怖の底へと陥れた史上最恐のモンスターがいた。名を『イビルジョー 』だが、件のイビルジョー は通常の個体とは異なり積極的に古龍やテリトリーの王者を狙う特異個体の中でも更に特異な個体である。自然そのものである古龍を喰らい尽くす事からその個体はギルドより、『古を壊し喰らい尽くすイビルジョー 』と名付けられた。
その恐暴なモンスターの血と意識が彼の中で今もなお生き続けており、意識は生前の特性を完全に受け継いでいる故に古龍を見かけた時は稀に意識を刈り取られ暴走してしまうのだ。
故にゲンジは幼い頃からこの身体やイビルジョー の血についてずっと悩まされながら生きてきたのである。
里に来てからこのトラウマから少しは解放はされたものの完治したわけではない。
そしてその事を里の外の者に知られた事にゲンジは驚きを隠さずにいた。
「……そうか」
ゲンジは落ち着きを取り戻しフィオレーネの話を聞くと頷きポーチを背負うとリオレウスがいるとされるエリアへと向かう。
「貴殿が辛い過去を背負っているにも関わらず無理を…」
「今はそんなのどうでもいい。狩りに集中しろ」
フィオレーネの謝罪をゲンジは一蹴すると狩場へと向かった。
ーーーーーーー
ーーーー
ー
その後。狩りは無事に終わった。リオレウスは無事に討伐され素材も大量に剥ぎ取り帰りの船に4人は乗り込んだ。
そんな中、ゲンジは気まずそうなフィオレーネへある事を尋ねた。
「おいフィオレーネ」
「あ…あぁ。なんだ?」
「俺の事に関しては気にするな。他の奴にあまり話さないようにしてくれればいい。それよりも…前にチッチェを攫おうとした奴らは…どうなっている?」
「え?」
ゲンジが尋ねたのはクエスト受付場で仕事に熱中するチッチェを攫おうとした反乱分子達の処罰である。毎回、クレトが拘束し連行していると聞いたがどうにも3回とも彼が連行している事が気になり、その後を聞くべく尋ねたのだ。
それに対してフィオレーネは腕を組みながら考え込むと答えた。
「確か…禁錮刑になったと聞いているぞ。過去の者達もだ」
「禁錮刑…それは誰から聞いた?」
「クレト殿下からだ」
「……」
その言葉を聞いたゲンジは想定内なのか黙り込んでしまう。それに対してフィオレーネは不思議に思い首を傾げた。
「どうしたのだ?」
「……いや。別になんでもねぇ。ただ、姫を攫おうとした奴は見せしめとして公開処刑とかされねぇのかと思ってな」
「か…考えが恐ろしすぎるぞ…。流石にそれ程までの罰は降らん」
それからエルガドへと到着した3人はフィオレーネと別れるとマイハウスへと向かった。
◇◇◇◇◇◇◇
「ふぅ…。疲れた」
装備を脱ぎインナー姿となったエスラはベッドの上に飛び込むようにして寝そべると防具を整えたゲンジとシャーラへ目を向けた。
「フィオレーネの反応から、あまり気にはしていないようだな」
「あぁ。それ程信頼してるって事だろう」
エスラの言葉に同調するかのようにゲンジとシャーラは頷いた。そんな中、エスラは昼間、フィオレーネへ秘密を知られた事に対して尋ねた。
「それとゲンジ。もしも皆にまで秘密を知られた場合はどうする…?」
「決まってる。向こうが不快だと思うなら里に引き返すさ」
「あぁ。そうだな」
何の迷いもなく里へ戻る事を選んだゲンジにエスラは笑みを浮かべながら頷いた。
それから装備を片付けた二人もベッドへと寝転がり就寝となった。
「彼が皆から信用されている間は…これ以上の詮索は控えよう。後々、面倒なことになりそうだ」
「あぁ」
「うん」
不信感を募らせながらもその件については保留にする事を決めた3人は眠りについたのだった。
その翌日。事態は更に加速していく。
「__ルナガロンの狩猟を頼みたい…!!」
遅れてしまいましたが、誤字報告をしてくださるえりのるさん本当にありがとうございます!まさかこんなに誤字があるとは…