薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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フィオレーネの秘密 そして念願の武器

 

それからゲンジとシャーラはぬいぐるみが蔓延る部屋の中心に座っていた。彼らの目の前には膝を抱えながら固まるフィオレーネの姿があった。

 

「……」

 

あれからずっと彼女は俯いたまま顔を上げようとはしなかった。その一方で部屋を見渡していたゲンジはフィオレーネが喋ろうとしない事情を察しながらも尋ねる。

 

「…つまり、こういうのが好き…と」

 

「う……うぅ…そうだ…。モコモコやフワフワの物が昔から大好きでよく集めていたのだ…」

 

その問い掛けにフィオレーネは返す言葉もないのか、その場で頷いた。フィオレーネは隠れて、色々なモンスターや生き物のぬいぐるみを自室に集めていたのだ。それに関してゲンジ達は特に嫌な反応を見せる事はなかった。

 

「別にいいんじゃねぇのか?趣味や好きなものなんて人それぞれだし」

 

「ゲンの言う通り。私達の希少種好きな姉さんに比べればフィオレーネさんのは普通だよ」

 

そう言いゲンジとシャーラは慰めるかのようにフィオレーネを宥める。すると、彼女は真っ赤に染め上げた顔を上げた。

 

「ほ…本当か…!?」

 

「本当だよ。逆に何で皆に言えないのか不思議なくらいだ。まぁ話して欲しくないなら黙っておくから安心しろ」

 

「かたじけない…」

 

その言葉にフィオレーネは感謝する。だが、ゲンジ達が疑問を抱いたのはぬいぐるみではなかった。

 

「それは良いとして…俺達が気になったのはこれだよ!!!」

 

そう言いゲンジは壁に貼られている絵へ指を向けた。そこには壁一面を覆い尽くす程まで貼られたチッチェの絵があったのだ。色々な姿の彼女が映し出されており、受付嬢としてでなく一人の女性として髪を纏めてラフな格好をした彼女の姿もあった。

 

 

「何だこれ!?ぬいぐるみなんて一瞬で消え去るくらい怖ぇぞ!?お前 アイツの何なんだよ!?ストーカーか!?ストーカーなのか!?」

 

 

「そ…それはだな…」

 

ゲンジが言及するとフィオレーネは頬を真っ赤に染めながらハァハァと荒い息を吐き始めた。

 

 

「毎日チッチェ姫を見ていると次第に目を離さずにいられなくなり…ある日を境に…見た途端に胸が熱くなってしまうようになってしまってな…。挙句の果てには少女を見てしまうだけで欲情し愛でたい衝動が溢れ出して…それを解消する為に壁一面に彼女の絵を貼っているのだ…」

 

 

話し合える頃には彼女の目は遂にチッチェの絵へと釘付けになっており、まるで絵と会話をしているようであった。

 

「おいコイツヤベェぞ」

 

 

「し…仕方がないだろ!!趣向は人それぞれだ!私が小さな子に興味を抱こうと問題ないだろ!」

 

 

「別にそうだがここまで来ると普通を通り越して“恐怖”なんだよ!!これ知られたら絶対取り返しがつかなくなるぞ!?」

 

 

壁に立て掛けてある絵をバンバンと叩きながら自慢げに言うフィオレーネに対してゲンジが声を荒げる中、フィオレーネは涙を流し始めてしまい、遂には泣き叫びながら腰に飛びついてきた。

 

 

「うわぁぁぁ!!!!誰にも言わないでくれ!知られてしまえば私は一生『ロリコン騎士』という肩書きを付けられそのまま生涯を終える事となってしまう!!頼むから言わないでくれ!!特に姫には!姫だけには言わないでくれ!頼む!あの人に嫌われてしまえば私はもう生きていく自信がない!!!」

 

 

「分かったから抱きつくなァァァァ!!!!」

 

 

「というか…もう素直に好きって言っちゃえばいいのに」

 

泣きじゃくりながらゲンジの腰にすがりつくフィオレーネを見ながらシャーラはそのまま呟くのであった。

 

それからフィオレーネから絶対に他言無用と釘を刺された二人は外に出ると、宿へと戻った。

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

そして 次の日。朝日が登り詰め遂に正午へと差し掛かる中、ゲンジ達はミネーレの元を訪ねた。用事は簡単である。武器の強化だ。

 

 

「ミネーレ。武器は出来てるか?」

 

「もっちろん♪」

ゲンジが訪ねると彼女はいつも通り意気揚々としながら頷くと風呂敷に包まれた武器をゲンジの前に差し出しその風呂敷を解く。

 

 

「さぁ!とくとご覧あれ!!」

ミネーレの掛け声と共に剥がされた風呂敷の中から現れたのは預けた時と同じ形状の双剣であるイステヤ。だが、感じられる武器の威圧感が前とは比べ物にならない程にまで達していた。

 

試しにゲンジは片方の剣を右手に取ってみる。

 

「…ん」

前よりも重さが軽減されたが、下がるどころか格段に上がっている切れ味と威力。少しでも切りつければ切れてしまうほどの鋭く鋭利で輝く刃がその強化された威力を物語っていた。手に取ったゲンジはそのまま空中に投げてキャッチし手に馴染ませる。

 

 

「どうだい?」

 

「……うん。いい感じだ。ありがとな」

 

「いいっていいって♪気に入ってもらえて何よりさ」

 

 

完全に手に馴染んだゲンジは頷くと双剣を肩に背負いミネーレへと礼を言った。

 

そんな時であった。

広場に続く道から1匹の手提げ袋を肩に下げたアイルーが歩いてきた。

 

 

「ニャ〜!!ゲンジさん、エスラさん、シャーラさんにお届けものですニャ!」

 

「「「え?」」」

 

 

駆け寄ってきたのはエルガドに在住している郵便受付のアイルーであった。彼の言葉に3人は首を傾げるその一方で郵便屋のアイルーは袋から数枚の手紙を取り出し3人にそれぞれ渡した。

 

 

「カムラの里からですニャ!」

 

「里から…!?」

 

 




フィオレーネ→皆の前ではクールに振る舞っているが極度の可愛い物好きでありぬいぐるみを集めて飾っている。
更にロリコン気質でありチッチェの写真や絵を大量に飾っている。
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