薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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思い巡る記憶そして、着々と進む準備

ミノトとの仲が深まった事をキッカケに、里の者達ともゲンジは次々と打ち解けていった。

 

ある日、ゲンジが大型モンスターの狩猟クエストから帰ってくると多くの人々が出迎えてくれた。

 

「おぉ!お帰りハンターさん!」

 

「ウチの衆にモンスターの話を聞かせてくれないかい?」

 

「いやいや!それよりもウチの娘の料理を食べながら話をしてくれ!」

前までゲンジに対して冷たい視線を送っていた者達も、ゲンジを里の者として受け入れ、今までの謝罪と共に差し入れや料理などを次々と与えてくれた。

 

その光景がゲンジを段々と明るくさせていった。

 

「……また、今度な」

今まで団子を食べる時でしか笑う事が無かったゲンジの顔に笑顔が見えてくる。そして、次第にゲンジ自身も日が経つにつれ、この空気に馴染んで来た。

 

自身から笑顔を見せたのはこの里が初めてだった。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

「(今思い出せば…いろいろあったな)」

 

長い長い過去を巡りに巡らせ、一昨日まで思い出したゲンジは自身が自然と笑みを浮かべていた事に気づく。調整した双剣を背中に担ぎ、シルバーソル装備を身に纏う。

 

「さて、そろそろ行くか」

今日は狩りはない。砦の整備だ。そのため、里の皆も次々と機材を運んでいた。

シルバーソルヘルムを抱え、背中まで伸びる髪が風に揺られながら、ゲンジは外に出る。すると、作業のために砦に赴こうとするヒノエと合流した。

 

「あら?まだ出撃ではないですよ?」

 

「いや、俺も手伝う。設備の使い方も知っておきたいからな」

ゲンジとしては、里の者達だけに任しておく事に何故か気が向かなかったのだ。

 

「ふふ。あまり無理をなさらずにしてくださいね」

ゲンジはヒノエの後をついていき、砦へと向かった。

 

ーーーーーーーー

 

翡葉の砦

それは、里から十数キロ以上も離れた場所にある渓谷にそびえる砦だ。左右が崖に囲まれている事で、壁走り等での移動の補助の他に死角からのモンスターの乱入を防いでいた。そして、前方にそびえるは備え付けられた巨大な柵。それは、三箇所設置されており、ゲンジがいる砦は特に巨大かつ頑丈に作られていた。

 

ゲンジが着いた時には里の殆どの者達が辺りにバリスタ用の高台を設置、そして撃竜槍の整備に取り掛かっていた。

 

「すげぇな…こんな砦の形状は初めてだ…」

「えぇ。とりあえず説明とまいりましょう」

ヒノエは翡葉の砦について説明した。

 

「まず、私達がいるのは3つに分けられたエリアの内の一番最奥であるここエリア3です。モンスター達は最前線にあるエリア1から次々と入ってきます。それを防ぐために各エリアに多くの兵器を設置しております」

そう言いヒノエは次々と地図で各地を指差す。

 

「兵器…か。例えばどんな兵器だ?」

 

「バリスタはもちろん撃竜槍も備え付けてあります。そして大目玉となるのがこちらです」

 

ヒノエが手を向けた先には空に砲口を向ける巨大な大砲だった。他の兵器が赤子に見える程の強大な威圧感が兵器だとしても伝わってくる。

 

「ドンドルマでの巨龍砲を参考に作成した兵器『破竜砲』です。発射までは調整等により時間がかかりますが、命中させれば想像を絶するようなダメージを与える事ができます」

 

「すげぇな…」

 

「因みに前線エリアにも設置してありますので、全部で二箇所ありますね」

 

「2箇所もあるのか!?」

これだけ強大な兵器が2箇所も設置してあるという事はそれほど、百竜夜行は恐ろしい上に激しい攻防となるのだろう。撃竜槍も各エリアに2本設置されており、警備が厳重である。

 

「そして準備エリアとして、キャンプも存在しています。あちらです」

ヒノエが手を向ける方向には崖の中に穴がある。それは、アオアシラ一頭程度ならば入れそうな程の広さだ。

 

「あそこに向けて翔蟲を飛ばして中に入っていくと、キャンプに向かえます」

 

「そこの点も厳重だな。確かにあの穴ならオサイズチやアオアシラ程度なら、通れそうだが、奴らは登る動作が苦手だからそれは不可能か。そこも計算されてるんだな」

 

「勿論。では、作業に取り掛かりましょうか!」

それからゲンジはヒノエの指示の元、里の皆と共に高台の設置を進める。

 

「ここはこんな感じで」

 

「分かった」

ヒノエの的確なアドバイスで、ゲンジは次々と土台を設置していった。そして、約一日に渡り、里の者全員によって砦の準備が整った。

そして、フゲンが皆を集めると、壇上に登る。

 

「皆の衆!よくやってくれた!皆のお陰で一通り準備が整った。数日後の百竜夜行に備え、ここに残る者はしばらくはキャンプで寝泊まりとなる。里に残る者はこの後すぐに日が暮れる前に帰還してくれ。その前に…」

 

突然 フゲンの目がゲンジに向けられた。

「ゲンジよ…!」

 

「え?」

フゲンが声を上げてゲンジを呼ぶ。呼ばれたゲンジにフゲンは壇上へと上がるように指示する。

 

壇上へと上がったゲンジを近くまで来させると、肩を掴む。

 

「皆の者。この者こそ百竜夜行を討つと名乗りを上げてくれた勇気あるハンター『ゲンジ』だ。先のハンターの件以来、我々はハンターへの信用を失墜してしまった。だが!それでも彼は冷えた態度を取る我々を見捨てず…多くの依頼をこなし、こうして準備まで手を貸し…そして我々に希望を与えてくれた。この者がいなければここまで来れなかったと断言できる…。故に俺は感謝をすると共に信じる。ゲンジは必ず凶災を祓い我らを救ってくれると!!」

 

『『『ォオオオオオオオオ!!!!』』』

 

その叫びに里の者達は賛同する様に高らかと雄叫びをあげる。最初の頃にゲンジが見た暗い雰囲気を放つものはどこにもいない。皆一人一人が信念を抱き、希望を胸に叫んでいた。

 

「ゲンジ。何か言いたいことはあるか?」

 

「……」

フゲンにそう聞かれたゲンジは少し考えると、頷き、前に出た。シルバーソル装備の背中に装着された大空を羽ばたく翼を模した装飾品が風に揺られながら、ゲンジは里の皆に目を向ける。

 

「俺より前に来たハンターが誰だか知らねぇが、お前らに不快な気持ちを与えたのは確かだ。ハンターに反感を抱く奴がいてもおかしくねぇ。

この中にもしもまだ俺を信用できねぇ奴がいるなら信用しなくていい。けど、約束する。命を救ってくれた礼に百竜夜行を必ず根絶し里を守る。それだけは覚えとけ」

 

その言葉は辺りに強く響き渡る。その言葉は里の者達の心に深く深く染み渡る。

 

そして_____

 

『『『オオオオオオ!!!!!』』』

 

それに応えるかのように里の皆は大きく叫んだ。

 

「俺はアンタを信じるぜ!!!」

 

「頼むぜハンターさん!!」

 

「俺達に希望をありがとう!!!」

次々と出る感謝と共に熱く希望に満ちた声。

 

「よし。よく言ってくれたゲンジ!では、皆の衆!!これにて解散だ」

フゲンの言葉に皆は頷き、里へと戻る者達は次々とガーグァやポポの荷車に乗り、戻っていった。

 

 

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