薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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遂に来たる百竜夜行

ある日の日が指す事がない曇りの朝

砦を挟む崖に設置された高台。そこにはエリア1から向こう側。即ちモンスターの進行方向を見渡せる程の望遠鏡が立っていた。

 

「……ん?」

見張りはエリア1から僅か数キロ離れた渓谷を見た。

 

「な!?」

そこには大挙として押し寄せてくる何頭ものモンスターの群れがあった。一頭のアオアシラに加えて2頭のオサイズチ。そしてヨツミワドウだ。

その光景を見た瞬間 見張り役の里の者は大声をあげる。

 

「来たぞ!!!!モンスターの軍勢『百竜夜行』だぁぁ!!!!」

 

『!』

 

その知らせに下にいたフゲンやゲンジ達は即座に武器を構え、出撃する。

ーーーーーーーーーー

 

キャンプにて、武器を扱わない里の皆は次々と持ち場につく。

 

「いよいよか」

ゲンジは首を鳴らし、武器を背負う。

 

「ゲンジ、私達も」

 

「忘れないでください」

そう言いゲンジの前に立つのは背中に弓を背負うヒノエとランスを背負うミノトだった。彼女らもまた、ハンターを目指していた事があり、それぞれの得意武器を受付嬢になった後でも鍛え続けていたのだ。この時のために。

 

「僕らも!」

 

「私も!」

そして、イオリとヨモギも一緒だ。イオリはチャージアックス。ヨモギはヘヴィボウガン。まだ18にも満たない少年少女までもが撃退に参加するのだ。更に、

 

「俺も行くぞ。久しぶりに腕が沸る…!!!」

巨大な太刀を背負うフゲンも出撃する。その背中だけでも感じられる怒涛の威圧感は辺りにいる者を圧倒させた。

 

武器を持たない者はバリスタや大砲で援護。武器を持つ者は真っ向から対峙する。ウツシやゴコクも戦力に欲しいが、里はいま、戦力がもぬけの殻である故に、何かあっては困るので残ってもらっている。

 

「絶対に死ぬなよ」

そして,ゲンジはキャンプから飛び立ち、戦場に出る。それに続く様に皆も次々と飛び立つ。

 

ーーーーーーーーー

 

遂に迎えた大災害『百竜夜行』ヒノエ達の脳裏に浮かぶのは50年前の悲劇。だが、今となってはそれは霞に等しい。此度は絶対に負ける事がない自信に満ちていた。

 

「いくぞ…!!」

目の前に立ち、先人を切るゲンジがいるから。

 

 

第一波襲来。

 

「来たな」

目の前にある木で作られた防衛柵を乗り越えて現れたのはアオアシラに加えて2頭のオサイズチ。そしてヨツミワドウ。その4頭は里に目掛けて闘牛の如く向かってくる。

 

 

「オサイズチ2体は俺がやる。アオアシラとヨツミワドウは頼むぞ」

 

「え!?一人でいっぺんに2体なんて無茶だ…わ!?」

ヨモギの静止も聞かずにゲンジは双剣を構えると、手を交差させ鬼人化すると走り出した。その速度はそこらにいるハンターよりも速く、一瞬で向かってくるモンスターに辿り着く。

 

「なら俺はヨツミワドウを引き受けよう。ヨモギ!イオリ!援護を頼む!」

「は…はい!」

「はい!」

フゲンはヨモギとイオリを連れてヨツミワドウへと向かう。

 

一方で、オサイズチ二頭に向けて走り出すゲンジにアオアシラが目を向ける。

 

「グゥオオオ!!!」

先頭を走っていたアオアシラはゲンジを見つけると、敵として認識し、鋭利な爪が生えた前脚を振り被る。

 

 

「邪魔だ…!!!!」

 

だが、ゲンジにとっては、最早アオアシラなぞ、雑魚に等しい。

翔蟲を使い、爪の振り回しを回避すると、慣らしとばかりに双剣を握り、アオアシラの額に目掛けて振り回した。

 

「グァア!?」

すると、アオアシラの顔に双剣の一閃が放たれ、アオアシラの顔面の毛をちぎり取り、甲殻を削った。その痛みにアオアシラは顔を押さえながら怯む。

 

「お前の相手は俺じゃねぇよ」

 

地面に着地し、アオアシラを乗り越えたゲンジは向かってくる2頭のオサイズチに向けて武器を構えた。

 

「ギャァオオオ!!」

 

「ギャァオオオ!!」

2匹は連携するかの如く,1匹目は牙を突き出し、噛みつこうとするが、ゲンジはそれを後方に飛ぶ事で回避する。すると、その動きを読んでいたのか、もう1匹が尻尾を振り下ろしてきた。

 

「やるな」

感嘆しながらもゲンジはそれをアッサリと横に横転する形で避ける。

 

2匹の連携。それは稀に見られるモンスターの行動だ。リオレウスやリオレイアなどではよく見たが、オサイズチは初めてだ。

 

だが、その奇怪な行動自体がゲンジを刺激し、興奮させる。

 

「上等だよ…!!!」

 

ゲンジは翔蟲を斜め前へと射出する。その弾性力を利用して、高く飛び上がった。双剣を構えると、身体を高速回転させる。それは前日に見たスクリューの如き回転だった。

 

そして

 

「オラァァァァァ!!!!」

2頭いるオサイズチに目掛けて、回転する刃と化したゲンジはダイブする。

 

「ギャァアオオ!!」

 

「ギャァァァ!!」

そのスクリューの嵐はオサイズチ二体をアッサリと刃の嵐に巻き込み、頭頂部や全身に刃が斬りつけられ、傷を与える。それと同時に全身に爆破性の粘液が付着する。

 

「まだおわらねぇぞ…!!!」

そして、ゲンジは着地した瞬間に更に身体を回転させると、今度は水平方向に向けて飛び出し、オサイズチ二体の間をすり抜けながら刃で斬りつける。

それは、傷を与えると同時に爆発性粘液を活性化させた。粘液が赤く輝いた瞬間 オサイズチの2体の身体が次々と爆発する。

 

「ギャァアオオェェ!!」

 

「ギャァアオオ!!」

斬撃に加えて爆破の衝撃と熱。次から次へとくる痛みにオサイズチは苦痛の声を漏らす。

 

「どうしたぁ!まだ始まったばかりだぞ!!!」

 

ゲンジは再び双剣を構え回避をしながら次々とオサイズチ2頭を蹂躙するかの如く斬りつけていく。

 

「ギャォ!!」

すると、1匹が爆破の衝撃で吹き飛ばされる。そして、ゲンジはすぐさまもう一匹へと目を向けると、脚を振り上げる。

 

「オラァァァァァ!!!」

「ギャェ!」

振り上げた脚は見事にオサイズチの顎へと抉り込み、牙を破壊する。

本来、蹴りはあまりモンスターに対して威力はないが、ゲンジは脚を鍛え上げ続けてきた故に細身ながらもその筋肉は発達し、遂には中型モンスター程度なら蹴り飛ばす程の威力を持つ蹴りを放てるようになったのだ。

 

蹴り上げられたオサイズチは大きく後ろに仰け反る。

 

「さぁ…まだやるか…?」

ゲンジの鋭い目線が2匹に向けられる。

 

すると、2匹のオサイズチは砦とは反対方向に向けて身体を反転させる。

 

「お?」

すると、2匹は逃げるように元来た道へと走っていった。

 

「なるほどな。撃退でいいのか」

ゲンジは理解すると、次なる標的へと目を向ける。

 

ーーーーーーーーー

 

ミノト ヒノエ vs アオアシラ

 

「アオアシラを相手にするのは久しぶりね」

 

「はい」

ハンターを目指していた頃の自身を思い出しながら、二人は武器を取る。ヒノエの手に握られたのは特殊に作られた矢。そして、ミノトの手に握られるのはとてつもなく鋭利な槍。

ミノトは鉄壁の防御を誇る盾と全てを刺し貫く槍を構える。

 

「一瞬で終わらせましょう…!!」

もう怖くない。50年前。何も出来なかった自分はもういない。皆がいる。ゲンジがいる。それだけで姉妹の心の底から勇気が湧き上がってくる。

 

「グォオオオ!!」

アオアシラは二人に狙いを定めると四つん這いとなり走ってくる。

 

対して、迫り来るアオアシラの脳天目掛けてヒノエは弓を引く。

「フッ!!!」

 

放たれた矢は一直線に向かい、向かってくるアオアシラの脳天に突き刺さる。

 

「グラォォ!?」

その痛みにアオアシラは顔を抑えながら後退する。そしてそれは一本だけではない。

 

「ハァッ!!!」

ヒノエは手早い動きで弓を取り出し、次々とアオアシラに目掛けて放った。その放たれた矢一本一本は外れる事なく、全てアオアシラへと突き刺さっていった。

 

「ミノト」

 

「はい!」

 

合図と共にミノトは体勢を比較すると、槍を構える。すると、ミノトの槍の先端部分が震え出す。そして、それと同時にヒノエは弓を横に構え矢を射る。

アオアシラが未だに怯む中、姉妹は一斉攻撃を放つ。

 

「「気炎万丈ッ!!!」」

 

放たれた言葉と共にミノトは一気に構えていたランスを全力で前に向けて放つ。すると、ランスの先端部分から竜巻が発生し、アオアシラに向けて放たれた。それと同時にヒノエの放った矢が、無数の光弾となり、ミノトの発生させた竜巻によって加速しながらアオアシラの身体へと撃ち込まれていった。

 

「まだまだいきますよミノト!」

 

「はい姉様!」

そして、二人は第二撃目を放つ。次々とアオアシラの顔面に撃ち込まれていく矢に加えて強烈な竜巻。それは次第にアオアシラから抵抗力を削いでいった。

すると、

 

傷ついたアオアシラは身体を反転させると、元来た道へと引き返していく。

 

ーーーーーーーーー

フゲン ヨモギ イオリvsヨツミワドウ、

「では参ろうかッ!!!

 

巨大な刀『百竜刀』を構えるフゲン。そして、ヨモギとイオリも武器を構える。

 

ヨツミワドウは叫び声をあげると、威嚇とばかりに四股を踏む。

 

「ヨモギ、援護を頼む。イオリはヨツミワドウが横転してから一気に叩け。それ以外は何としてでも攻撃は回避しろ」

 

「はい!」

 

「分かりました!」

ヨモギはすぐさま高台に。そしてイオリは武器を納めて警戒する。

 

最初に繰り出したのはヨツミワドウだ。

 

巨大な手を広げて、掴み取るかの如く、迫ってきた。

 

だが、寸前にフゲンは太刀の柄に手を当て、体勢を低くする。

 

そして、ヨツミワドウの手が直前まで迫ってきた瞬間

 

 

「甘いわッ!!」

フゲンの姿がヨツミワドウの寸前をすり抜けるかのように通り抜け、その際に太刀を抜刀し、ヨツミワドウに一閃を放つ。

 

『鏡花の構え』

 

それは、近年になって出回った新しい技である。居合切りを放つ姿勢のまま、攻撃を受け流し、カウンターを与えるという高度な技であり、多くの熟練ハンターでも、完全に習得する事は難しいとされている。

 

だが、フゲンは長年のハンター生活と修行によって、その技を出回る前に独自に習得し完成させていた。

 

百竜刀という長年使い続けてきた愛用の太刀に加えて筋骨隆々な身体から繰り出された一閃はヨツミワドウの身体に傷を作り、苦痛を与える。

 

「グォオオ…!?」

 

「ハッハッハッ!!まだまだぁ!!!」

沸るハンターの血によって、フゲンは最高潮に達する。百竜刀を次々と振り回し、ヨツミワドウの身体へと傷を入れる。

 

「セイヤッ!!!」

そして、太刀の必殺技とも取れる身体を大きく回転させながら両断するかのように斬りつける『気刃大回転斬り』を放つ。

 

その大回転斬りはヨツミワドウの部位を切断させ、斬りつけられた部分の毛も削がれていった。その苦痛によってヨツミワドウは横転する。

 

「よし!!一気にたたみかけるぞッ!」

「はい!」

ヨツミワドウが横転した事でイオリも武器を構えて攻撃に参加する。ヨモギも同じく次々と通常弾をヨツミワドウの身体に打ち込んでいった。

 

「決めさせてもらおうか」

翔蟲を取り出すと、ヨツミワドウに向けて放つ。そして、ヨツミワドウに向けて翔蟲の弾性力で飛び上がったフゲンは更にヨツミワドウを踏み台に高く飛び上がった。

 

そして

空中で太刀を構えると、ヨツミワドウを一刀両断するかの如く、身体に向けて一直線に刃を落下すると共に振り下ろした。

 

「気炎万丈ッ!!!!」

 

「ゲェオォオオオ!!!」

その瞬間 10撃もの斬撃がヨツミワドウに叩き込まれた。その斬撃はヨツミワドウに更に苦痛の叫び声を上げさせる程のものだった。

 

『兜割り』

これも近年になって新たに編み出された技であり、空へと高く飛び上がりながら重力加速と共に太刀を振り下ろし、モンスターを一刀両断にするかの如く放つ大技の一つである。

 

「ヤァッ!!!」

そして、イオリもチャージアックスの剣撃エネルギーをフルにチャージさせると、剣モードから斧モードに切り替えながら一気に溜めたエネルギーを斬りつけると共に爆発させる。

 

「アハハハハ!!」

そして、ヨモギは貫通弾を装填させると、ゲスな笑みを浮かべながら次々とヨツミワドウに目掛けてぶち込んだ。すると、打ち込まれた貫通弾はヨツミワドウの太い胴体を貫いていく。

 

フゲンの鏡花の構えから放たれたカウンターに加えて大回転斬りに続く兜割り。そして、イオリの高出力属性解放斬り、更にヨモギの貫通弾の連射という怒涛の超連続攻撃によって、ヨツミワドウの体力がとてつもない勢いで削がれていった。

 

すると

 

「ゲァァァァ…!!」

ヨツミワドウは起き上がり、身体を方向転換させ、元来た道へと逃げ去っていった。

 

「ハッハッハッ!よくやったぞ二人とも!!」

 

第一波。防衛成功。だが、これで終わりではない。

 

「里長ッ!!第二波が来ます!!」

 

見張りの報告にフゲンはすぐさま武器を研ぐ。

「さぁゆくぞ…!!!」

 

 

 

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