薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
「第二波が来ました!!!モンスターは同じく4体!!リオレイア、ビシュテンゴ、アケノシルム、リオレウスです!!」
「ッ…厄介な面子だな…」
知らされたモンスターは4体とも強力な部類に入る者ばかりだった。アケノシルムやビシュテンゴ、リオレイアはギリギリ対処ができるが、リオレウスが相手となると、フゲンでもキツいだろう。
その時だ。
「ギャァオオオッ!!!」
リオレウスの咆哮が響き渡り、口内から何発ものブレスを吐き出した。
「退避だ!!!」
フゲンの叫びに皆はその場からバラバラに散る。次々とリオレウスのブレスが降り注ぎ、辺りの作成された高台に火をつける。火は燃え上がり、次々と高台を使い物にならない灰へと変えていく。
「っ…こんな時にリオレウスとはついてないな…」
フゲンは口を噛み締めながら汗を流す。リオレウスは常時空を飛んでいるために、攻撃をされては対処する術がないのだ。
そんな中、退避したゲンジは双剣を取り出す。
「なら、俺がリオレウスとリオレイアをやる。フゲンさん達は他の奴らを頼む」
「待て…流石に飛竜種2体は危険だぞ…!」
フゲンは二体同時に相手取ろうとするゲンジを止める。いくら下位であろうとも、2匹同時はベテランハンターでも苦戦するだろう。だが、ゲンジはそれを斬り捨てる。
「俺を誰だと思ってる?リオレウスとリオレイアなら腐るほど狩ってるんだよ」
ゲンジは首を鳴らすと、即座に前に走り出す。
「グロォォォ!!」
「キャァェェ!!!」
向かってくるゲンジに警戒心を露わにしたビシュテンゴとアケノシルムは吠えると、ゲンジに向けて攻撃を放つ。
アケノシルムは火玉を、ビシュテンゴは懐から柿を取り出して投げつけてきた。
だが,既に経験があるゲンジはこの動きを見切っていた。
身体を唸らせ、火玉を避けると、武器を取り出し、向かってくる柿を目で捉えると片方の剣で刃に当て防御する。
そして、そのまま走る速度を加速させると、一気に跳躍した。それと同時に翔蟲を斜め上へと放つ。
助走をつけた跳躍によって、ゲンジの身体を翔蟲は空高くまで打ち上げた。それは、翼を広げてこちらに向けて火球を吐くリオレウスとほぼ同じ高さであった。
突然 上空まで飛び上がってきた事でリオレウスは動揺する。その隙をゲンジはつく。
「オラァッ!!」
「ギャァオ!?」
ゲンジは双剣を振り上げると、ハンマーの如く振り下ろし、高く飛び上がるリオレウスの頭に叩き込む。すると、リオレウスの巨体が地面に向けて叩き落とされた。
そのままゲンジは翔蟲を落下したリオレウスの斜め下に向けて射出すると、弾性力によって一気に急降下する。それは重力加速度も加算され、驚異的な速度となった。
その体勢からゲンジは双剣を前に突き出しながら高速回転させ、スクリューのようにリオレウスに迫る。
「ヴォアアアアアッ!!!!」
その突き出され回転する刃はリオレウスの胴体に突き刺さり、そのまま回転力を失うことなく、ドリルのように胴体を抉りだした。
「ギャァオオオ!!!」
苦痛の悲鳴をあげるリオレウス。だが、ゲンジは手を緩めない。ドリルと化したゲンジの一直集中型の斬撃は一瞬でリオレウスの硬い甲殻を打ち破り、次々と内部の肉へと鋭い斬撃を与え、傷をどんどん広げていく。
そして 回転力が失われ始めた瞬間 ゲンジは最後に傷口をこじ開けるように1箇所に集中して抉り込ませていた双剣を一気に左右に広げた。
「ギャァァァァア!!!」
その瞬間 リオレウスの悲鳴と共に辺りに大量の肉と血飛沫が舞う。
聞こえる悲鳴は正に苦痛。空の王者にあるまじきものだった。
攻撃を終えたゲンジはそのまま地面に着地すると、血の雨を浴びながらもすぐさま再び鬼人化し、痛みで倒れ臥すリオレウスの顔に向けて縦横無尽に双剣を振り回した。
「ヴォオオオオオッ!!!!」
スタミナを無視した怒涛の超連続乱舞。今まで数多くのモンスターをこの乱舞で葬ってきた。が、その連撃は過去のものとは比較にならない程の手数だった。
次々と甲殻が剥がれ、遂には身体の肉が血と混じり合いながら飛び散る。
「ギャァオォオオ…!!!」
「お?」
すると、リオレウスは重苦しい悲鳴を上げながら、上体を起こし翼を羽ばたかせて元来た道へと引き返していった。
空の王者と恐れられるリオレウスはたった数分で本気となったゲンジの手により撃退された。
「こりゃたまげた…」
フゲンはゲンジのモンスターを次々と撃破する無双劇に冷や汗を流していた。ウツシでさえも習得に時間を要した回転斬りを難なく使いこなした上に双剣の新技を作り、動作に繋げるという完全なる常識破りの動きを見せていた。正に天性の双剣使いだった。
「ギャァオオオッ!!!!」
そんな中、リオレウスに傷を入れたことで番であるリオレイアが咆哮をあげる。そして、その鋭い目がゲンジへと向けられた。
「俺に狙いを定めたか。丁度いい」
番に傷をつけられたことでリオレイアは激怒し、口内から炎が漏れ出した。
「ギャァオオオ!!」
ゲンジはリオレイアと対峙する。だが、その背中をビシュテンゴは見逃す筈がなかった。
「!?」
気づいた時にはビシュテンゴの投げた礫がゲンジに向かってきていた。
「させません!!」
その時だ。ゲンジの背後にミノトが現れ、盾を前に突き出してその礫を防ぐ。それに続き、弓を構えたヒノエも現れた。
「ゲンジ、ビシュテンゴは私達に任せて」
「リオレイアの相手をお願いします」
二人は武器を構える。油断していた故に助けられたゲンジは小さい声で礼を言う。
「…助かる」
ゲンジはビシュテンゴを二人に任せると、再び鬼人化し、リオレイアに向けて走り出す。
ゲンジが走り出しリオレイアに向かう姿を二人は見届けた。
「あらあら、こういう時は『ありがとうお姉ちゃん』って言って欲しかったわ」
「少々残念です」
二人は気を落としながらも持ち直すと、鋭い目を自身らを見下すビシュテンゴに目を向ける。
「私達の大事な可愛い弟に手を出す悪いお猿さんにはお仕置きが必要ですねぇ…!」
「この場で成敗いたします」
ヒノエとミノトはビシュテンゴに向かっていく。
ーーーーーーー
フゲン イオリ ヨモギvsアケノシルム
「ギェェエエエ!!」
「ぬぅ…」
耳が千切れる程の咆哮を放つアケノシルム。フゲン達はその鳴き声に怯むも、即座に体勢を持ち直す。
「ヨモギ!同じく援護を頼む!イオリもだ。火炎玉には気をつけろ!」
「はぁい!」
「分かりました!」
フゲンとイオリは左右に散り、ヨモギは高台に登る。
アケノシルムの目の前に立ったフゲンは再び鏡花の構えを取る。
対してアケノシルムは翼をはためかせると、次々と火球を吐き出す。
「フンッ!!」
だが、フゲンはそれを防がず、あろうことか、正面から向かっていく。
「ギェェエエ!」
炎を真正面から受けながら突進してくるフゲンにアケノシルムは動揺する。その隙をフゲンは見逃さなかった。
「ゼィヤァァァッ!!!」
猛々しい雄叫びと共にアケノシルムの番傘のような翼膜にフゲンの一閃が放たれ、傷を刻む。
所々に火傷を負いながらも、フゲンはまったく応えていない様子だった。
「ムハハハ!!!心頭滅却すれば火もまた涼しッ!!!」
ーーーーーーーーー
ヒノエ ミノトvsビシュテンゴ
本気の目を向けるヒノエとミノト。その視線は見るものを畏怖させる程のものだった。
「グロォォオオ!!」
ビシュテンゴは高低差を利用して、崖に捕まると次々と柿を投げつける。
「姉様!防御はお任せを」
「ええ。お願い」
ミノトがヒノエの盾となり、次々と投げつけられる柿の礫を防ぐ中、ヒノエは崖を移動するビシュテンゴに狙いを定める。
その目は正に捉えた獲物を逃さない“狩人”の目だった。
「…!」
そして、ヒノエの目が大きく開く。ビシュテンゴの動きを見切り、次に移動するであろう場所を即座に予測すると、その場に向けて矢を放った。
「グガァ!?」
その矢は見事にビシュテンゴの手に命中する。そして、続け様にヒノエは次々と矢を放った。その矢は先程と同様に放たれ瞬間 複数に分裂すると軌跡を残しながらビシュテンゴに向かっていく。
「ギヤァォオァァァ!!!」
全てが命中し、右手、右脚、左手、左脚、そして自慢の尻尾に突き刺さる。
その苦痛に耐えきれなくなったビシュテンゴは体勢を崩し、崖から落下してくる。
「いまよ!ミノト!」
「はい!」
訪れた好機を二人は見逃さなかった。ビシュテンゴが体勢を崩し起きあがろうともがく中、ミノトはランスを持つ体勢を低くし、一点に狙いを定める。
それと同時にヒノエも弓を横に傾けると、狙いを定める。
そして
「「気炎万丈ッ!!!」」
ミノトの突き出したランスから竜巻が、ミノトの放った複数の光の矢が一斉に発射された。
「グォォ!?」
ようやく体勢を立て直したビシュテンゴ。だが、立て直した時には既に竜巻と光の矢は目の前に迫っていた。
「グォォォォォ!!!!」
重ね合わされた竜巻と光の矢がビシュテンゴに炸裂した。
それだけでは終わらない。
「フフフフフフフ」
「姉様!?」
ヒノエは矢を射る手を止めず、次々と怯むビシュテンゴに向けて矢を放った。その溢れる笑みからは優しさが全く感じられない。
珍しくヒノエは完全にキレていたのだ。理由は簡単。『ゲンジを攻撃した』事に加えて防御したとはいえ、『ミノトにずっと礫を投げつけてきた』事だ。
立て続けに放たれる矢は次々とビシュテンゴを出血させる。
「あら、まだまだ元気そうね〜♪」
「…!!」
“やばい。殺される”
向けられたヒノエの目にビシュテンゴは冷や汗を流すと、即座に咆哮をする。
「ギャァオオオ!!」
「「!?」」
その咆哮に至近距離にいたミノトとヒノエは耳を塞ぐ。すると、その合間に、ビシュテンゴはすぐさま脚を引きずりながら元来た道へと引き返して行った。
「あらあら、逃してしまったわ」
「……(ヒノエ姉様…怖い…)」
逃げ去るビシュテンゴを笑いながら見送るその姿にミノトはガクガクと震えていた。
ーーーーーーーー
ゲンジvsリオレイア
ゲンジは双剣を構え、鬼人化すると、一気に駆け出した。
「グルル…!!」
すると、リオレイアは狙いを定め、口内に炎を溜める。目の前からくる敵を確実に消し炭にするために。
ゲンジは寸前まで走り出すと、リオレイアの口が開かれた。
「ギャァオオオ!!!」
咆哮と共に放たれた炎の塊。それはゲンジに向かってくる。
「…!」
ゲンジは目の色を変えると翔蟲を取り出し、斜め上へと射出する。
身体が弾性力によって打ち上がり、リオレイアの放った火球を回避した。
それだけでは終わらない。
回避したゲンジはそのまま双剣を取り出すと、ゆっくりと片手の持ち手を変える。そして着地地点にあるリオレイアの頭目掛けて身体を回転させた。
「ヴァォオオオオオオオオ!!!」
回転し刃を持つコマと化したゲンジはそのままリオレイアの頭に刃を突き刺すと同時に更に回転し、頭から次々と背中をなぞるように刃を斬り込んでいった。
「ギャァオオオ!!!」
背中から次々と甲殻を剥がされリオレイアは苦痛の声を漏らし怯んだ。
一方で、背中から尻尾まで斬り刻んだゲンジはそのまま空中に飛ぶと、再び翔蟲を取り出し、リオレイアに向けて放った。
そして、双剣を構え、今度は尻尾から顔面に向けて回転斬りを放つ。
「ヴァラァアアッ!!!!」
速く…もっと速くッ!!!回転する身体に命令を出す。すると、ゲンジの回転する速度が次々と増していく。
それと同時に刃も深く深くリオレイアの身体に刺し込まれていく。
頭まで回転斬りを放ったゲンジは再び跳躍すると、翔蟲を取り出し、リオレイアの斜め上の上空へと飛び立つ。そして、再び身体を高速回転させる。だが、今度の回転の姿勢は違う。
回転斬りの姿勢ではない。リオレウスの甲殻と肉を抉り取ったあの姿勢だ。双剣を前に突き出し、ドリルの如く回転させると、リオレイアに向けてダイブした。
「…!ギャァオオオ!!!」
対してリオレイアは真正面から向かってくるゲンジに向けて咆哮を放つと、再び口内に炎を凝縮させる。
“確実に葬りさる”ッ!!!!
空中ならば避けることはできまいとリオレイアは悟り、先程よりも濃密にブレスを溜め込む。
回転するゲンジが目前まで迫ってきた瞬間 リオレイアは口内に最大限まで溜めた炎を一気に放出した。
「ギャァオオオッ!!!」
その炎は目の前にいるゲンジを焼き尽くさんがため、圧倒的な熱量を纏い、ゲンジに向かって行った。
対するゲンジは更に回転速度を上げる。ブレスが目の前に迫ってきているが、ゲンジにはもう関係ない。全て蹴散らすのみ。
「ヴゥオオラァァァッ!!」
そして、リオレイアの放ったブレスとゲンジの刃がぶつかった。その瞬間 炎が炸裂するも、ゲンジの脅威的な回転力により、その炎が掻き消された。
「…!!!」
リオレイアは動揺する。最大限で放ったというのに、何のダメージも与えられず羽虫の如く消されたのだ。
一方で、炎をかき消したゲンジはそのままリオレイアの顔面に向けて回転する刃を突き刺した。
「ギャァオオオ!!!!」
脳天に見事に突き刺さった刃によって、リオレイアは苦痛の叫びを上げながら横に横転する。
「仕上げといこうか…!!」
着地したゲンジは再び双剣を構えると、倒れるリオレイアの身体に向けて、リオレウスと同じく超高速乱舞を放つ。
「ヴォオオオオオオオッ!!!!!!」
「ギャァァァァア!!!」
腕に筋肉を集中させて放つ超高速乱舞はリオレイアの甲殻どころか、内部にある肉をまるで獲物を貪り食う獣の如く次々と辺りに飛び散らせる。
そして
「終わりだぁぁぁッ!!!!」
全身の力を込め二つの双剣を重ね合わせた大きな一閃を放つ。
その一振りがリオレイアの命を刈り取った。
「ギャォォ……」
弱々しい声を空に向けて放ちながらリオレイアは生き絶えた。乱舞を終えたゲンジは肩で息をしながら、シルバーソルヘルムを取る。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
連戦に続く連戦。下手をすればあの6頭連続狩猟よりもスタミナを使っただろう。
モンスターが来た道の方向へと目を向けると、無事にヒノエやフゲン達がビシュテンゴとアケノシルムの撃退に成功していた。
「終わったようだな…」
すると、ヒノエやヨモギ達が手を振りながら走ってくる。
「おぉ〜い!ゲンジさぁ〜ん!」
百竜夜行を退けた事で、皆は緊張が解けていた。その様子にゲンジは笑みをこぼすと、答えるように手をあげ、皆の元に向かう。
その時だった。
「…!!!」
モンスターの侵攻方向から得体の知れない何者かの気配を感じる。その気配を感じたゲンジは身体が無意識に反応し、シルバーソルヘルムを被ると共に武器を構え始める。この胸騒ぎ…対象となるモンスターを討伐した直後に別のモンスターが現れる乱入という事態と同じであった。
“何か来る”
ゲンジはすぐさま皆の元に駆け出し大声で叫んだ。
「もう1匹来るぞッ!!!!」
『『!?』』
ゲンジの叫び声に言葉にフゲン達は驚く。
すると
前方から地面を踏み鳴らす足音が聞こえてきた。
「…!!」
その足音にフゲン達は驚くとその方向へと目を向けた。
そこには_______
_______怪しく輝く紫色の炎を口内から漏らすモンスターの姿があった。