薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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覚醒

「ゲンジ…!まさか一騎討ちをする気か…!?」

先に避難した5人の目の前には、マガイマガドと対峙するゲンジの姿が映っていた。ゲンジの退く様子の見えない姿勢にフゲンは驚きの声をあげる。

それに対してマガイマガドは口内から鬼火を溢れさせながらゲンジを睨みつけていた。

 

「無茶だ…奴は50年も生きている歴戦の個体だぞ…!!」

そう言いフゲンは歯を食い縛りながらゲンジに目を向けた。

いくらG級ハンターであるゲンジでも、単独での成熟個体のマガイマガドは危険だ。だが、不用意に自身らが援護すれば、被害が拡大してしまう。

 

「ゲンジ…」

ミノトや皆はゲンジを助ける策を考える。すると、ある作戦が浮かぶ。

 

「里長!こやし玉を!」

 

「おぉ!それだ!」

ミノトはマガイマガドを強引に撤退させるためにこやし玉の投了を提案する。フゲンは頷き、即座にキャンプに皆で向かう。

 

ーーーーーーー

 

最高潮の興奮。そして怒りの頂点へと達したゲンジの目は赤く染まっていた。その輝きは美しいものとは言えなかった。

 

赤く染まったその色は正に血の色だった。その目から、マガイマガドは何かを感じ取る。

 

本来、マガイマガドが百竜夜行の群れを喰らうには理由があった。ただ自身の膨大なるエネルギーを補給するため。

 

一般的に知られているのはそれだけだ。だが、更にもう一つ存在していた。

 

それは、

自身が住んでいた地域のモンスターがたった1匹のモンスターによって絶滅させられた事によっての食糧不足だった。

 

マガイマガドは元は多くの食べ物や小型モンスター達が住む恵まれた地域で生まれ、その生態系の王者だった。

 

 

だが、突然現れた1匹のモンスターにより、住んでいた地域の小型モンスターが全て食い尽くされ、自身はテリトリーを追われた。

 

そのモンスターの名は………“イビルジョー ”

 

特定のテリトリーを持たず、常に獲物を求めて彷徨う特級の危険生物であり、他の大型モンスターのテリトリーに侵入しては暴れ回り、その地域に住む大型モンスター、果ては自然そのものと記される古龍さえも喰らい尽くす恐ろしい生物だった。

 

故にイビルジョー の姿を確認した瞬間に多くのモンスターはその地域を離れ、別の地域で新たにテリトリーを持つ様になる。

マガイマガドもその内の1匹だった。

 

マガイマガドの脳内にはイビルジョーの恐ろしき姿がトラウマの如く根付いている。

 

ならばなぜ今この時マガイマガドはゲンジを見た瞬間 恐れているのか。

 

 

それは___

 

 

 

 

_____ゲンジの目があの時のイビルジョーの目と瓜二つであるからだ。

 

「いくぞ…!!」

双剣を構え、鬼人化したゲンジは驚異的な脚力で地面を陥没させながら走り出す。その速度は赤く輝いた目が残光を残す程であり、百竜夜行の時にリオレウスへ向かっていった時の比ではない。

 

「…!!」

突然の速度の変化。マガイマガドは驚き、硬直してしまう。大きな変化はたとえどんなモンスターであろうとも驚くのは当然だ。

 

「ヌンッ!!」

その速度で前方へと武器を構えながら跳躍するゲンジ。その向かう速度は跳躍によって更に加速し、一瞬でマガイマガドの目の前まで迫った。

 

「グロォオオオオオオオ!!!」

咄嗟にマガイマガドは前脚を突き出す。

 

だが、突き出された前脚からゲンジは身体を唸らせ、その突き出された前脚を回転しながら斬りつける。

 

 

「ヴァアッ!!!」

そのまま前脚から背中、そして尻尾の先端へと身体を回転させながら刃を振るう。

 

「ガァロォオオオ…!!!」

 

“明らかに速度が違う”

 

更に、ゲンジは尻尾を斬りつけると、即座に地面へと着地し、マガイマガドの周りを駆け出し、四肢を斬りつける。

 

「グロォオ!?」

背中に続き、再び前脚…いや、四肢から感じられる痛みにマガイマガドは驚きと共に苦痛の声を漏らす。

 

それだけでは終わらない。

 

ゲンジは四肢を斬りつけると、先程斬り刻んだ前脚に向けて集中的に双剣を振り回した。

 

「ヴォラァッ!!!」

何度も何度も同じ箇所へと双剣を斬りつけた瞬間 付着した粘液が赤く活性化する。

 

そして

 

「グロォァァァァ!!!!」

 

その粘液が大爆発を起こす。赤い爆炎がその身を焦がし、爆風で吹き飛ばされた甲殻が辺りに飛び散る。爆破が発生したその衝撃によってマガイマガドの身体は横転し、地面に倒れた。

 

地面へと倒れたマガイマガドの顔に向けてゲンジは刃を構え、目を血走らせた。

 

 

「終わりだ…!!!!」

その瞬間 ゲンジの双剣の乱舞がマガイマガドの顔に向けて放たれた。

 

次々と放たれる乱舞は速度を落とすどころか更に増し続けていき、斬撃の手数も上昇。さらに、爆破属性の粘液の活性速度も倍となった。

爆破属性の粘菌は次々と爆発し、マガイマガドの顔を赤い爆炎に次々と包み込む。それと同時に双剣も叩きつけられ、マガイマガドの体力が驚異的な勢いで減少していった。

 

それに対して、ゲンジの乱舞を放つ速度はまだ限界に到達していなかった。

辺りに舞うは大量の血飛沫。その血を全身に浴びながらもゲンジは止まる事はなかった。

 

そして

 

 

ヴォォォオオラァァ!!!

辺りを轟かせる程の咆哮が響き渡った時 乱舞を放つ速度は遂に残像が見える境地へと到達した。

 

次々と乱れ咲く蓮爆の華に加えて双剣の乱舞による斬撃。その二つの連撃によって、マガイマガドの象徴である頭の兜の如き角が、そして牙がへし折れていった。

 

 

その時だ。

 

 

ゲンジの乱舞を放つ手が止まる。

 

体力が尽きたわけでは無い。

最後の大きな一撃を放つために、全身に力を込めるために乱舞を止めたのだ。

 

二つの双剣を両手で重ね合わせながら構え、全身の力を込めた一閃を放った。

 

「ヴォラァァァァァ!!!!」

 

「…!!」

その一振りはマガイマガドの額に大きな傷を与えると共に怨念に蝕まれた命を刈り取った。

 

「グロ……ロ…」

 

マガイマガドの枯れた声だけが微かに聞こえる。

怒りと興奮によって覚醒したゲンジによって、何のダメージも与える事なく、自身の切り札を出す隙も与えられず、ただ無念なままにマガイマガドは目を閉じ、その生涯を終えた。

 

 




マガイマガドがイビルジョー によって居場所を追われてカムラの里に来たと言うのはまったくもって公式とは関係のない勝手な設定です。
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