薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
ゲンジがカムラの民となってから翌日の昼。
ヒノエとミノトは大社跡に訪れていた。
「いくわよミノト」
「はい。姉様」
最近になって増えてきたイズチの討伐も兼ねて、二人は実践訓練を行うべく、駆け出す。武器の実戦は定期的に行う必要がある。少しでも、ゲンジの力になれるように。
向かってくるイズチに向けて、ヒノエは矢を射り、1匹1匹を確実に撃ち抜いていった。
ミノトもランスを構え、向かってくるイズチに向けて放ち、先から発生する竜巻によって、数匹を纏めて葬り去る。
「順調のようね」
「はい」
二人は段々と調子を取り戻していく。ミノトも百竜夜行の時の悲しみはもう消え失せており、ヒノエの目にはいつも通りのミノトの姿が映っていた。
そして、調子を取り戻した姉妹はイズチの凄む更に奥地へと向かっていった。
竹林の中へと着いた姉妹は目の前に多くいるイズチ達に向けて武器を構えた。
「すぐに片付けましょう」
「はい!」
そんな中
竹林の中でイズチ達を討伐していく二人の姿を暗闇の奥から赤い二つの双眼が覗いていた。
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一方で、カムラの里で全身に包帯を巻いていたゲンジはシルバーソル装備の手入れをしていた。泥に塗れた箇所を次々と落とし、加工された時と同じように光沢が放つように拭く。
「ゲンジがここに住むようになって嬉しいニャ!」
一方で、ミケとハチは部屋の中で楽しそうに戯れていた。その様子をゲンジは微笑みながら見ると、装備を整える手を進める。
「そうだ、お前らの装備もそろそろ新調しねぇとな」
「わ〜い!」
「ワン!」
すると
「…ん?」
玄関からガタガタと大きな足音が聞こえた。その音に耳を立てたゲンジはシルバーソル装備を磨く手を止め、玄関に目を向ける。
すると
「ゲンジよ!!ここにおったか!」
テッカちゃんに乗ったゴコクが現れた。何やら慌てた様子である。
「なんだアンタか。どうした?」
「先程…とんでもない事が報告されたでゲコ…。『ヌシ』が大社跡で発見されたようでゲコ…!!」
『ヌシ』
それは全身に嵐にあったかのような傷を負い、禍々しいオーラを纏うモンスターの呼び名であり、原種とは全く違った行動をする謎のモンスターである。
しかも、大社跡となると、今、ヒノエとミノトが訓練の為に赴いている場所だ。
「ちょっと待て…ヒノエ姉さんとミノト姉さんは知ってるのか…?」
「だからヤバいのでゲコ!!二人は既に大社跡におる!!早く伝えねば!」
ゴコクの言葉にゲンジは即座に装備を身に纏いながら、戯れているミケとハチに向けて叫ぶ。
「ハチ!!ミケ!!いくぞ!!」
呼ばれたミケとハチは待っていたと言わんばかりに即座に装備を着用する。
「アイアイサニャ!!」
「ワン!!」
「ちょ!?お主まだ傷が完全に…ゲコォ!?」
ゲンジは咄嗟に血相を変え、止めようとするゴコクを跳ね飛ばすと、ハモンの元に走りだす。
加工屋へと着いたゲンジは、いつものように防具を加工するべくその場に座っているハモンに詰め寄る。
「ハモンさん!緊急事態だ!すぐに武器を返せ!」
ハモンは突然 訪問してきたゲンジに驚くも、拒否する。
「何を言っている?ヒノエから許可が出るまで渡せ……ぐえ!?」
ゲンジは咄嗟にハモンの胸ぐらを掴む。
「その姉さん達が危ねぇんだよッ!!!」
「なんだと!?」
ゲンジは簡単にゴコクから伝えられたヌシの出現情報と、その出現した大社跡にヒノエとミノトが武器訓練の為に赴いていることを。
「分かった!!ほら新調済みだ!」
「ありがとよ…!!」
即座に武器を手に取ったゲンジは傷が痛みつつも走り、双剣を背中に構え、シルバーソルヘルムを被り、里から出るとハチの背に跨る。
「ハチ!全速力だ!!」
「ワン!!」
ゲンジとミケを乗せたハチは全速力で、全てを置き去りにするかのような脅威的なスピードで大社跡へと向かう。
「(間に合え…!!間に合え…!!)」