薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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夢から現実へ

「…ん」

ゆっくりと目を開けると、再び景色が変わっていた。それはいつも見る里にある自身の部屋の天井だ。囲炉裏の火によって、焦げた匂いが鼻を刺激する。

 

「あらあら。随分と早いお目覚めですね」

 

横に目を向けると、相変わらず笑顔を浮かべるヒノエと無表情のミノトが正座していた。

これも現実なのだろうか。

身体が勝手に起き上がり、並んで座る2人に向けて歩いていった。

 

「どうしました?」

 

「お食事なら今からお作りしようと……え!?」

その瞬間 2人の前に歩いたゲンジが膝を降ろし、両手で2人の頭を抱き寄せ、自身の両頬に寄せた。

 

「まぁ…!あらあら…」

 

「と…突然抱き締められると流石に恥ずかしいのですが…!」

ヒノエは突然のゲンジの抱擁に驚きながらも笑みを浮かべながらも受け止めた。その一方でミノトは初めてゲンジの方から抱擁を受けた為に顔を真っ赤に染め上がらせていた。

そんな中、ゲンジはずっと暗闇の中で探し求めていたものをようやく見つけた事で、安心するように呟いた。

 

 

「よかった……2人ともいる…」

「え?」

その声は悲しみと孤独が混じっているかのようだった。その声にヒノエは初めて目を合わせた日を思い出した。

 

姉を渇望するように手を伸ばしながら汗を流し苦しむ顔。今もその時と同じだ。即ち、あの時と同じように良からぬ夢でも見てしまったのだろう。

 

それはミノトも同じだ。今も尚手を離さず、その手が震えている事を感じ取り、その身に何か起きた事を察知した。

 

「ゲンジ…何があったのですか?詳しく…あれ?」

 

ミノトはゲンジに問おうとする。だが、ゲンジが離れなかったのだ。手を退かそうとするも、手の力が強く、動かす事ができなかった。

 

ただ、2人にとってそれは嬉しいものだった。

「姉様…どうしましょう?」

 

「ふふ。このままでいましょう♪」

 

◇◇◇◇◇◇

あれから10分経過した。ゲンジは未だに自身らを抱き締めていた。

 

「姉様…本当にどうしましょう?」

 

流石に話を聞く為に一度は離れた方が良いと思ったミノト。だが、その腕は力強く、動かせなかった。悩んだミノトはヒノエに尋ねる。

 

「う〜ん。このままでいたいものですけど、仕方ありませんね」

ヒノエは笑みを浮かべながら即座に応えると、ゲンジの頬に顔を向け、耳元に口を近づけた。

 

そして、そっと息を吹きかける。

 

「フゥ…」

 

「!?」

その息はゲンジの耳の中を通過していき、鼓膜をくすぐる。それによって、今まで無意識であったゲンジの身体が意識を取り戻した。

 

「…え?わぁぁぁあ!?」

ゲンジの身体が震え出し、自身らを抱き締めていた手が即座に解かれた。

それと同時にゲンジは自身らを抱き締めていた事を認識したのか、顔を真っ赤に染め上がらせながら後ろへと下がっていった。

 

「落ち着きましたか?」

 

「…!!」

目の前には先程までずっと動かなかったゲンジが顔を真っ赤に染め上がらせていた。まるで今まで抱き締めていた事を認識していなかったかのように。ゲンジは即座に2人に謝る。

 

「す…すまん…。気がつかなかった…」

 

「いえいえ気にしないでください。それよりも…」

「先程の言葉は一体…」

ヒノエとミノトは先程の言葉について尋ねる。明らかに何かあったのだろう。そうなれば、呼び掛けてもその声を受信できない程の状態にはならない。

 

「何か怖い夢でも見たのですか?」

「あぁ…。怖くはないが…酷い夢だった…」

ヒノエの問いにゲンジは頷いた。そして、ゲンジは2人に夢で見た事を全て話した。

 

その夢の話はヒノエとミノトを驚かせる。何とも異質なものだった。自身らどころか里自体が存在しない世界の夢。それはゲンジにとって苦痛でしかない夢だっただろう。

 

「現実とも幻想とも取れねぇぐらい嫌な夢だった…。けど、さっきのでこれが現実だって確信したよ」

そう言いゲンジは若干ながらも笑みを浮かべた。だが、話された程の具体的でかつリアルな夢を見てしまえば誰しもが一時的には現実に対して半信半疑になってしまうだろう。夢と現実の区別がつかなくなるのは珍しくない。

 

すると、ヒノエは顎に手を当てる。

 

「もしかしたらこれも現実ではないかもしれませんよ。私が確かめてあげましょうか?」

 

「まぁ…そうだな。スッキリしたいから頼む」

その提案にゲンジは頷いた。

 

すると、ヒノエは離れたゲンジの元へと向かい、前にゆっくりと腰を下ろした。

 

「ビンタでもするのか?まぁ…その方が適切かもな。自分でやったんじゃ意味がない」

確かに頬を思い切り叩けば分かるかもしれない。自身でやったとしても、それは意味がないだろう。そう思いながらゲンジは目を瞑る。

 

「…」

だが、いつまで経っても叩かれる様子はなかった。不審に思いながらも目を開けようとした時。

 

「むぐ!?」

突然 口に何か柔らかいものが押しつけられた。それはとても、柔らかく………今朝を思い出させるものだった。

 

咄嗟にゲンジは目を開ける。すると目の前にはヒノエの顔があった。

 

「!?」

今朝と同様に唇を重ねたのだ。しかも、自身が再び離れられないように身体に手を回す形で固定されていた。

 

 

すると、その唇がゆっくりと離れた。

 

「……どうですか?感じましたか?」 

 

「…///」

何食わぬ顔で訪ねてくるヒノエ。そしてその後ろではミノトが驚きのあまり硬直していた。その一方でゲンジは驚きのあまり口が固まってしまう。

 

「ねねね…姉様ぁぁ!!!」

すると、その空気を打ち破るように硬直していたミノトがヒノエの肩を掴む。

 

「いいい…今!キキ…キスを!?」

 

「しましたよ。2回目です♪」

 

「2回目ぇぇぇ!?」

一度目は今朝にされている。それを知らないミノトは驚きのあまり口をガァと開けてしまった。

 

「ミノトが教えてくれたじゃないですか。生涯添い遂げる方にだけする特別なキスがあると」

 

「確かに教えましたが……まさか姉様!」

 

「えぇ。私もゲンジが好きですよ」

そう言いヒノエはゲンジを抱き寄せた。キスされたゲンジの顔はミノトと同じように赤く染まっていた。

さらに、その一言はすぐさまミノトを赤面させる。そんな中でミノトはヒノエの放った言葉の中に不審な一文字の単語に耳を震わせた。

 

「…『も』!?いま…私も…と言いませんでしたか!?2人目もいるというのですか!?一体誰なんですか!」

即ち、ゲンジに好意を抱いている人物は2人いるという事になる。それに対してミノトは問い詰めた。

すると、その反応を不思議そうにヒノエは見つめると答えた。

 

「あらあら。ミノトですよ。貴方もゲンジの事が大好きじゃないですか」

 

「…!!」

虚を突かれたミノトは再び驚いてしまい硬直する。確かにそうだ。ミノトもゲンジへと恋心を抱いている。それもヒノエよりも前に。だが、ミノトはそれを思い止まっていた。生真面目な性格ゆえに2人で1人の男性に添い遂げるとは如何な物かと。

 

「で…ですが…2人の女性が1人の男性に…というのは倫理的に…」

 

「好きならばそれでいいと思いますよ。私も構いませんし、ゲンジなら私達2人をまとめて愛してくれますよ。それに…仮にミノトが譲れないと言っても…私も引き下がれませんよ。あんな事をされてしまっては……ね?」

そう言いヒノエは今もなお抱き締めているゲンジに声を掛ける。

 

「ちょ!?何勝手に決めてんだよ!?それにさっきこれが現実か夢かどうか確かめるって話だ……むが!?」

 

「そうですか……なら…」

咄嗟に抗議の声を上げ、先程の話に戻そうとするが、その口をヒノエは塞いでしまう。

すると、ヒノエの話を聞いたミノトはゆっくりと顔を上げると、ヒノエが今もなお抱き締めながら口を塞いでいるゲンジの顔を手で挟んだ。先程まで戸惑っていた表情の面影はアッサリと消え失せていた。

 

「私も姉様と同じく愛の接吻をしなければなりませんね」

 

「__む!?」

その瞬間 今度はミノトの唇がゲンジの唇へと押しつけられた。ヒノエと同じ柔らかい唇の感触が伝わり、次々と理性を溶かしていく。

 

完全に話の趣旨が変わってしまっている。本来は夢が現実かの区別を確かめるというのに、ヒノエの仕業により、一気に2人の愛の押しつけへと大発展してしまった。

 

ミノトは唇を離すと、顔を真っ赤に染め上がらせ、口を震わせていたゲンジを見つめた。

 

「私も姉様と同じく貴方を愛しております。私達姉妹をこうさせた責任…取っていただきますからね…?」

 

その後 ゲンジは自身の気持ちも伝えられないまま、再びミノトに無理矢理キスをされ、その後は夕食も2人から交互に食べさせられ、2人に挟まれながら眠れぬ夜を過ごした。夢ではない事を強制的に与えられる生々しい感触によって自覚させられたのだった。

 

 

 

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