薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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陽と暁の激突

謹慎明けまであと3日。小鳥の囀りが止み、鈴虫が成り代わるように音色を奏で、静かなる夜の訪れを感じさせた。ハンター達の賑わう声に加えて里の皆の活気のある声が鎮まり、皆がそれぞれの場所へ戻ったその夜。ゲンジの自宅にはそれを覆す程の緊迫した雰囲気が流れていた。

 

「…」

家主であるゲンジはその場で汗を流しながら小さく正座をさせられている。

 

目の前には自身を挟みヒノエを睨むエスラ。互いに睨み合っているかのように見えているが、実際はただ見つめ合っているだけのシャーラとミノト。

 

すると、エスラが切り出した。

 

「単刀直入に言わせてもらう。今日からゲンジと君らは姉弟の縁を切ってもらう」

 

「あらあら。随分と突然ですね」

 

エスラの発言にヒノエは口に手を当てるとミノトを連れてきていきなり正座させられたにも関わらず、驚きを装う事もなく笑顔で返した。エスラはその笑顔に腹を立てるかのように歯を食いしばりながら答えた。

 

「心底私は気になってしょうがない。私と言うお姉ちゃんがありながら…ゲンジは君達のことを姉さん姉さん……と呼んで…そして姉弟同士のキスだと!?いくらなんでも不純だ!!」

 

「ふむふむ」

 

「それに君らは姉弟と記して擦り寄っているらしいじゃないか!」

 

「えぇ勿論。お姉ちゃんが弟に抱きついてはいけないなんて理由はないですものね」

ヒノエは顔をポッと染めながら返答する。その返答の態度に段々とエスラは歯を軋めながら唸る。

 

「ぐぅぅ…!!そこだ!!私が怒っているのは!!姉呼ばれた立場を利用してよくも私達のゲンジを…!!」

そして、エスラはヒノエとミノトに人差し指を向けた。

 

「私達本当の家族が来た以上君らはもうゲンジと姉弟という関係ではない!!」

 

「…あら?」

キッパリと言い放つ。そのとてつもないブラコン全開のエスラの気迫にミノトは圧倒されるものの、ヒノエは何も動じず、それどころか額に青筋を浮かべ、笑っていた目を開きエスラを見つめた。

 

「それは少し納得できませんね」

 

エスラの訴えをヒノエは飲み込むことはない。そんな中で、ヒノエはある事を思いついた。

 

「では、こういうのは如何でしょう?この後の夜にゲンジのお世話をし、どちらが真のお姉ちゃんに相応しいのか決めると言うのは」

ヒノエの提示した条件にエスラは視線を鋭くさせると、即座に頷いた。

 

「臨むところだ…!」

 

エスラのリオレイアの如く揺らめく信念が炎として現れる。

すると、活気立つエスラの肩を指でちょんちょんと、シャーラが突いた。

 

「姉さん。私パス」

 

「はへぇ!?」

突然のシャーラの棄権宣言にエスラは気の抜けた声で驚く。エスラ自身はシャーラも参加すると思っていたのだ。

だが、彼女には全くその気は無かった。

 

「シャーラ!ゲンジがあの2人に取られて悔しくないのか!?」

そう言いエスラはシャーラに問いかけるが、シャーラは首を横に振る。

 

「確かにさっきはムカッて来たけど、ミノトさんと話してるうちに納得できた。それにそこまでこだわらなくてもいいでしょ?」

エスラとヒノエが言い合う中、シャーラはミノトと言葉を交わしていたらしく、その際にミノトから自身とヒノエがゲンジに好意を持っている事に加えてその理由を伝えられたのだ。

その理由を聞いたシャーラは納得して、先程の怒りがアッサリと収まったらしい。

 

だが、それでもエスラの方は収まる事はなかった。

「何を言うか!ちゃんとゲンジのお姉ちゃんは私達であると証明しなければ示しがつかないだろう!」

 

「はぁ…どうぞご勝手に」

シャーラはやれやれと首を横に振る。

 

その一方で、ヒノエ側も同じだ。勝負を提示し、微笑みながらも炎を絶やさずに燃やしているヒノエをミノトは静止させようとする。

 

「姉様…何もそこまで熱くならずに仲良くいけばよろしいのでは…」

 

「ミノト。女性にも男性と同じく引けない時もあるのですよ」

 

「は…はぁ…」

さしものヒノエをゲンジと同じぐらい愛しているミノトでも今回の事は気が引けるようだ。

 

「では、勝負はご飯にお風呂と行きましょうか」

 

「いいだろう。なぁゲンジ?」

 

「ひ!?」

2人の目がゲンジに向けられる。その目は正しく獲物を見据えた狩人のようなものであり、ゲンジの身体を震わせた。

 

「お風呂ってどういうこと?」

 

「お二人で背中を洗い合うのですか?」

 

外野となったシャーラとミノトは首を傾げる。前者の夕食対決は理解できる。が、後者のお風呂の意味がよく分からなかった。

すると、エスラは説明した。

 

「簡単だ。ゲンジを入れて3人でお風呂に入りどちらがゲンジを満足させられるのか」

 

「お背中流しはミノトしか経験がありませんけど、負けませんよ。

あ、因みに逃げようとしているようですが、逃げたらギルドの指示に従わなかったとしてゴコク様に報告しますよ?」

 

「ぎく…!」

ヒノエの目が後ろの窓から外へと逃げ出すべく、窓の枠に足を掛けようとしたゲンジを捉える。イオリの家ならば匿ってくれるだろうと思ったゲンジは気づかれないように逃げる準備をしていたが、それはアッサリとあしらわれる。

そうだ。自身は今、謹慎の身だ。これ以上伸びれば更にヒノエとミノトのスキンシップがエスカレートしてしまう。

 

「さて、始めましょうか…?」

 

「いいだろう…!!」

 

2人の姉がゲンジを間に挟みながら火花を散らす中、シャーラとミノトはその場から避難する。

 

「外で話しませんか?」

 

「うん」

 

 

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