薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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陽と暁

ヒノエとエスラによって、お風呂で全身が痺れると同時に“何か”が放出された衝撃で気を失ったゲンジ。すぐさまヒノエとエスラはお湯を掛けて“それ”と共に全身を洗い流した。

 

「い…いや…まさかこうなるとは…」

 

「私も…予想外でした…」

 

2人は倒れ臥すゲンジを見て顔を真っ赤に染め上がらせていた。

 

「こ…このままでは湯冷めするだろう!すぐにあがろうか!」

 

「そうですね!うん!」

 

その後、ゲンジの身体をエスラは顔を赤くしながら抱き上げるとタオルで拭き、上半身にインナー。下半身にはカムラの里の皆がよく着る袴を着用させた。

 

「あの…すまなかったな…。命の恩人だというのに先程は酷い言葉を浴びせてしまった…」

エスラは頭を冷やしたのか、1時間前の事を謝罪する。すると、ヒノエも同じく頭を下げた。

 

「こちらこそ…少々自身を見失っていました…」

 

居間へと戻った2人は座布団の上に座る。エスラはゲンジを横にさせると、膝の上に頭を乗せた。

先程は白目を向いていたゲンジは今は目を閉じて眠っているようだった。

そんな中、気まずい空気を和ます為にエスラは先程の勝負について話した。

 

「もう勝負なんてくだらない。どうだろう?これからは仲良くしていかないか?」

エスラの心の中からは既に競争心や自身が姉であるという独特な独占欲が消え失せていた。すると、それに対してヒノエも微笑みながら頷いた。

 

「え…えぇ!実は私もそう思っていた所です」

互いに空気を和ませ認め合った2人は苦笑し合った。

 

◇◇◇◇◇

 

それから2人は互いの事について語り合った。自身らの生い立ち。そして立ち寄った村々や、今まで狩ってきたモンスターの話をまるで友人でるかのように楽しく思い語った。

更に、ヒノエは自身とミノトがゲンジに好意を抱いている事も話した。

それを聞いたエスラは最初のように再び怒りを露わにするかと思いきや、何の嫌悪感も出さず、ただ安心した表情を浮かべていた。

 

「ゲンジに好意を向けてくれる君が竜人族でよかったよ…」

 

「え?」

エスラの言葉にヒノエは首を傾げる。

 

「どういう事ですか?」

 

「ゲンジから聞いていないのか?なら話すべきだな」

エスラは自身の膝の上で今も尚 意識を失っているゲンジの右頬を撫でる。

 

「ゲンジの身体の形が変化してしまっているのは聞いているな?」

 

「はい」

 

「だが、変わったのは外見だけじゃない。体質も完全に竜人族の物へと変わってしまっていてな。寿命がほぼ君達と同じようになってしまっているんだ」

その言葉にヒノエは思い出した。

 

『寿命が伸びても……皆が受け入れてくれればそれでよかった…』

 

初めて自身に過去を打ち明けた日に溢していた言葉だった。自身ら『竜人族』は身体的特徴に加えて優に数百年以上の寿命を持っている。だが、対してエスラ達『人間』の寿命は長くて100年。自身らの最低寿命である300歳のほぼ3分の1である。いや、100年生きる者ですら、そうそういない。平均して約90歳や85歳で尽きる者が殆どだ。

 

「私達は体質が人間だ。このまま生きていけば私達は途中で力尽き…間違いなくゲンジは独りになってしまうだろ…私達よりも力強いが、心がとても弱くてな。もしも独りになってしまえば途方に暮れ…自ら命を絶ってしまうかもしれない」

 

エスラの頬からは涙が零れ落ちていた。彼が孤独となり、露頭に迷う姿を想像すると、心が締め付けられるのだ。エスラは何度も何度も村から出て行く度にその事が気掛かりで仕方がなかった。

 

「だから、こんな弟でも1人の人間として見てくれる村を見つけて、そこを新たな故郷として3人で住もうと決めていたんだ。私達が亡くなったとしても、“居場所”さえあれば…ね」

 

「そうたったのですね」

 

ヒノエはゲンジから話を聞いていたが、それよりも更に深い理由を聞いた事で改めて理解した。

 

「ここの里の皆はゲンジの身体について知っているのかい?」

 

「えぇ」

エスラの質問にヒノエは頷くと同時にこれまでの経緯を話した。

 

「最初は皆は驚いていましたが、誰一人軽蔑の目を向ける事はありませんでしたよ。それに彼は私達の命の恩人なんですから!」

 

ヒノエは百竜夜行にてゲンジがたった一人でマガイマガドを討伐し、その後、治療のためとはいえ、身体を皆へと見せたあの日を思い出しながら話した。

 

そして、ヒノエからその言葉を聞いたエスラの目からは涙が流れ出ていた。

 

「そうか…ようやく見つけたんだな…ゲンジ…」

 

その涙は次第に眠るゲンジの頬へと落ちていく。それを拭うかのようにエスラは再びゲンジの頬を撫でた。

 

「よかったな…ゲンジ…!」

 

そして、エスラは確信した。もう村を探す必要も、軽蔑の目を向けられ、村を追い出される事も、彼が苦しみを背負う事もないと。

 

 

「ゲンジはどう思っているんだ?」

 

「最初はすぐに出て行こうとしていましたが、今ではすっかり里を好きになってしまったのか、ここにずっと居たいと言っていましたよ!」

 

「そうか。うん…そうだよな」

 

エスラの目から涙が止まり、満面の笑みを浮かべながら頷いた。

ヒノエも微笑むと、今も尚眠るゲンジの左頬に手を伸ばし、4本の透き通った白い指でなぞるように撫でた。

 

「それと、先程の事もご心配なく。私達は彼を決して独りにはさせませんよ。貴方方が寿命で尽きてしまった後も私達姉妹が最後まで共に寄り添いゲンジを支えます」

 

「そうか」

その言葉にエスラは安堵の息を溢す。

 

すると、ゲンジの左頬を撫でていたヒノエは先程のエスラの言葉を思い返すと手を差し出した。

 

「では、ゲンジの居場所が見つかったという事は、貴方方の故郷も決まったも同じですね」

 

「…え!?」

その言葉にエスラは驚く。その言葉を解釈すると、里に住む事への提案だった。

 

「い…いいのかい…!?」

 

「もちろんです!ゲンジの家族は私達の家族。嫌な事なんて何一つありませんよ!」

 

「…そうか…!」

太陽のような笑みで迎えてくれる姿にエスラは感謝の心を胸に抱くと、差し出された手を掴んだ。

 

「姉妹共々、世話になるよ。ヒノエ」

その言葉にヒノエも頷きながら答えた。

 

「えぇ!こちらこそ。これからよろしくお願いしますね!

 

 

 

 

_______お義姉さん!

 

 

「ぬぁに!?」

 

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