薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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驚きの知らせ

「さて、今日も行くか」

冷えた身体を柔らかくほぐすようにゲンジは首を左右に曲げる。この数ヶ月間の内に傷は完全に完治していた。

 

「はい。もっと体重をかけますよ〜」

 

「まだまだいける」

そしてヒノエの手を借りながら柔軟体操を始める。

 

そんな時だった。

 

「ゲンジ!大変だ!!」

 

「ん?」

玄関から荒く息をしながら慌てたエスラが滑り込んできた。その手には一枚の手紙が握られていた。

 

「なんだそれ?」

 

「今朝方…フゲン殿のところに届いた文でな…内容によるとトゥークが重傷を負ったらしい…!」

 

「な…」

 

「トゥーク…とは一体…」

ゲンジの背中に手を置いていたヒノエは横から受け取った手紙を覗き込む。

ゲンジは名前が初耳であったヒノエとミノトに説明した。

トゥークとは、カムラの里に来る前に共にイビルジョー を討伐した男性ハンターの名前であり、仲間と認識している数少ない者の1人である。

フゲンの手元に届いた手紙を見ると、軽い近況報告に加えてトゥークがブラキディオスによって重体を負った事が記されていた。

そのトゥークが重体である知らせはゲンジを驚かせた。

 

「っ…見舞いに行ってやるか」

すぐさまゲンジは装備と必要最低限の荷物を整える。医療用の秘薬に加えて回復薬をふんだんに。

 

「ヒノエ姉さん。確かフゲンさんがしばらくは百竜夜行は起こる事はないって言ってたよな?」

 

「はい。もしかしてユクモ村へ?」

 

「あぁ。あっちも俺の事を探してくれてたみたいだからな。礼を言わなきゃならねぇ。それにトゥークにも何かと恩があるからな」

ヒノエの問いに答えるとシルバーソル装備一式を纏い、ヘルムを抱え、荷物が積まれた麻袋を背負う。

 

「必ず3日で戻る。エスラ姉さん達は里を頼む」

「任せろ」

それだけ言い残し、自宅の玄関をくぐり抜けようとした時だった。

 

「待ってください」

「なんだ?」

突然とヒノエに呼び止められるゲンジは即座に振り向く。すると、ヒノエは懐から一つの風呂敷に包まれた壺を手渡した。

 

「これを」

その蕾には筆で『カムラ』と書かれていた。その印を見たゲンジは思い出した。自身がここへ運ばれた時にヒノエに塗ってもらった傷薬だ。

「コイツは…俺に使ってたヤツだよな?」

 

「はい。トゥークという方にお使いください。一日動けない代わりに火傷や裂傷。打撲などの痛みがすぐに引きますから」

 

「いいのか…?貴重な薬じゃねぇか」

 

「いえいえ。カムラの民 一人一人が持っている薬なので御安心を。それに友達が長く苦しむ姿を見たくはないでしょう」

 

「別に友達じゃねぇ…まぁいい」

ゲンジはヒノエから渡された薬を風呂敷に包むと麻袋に入れる。

 

「あ…ありがとな。__んぐ!?」

御礼を言おうとした瞬間。頭をヒノエに抱き寄せられ、柔らかな唇を押しつけられた。反応が遅れたゲンジは気を持ち直し、即座に離れようとする。それを感じ取ったヒノエは数秒間だけ唇を重ねると抱き寄せていた手を緩め、アッサリとゲンジを解放した。

 

「ふふ。『行ってらっしゃいのチュー』というものです♪」

「うぅ…」

 

ヒノエの笑顔にゲンジは何も言い返せず黙り込む。すると、後ろでその光景を目にしていたミノトは顔を真っ赤に染め上げる。

 

「姉様ばかりズルいです…!」

「!?」

そしてミノトはズカズカとゲンジに近づくと頭を両手で抑え込み、今度は自身の唇に押しつけた。

そして数秒経つと、ミノトもヒノエと同じく即座に解放した。 

この数ヶ月間に何度も2人から接吻を受けた為にある程度の耐性はできてはいるものの、それでも完全に慣れることはできなかった。

 

一方でヒノエは頬を赤く染め膨らますミノトを見ながら微笑むとゲンジに言葉を掛ける。

 

「ふふ。道中お気をつけてくださいね」

 

それと共にミノトもゲンジに言葉を掛ける。

 

「私達に会いたくなったらいつでも戻ってきてください」

2人から琥珀色の目を向けられると共に掛けられた見送りの言葉にゲンジは接吻を受け、顔を真っ赤に染めながらも頷いた。

 

「わ…分かってる…」

 

その様子を見ていたエスラは悔し涙を流しているものの、シャーラは笑みを浮かべていた。

 

その後、フゲンやゴコクへと訳を話しユクモ村に数日間赴く事を伝え、了承を得ると里の入り口に止まった荷車に乗り皆に見送られながらユクモ村へと向かった。

 

 

『喰らえ』

 

 

「…!!」

 

「んニャ?どうしましたニャお客さん?」

 

「…いや…何でも無い」

 

突然とどこからともなく聞こえてきた不気味な声。それを耳に捉えたゲンジは表情を険しくしながらもアイルーに異常が無いことを伝えた。

 

 

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