薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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オトモ紹介

演習場を後にしたゲンジは自宅へと戻ると、休眠に入った。流石に慣れない動作をしてしまった為に疲れてしまう。だが、自分でも不思議に思っていた。なぜ、思い描いた動作をアッサリとできてしまったのだろうか。

 

「これも……あの薬のせいなのか…?」

 

いや、そんな事はどうでもいい。ゲンジはゆっくりと目を閉じた。

 

そして、気になっている事が一つだけあった。

それは里の住人からの目線だった。自身がヒノエに連れられている時、里の人々からの視線はとても冷たかったのだ。

 

「(俺が来る前に何があったんだ?)」

ーーーーーーーーー

 

そして、次の日、ヒノエからはまだ依頼は来ていないと言われたゲンジは今日もやる事がない為にどうしようか考えていた。

 

「でしたらオトモを選んではいかがでしょうか?」

 

「オトモ…か」

ゲンジはこれまで、単独での狩りが多かった為にオトモはつけた事がなかった。

 

「確かにいたら助かるな……」

ゲンジは人生で初のオトモを選ぶこととなる。背伸びをすると、イオリが営むオトモ紹介所へと向かった。

 

「あ!ゲンジさん!よく来てくれました!」

複数のアイルーやガルクというモンスターと戯れていたイオリはゲンジを見ると駆け寄ってくる。

 

「よぅ。早速で悪いが、オトモを貰いたい」

「分かりました」

ゲンジはイオリにオトモを要求すると、イオリはオススメのアイルーを呼ぶ。

 

「ミケ!おいで!」

「はいニャ!」

すると、一人の白い毛並みのアイルーが名乗り出た。耳は逆立っており、尻尾も長く。一般的なアイルーよりも若干だが、大きい。

 

「彼はミケです。僕としては現在のオトモの中では一番強いと思いますよ。武器やブーメランの扱いもです」

 

「そうか。……じゃあお前に決める」

「ニャ!」

指名されたアイルーは胸を張り返事をするが、正直 ゲンジはオトモは誰でも良かった。そもそもオトモというものがどのようにしてサポートするのかさえもゲンジは分かっていない。

故に適当に決める。

 

「では、次はこの子ですね。おいで!」

イオリが手を叩くと巨大な狼のようなモンスター『ガルク』が走ってきた。巨大……うん。巨大だ。お座りしても尚、イオリの身長より高い。

 

「この里ではアイルーと共にガルクというモンスターもオトモとして雇用できます。背中に乗れば素早く狩場を移動できる上に脚の筋肉が強い為に壁も登る事が可能です」

そう言いイオリはガルクの頬を撫で回す。イオリに相当懐いているのか、ガルクはペロペロとイオリの頬を舐めていた。

 

「成る程。確かに心強いな」

狩場で一番困るのはモンスターを見失った時だ。このガルクに乗れば、モンスターを探すのに効率が良いだろう。

 

「なら、1匹雇用させてもらう」

 

「はい!なら、ミケと一番仲がいいこの子にしましょう。ハチ!」

「ワンッ!」

『ハチ』と呼ばれたのは毛並みが青く、耳がミケと同じく逆立ち尻尾もフサフサのガルクだった。

 

「ほら、今日から君のご主人様だよ。いっておいで!」

「ワン!」

すると、ハチは嬉しそうに吠えながらゲンジに駆け寄ると…

 

 

頭を噛んだ。

 

 

「いてててて!?なんだ!?」

 

「その子は少し特殊でして、普通のガルクなら懐いたら愛情表現として舐めるのですが、ハチの場合は懐いた相手に噛み付くんですよ」

 

「明らかに嫌われてるだろ!?噛む力が尋常じゃねぇぞ!?」

だが、ハチはメチャクチャ懐いていた。その証拠に噛んでいるとはいえ、尻尾が凄い勢いで降っていたのだ。

次々とゲンジの額から血が流れ出るが、それでもハチは嬉しそうに頭を噛んでいた。

 

「取り敢えずオトモはこれでオッケーですね。ではご健闘をお祈りします!」

 

「いい感じで終わらすなぁ!血が出るオトモの雇用なんざ聞いた事ねぇぞ!?」

 

その後、ゲンジは結局 この2匹に決めた。

 

「次噛んだらはっ倒すぞアホ犬」

 

「ワン!」

ゲンジの後ろをガルクは嬉しそうについて行った。そして、今も尚ゲンジの額からは血が流れていた。

 

そんな中で、ゲンジはある疑問を持っていた。それは里の者達の目線だ。里を回った時もウツシと共に大社跡へ行く時も、そして、今も尚この時も里の者からの目線は冷たかったのだ。

 

「ミケ。俺が来る前になにがあったんだ?ヒノエやフゲンさん達以外の里の人達から睨まれているように見えるんだが」

 

「…」

すると、ミケは黙り込んでしまう。

 

「何かあったらしいな」

「はいニャ…」

ミケは簡潔に話した。

ゲンジの前にこの里に3人組のハンターが訪れた。装備も中々の実力者であったらしく、フゲンは百竜夜行の対処への協力を申し出た。その3人は二つ返事で了承したが、その日から彼らの横暴な振る舞いが始まった。

 

団子はタダに踏み倒し、ヒノエやミノトを口説こうと歩み寄ったり、鍛冶屋の装備品に毒を吐いたりと。

更には歩み寄ったガルクを蹴り飛ばした事もあったらしい。正にやりたい放題であった。

だが、それでも里の人やフゲンは必ず百竜夜行を退けてくれると信じていた。

そして、ゲンジが里に来る数日前にフゲンは3人のハンターに百竜夜行がこの数ヶ月以内に起こる事を伝えた。

 

その瞬間 その3人のハンター達は朝起きると宿から消えていた。荷物も全て持ち、宿の金も払わずに。

 

まんまと里はハめられてしまったのだ。

それ以来 フゲンやヒノエ、そしてイオリやヨモギ以外の里の者達はハンターを信じる事ができなくなってしまったのだ。

 

「…ひでぇ話だな」

弱みに漬け込み里を食い物にした所業にゲンジはシワを寄せる。このような事は偶にある。だが、まさか自身が滞在する里で起こる事は初めてだった。

 

「ゲンジには申し訳ないニャ…」

「いや、寧ろその話を聞いて里の奴らの対応は正常だ」

里の者達の冷たい視線の正体がようやく分かったゲンジは納得する。

代わりに謝罪をするミケにゲンジは首を振るとヒノエの依頼受付場に赴く。その際に、この里はやはり、ハンター不足な為に、大型モンスターが出現した際はすぐには対処ができない事をミケから教えられた。

そのような状況下でさえも自身を助けてくれたこの里にはゲンジは感謝しかなかった。

 

「…ミケ。ハチ。これから溜まってる依頼を引き受けるが、いいか?」

 

「はいですニャ!」

「ワン!」

大型モンスターの依頼しか受けないと考えていたが、その考えが変化し、ゲンジは大社跡の採取クエストをまとめて引き受けた。

 

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