薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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災厄の再来編
帰還。カムラの里


あれから1時間が経ち、森を抜けていくと、馴染みのある巨大な鳥居が見えてきた。

 

「やっと着いたか」

ゲンジは里の入り口が見えると、荷物を整理し、降りる用意をする。

 

そして、ポポの脚が止まり、荷車の動きも停止すると荷台から飛び降りた。

 

「3日で帰るって言っていたが、たった一日で戻ってきちまった。まぁいいか」

 

予定よりも早く帰ってきてしまった為にフゲンに言わなければなるまい。それと共に自身が古龍を発見した事も。

 

ゲンジは鳥居を潜り、フゲンがいる集会所へと向かっていった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

各地方には必ず1人や2人はいるであろう荒くれ者の部類に入るハンター。例えばどうだろう。マルバのように受付嬢に付け入る輩に加えて、またある者は報酬金へ苦情を叩きつける者。

 

集会所の受付嬢であるミノトは今、正にその局面に立たされていた。

 

「おいいくらなんでも足りねぇぞ?本来なら20枚ある金貨が18枚しかねぇじゃねぇか…?」

フロギィ装備に身を包んだガンナータイプの大柄なハンター。彼の左手にはクエストの報奨金がまとめられた袋が握られていた。

その突きつけられた苦情に対して、ミノトは冷静に対処する。

 

「一度、ポーチを見せていただけませんか?何やら先程から金属音がするので」

そう言いミノトはハンターの腰に下げられているポーチに目を向ける。辺りにいるハンター達も気付いていた。男が袋から金貨を2枚、ポーチに入れていた事を。更に、その場面を見ていた者もいた。だが、その男は何の悪びれる様子もなく、見せるのを嫌がるかのようにポーチを持ち上げるとミノトを睨む。

 

「あぁ?まさか疑ってんのか!?」

 

「確認させていただくだけで__ぐぅ!?」

 

その時だ。ハンターの右手がミノトの胸ぐらを掴む。

 

「うるせぇんだよ。報奨金が足りねぇならどうするんだ?これは失態だよな?通常の2倍は払ってもらうぜ…!」

 

「ちょ!アンタいくらなんでも横暴だぞ!?」

 

「うるせぇ!!!」

正に横暴。完全なる言いがかりだ。周りのハンターが止めようとするも、彼は即座に気迫ある声で黙らせていた。

 

その時だ。

 

「おい邪魔だ。どけ」

後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。すると、ミノトは驚きの表情を浮かべた。

 

「あぁ?誰だテメェ!」

ハンターが振り向くとそこには麻袋を背負うゲンジの姿があった。

 

「報酬金が足りねぇのか?なら、その分俺が払ってやるからさっさとどけ」

そう言いゲンジはポーチから金貨を一枚取り出す。

 

だが、気を狂わされた上に本来の目的である報奨金を2倍貰う目的が潰えたハンターは逆上し、ゲンジに向かって拳を振るう。

 

「後から来て俺に命令すんじゃねぇ!!!!」

 

ガンナータイプとは思えない剛腕がゲンジに向けて放たれる。だが、ゲンジは放たれた拳を真正面からアッサリと受け止めた。

 

「…え?」

本気で放った拳を受け止められたことでハンターの顔からは勢いが無くなっていた。

それと同時に顔面を口を塞ぐ形で掴まれる。

 

「ふぐぅ!?」

その握力は尋常ではなかった。自身よりも小さな腕に受け止められた上に屈服させられている。

目の前を見ると、ゲンジの怒りに満ちた目が向けられていた。

 

「ほら。一枚金貨やるよ」

そう言いゲンジはハンターに向けて金貨を投げ渡す。それと同時に顔を掴む握力を高めると、怒りの目を向けながら人差し指を目の寸前まで向ける。

 

「ひぃ!?」

その向けられた人差し指がまるでナイフのように見えていた。すると、その拍子に男は手に持っていたポーチを落としてしまう。すると、

 

チャリン

 

 

中からは回復薬と共に2枚の金貨が放り出され、コロコロと転がりながら受付の机に辺り地面に倒れた。

 

それを見た瞬間 男の顔が恐怖に染まる。ゆっくりとブリキのように前を見るとそこには

 

毛細血管が沸き上がり、血走った目を剥き出しにしたゲンジの顔があった。

 

「テメェ……それは何だ…?」

 

「ヒィ!?」

その目は正にモンスターと呼ぶに相応しく、鋭くなった瞳からは確実に自身を殺す程の殺気が感じられた。

 

 

「す…すいませんでした!」

ゲンジを恐れたハンターは金貨を拾うとすぐさまミノトに土下座をし、逃げるように集会所から走り去っていった。

 

それを見たゲンジは、ミノトに顔を向ける。

 

「大丈夫か?姉さん」

 

すると、ミノトは安堵の息を浮かべると共に自身の夫であるゲンジの帰還に喜び、少しながらも笑みを浮かべ頷いた。

 

「はい。ありがとうございます。ゲンジ」

 

◇◇◇◇◇◇

 

その後 ゲンジはミノトからフゲンのいる場所を教えてもらいその場へと向かう。

 

「うぉ!?早かったな」

案の定フゲンは驚いていたが、それよりも、ゲンジは報告のためにすぐさま家の中へと入る。

 

「どうした?やけに慌ただしいな。何かあったのか?」

フゲンから出された茶を啜りながらゲンジは帰還する途中に雲の中にいたモンスターについて報告した。

 

「雲の中に古龍を見つけた」

 

「…!!」

その報告にフゲンの目が大きく見開かれる。古龍の出現は下手をすれば国一つを動かす程の騒ぎとなる。

 

「それは真か?」

 

「あぁ。一瞬だけだがな。明らかに飛竜種とは比較にならねぇデカさだったから間違いねぇ」

 

その時だ。

 

窓の外から一羽のフクズクが飛び込んできた。そのフクズクはフゲンを見つけると肩に乗る。見れば脚には一枚の文が結び付けられていた。

 

「ん?」

フゲンは結ばれた文を解き開くと、内容を黙読する。

 

その瞬間 

 

「な…なんだと!?」

フゲンの顔が驚きに包まれる。その驚き様は今まで見た事がなかった。

 

「どんな内容だ?」

「…」

文を読み終えたフゲンはその内容を要約し、ゆっくりとゲンジに溢した。

 

「4日後…百竜夜行が起こるそうだ…!!」

「……いきなりだな」

 

正に予報が外れた。前回の文では数ヶ月間は無いと知らせを受けた。だが

最悪な形でそれは覆されたのだ。やはり帰ってきて正解であった。

 

「すぐに皆を集会所へ集める」

 

「分かった」

ゲンジはフゲンの家を飛び出すと、皆へ知らせるべく、伝達を担うヒノエの元へと向かう。

そして、フゲンはすぐさまゴコクの元へと向かった。

 

里に再び大いなる災害が降り掛かろうとしていた。

 

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