薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
その後、ゲンジはヒノエとも再会する。ゲンジと再会したヒノエは嬉しさのあまり、抱きついてこようとするが、即座に手を前に出す形で止め、百竜夜行が起こる事を知らせる。
「…!」
その知らせを聞いたヒノエは表情をを一変させる。
「分かりました。里の皆やハンター様方にお伝えしなければ」
「なら、俺も行く」
真剣な眼差しを浮かべるヒノエに対してゲンジも同行する事に決め、宿に泊まるハンター達に加え、里の皆にも伝えた。
◇◇◇◇◇◇
集会所へと集められたハンターは総勢約 30名。駆け出しの者もいればベテランの者もいた。
集会所の壇上へ、皆を見渡すかのようにフゲンが立ち、その左右に補佐のものであるかのようにヒノエとミノト。そして、ゲンジ、ウツシが立っていた。
「ハンター諸君。そして里の者よ。主らにはある知らせを聞いてもらいたくここへ呼んだ」
フゲンは文の内容をハンター達にそして、里の皆にも大声をあげ伝えた。
「4日後に百竜夜行が起こる事が予言された」
その知らせを聞いた瞬間 辺りはざわめき出す。一部のハンターには恐れのあまり冷や汗を流す者もいた。
「里の者達には砦へ向かう者。そして里に残り食料を補給する者とで分けてもらいたい」
それについて里の皆はすでに一度経験している故に頷いた。
その一方で、ハンター達は震えている者もいれば、聞いていないかのような表情を浮かべている者もいた。
フゲンはそれを見越していた。故にハンター達へと再び問う。
「百竜夜行にはどんなモンスターが何体で進撃してくるか分からぬ。故にここにいるハンター達に頼みたい。どうか共に百竜夜行を退ける為に力を貸してくれぬか」
その問いに対し、1人のハンターが口を開く。
「も…モンスターが一気に押し寄せてくるんだろ!?」
それに続くように辺りにいるハンター達も次々と声を上げていく。
「そんなヤバいもんなんて怖くて行けねぇよ!!それに俺達はまだ駆け出しで装備も強くねぇ!」
「俺もだ!つい一月前に訓練生を卒業したばかりだぞ!?」
それに続き新人とおぼしきハンター達が次々と声を上げた。
「お…俺も無理だ!」
「俺も!」
次々と迎撃への同行を拒否する声が上がり、フゲンは頭を悩ます。予想はできていたが、やはり、返す言葉に悩んでしまう。
更に新人だけでなくベテランハンター達からも声が上がり始めた。
「俺だってそのつもりで来たわけじゃねぇ!」
「そうだ!」
ディアブロ装備、そしてレックス装備を身に纏うハンターやレイアs装備を身に纏うハンター達も拒否の声を現していく。
その光景にヒノエはゲンジが来る前の景色を思い出し息を呑み、ミノトは歯を食いしばっていた。
「(やはり…今回も数少ない人数で迎え撃つしかないのだろうか…)」
フゲンは歯を噛み締める。すると、自身の横をシルバーソル装備を纏ったゲンジが通り過ぎ、前へと出た。
そして ざわめき出すハンター達を見渡すと一言だけ言い放った。
「うるせぇぞ…!」
『…!!』
その声は威圧も含まれていた。ゲンジのドスを効かせた声が聞いた瞬間 先程まで声を上げていたハンター達が一瞬にして口を止めた。
「ギャーギャー言ってるならとっとと宿に帰れ。怖くていけない?だから何だよ。ハンターなら死と隣り合わせの事ぐらい理解しとけ」
そしてゲンジは後ろに立っているヨモギとイオリに目を向けた。
「前に起こった百竜夜行の時はそこにいるヨモギやイオリのテメェらよりも歳下のガキどもさえも武器を持って嫌な言葉一つも出さず迎撃に出たんだぞ。ここにいる受付嬢2人もな」
皆の目線がヨモギとイオリに向けられ、2人はその目線に驚きながらも目を逸らした。更に、ヒノエとミノトも目線を向けられると目を逸らす。
「俺は4人を尊敬するよ。まだ成人もしてねぇガキ2人やハンター業とは無縁の受付嬢が死ぬ覚悟で前線で戦うなんざ、見た事もねぇからな。それに対して訓練を積んで装備を纏っているお前らは文句ばかり垂れる。笑えるな」
ゲンジは心の底から里を守るためとはいえ、身を呈してまで前線に出ているヨモギとイオリには敬意を抱いていたのだ。それは受付嬢であるヒノエとミノトにも同じだ。
当のイオリとヨモギはゲンジに尊敬されていると言われた瞬間に顔を輝かせていた。
その一方で、ヒノエとミノトはゲンジに褒められた事で顔を真っ赤に染め、それを隠すように手を顔で多ながら顔を左右に振っていた。
ゲンジの放った言葉にハンター達は静まり返る。皆は何も言い返せずにいた。
そんな時だった。
「あ…あの!」
「ん?」
多くいるハンターの中から細い腕が上がる。皆の目線が一斉に手を挙げた者へと向けられる。そこに立っていたのはまだチェーン装備と鉄刀という駆け出しの装備を纏った小柄な女性ハンターだった。
「私は装備は駆け出しで前線ではお役に立てませんが、兵器での援護ならできます!料理も得意なので補給担当もいけます!それでもいいなら私は協力します!」
するとその女性ハンターに続くように隣に立っているアロイ装備とジャギィ装備の男性。更にフロギィ装備の女性も手をあげる。
「僕も!兵器での援護なら。あと、撃竜槍の整備でもお役に立てるかと!」
「俺も罠での援護なら行けるぞ!」
「ボウガンの遠距離なら!!」
次々と上がる声。それに対してゲンジは笑みを浮かべていき、ヒノエやミノト達も希望を取り戻していく。そして、ゲンジは声を上げたハンターに向けて敬意を込めて頭を下げる。
「なら頼む。そして協力 感謝する」
その時だ。
「あ…アンタは装備が強いからそうやって偉そうに言えるんだろ!?」
先程の不平不満を言い放っていたハンターが声を荒げる。
「俺達はお前ほど装備が強くねぇんだぞ!?」
そう言う彼の装備はボロス装備であった。中々の腕前が無ければボルボロスは狩れない。確かにゲンジと比べれば確かに天と地ほどの差があるが、ゲンジにとってそんな事などどうでもよかった。
「だから何だ?それはそうさ。だが、誰しも最初は一緒だ。俺だって駆け出しの頃はチェーンシリーズだった。その分努力してきた。最初からこんな装備を纏える奴なんざいる訳ねぇだろ。俺がこれを手に入れるたびにどれほどの血と汗を流したと思っている?」
そのご最もな返しにハンターは返す言葉も無かった。
「まぁいい。強要はしねぇが拒否する奴は想像してみろ。自分達よりも非力な奴らが必死こいてモンスター共を撃退する姿をな。それに装備の所為にする奴はさっき声を上げた奴を見習え。アイツらは自分から出来ることを見つけ出して言ってくれたんだぞ。俺はその点でも敬意を抱いている」
すると
「ハッ!ゲンジよ。難しい話はもう良いだろう。この際ハッキリと言ってやろうじゃないか」
その声が聞こえると同時に多くのハンター達が次々と道をあける。そこには『鳳仙火竜砲』を肩に掛けるエスラと双剣『ギロチン』を背負うシャーラの姿があった。2人は歴戦のハンターとしての強大なオーラを放ちながら悠々と歩いていくと、ゲンジと同じく壇上に上がると、ゴールドルナコートをはためかせながらハンター達へと振り向く。
「諸君。武器での迎撃なら我ら金銀姉弟が引き受けよう!!先程の声を上げてくれた者達には心から感謝する。是非とも君たちには兵器での援護を頼みたい」
エスラの活気立つ声を聞いた先程のハンター達は希望と尊敬の目を向けると共に頷く。
「他に援護をしてくれる者はいるか?ならばその勇敢な君達にも頼む。どうか我々に力を貸して欲しい」
その声に援護に回る者達の声が更に上がり始める。その光景を見ていたフゲンは改めて金銀姉弟であるエスラの采配力やカリスマがとてつもなく高い事を感じ取る。
「(これが…暁のエスラか…!)」
一方で、エスラにとって装備が弱かろうと強かろうと、援護に回るだけでも自身の中では立派なハンターだと認識している。今まで出会い強くなったハンターはほぼ全員が今の自分にできる事を必ず見つけていた。故に、エスラは手を挙げた者達へと期待の目を向ける。
「ふむ。君達は見込みがある。絶対に強いハンターになれるだろう。
それ以外の手を挙げなかった者達には用はない。さっさと去るがいい。そして見ているのだな。自分達が寝ている間に武器も持たない里の者達や子供達が一丸となって百竜夜行を撃退する勇姿を」
その言葉に先程まで拒否する声を上げていた者達は顔を俯かせる。
だが、エスラはただ傲慢な意見を下すだけではなかった。俯き、同行するか否か悩むハンター達に助力を求めるように声を再び掛ける。
「だが、同行してくれるのならばありがたい。戦力は多い方がいいからな。たとえ援護であっても、それをしただけで立派なハンターさ」
エスラはゲンジの方へと向くと、片目を閉じてサムズアップをする。そして、ゲンジは頷く。
「いいか。姉さんの言った通り援護だけでもいい。頼む。兵器なら腐るほどあるからな。ここにいる全員で使っても余るくらいだ」
そう言いゲンジはフゲンの方へと目を向ける。
「出立はいつだ?」
「うむ…準備もあるから明日となるだろう」
「そうか。なら、明日の朝に砦へ遠征に行く。前線か援護で力を貸してくれる奴は出立までに集会所の前に来い。そうじゃねぇなら宿で寝てろ。以上だ。解散」
「!?」
すると、その言葉と共にフゲン以外の里の皆やヒノエ、ミノト、ゴコク達は次々と前日の準備のために集会所を出て行った。ゲンジに言われ続けたハンター達はおぼつかない足取りで。自ら名乗りを上げた事でエスラに見込まれたハンター達は目を輝かし気合を入れながら宿へと戻って行った。その様子を見ていたフゲンは目を点にしていた。
「あ…おいゲンジ…俺の立場は…」
「あ、すまん」